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懐古する部室  作者: M33
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あめり・・・

「なあハルちゃん」

「どうしたのぉナツミさん?」


今日も今日とて始まりました部室内でのいつもの雑談です。

あ、申し遅れました。私、彼女たちと同じ部活のフユミと申します。


ナツミと呼ばれた方がこの部活の部長です。

見た目は若干身長が低く、くすんだロングな金髪に若干着崩した感じの制服というギャルとかヤンキーといった感じです。

しかし実態は成績優秀・文武両道な優等生。なぜか3という数字が好きで段・級・位など数字が付くものすべてで3を狙うという変人です。本人曰く『一位とか二位は騒がれるけど三位だと目立たないじゃん。アタイは目立ちたくないんだよ』ということらしいです。

自身の趣味が高じてこの部活を自ら作ったということです。職員室に顧問を頼みに行ったときに一番最初に出会った学園長に頼んで了承してもらったという武勇伝もあります。


ハルとよばれた方はあろうことかこの学園の学園長です。

もうそろそろ還暦を迎えようとする御年だと聞いていますが見た目そんな風に見えません。噂ではお孫さんもいるとか。どう見ても30~40前半にしか見えないいわゆる美魔女という類です。魔女を通り越してもはや化け物の類だとも思いますが。

見た目の柔らかな印象と同様にしゃべりもおっとりしていますが芯が通っている尊敬すべき方です。

体罰をも辞さないという昨今めずらしい学園の方針を掲げる、自由を重んじ学校で起こる全て自己責任という放任主義などなかなか珍しい教育方針で頑張っていらっしゃいます。

なぜ学園長でありながら部活の顧問をしているのかというと暇だったし面白そうだったからという理由だそうです。学園長が暇な仕事とは思えませんが。


そして私。

平々凡々・秀でたことはなにもないどこにでもいる読書少女です。趣味はキャラクターグッズ集めです。

お二人に比べると特筆することはとくにありません。

私がなぜこの部室にいるかというと部活が強制であったこととやりたいものがなかったというのが原因でしょうか。

決してナツミちゃんが持っていた見たことのないキャラクターに心惹かれてうっかり入っちゃったなんてことはないですよ。(棒)


そしてこの部活が何をしているかというと・・・古いものを愛でるという漠然としたものです。

発掘したり古銭を眺めたりではなく今では使わなくなったものや言葉などを題材に会話を楽しんだりしているのです。一部ついて行けますが私には二人が何を言っているのかがほぼ分かりませんのでほぼ聞き手に徹しています。学園長はともかくナツミちゃんがなぜ詳しいのかが分かりません。本当に同級生でしょうか?


「昨日さ。押し入れからアメリカンクラッカーが出てきてさ」

「あらあ!懐かしいわねぇ」

「ついつい始めちゃって。あの軽快なリズムに乗せられて熱中しちゃったから指が痛くてさぁ。しかも何度もしくじって玉に指をぶつけちゃうし」

「わぁ・・・。痛そうねぇ」


今日の話はどうやら玩具のようですが・・・私にはいつもの如くそれがどういったものか全くわかりません。

疎外感は感じますが楽しそうな二人を見ているとなぜかほっこりします。


この物語は古いものスキーなお二人(時々私)を軸にした日々の報告日誌です。


【アメリカンクラッカー】

1971年に日本でヒットした玩具。紐に二つのボールがついており玉をぶつけて音をならして遊ぶ。


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