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何もしてないのに神になった俺! ……何でだ?  作者: やまと
ヴァンチトーレ帝国の脅威
20/66

招かれざる客と可愛い客と

 俺は牢の中で日々燿子を愛でていた。途中キララからの念話による連絡が入ったが構わず燿子と一緒になって遊んでいた。エルザも言っていたが可愛いは正義だ!

 キララに団長さん達の護衛を任せたし大丈夫でしょう。

 今も亜空間から取り出した猫じゃらしで燿子と遊んでいる最中である。


「ほれほ~れ、こっちだぞ~」「キァゥ~キュゥキュッ」


 可愛い、可愛すぎる。どれだけ遊んでも時間が足りないじゃないか、ってくらい遊びまくっている。

 狐はネコ目イヌ科だ、食肉目のイヌ亜科である。そんな燿子が猫じゃらしで飛び跳ねて遊んでらっしゃる。


 一心不乱に燿子と遊んでいると、カツカツと誰かが近付く音が聞こえて来た。慌てて猫じゃらしをしまう。

 この牢の中には何も無く、只ボロボロの毛布が一枚無造作に置かれているだけだ。足音を聞き、燿子を毛布の中に隠した。勿論汚らしい毛布は、修行中に使っていた魔道洗濯機を亜空から出して洗ってある。ついでにこの牢の中もピカピカに掃除しおいた。埃っぽいとこに燿子を居させたくないしな。この地下牢には俺達以外誰もいないから出来たことだ。


 現れたのはエナスと呼ばれた一人の男とその副官らしき女性が一人。この男、会議場で団長さんと言い争っていた人物だな。


「ふん、こんな小僧があのミネルヴァより腕が立つとは思えんな。やはり虚実であろう……、だが、それだと疑問が残るな、何故そのような見え透いた嘘を述べたのかが分からん」

「エナス様、この男をどうなさるお積もりですか?仮にもミネルヴァ様がお連れした人物です、下手な扱いは問題になりますよ?」


 人のことはほったらかしかい!二人だけで会話を成立させてるじゃねぇか。何しに来たんだよコイツ等は!


「拷問するのは難しいか……、ならあの魔物を奪い、殺すか?いや、やはり素知らぬ顔でコイツを拷問するか……」


 ブツブツと物騒なことを言ってんな。コイツは何がしたいのかイマイチ分からん。


「ですからぁ、手を出すのは不味いですって!私は後で陛下に叱られても知りませんからね!」

「その頃には私は此処には居ない。お前も俺に付いて来るなら問題あるまい」


 ん、此処には居ない?死ぬ覚悟って訳ではなさそうだな。じゃあ、どういう意味なんだ?


「なぁ、おたくら俺に何の用で来たんだ?愚痴りに来たのか?」

「そんな訳ないじゃないですか!私達は確認に来たんです!」

「貴様、何しにこの国に来た。何の目的で我々に近付いたか吐け!その魔物はどうやって手懐けている」


 目的?それは団長さんの手伝いだ。戦争になると聞けば放っとけないだろ?元々は只、森の外に出たかっただけなんだけどな。

 燿子が懐いてくれたのは覚醒の実を使って助けたからだ。おっとそうだ、名付けも関係してるのかもしれないな。


「答えんかっ!何を隠している」

「いや、ただ単に戦争の手助けだけど?それが何か?」

「素直に答えた方がいいぞ、この地下牢にお前以外誰も居ないのは何故だと思う」


 エナスは一旦口を止め、考える時間を作ってから再び喋り出した。


「それは俺が拷問の末に殺しているからだ。鞭を打ち、爪を剥ぎ、舌を引き抜き、生きたまま皮を剥ぐ、皆泣き叫びながら情報を吐いたぞ。貴様も死にたくなければ早急に質問に答えよ!」


 脅しかよ。残念ですが俺には脅しになってませんよ。俺の体は仮の肉体だし何より俺にダメージを負わせるのは難しいと思うぞ。


「ふん、そうか……、ヤーナこ奴を牢から引きずり出せ!」

「わっ、早く喋っちゃった方がいいですよ!この総長は怖い人ですから!」

「ヤーナ!」

「わ、分かりました。どうなっても知りませんよ!」


 そこでヤーナ嬢が扉の鍵に手を掛ける。


「嬢ちゃん、いいのか?俺の実力はミネルヴァ殿より上だ、その扉を開ければ二人掛でも俺は止められない。よく考えて行動するんだな」

「ふぇ、ふえ~ぇ」

「何をしている、どけぇ、俺がやる」


 動きを止める嬢ちゃんを押し退け自ら扉を開けようとするエナス。嬢ちゃんから鍵の束をひったくりジャラジャラと目的の物を捜している。


 はぁ、コイツはとんだ間抜けか阿呆か、俺が今感じている強烈な気配に微塵も気付いていない。

 気配は凄まじい攻撃性を含むが、殺気はおろか敵意そのものを感じない。只単にこの気配の持ち主が攻撃的な性質を持っているだけだろう、敵ではなく内部の人間だ。

 コイツも会議室に居た人物だ。名前までは知らないけど、王の左隣に座っていた男だろう。


 エナスが目的の鍵を見つけた瞬間に声が掛けられる。


「エナス、ここで何をしている。その者への拷問は固く禁じられているのを知らぬ訳ではあるまい」


 声を掛けられ動きを止めるエナスだが、その横から甲高い声が響き渡る。


「ス、スクディア殿下!何故この様な所へ、ここは殿下の来るような所ではありませんよ」


 ヤーナ嬢だ。


「俺はそいつに用があって来た。二人共席をはずせ、二度とこの場に来ることを禁ずる」

「これはこれは殿下ではありませんか。第二王子で在らせられる殿下が如何様でこの様な所へ?この男への用とは何なのですか?」

「お前には関係あるまい。エナス勝手な真似は許さん即刻この場を離れよ」

「チッ、良いのですか?こ奴はこの国にとって危険な存在かも知れませんよ。厄介事は即座に片した方が宜しいかと存じますがね」

「二度とは言わぬぞ」


 スクディアと呼ばれた男の、殺気を含んだ言葉にイラつき乱暴に去っていく。


「チッ、行くぞヤーナ!」

「は、はい。それでは失礼します殿下」


 なんてやり取りをして出てっていく二人、ほんと何しに来たんだか。


「おい、ミネルヴァの言っていたことに嘘偽りは無いな!?」

「お、おう。団長さんの言っていたことは全て本当だ」


 いきなり話しかけられるとビックリするだろうが。


「依頼したい」

「依頼、何だ?」

「帝国は強い、兵数も多く質も高い。恐らく奴等はこの城内部にまで押し寄せてくるだろう。奴等は準備を怠ることはしないからだ。この国の連中は都市の防壁に絶対の信頼を置い安心している。それでは止められない。そこで、帝国の者がこの城に潜入したのなら、皆を助け逃がしてやって欲しい。ミネルヴァを上回るお前にはそれが可能な筈だ」


 おいおい、このあんちゃん何を言ってんだ。

 確かに俺なら逃がすだけの時間稼ぎくらいは出来るかも知れない。だが、俺はこの世界の土地勘なんてないんだぞ。その後はどうするつもりなんだ、残党狩りは必ず行われるぞ。


「逃がすって言ってもなぁ。逃がす場所はどうする?その後は?考えがあるのか?」

「避難場所など無い。逃げる場所など強狂怖大森林でしかない。だが、この国に残るよりかはマシなはずだ。あのジュピターは母を狙っていてもおかしくはない。あの男は女好きで有名だからな。母も何をされるか分からん」


 おかあちゃんを逃がしてやりたいのか?


「強狂怖は浅い場所ならそれ程危険はない。帝国を追い出すその時まで皆と共に森に潜んでいてくれ。鍵と地図を渡しておく、その時になったら自分で抜け出せ。皆の事を頼む」


 この世界では地図なんかは国家機密でもおかしくはない。そんなポンッと渡していい物じゃない筈だが?

 マァートはスクディアのことを性格破綻者と呼んだが、俺には皆を思いやるいい奴に思えるんだけど?


「鍵を渡してもいいのか?約束を守るとは限らないんだぞ?」

「あのミネルヴァが信じた相手だ、俺も信じることにした。依頼の報酬としてコレをやろう。後は城の財宝でも適当に持っていくといい」


 スクディアは自ら腰に差す一振りの剣を檻の中に差し入れてきた。


「これは?」

「ヴァッテレソードという。ミネルヴァの兄であり、稀代のマジックウェポン製作者であるウィルカヌスが打った剣だ。並みの剣とは強度が違う上に身体能力を強化する魔術が込められている。受け取れ、丸腰では皆を護れまい」


 団長さんにお兄さんがいたのか。どれどれ。


《ヴァッテレソード、C級品

 強度だけならB級品に届きうる、とにかく丈夫に出来ている魔鉱造りの剣。

 攻撃+1200、魔力+800

 スキル:【頑強】【鉄壁】【身体強化】》


 うん、確かに頑強スキルが付いてんな。だが、これより優れた武具を多く所持しているんだけど……。まあ、好意は受け取りますか。


「じゃあ、遠慮なく貰い受ける。依頼は敵が来たら皆を護りながら森へ逃げ込み、そこでも護りながら待機してればいいんだな?」

「ああ、それでいい。出来れば母と妹のディスコルディア、第二王妃、その娘のプロセルピナの四人は何としても護ってやって欲しい。出来るな!」

「ああ、任せろ!報酬を貰っちまった以上全力を尽くす。約束しよう最低でもその四人は俺が護り抜くと」


 コイツ、マジで家族思いのいい奴なんだけど!何で性格破綻者なんて言われてんの?


「頼んだぞ、俺は戦場で倒れることになるだろうが、お前に託したことで安心できる」

「……家族の事を思うなら死なずに戻って来いよ」

「ふっ、その通りだな。ああ、必ず戻るとしよう。では、俺は行く。後を頼むぞ」


 そう言ってスクディアは地下牢から出て行った。まったく、戦争なんてするもんじゃないっての。


「燿子、どう思うよ、あの男死地に向かう気でいるぞ?覚悟は分かるけど……、やるせないな」


 キララには団長さん達の護衛を任せているから彼に付ける訳にはいかない。かと言って他の神魂器を召還することは出来ない。いざとなれば召喚も考えるが、今のところする気はない。

 人の世の戦争に深く関わるのは宜しくないし、余り戦わせたくないんだ。キララは勝手に来ちゃった訳だけどね。


「あのぉ、その剣はスクディア兄様の剣ですか?」


 !!!


 馬鹿な!何時の間に来た、この少女は!気配を掴めなかったぞ!

 牢の前、俺の目の前にさっきまで居なかった10歳位の可愛らしい少女が立っていた。

 檻を挟んで一歩の距離、まさかここまで気付かないなんて!彼女が暗殺者なら今頃俺は地に倒れていただろう。


「君は?君は何時からそこに?」


 いや、もう一人いるな。姿を隠してはいるが、ヴィクトリアと呼ばれていた嬢ちゃんが。

 暗闇は俺にとって味方になるものだが、彼女はその暗闇に紛れて気配を消している。集中しなければ気付かない程巧妙に隠れているな。


「私はプロセルピナ、長いのでセフィーって呼んで下さい。さっき来たところです。こっちの女性はヴィクトリアです。貴方は?」


 プロセルピナ、銀のウェーブの掛かった長い髪に、潤む大きな紫の瞳、身長は低く120㎝位だろうか?

 彼女の気配は優しく包み込むよな温かさがある。そんな少女が一人の女性を紹介する。

 紹介されて漸く姿を現す一人の女性。先程の会議室にいたヴィクトリアに間違いない。

 コチラは不思議な気配を放っている。微妙に攻撃的であり、でも嫌味が無く優しく、どこかいたずら好きなお姉さんといった感じだ。


「あ、ああ、俺はフヅキ、よろしく」

「私はヴィクトリアよ。貴方のことをミネルヴァから頼まれたわ。よろしくね!」


 何故こんな珍しくも奇妙な気配を見逃したんだろう?彼女は隠匿に長けているのか?

 いや、俺に隠し通せるとは考えにくい。隠し通路から不意に出て来たとか?まさか転移?


「嬢ちゃん達はどうやってここに?」

「その前にセフィー殿下の質問に答えてあげて」

「ああこれか、この剣はさっきスクディアから渡された物だよ」


 先程のやり取りを話していいのか悩んだが、結局話すことにした。

 団長さんに頼まれたと言ってたし、信じてもいいだろう。団長さんと同等の実力者だと聞いたし手を貸してくれるかも知れない。


「そうですか、兄様がそんなことを……、でしたら私からも依頼してもいいですか?」

「ん?内容によるぞ」

「スクディア兄様の事を護って下さい!」


 この兄妹は揃ってお互いを護れという。

 同時に別々の者を護るのは不可能ではない。が、難易度が桁違いに高くなってしまう。既に俺はスクディアの依頼で最低でも四人と、キララに頼み団長さん達の守護を勝手にしている状況にある。

 これ以上の負担は依頼成功率を下げかねないので断ることにする。


「すまないがお嬢さん、俺には護る者が多くいる、これ以上の手助けは難しい」

「出来ればで良いんです!私のことは二の次で良いので兄様を助けて下さい」


 参ったな。護衛だろうヴィクトリアさんは何も言わんし、どうしようか?

 ん?


「キュ」


 燿子が毛布の中から出て来てセフィ―に近付いていく。


「わぁ~~~、可愛いぃ~~~!」

「名を燿子っていうんだ。可愛いだろぉ」

「うん、燿子ちゃん触ってもいいですか?」

「おう、いいとも!存分に可愛がってやってくれたまへ!」


 檻の中に手を伸ばそうとするセフィーに対し、燿子はスルリト檻を抜け出し王女の脚にスリスリしだした。

 わぁ~と喜ぶセフィーが燿子とじゃれ合う。よし、セフィーの依頼はこれで有耶無耶になったな。燿子は狙ってやったのか?

 一方、ヴィクトリアは緊張が高まったようだった。彼女は護衛だからな、魔物である燿子をどうしても警戒してしまうのだろう。


「大丈夫だ。燿子はセフィーを傷つけたりしないから。寧ろ彼女の事を気に入っているようだな。故意に傷つけたりしない限り燿子が牙を剥くことはないよ」

「そうね、寧ろセフィー殿下にとっては丁度いい虫除けになるかも」


 セフィーは燿子のもふもふに夢中だな。今のうちにヴィクトリアに聞きたいことを聞いておこう。


「なあ、この戦争は勝てるのか?スクディアの話では難しそうな印象だったけど?」

「ええ、まず勝てないでしょう。勝つには神の軌跡が幾つも必要になるわね」

「コダユーリオンとは手を組まないのか?」

「無理でしょうね。スクディア殿下の印象が悪すぎだもの。戦前会議ではコダユーリオンを引きずり出すと

決めたみたいだけど、上手くいくかは分からないわね」


 じゃあもう無理じゃね?


「周辺諸侯の要人達を今招集しているところよ。この都市が最後の砦になるわね。ここまで攻め込まれた時点で負けは確定だけど」


 そうだよな、ここまで来るってことは他所の都市は占領済みってことで援軍を出すことなど不可能だからな。


「圧倒的火力に頼って追い返すしかないけど、その場合、ミーレスの未来は干上がって終わり、食糧難で飢えたところを再度侵攻されて終わりでしょうね」

「打開策は無しかい!」

「マルス殿下はどうなさるおつもりなのか?」

「二人で逃げるんじゃねぇ?」

「そのような無責任な方ではありませんよ」

「だからだよ、自分達に敵の目を向けさせ、引き付けつつ逃げる。どんな苦しくても敵と離れ過ぎず、恐らくは森に誘い込む。それしか勝つ見込みがないからな。魔物の手を借りるしかない」


 自国の力が足りないのなら他所から持ってくるしかないだろ?

 問題は勇者だ。勇者は殺せば殺しただけレベルを上げてしまう。そうしない為には、一気に物量で押し切るしかないが、魔物は言う事を聞いてはくれない、どう転ぶか分からん博打だな。


「そんな……、ではマルス殿下も死ぬ気なのね」

「ううん、違うよ。マルス兄様はアンキレーを使う積もりだと思う」


 ヴィクトリアと話しをしていると、燿子を抱えたセフィーが入ってきた。


「殿下、アンキレーとは何のことですか?」


 ヴィクトリアも知らない単語だったらしい。


「アンキレーはお父様とマルスお兄様だけが知ってる盾の神器だよ。この国の王様と次の王様にだけ扱える物なの」

「盾の神器ですか?知りませんでした。ですが、何故セフィー殿下がご存じなのです」

「スクディア兄様が昔教えてくれたから。スクディア兄様はマルスお兄様から教わったんだと思う」


 門外不出の神器ですかのう。どんな能力があるのやら。

 アンキレーってのは、地球の神話では軍神マルスが、ローマ皇帝に「世界の支配者でいられる」と神託を出し与えた盾の神器だ。

 同じ名前のマルスが使うってのは面白いな。


「その盾の神器を使うとどうなるんだ?」


 聞けば、その能力は危険なものだった。

 使用者の精神をガリゴリと削り光を発し、かざした相手を自分の支配下に置くことの出来る神器だそうだ。

 盾の神器故に絶対の防御力を誇る為、使用者を倒すことは難しく、かざされた者は支配されるという悪夢のような盾だ。

 使用するには精神増強の魔道具が必要不可欠で、この支配に対抗するには使用者の数倍の精神力が必要らしい。初めから使えや!と、思わなくもないが、そんなものをホイホイ使われても気持ちが悪い。


「殿下、では直ぐにでもそのアンキレーを使えば宜しいのではありませんか?」


 まぁ、ヴィクトリアは自国の存続が掛かってるから忌避感は無いのかな。


「だめ、アレはこの都市から離れれば離れる程力を弱めてしまうの。ミッシーナまで行けばほとんど力を発揮しないと思う」


 使えない神器だなぁ。


「それに、あの盾を使った後は運が悪ければ廃人になちゃうって言ってた」


 ますます使えねぇなぁ~。


「取り敢えず、最後の手段ってことだな。まぁ、そんな物騒な兵器は使わないに越したことはないか。ところで話は変わるが、君達何しに来たの?」

「「……」」


 あれ?


「途中セフィー殿下に捕まりましたが、私は貴方を見定めに来たのよ。ミネルヴァの頼みを聴くにしても自身の眼で確かめないとね」

「私はヴィクトリアを見かけたから付いて来ただけだよ」


 この国は緊張感が無さすぎじゃねぇの?これから戦争って時に囚人を見に来るんじゃありません!

 でもまぁ会えて良かったか、護衛対象の一人を確認できたしな。


「では、殿下そろそろ戻りましょう。何時までも不在では怪しまれます」

「はーい。それじゃあ燿子ちゃんバイバイだね。また来るからその時ももふもふさせてね」

「キュゥ~」


 バイバ~イと手を振り去っていくこの国の姫さんに呑気だなぁと思わなくもないが、それでいいのかも知れないな。

 あっ、どうやって気配を消してたのか聞くの忘れた!ま、いいか。

 それより、


「燿子さんや、悪いけどさ」

「キュ!」


 燿子は分かってると言わんばかりに姿を消し、姫さんの後を追っていった。

 影ながら護ってやってくれないか。と、言う積もりだったんだけど、彼女もそのつもりだったのか頼む前に行ってしまった。


 一人は寂しいなぁ~なぁ~なぁ~~。



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