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何もしてないのに神になった俺! ……何でだ?  作者: やまと
強狂怖大森林
13/66

決着

 流星裂弾(メテオ・シェル・テア)は、剣に纏わせた神気をミサイルのように何発も放ち、軌道上の空間を炸裂させながら標的へと進み着弾と同時に大爆発を起こさせる技だ。

 軌道上のものも巻き込むため殲滅力に長け、破壊力も抜群なんだ。

 天漢無閃の太刀のように無制限に出し続ける事は出来ないが、一発の威力はそれを凌ぐ。

 天漢無閃は鋭い切れ味と無限の手数が売りの技、流星裂弾は広範囲に渡る殲滅力と破壊力が売りになる。


 俺は流星裂弾を放つと同時に、キララのスキル【白魔】を発動させた。白魔とは災害級の大雪のことだ。

 キララは異世界転移を行った際に、調和の女神レーネ神からユニーク(固有)スキル【白魔】を植え付けられていたが、キララが死亡した時点で失われてしまった。

 だが、冥界の楽園であり、俺の娘的存在の地母神でもあるペティ・シオンにて修行を積み、直ぐに取り戻すことが出来たそうだ。

 今では研磨された白魔は限界に達し、リミット(限界)スキル【白魔の白世界】に進化している。

 白魔の白世界の権能は、大雪による認識阻害と凍結、雪に触れた標的の能力低下、触れた味方の魔力増強、味方の体温調節だ。


 白魔の白世界により、相手の動きを阻害し、流星裂弾で破壊する。

 ラードーンは主たるテュポーンの欠片を護る様に幾つかの首を覆いかぶせ壁を作っている。

 その壁に何発も着弾し大爆発を起こし、早くも積もってきた雪を瞬時に蒸発させ視界を覆う水蒸気となる。

 水蒸気が晴れるのを待つと、そこにはボロボロになったラードーンの何体かの首が力なく地面に横たわっていた。

 だが、あくまでも数個の首だ、あと数十もの首がある。そしてテュポーンの欠片は無言で横たわる太い首を撫でていた。

 ラードーンの首が死んだ訳じゃない、神魂器は主が健在なら存在し続ける。だが、ちゃんと痛みは感じるし苦しい想いだってある

 欠片の奴はラードーンのことを大切に思っていたんだな。よく考えてみたらラードーンってテュポーンの子供だったんじゃなかったか?

 神魂器は我が子の様に大切な存在だ、それが実の子供なら尚更だろう。


「ラードーンよ、もう少しだけ頑張ってくれ。奴は強い、俺達よりも強いのかもしれねぇ。だが、勝たなくちゃならねぇよな。俺達の自由の為に!」


 何だ?さっきまでの荒々しさが消えた。

 奴の気配は静まり返り、直視しているのに薄らぼんやりしてくる。神気すら感じられない。

 何をするつもりだ?


「よお小僧!俺もお前も限界が近い。次の一撃に全てを賭けねぇか、ベットするのは互いの命ってことだ。もうそろそろ飽きてきただろこの勝負」

『私の主に向かって生意気な!身の程を教えてやるぅ』


 キララが何か言ってんな。それは兎も角。

 命を懸けるっつっても俺達死なんだろ、お互い本体じゃないからな。

 そうなれば一撃に賭けるのは悪くないか?


「いいだろう。お互い次の一撃に力の全てを込めよう。これで終いだ!」

『ちょっと、あんな奴のいう事聞くことないよ!このままじわじわやっつけようよ』


 確かに女神(おみながみ)流を使えば徐々に奴を弱らせ倒すことは可能だが、それでは奴の心意気に水を差すことになる。

 キララちゃん、君は少し黙ってなさい!


『むぅ』


 欠片はラードーンを第三段階の神魂分霊から第二段階の神魂解放に戻してしまう。


「どういうつもりだ?一撃に賭けるんじゃなかったか!?」

「ああ、心配するな。次の一撃は俺の生涯でも最高の一撃になるからよぉ」


 今も勢い良く吹雪く白魔の雪に視界を遮られながら会話を続ける俺達。


「おいおい、解放状態で最高の一撃が撃てるのかよ」

「テメェだって解放だろうが、人の事言えねぇじゃねぇかよ」


 俺のは神魂分霊に至っていないんだよ。この野郎!


「んじゃあ、いくぜ小僧ぉ!」

「来な!行くぞキララ」

『お任せ下さい、主!』


 奴は肉食獣が獲物を捕らえる様に姿勢を低くし、ゆっくりと近づいてくる。

 俺は全力で神力を解放する。が、奴からは先程までの猛々しい神気を感じなくなっていた。

 どういうつもりかと訝るが、考えている暇はなさそうだ!


 既に積もりまくっている雪は俺の迸る神気によって吹き飛ばされ、大地の地盤すらも捲れ上がる。

 捲れ上がった大地が宙に浮き視界を遮られるが構わずに技を放つ。


女神(おみながみ)流剣術が最秘奥————」

「テメェの全力で掛かってこいやぁ!」


 お互い次の攻撃に渾身の力を、己が全てを籠めた一撃を放つ。


刃沙螺(バサラ)!」

 

 先手を取ったのは俺だ。

 剣を振ると同時に放たれる剣気は極小の砂粒のように舞い、テュポーンの欠片の周囲を螺旋状に包み込むように襲い掛かる。

 只の剣技と思うなかれ。バサラは女神(おみながみ)()()の秘奥の最たるもの、このままでは終わらない。

 砂粒の如く細分化された剣気は標的の体内に突き刺さり内側から魂までも破壊し尽くす。だが、それだけでは秘奥義とは言われない。そこからが最秘奥と言われる所以である。


「小賢しい————!!!」


 奴は周りを取り巻く砂嵐の如く剣気の渦を内側から拳を放ち強引に突破する。

 拳圧で俺の剣気を散らし姿を現す奴には細かい傷が出来ていたが、些細な傷など気にも留めずに獲物に跳びかかる。

 先程までの無に等しかった気配は一変し、正に肉食獣が獲物に喰らいつく瞬間の獰猛さがそこにはあった。


百頭蛇(ヘカトン・エ)の悪食(クリプシス)!」


 今まで凪いでいた奴の神気がここに来て爆発を起こす。

 まるで奴の拳が大蛇の首にでもなったかの様に錯覚を起こす。

 いや、幻覚と思うな、現にコイツは俺の身体に喰らいついている!

 百の蛇の首と化した奴の拳は、大技を放ち終えた僅かな硬直時間に俺の身体に喰らいついていた。


 腹は裂かれ、足は食い千切られ、左肩は綺麗に抉られ左腕がぶら下がる。無事な部分はキララが防いでくれた右上半身くらいだ。気付いた時には下半身が喰いつくされていた。


『あぁ、主ぃー大丈夫ですか————!!!』


 キララの悲鳴が頭の中に響く。


「はははっ!俺の勝だ小僧ぉ————!!!」


 勝ち誇るテュポーンの欠片。


「い、いや、俺の勝だ……。ぐふぅ、お、お前は……、す、既に、ぐっ、俺の術中に囚われている……」


 血を吐き出しながら奴の勝ち誇る顔を見ると、次第に苦悶の表情に変化し始める。

 内部からの破壊が始まったのだ。


「テ、テメェ……、な、何しやがった……」


 欠片が肉体に止まらず魂にまで及ぶ内部破壊に焦りだすが今更遅い。


 しかし、バサラの真価は破壊ではない。

 神気は体内で奴の記憶へとアクセスし、俺は奴の過去を追体験することが出来る。故に若干の硬直状態に陥るが、奴の秘密を丸裸にし、そして俺に可能な範囲でだが奴の技まで習得可能なのだ。更に、記憶と接続しているという事は、何時でも記憶破壊が可能ということだ。


 これを防ぐには、並外れた精神力で弾き返すか、記憶を侵される前に体内に侵入した神気を追い出すかしなければならない。

 一度記憶に入り込んでしまえば防ぐのは難しい。何故ならば体内を、つまり自分自身を攻撃し神気を追い出さなくてはならないからだ。魂にまで入り込んだ神気を追い出すには魂を細かく砕かなければならない、事実上一度入り込まれれば防衛不可能なのだ。

 それ故技の使い手は、相手を上回る強靭な精神力と精密な力のコントロールが必要不可欠で、精神力が相手に劣れば俳人に、コントロールをミスれば技は自分に降りかかる。

 失敗のリスクは高いが、得るものは大きい。

 記憶を覗けば細かな技の解析も可能だ。事前に知っていれば対抗策は幾つか見つかるものだ。奴が俺を喰う事が予め分かったので対抗策は事前にやっておいた。


 百頭蛇の悪食は、触れたものを悉く喰らう技だ。喰ったものを養分とし、己が力とする。奴が途中でブツブツ言っていたのはこのことだったのだろう。

 だがこれは只の食事とは違う。権能はこうだ、防御無視、全吸収、神気変換、能力複製、生命奪取、食材保管といったところだ。

 神魂分霊から神魂解放に移したのは複製した能力をテュポーンの欠片に流すためだ。

 分霊状態だと複製した能力はラードーンにのみ流れるが、解放状態なら欠片自身が放った技の為に欠片に能力が複製される。奴の記憶にあった情報だ。


 これを防ぐ事は極めて困難だ。何故なら防御力を無視して喰らいついてくるため躱すしかない。

 神にとっては結界や障壁など紙に過ぎず何事もなく突破する。故に肉体強度が必要となるのだが、百頭蛇の悪食には防御無視の権能がある。故に喰われてもいい状態にしなければならない。ダミーを喰わせるとかかな。兎に角能力複製は避けなければならない。

 だが、記憶の追体験中の俺は硬直し躱すことが出来ず喰われてしまった。


 だが問題ない、本体との接続を切ればいい。これで本体の力は奴に流れることはないし、そもそも女神(おみながみ)流は複製不可能だ。

 奴が喰ったのは人としての俺の肉体だけとなり、コピー出来る能力は精々が名前に関する能力(スキル)位だろう。それも、神である奴には元々備わっている能力の為、あまり意味のない攻撃だったと言わざるを得ない。


 俺が行った対抗策は、1に本体との接続を切ること、2に予備の体を位相空間にストックしたことだ。

 この肉体が滅びる前に身体の入れ替えを行うつもりだ。

 急ごしらえの為スペックは大分劣るが仕方がない。また鍛えるさ。

 だが、奴はそうはいかない。奴の肉体は一つでダミーを作ることなど出来ない。いや、時間があれば可能なのかも知れないが、今は無理だ。人を喰ったところで神の体を構築するだけのエネルギーは獲得できないからだ。 

 徐々に肉体と魂が崩れ始める欠片、バサラを受け吸収も不十分な奴に最早生き残る術はない。


「っ……、あぁあ、お、俺の負けかぁ。だが、俺の……、ふ、封印が解けたら、真っ先にお前を食い殺しに行ってやるから……、か、……か、覚悟しておくんだな。こ、小僧ぉ!」


 負け惜しみか?


「あぁ、そ、うそう、お……俺の様なちか、力の欠片はまだまだいるぞ……。先ずは、そ、そいつらのあ、相手……、を、をするんだな…………」


 ああ、記憶を覗いてしってるよ。欠片は後六つ残っているってことをな。

 って、俺もそろそろヤバいな。体の入れ替えをするか。


 そうして俺は無事にテュポーンの欠片との決着をつけることが出来たんだ。





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