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何もしてないのに神になった俺! ……何でだ?  作者: やまと
強狂怖大森林
15/66

帰還せよ!

 俺は今、古竜テルピュネの背の上でミネルヴァ団長の背中にしがみついている。

 行きはチェスカの竜に乗せて貰ったが、帰りは団長さんの竜に乗せてもらった。


 それにしても、はえぇ~~!行とは段違いの速さに目を回しそうだ。

 テルピュネの飛行速度がチェスカ達とは桁外れ、それも覚醒の実で潜在能力を開放し、更にテルピュネのスキル【軍団指揮】の能力で他の飛竜達の速度も上がっているからだ。

 あっ、と言う間に拠点に到着してしまった。


「おお、ミネルヴァ殿、探しましたぞ!」


 拠点に着くとゴツイ鎧を纏った騎士風のおっさんが一人待っていた。どうやら団長さんに用があるようだ。

 おっさんの傍らには一匹の獣が寄り添い、こちらを睨んでいる。何だ?やけに殺気だってんな。

 上半身と翼が鷲でライオンの下半身をもつ獣、あれはグリフォンだな。


「どうなされたヴァラカス殿、この様な場所にまで足を運ぶとはただ事ではないのでしょう」


 ————チッ!


 ん?今コイツは舌打ちしたか?


「ええ、非常事態につき緊急の要件があり参った次第、何処か落ち着ける場所で食事でもしながら話しましょう。おい、お前達は食事の用意と見張りをやれ!盗み聞きするなよっ!」


 何だコイツは、やけに偉そうにセシャト達に命令しているが、お偉いさんなのか?

 そもそも緊急じゃなかったのか?悠長に飯を食いながら話すってアホなのか!?


「おい、お前!お前だお前!そこの男!お前は何か食える物でも探してこい!」


 コイツは俺に言ったのか?


「……ん、準備がいいな、飯の準備をするところだったのか?小さいが美味そうな獲物を持ってるじゃないか。早く捌いて持って来い!」


 !!!


 ————コイツ!燿子を飯呼ばわりしやがったのか!?

 俺の腕の中で眠っている燿子に視線を向けたおっさんは、こともあろうに飯にすると言ったんだ!


「テ、テメ————」

「ヴァラカス殿、私の客人に無礼は許しません。緊急であろう、話なら此処で伺う。要件を早々に終わらせ至急帰還せよ!我々も準備し次第帰還する」


 団長さんが俺の殺気に反応してか先手を取った。

 団長さんは俺への気遣いで庇ったが、どちらかと言うとこのおっさんの命を護ったんだな。あと少し遅ければこのおっさんのミンチが出来上がっていたに違いない。


「チッ、分かりました。では、陛下からの書状です。ヴァンチトーレ帝国と戦争になります。至急帰還しろとの命令です。では、私はこれにて失礼する」


 おっさんは言うや否や団長さんに巻紙を渡し、グリフォンに跨ると、とっとと上空へと駆け上がっていった。二度とくんなボケがぁ!


「フヅキ殿、申し訳ありません。失礼をお詫びします」

「いや、団長さんが謝ることないよ。礼儀を失したのはさっきのおっさんだから」


 尚も謝ろうとするミネルヴァ団長を何とか宥める。


「で、でもぉ、ヴァンチトーレと戦争とか言ってなかった?ミネルヴァ様ぁ、書状には何と書かれているのですぅ?」

「……可成り不味いですね。マルス王太子殿下がヴァンチトーレ帝国第一皇女で在らせられるウェヌス殿下を、……駆け落ち同然に攫って来たようです。これでは戦争になっても、おかしくはありません。我々には帰還命令が出ました」


 団長さんが頭を抱えている、皆もそうだ。当たり前だ、自国の王子が他国の姫さんを攫ってきたんだからな。戦争の大義名分を相手方に与えてしまっている。

 これを回避するには最低条件として姫さんを帰し、莫大な賠償金を払わんといかん。下手をしたら王太子の首が必要になる場合も考えられる。


『主、これは少し不味いよ。主が加担したら、その国が勝利しちゃう可能性が高くなっちゃうもん。神様なんだから下手に人間に干渉しない方がいいんじゃない?』


 確かにそうなんだが、見捨てることも出来ないよな。縁が出来ちゃったし、少し様子を見ようかな。


『またそんなこと言って!ずぶずぶに足突っ込む事になってもしらないよ?』


 すんません!その時は頼りにしてます、キララちゃん。


『……』


 黙ってしまった。と、兎に角、少し状況を整理してから動いた方がよさそうだな。


「ミネルヴァ様、ヴァンチトーレは既にインペラートルに攻め込んでいるのですか?」

「いえ、この書状を書かれた時点では未だヴァンチトーレは動いていないようです。しかし、時間の問題ですね。これは今日書かれた物、大軍を率いて南のミッシーナ海を渡るには少なくとも3日は掛かりますが、余り時間は有りません」

「まさか、あのマルス殿下がそんな事するなんてなぁ。正直見損なったよ」

「マァート、のっぴきならない事情があったのかもしれないよぉ。決めつけるのは早いよぉ~」

「ああ、そうだな……」

「ミネルヴァ様、我々はどうすれば宜しいですか?」

「戦争ともなればそれなりの準備期間が必要になります。早めに戻らねば間に合わないことも有り得ます」

「でしたら、早速帰還の準備を始めます。皆撤収準備してぇー!」


 皆が騒然となるのは無理からぬこと。慌ただしく撤収作業に移る騎士の皆さんが見ていて不憫になってくるな。やらかす上司を持つと大変だからな。


「って、俺はどうしたらいいんだ?……取り敢えず覚醒樹の爺さんにお礼でも言って来るか」


 余りの事態に俺の事を忘れているな。俺は好きに動かせてもらおうかな。

 俺はのんびりとした足取りで覚醒の実をくれた爺さんに会いに行った。それどころじゃないと分かっているが、誰にも気づかれないのは寂しいなぁ。


『ほん。無事で何より、やっとかめ(久しぶり)だのん、元気にしとったかん?』

「ああ爺さん、あんたのくれた実のお陰で全員助かったよ。ありがとな」


 ちゃんとお礼の出来る大人になりましょう。


『どういたしましてだのん』

「キュ」


 お、燿子が起きた。燿子も爺さんが実をくれたことに気付いたのか、礼を言っているようだ。

 燿子もあの実には助けられたからな。


『ほん、その子があの狐かのん?』

「ああ、燿子って名付けたんだ」

『燿子、妖狐に燿子と名付けたんか?』

「ダメ?」

『構わないのん。大切に育てるといいのん。きっといい子に育つのん』

「そっか、ありがと」


 一通り挨拶を終え、ふと思い出したことを話しておこう。


「そう言えば、爺さんから貰った実を一つ植えさせてもらったよ。育つのが楽しみだ」

『礼を言うのん。実が育てば役立てて欲しいのん』

「————あっ、こんな所にいた!捜しましたよフヅキさん」


 背後から声を掛けられ振り向くと、エルザが一人こちらに向かって歩いてくる。


「やあ、エルザ、準備は終わったのか?」

「ううん、まだだよ。それよりミネルヴァ様がフヅキさんのことを捜してるよ」


 どうやら勝手に抜け出したために手間をかけさせてしまったようだ。


「悪い悪い!すぐに行くよ」


 軽く返事を返し、爺さんに向き直る。


「ってことで俺は行くよ。爺さん元気でな、爺さんのお陰で本当に助かったよ有難う。また来れたら来るからその時はよろしくな!」

『それじゃあ元気でのん。ほい、きな臭い気配が森の外でしてるで気を付けて行ってくるといいのん』


 爺さん此処から外の様子が分かるのか、凄い感知能力だな。


「ああ、有難う、それじゃさよならだ」


 俺は古い巨木に手を振り、振り返るとエルザが変な顔をしていることに気付いた。


「なんて顔してんの?」

「え、だって、木に話しかけてるから……。大丈夫かなって」


 この娘は何言ってくれてんでしょうね。


「あの実をくれた爺さんの木だよ。お礼を言いに来たの!」


 前に植物達に助けられた話はしたよねぇ。そんな痛い人を見るような目で見るのはやめなさい!


「と、取り敢えず戻ろうか」

「はい!そうそう、名前思い出せて良かったですね。皆心配してましたよ」


 拠点に戻る前に一通りの自己紹介は終えている。俺の名前も思い出したことにして伝えてある。実際には思い出した訳ではなく師匠に貰った名前なんだけどね。


「ありがと、エルザは帰還したらどうするんだ?戦争に参加することになるとは思うんだけど、それでいいのか?」

「私は騎士ですよ、お国を護るのが仕事なんで。戦争はイヤですけど起きちゃうものは仕方がないです。たとえ命を落とすことになっても最後まで皆と一緒に戦います!」


 小さな体に誇らし気に胸を張り大きな勇気を示す少女。どうにか助けてやりたいと思ってしまう愛らしさがそこにはあった。


「戦争なんて、しないのが一番なんですけどね」


 どこか悲しく儚さを感じる。


「まったくだ。君んとこの王子様は何を考えているんかね?」

「はははっ、きっとやんごとない理由があったんだと思いますよ」


 そうかな?理由なんて一つでしょうに、男が女を攫うなんて惚れた以外にあるんでしょうかね?


「ところで、燿子ちゃんを触らせてもらえますか?もふもふしてて気持ちよさそうです。ふふっ、可愛いですね」


 この娘は団長さんを苦しめた相手を可愛いと言ってくれるのか。最初のうちは皆、腫れ物を触るように接していたのに。


「いいのか?団長さんを苦しめた相手だぞ?」

「こうなっては敵も味方もありません。だって、可愛いは正義でしょ?きっと、皆も触りたがりますよ」


 そうなのかな、抱える燿子をエルザに託すと、キュと鳴きながら彼女の腕の中へ自ら飛び込んでいった。敵意が無いからだろうか?すんなり腕の中に納まる狐ちゃん。


「じゃあ、団長さんと話してる間燿子のことをお願いするよ」

「はい、任せて下さい!たっぷり可愛がってあげます」


 聞きようによっては、いたぶりそうな表現だがそうではないことは分かる。彼女なら燿子を託せるだろうと思いそのまま預けることにした。


 目の前には解体されてない天幕があり、その中で団長さんが待っているらしい。「フヅキだ、入るよ」「どうぞ」と、短いやり取りをして中にはいる。


「わざわざ呼び出してしまい申し訳ありません。貴方の今後のことを話しておかなければならないと思いお呼びしました」

「ああ、構わないよ。これからの事ってなんだい」


 団長さんの他にも滅狐討伐組が揃っているようだ。


「はい、我々は準備が出来次第帰還致します。ですが、国に戻れば戦争に巻き込んでしまいます。そこで、貴方を隣国であるコダユーリオン王国にお連れしようかと迷っていました。何も分からない土地だとは思いますが、インペラートルよりかは安全だと思います、どうされますか?」


 コダユーリオン王国ってどこだ?隣国って言っても日本以外土地勘なんてない。そもそも助けたいと思ったからこそ着いていこうとしたわけだし。ここは、


「俺は団長さん達に着いていこうと思う。迷惑でなければ連れて行ってほしい。まぁ、多少の戦力にはなると思うから、邪魔でも連れてってくれると嬉しい」


 断固着いていくことにしよう。


「邪魔になど思う事はありません。ですが、宜しいのですか?戦争になる可能性が可成り高いでよ。かえって迷惑を掛けてしまいます」

「そうだよなぁ、わざわざ攫ってきた姫を返すことはないだろうし、賠償金も払える程豊かでもない。攫った時点で戦争確定だろうな」


 マァートがどこか投げやりに言っている。


「いえ、恐らくこれはヴァンチトーレの陰謀でしょう。どのみち戦争に持ち込むつもりだったと思います。かの国は嘗てよりコダユーリオンの鉱山を狙っていました。我が国を落とし拠点とし、これを奪う腹積もりでしょう」


 ってことは、結局戦争に巻き込まれるってことじゃん。


「ですが、これは確定している訳ではありません。フヅキ殿はコダユーリオンに行き、戦争に発展しそうなら強狂怖大森林に逃げ込むのが一番安全だと思います」


 いや、着いて行きますとも。


「ですがミネルヴァ様、それでは殿下達二人の気持ちはどうなのでしょう。二人は利用されただけで愛し合ってはいないのでしょうか?ウェヌス殿下はマルス王太子殿下のことを騙しているのですか?」


 団長さんの言う通りなら、確かにそれだとセシャトの疑問が浮上するな。

 もし、愛し合っているのなら、自らの国を捨て自国と戦う事を選んだ姫さんの覚悟は本物だ。しかし、これが罠だとすると内側から崩壊する恐れが出てくる。敵を招き入れたことになるからな。


「私はウェヌス殿下のことを知っていますが、あのお方は人を騙せるような人ではありません。マルス王太子殿下も人を見抜く力を持っておられます。事実は分かりませんが、私は二人の想いは本気だと思っています」

「確かぁ、ウェヌス殿下ってぇゴンドーナ大陸一の美人だって聞いたことがありますぅ。そこんトコどうなんですかぁミネルヴァ様ぁ。あ、因みにゴンドーナ大陸って言うのはねぇ、帝国のある大陸だよ」


 ルナの最後の説明は俺に向けての言葉だ。

 聞けばこの大陸の名はムルサン大陸といい、ムルサンの南にミッシーナ海があり、その向こう側がゴンドーナ大陸らしい。その大陸で一番の美女なんだと、ウェヌス姫さん。


「ええ、美人ですよ。大陸一かは分かりませんが、確かに目を見張る程の美女ではあります」

「そうなるとぉ、マルス殿下が本気になってもおかしくないのかぁ」


 実は姫さんも利用されてる?わざと近付けさせ攫わせた?


「それって、たまたま姫を攫われたから?それとも攫わせたのか?」

「どうでしょうか?どちらにしてもヴァンチトーレにとって好機なのでしょう。ウェヌス殿下は近々ご婚約される予定でした。もし、望まぬ婚約なら……、仕掛けられてもおかしくはありませんね」


 婚約者の事を嫌っている姫さんの気持ちを利用して敢て王子さんを近付けた?

 う~ん、ここで考えていても真実は分からん。実際に本人達に会ってみない事には始まらんか。


「ミネルヴァ様、ヴァンチトーレにはマーズという勇者がいます。彼はどれ程の実力なのですか?」


 勇者か、キララも勇者だったんだよな。そもそも勇者ってのは神兵で神敵を倒す目的で召喚された者の総称だ。つまり、鍛えれば神敵に対抗できる戦力になる。まぁ、そんな戦力に至るのは稀らしいが、可能性はある。

 問題は勇者の性格だ。好戦的であったり、保守的であったりと勇者の性格は召喚する神の好みによって変わる。どの神が召喚したかで勇者の性格がある程度知ることが出来るんだ。名前から鑑みるにアレス神かな?となると好戦的な性格をしているのかも知れないな。


「マーズ殿はレベル30程の勇者です。実力ではまだ私の方が上ではありますが、何時追い抜かれてもおかしくはありません。使者として赴く時にはよく手合わせさせられました」

「ってことは、相手側は団長さんの実力を知っていると言う事か。その逆も然りだが、相手は勇者だからなぁ、レベルによっては大きく予測を上回る可能性がある。戦うなら時間を掛けず真っ先に潰さないと、成長速度が他とは比較にならない程早い筈だ」


 レベルの低い内は上がりやすいから注意が必要だ。レベル30はまだ低い、レヴァンなんか999だぞ!


「そうですね。ですが、厄介なのはマーズ殿だけではありません。海戦特化の騎士団、海神騎士団(ティアマト・ナイツ)を束ねる団長アルテミシア、陸を掛ければ世界最速と誉れの高い地神騎兵団(イナンナ・ナイツ)の団長、ティデス。この二人はマーズ殿と同様に危険です」


 30程度の勇者なら俺が相手すれば問題にもならないと思ったが、勇者並みの危険度が二人居るとなると少々厄介だ。

 十分に育った勇者は一人で戦局をひっくり返すことだって可能になる。そこまでにないにしろ、レベル30の勇者と肩を並べる実力となると、一人でも一軍に匹敵するだろう。……インペラートル側の戦力が気になるな。団長さんクラスの実力者が何人いるかで状況が大きく変わる。


「自国の戦力はどうなんだ?」

「我々古竜騎士団40名、男性のみで構成されたグリフォン騎士団2000名、陸上では第一から第六兵団合わせて30万が存在します。あとは近衛騎士団100名です。主だった実力者は私達を除けば、騎士総長エナス、グリフォン騎士団団長ペテスタイ、近衛騎士団団長ヴィクトリアです」

「ミネルヴァ様とヴィクトリア様は別格です」


 と、トモエ、更に続けて嫌な情報をくれた。


「残念ではありますが、各兵団の団長は私にすら届かない実力しかありません。エナス騎士総長は実力はございますが、野心家で自益優先の人柄です。ペテスタイ団長は実力もあり人柄も良くはありますが、副官のヴァラカス殿が脚を引っ張っている感じが致します。ヴィクトリア様は実力、性格ともに申し分なく、信用の置ける人物です」


 インペラートル王国の人選どうなってんの?


「じゃ、じゃあ信用していいのは団長さんとヴィクトリア近衛長だけなのか」


 セシャトが慌てて答えてくれる。


「い、いえ、我が国にはマルス殿下とスクディア第二殿下がおわせられます」

「マルス殿下は実力も性格もいいけど、やらかしたしなぁ。スクディア殿下は性格破綻者だし、ユピテル陛下を戦場に出す訳にもいかないから、そうだな、その二人しか居ないんじゃないか」

「マ、マァート……」


 やばい、この戦争負けるかも知れない。だって、ろくな人材が少なすぎるもん!


「へ、兵数は?」


 もう、数に頼るしかなさそうだ。


「ヴァンチトーレ帝国の兵数は100万位でしょうか?あちらは大国ですから」


 ……終わった。数で三倍以上の差があるじゃないか!


「ど、どうすんの?勝ち目がなくない?」

「どうにかします。ですから、フヅキ殿はコダユーリオンへ逃れた方が良いと思いますよ」

「!」


 そうだ、自国だけでダメなら他国に助けてもらえばいいじゃん!


「最終的に帝国はコダユーリオンの鉱山を狙ってるんだよな?」

「はい、ヴァンチトーレは喉から手が出る程欲しがっていました」

「ならコダユーリオンと手を組んで帝国を追い返せないのか?コダユーリオンにとっても他人事じゃないんだろ」


 この場の皆が顔を見合わせる。だが、揃って首をフルフルと横に振るっている。


「いえ、無理ですね、隣国とは仲が悪いのです」

「そうそうぅ、それもこれも全部ぅスクディア殿下のせいだよぉ」

「コダユーリオンの積み荷を襲っては強奪していたのです。命は取らなかったようですけど……」

「あの破綻者はろくなことしないからな」

「何とか示談金を払い事を治めましたが、それ以来仲が非常に悪くなっています」


 ほんと何なのこの国の人達。


「恐らくこちらとは手を組まずに、単独で動くと思います」

「仲が悪いとか言ってる場合じゃない気がするが、手が組めないなら利用するしかないな」

「利用と申しますと?」

「相手がどう動くか分からんが、勝手に挟撃に持ち込むか、帝国の別動隊を阻むかすればいいんじゃないのか?輸送物資を抑えるのは基本だな。コダユーリオンにとっても悪いことじゃないしな」


 あーでもないこーでもないと、話し込んでるうちに撤退準備が出来たようだ。


「ここで作戦を立てても仕方ありません。この続きは王城でしましょう。……最後の確認をしますが、フヅキ殿は本当にインペラートル王国で宜しいのですね?」

「ああ、俺も力になりたいしな」

「分かりました。ご助力を感謝致します。貴方が来てくれれば、これ以上に心強いものはありません」

「気にしなさんなって。困ったときはお互い様ってことで」

「助けられてばかりですけどね」


 そんな訳で漸くこの森から出ることが出来る。

 でも、戦争に巻き込まれるのはほぼ確定なので良かったのか悪かったのか分からないな。


 天幕から出れば人だかりが出来ていた。そこには仰向けになって腹を撫で繰り回されている燿子と騎士達の姿が。どうやら打ち解けたようで何よりだ。


 俺はまた団長さんの背にしがみつき竜の背の上で森を見下ろす。

 世話になった植物達に「じゃあな」と一声かけると『またねぇ』と返ってきたような気がした。




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