ひほう・・・
「ねぇナツミさん」
「どうしたハルちゃん」
今日はちょっと学園長のテンションが高いです。なにかいいことでもあったんでようか。
「ちょっと家族旅行に行ってきたのよぅ」
「へぇ、そりゃいいね」
「久しぶりに温泉浸かってリフレッシュしたわぁ」
「温泉かぁ・・・いいねぇ」
「むか~し、まだ旦那と一緒になる前に二人で行った思い出のとこだったのよぉ」
「おっとハルちゃん。惚気かい?」
「そんな気持ちもちょっとあるわよぉ。でもちょっと残念なこともあったわよぉ」
「なんだ?温泉はあったけど旅館がなかったとか?」
「いえ。建て替えられてホテルに進化していたけどそれはあったわぁ。無くなっていたのはその温泉の近くにあった秘宝館よぅ」
「ブッ!・・・ハルちゃん、そんな情報を学生に向かって言い放つのは教育者としてどうだろうか」
「ここだから話すのよぅ。この部室以外で話していたら問題だもん」
「だもんって・・・。しかし残念だったってことは当時は入ったのか?結婚前の旦那と?」
「そうよぅ。私たち夫婦は当時珍しくお見合いじゃなかったからぁ。で、その館の展示品見てで火がついっちゃってその晩、婚前交渉で相性を確かめあって一緒になったのよぅ」
学園長はテンション高く当時の様子を話してくれています。いつの間にか夜の営みにのみフォーカスが当たっていっていますが。私ももちろん興味はありますので本を読んだふりをしながらその様子を事細かく話している学園長の話に耳を傾けます。なんというか・・・凄かったです。
【秘宝館】
性風俗や生物の性に関する古今東西の文物を収蔵した施設。温泉街に多い。
時代と共に規制が厳しくなり現在は数か所のみ閉館を免れている。