第90話 ドS王女様は職業の天啓を受け、スキルを授かる。
準備に結構かかるけど、時々いつもの(少しえろいの)を混ぜていきますので。
-王女クリステラ視点-
「順番はどうします?」
「お兄ちゃんとマリナとカリナはもしかして受けられないかもしれないから、あと回しなの」
ケイトたちは『椅子』か『人』かわかりませんから、もし『天啓の儀式』を受けられなければ『特別資格』のアイテムを使って『人』にしてからもう一度儀式をしてもらうつもりですの。
そうなると、エメル姉さまからね。
-王女エメラルディ視点-
教会の中ってすごく綺麗なものが多いのね。
こんな場所で自分の『職業』を決める儀式ができるなんて素敵だわ。
「それでは儀式を始める」
「はい」
何か神官の方がつぶやいてますけど、よく聞き取れませんわ。
これで待っていれば、自分の頭の中に声がするのよね?
どんな声かしら?
『汝、銃鍛冶師也』
『銃鍛冶師』って何ですの?
あ…頭の中に何かいっぱい知識が!
これが『スキル』なのね!
なるほど、『銃鍛冶師』ってそんな職業なのね。
これは物作りが好きな私にぴったりね。
すぐにでもみんなに話したいけど、結果は後で披露しあうことになってるから、とりあえず儀式場から降りましょう。
-王女サファイラ視点-
私は何か『探求』しがいのある『職業』にならないかしら?
『汝、錬金術師也』
これって何かしら?
あっ…こんなスキルが?
ああっ!これこそ求めていたものよ!
探求しがいのある『職業』ね!
-王女クリステラ視点-
剣で相手を一撃で倒せるようなすごい『職業』がいいですわ!
『汝、刀術士也』
刀って反っている剣のことですわよね?
…このスキルは?!
すごい!すごいですわ!
まさにわたくしに相応しいですの!
-主人公ケイト視点-
クリス様たちは無事終わったみたいだな。
3人ともいい表情だから、おかしなものにはならなかったみたいで良かったな。
俺は椅子なのがどう影響するのかな?
「それでは儀式を始める」
「はい」
おかしなものになるかもしれないな。
でも、それはそれで楽しみかも。
おかしなスキルほどやりがいあるってね。
それに自分を鑑定した時に
詳細 異世界で『最高』と言われた椅子。人間を素材にしてできている。魔法の成功率を上げる効果がある。●☆
って出てて、『●☆』がスキルらしいんだよな。
それもどうなるのか早く知りたいな。
『汝、最高の椅子也』
待ていっ!
おい!
手抜きなのかっ?!
それとも人間じゃないから?
え?それでも専用のスキルがあるの?
…こんな『スキル』が?
「おにい、どうだった?」
「椅子っぽい職業になったけど、ちゃんと使えそうなスキルはもらえたよ。もし人らしい職業がいいなら『特別資格』使った方がいいと思うぞ」
「マリナもお兄ちゃんと一緒でいいの」
マリナやカリナは『座り心地のいい椅子』とかになるのかな?
-双子の妹マリナ視点-
最初に『座り心地のいい椅子』として召喚されているからそうなるかもしれないの。
『汝、『家具職人』也』
全然違ったの!
これは普通の人の職業なの。
これじゃあお兄ちゃんを癒したりは…。
あっ!お兄ちゃんは椅子だから、『家具修繕』で直せるの!
えっと、『治す』?『直す』?
どっちでもいいの。
それに家具を作れるってことは、小さな椅子も作れるの。
椅子であるお兄ちゃんと同じ椅子であるマリナの子供の椅子…。
はうっ、なんか変な想像をしてしまったです!
ああっ、またカリナっぽい口調になったの!
決してエッチなことを想像した訳じゃないの!
-双子の妹カリナ視点-
マリナが何だったか教えてくれないです。
ちょっと不安だけど、マリナがすごくうれしそうと言うか、たぶんあれはおにいとイイコトする事を妄想している表情です。
だからきっとカリナも大丈夫です。
『汝、物理付与師也』
『座り心地がいい椅子』ではなかったです!
はうう!
物理とかまるでわからないのにいっぱい難しいスキルが流れ込んできたです!
摩擦係数とか硬度とか理解できないです!
こうなったら物理の猛勉強するです!
おにいに教えてもらいたいけどクリス様の迷惑になるから…この世界で勉強するです!
二人っきりで勉強すればすごくはかどるはず。
勉強の合間に、ちょっとだけ違う勉強もしたりするの。
ああっ!変なことを考えたらマリナみたいな口調になったです!
-王女エメラルディ視点-
家に戻ってきたので早速自分の天啓の説明をしないとね!
「エメル王女」
「マリー、ここでは冒険者仲間だからエメルでいいのよ」
「エメル、『天啓の儀式』の内容は人に話す義務は無いし、鑑定などで見られる心配も無いのよ。だから無理に言わなくても『こんな感じのもの』でもいいのよ」
「ううん、教えたくてたまらないの!」
「そう。それでも信頼できる人以外にはでは話さないほうがいいわ。自分の能力を教えるのは弱点を知られるのと同じだから」
「わかったわ。それで、私の職業は銃鍛冶師で、銃や弾丸を作ったり、それで戦うこともできるわ」
「銃鍛冶師!すごく格好いいですね!弾丸まで自作する銃って色んな戦い方ができそうです!」
ケイトがすごく食いついてきたわ。
そんなに格好いいかしら?
でも、私にとっては色々工夫して物が作れる最高の職業だわ。
-王女サファイラ視点-
「ボクは錬金術師だよ。色んな物質を組み合わせて新しい物質を作り出したり、物質からゴーレムっていう動く人形を作れるよ」
「おお!面白そう!」
「ケイトはこういうの得意?またボクに色々教えてね」
「あ、ああ」
ふふっ、ボクの眼を見ないようにしてるね。
また二人っきりの時に見つめてキスさせてあげるんだから。
-王女クリステラ視点-
姉さまたちの職業はすごいですのね。
でもわたくしもすごいですのよ。
「わたくしは刀術士ですの!刀っていう武器に特化した職業で、相手を一撃で倒したり、大勢の敵を相手にできたりしますの!」
「ソードマスターじゃなくてカタナマスターってところがこだわりを感じますね。刀は俺のいた国にあったすごい武器なんですよ」
もしかしてケイトが居たからこの職業になったのかしら?
-双子の妹マリナ視点-
「お兄ちゃんは最後がいいの?じゃあマリナが先に言うの。マリナは『家具職人』で、家具を作ったり修繕したりできるの!」
「椅子は関係ないんだな」
「お兄ちゃん、椅子の修繕ができるから、お兄ちゃんの怪我も直せるの」
「あっそうか!じゃあ頼りにするからな!」
お兄ちゃんに頼られて嬉しいの。
それに『家具修繕』のスキルは折れたり欠けたりした部分も直せるから、いざというときはお兄ちゃんをマリナが救うの!
-双子の妹カリナ視点-
「カリナは『物理付術師』です。摩擦係数とを減らすとか、硬度を上げるとかできるらしいけど、物理はよくわからないから、おにいに教えてもらいたいです!」
「俺は高校で理系だったから、物理とか化学は得意だから色々教えるよ」
「化学が得意ならボクも教えてほしいの」
あっ!
二人っきりのつもりだったのに!
「みんなで勉強会みたいにするのもいいですわね!」
「そうですね、クリス様!」
ああっ!クリス様まで!
おにいと二人っきりの勉強会が台無しです!
-主人公ケイト視点-
結局、人間扱いじゃない職業って俺だけなのか。
「俺はなぜか『最高の椅子』って職業で、何だか人間っぽくないものになっちゃったよ」
「なんとなく想像はしていましたけど、マリナやカリナが普通の職業でしたからケイトもそうだと思いましたわ」
「クリス様、すみません」
「謝る必要はありませんの。それでスキルはどんなのですの?」
「俺の上に座ると戦闘力が上がるとか、回復するとか、困ったときのヒントが聞けるってスキルでした」
強力なスキルかもしれないけど、戦闘中に座っていられるかな?
「大丈夫ですわ。わたくしがケイトを守りますの」
むしろ前衛のクリス様に座ってもらって強化や回復をした方がいいんだけどな。
「私やシェリーもガードくらいできるぞ」
「マリー様、私はケイトのガードなんて」
「じゃあ私一人で守るしかないのね」
「私もやります!」
このパターン多いなあ。
マリーはシェリーがそう言うのをわかっていてわざと言ってるみたいだけど、シェリーとももう少し仲良くなりたいな。
でも、どうしてこんなにシェリーは俺の事を嫌っているんだろう?
-魔族シェリー視点-
ぷくくく。
ケイトは職業も椅子なのね。
マリー様にはケイトを守るって言ったから椅子くらい守ってあげるけど、私が座るなんてごめんだわ。
でも、マリー様は魔王の時にケイトの上に座っていたのよね。
『最高の椅子』どんな感じなのかしら?
ううん、こんな奴の上に座ったら妊娠させられちゃうわ!
…って、それもできなくなったのよね。
あの世界に行くと体質が変わってあんなこととかこんなこととか出来なくなるみたいだし。
マリー様にはそれを教えてあったのに
『かまいませんよ。ケイトも一緒なのでしょう?』
なんて言うもの。
本当にこんな奴のどこがいいのかしら?
きっとケイトに助けられたから『つり針効果』とか言うので気持ちが一時的にケイトに囚われているんだわ。
私が解放してあげないと!
いえ、どうせ冒険に行くことになったら、こんな役に立ちそうもない『最高の椅子』なんて職業の男なんて、すぐに愛想をつかすに決まってるわ!
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次回も明日、2月12日18時更新です。




