第9話 目隠しをしたドS王女様にご奉仕を。
早く話を進めて、クリス様の姉たちや主人公の妹たち、新しい○○たちの事も書いていきたいです。
令和2年1月4日
初期でクリステラの言い回しが現在と違っているため修正しました。
-主人公ケイト視点-
いかん、大事故だ。
しかも、気づいているの俺だけ?
二人とも目隠しとかありえないよ。
どうしようか?
待てよ、きっと湯船に向いて座っているから、今なら背中を向けているはず。
背中くらい見えるのは仕方ないよな。
それで、あまり見ないようにして髪だけ洗おう。
俺は覚悟を決めて目隠しを外した。
「って、なんで横っ?!」
慌てて両手で目を隠す俺。
湯船が入って左手にあった。
この風呂、どういう作りだよ。
そのせいで、クリス様は横向きだった。
そのせいで、クリス様は丸見えだった。
そのせいで、クリス様はピンクだった。
湯気と不自然な光がある程度大切なところを隠してくれた。
そういうことにして記憶を改竄しておこう。
犠牲を伴ったけど、湯船とクリス様の位置を把握したので、すばやくクリス様の後方に回る。
いや待て。
ここにシャワーは無い。
頭を洗うには湯船の水を汲む。
湯船側に居ないと、汲めない。
クリス様の正面で髪を洗うってこと?!
無理無理無理無理。
-王女クリステラ視点-
「って、なんで横っ?!」
ケイトが何か良くわからないことを言ってますわね。
わたくしの目隠しの結び方がおかしくて、蝶々結びが横向きになってしまっているのかしら?
「直した方がいいかしら?」
「は、はい。できれば後ろを向いて座りなおしてください。あっ、右回りで」
体の向きを変えるの?
きっとその方が洗いやすいのね。
右回りってどっちかしら?
右手の方向にくるーっと。
「こうかしらーーーーー」
「そうです…わーっ!行き過ぎっ!そう、そこでいいです。はあはあ」
ケイト、何もやらないうちに疲れていますわね。
どうしたのかしら?
「石けんがあるから、それを使って洗うのですわ。その前に髪の毛をまっすぐにするから、まず、たくさんお湯をかけなさい」
とぷん、ちゃぷん
「ちょうどいいぬるさかな?」
カイトの声と共に、髪の毛がぬれていきます。
熱さに気を配り、優しく濡らしていきますのね。
なかなかよろしいですわ。
「クリス様、石けんで髪を洗うとごわごわになりません?」
「だから、あまり石けんを使わないで、その代わりに丁寧に洗いますのよ」
それが難しいのですわ。
だから30分もかかりますの。
「ちょっと待っててください!」
パタパタとケイトが出ていく音がしましたの。
何か忘れ物でもしたのかしら?
そして戻ってきた音がしましたわ。
「うまくいくかどうかわかりませんけど、やってみます!」
何をする気なのかしら?
「『日用品召喚』!金髪縦ロールの髪をきれいに洗えるシャンプーと、リンスを!」
しゃんぷー?りんす?
何かしら、それ?
-主人公ケイト視点-
貧乏になってからは週に2回の銭湯通いだった。
そしてお金のない俺は石けんで頭も洗っていた。
でも、髪がパサパサというか、油分が抜けると言うか、そんな感じだった。
こんな綺麗なクリス様の髪を、そんなふうにするわけにはいかない!
俺は残った2つの魔晶石を持ってくると、呪文を唱えた。
「『日用品召喚』!金髪縦ロールの髪をきれいに洗えるシャンプーとリンスを」
魔晶石は1つしか減らなかった。
そして右手には小さめのシャンプーとリンスのボトルが。
もしかして、同系統の物はまとめて出せるのかな?
片手で持てるくらいの量なら出るってことかも。
その検証はあとでいいから、とにかく…どっちがシャンプー?
あ、書いてある。
『縦ロール専用シャンプー』
『縦ロール専用リンス』
えっと、何?縦ロール専用?
この召喚呪文って、言った通りの物が実在しなくても出るの?
というかこれ、俺は兼用で使えないよね?
いや、俺は石鹸で十分だけど。
しかし、どうなっているんだ?この召喚呪文って?
その検証も後!とにかく頭を洗わないと!
「ケイト、ちょっと冷えてきたわ。わたくしの体にもお湯をかけなさい」
いかん、クリス様が冷えてしまう。
クリス様の前を見ないように、お湯を肩からかける。
ばしゃ、しゃばっ
肩からかけたお湯が、前方へ流れていった。
まるでプールにある滑り台の水みたいだ。
これ、お腹にかけるのは後ろから不可能だよね?
じゃあ、お腹の横からかかるように、お湯をエイヤッと。
お尻が少し見えるけど、目線は背中まで!
背中しか見えない。見えてないよ!
「じゃあ、洗いますね」
わしゃわしゃわしゃ
わしゃわしゃわしゃ
-王女クリステラ視点-
いつも髪を洗いながら寒くなるから、自分でかけ湯をするのが面倒でしたけど、こうしてもらえるのは楽ですわね。
やっと髪を洗い始めてくれましたわ。
それにしても、人に洗ってもらうと、こうも感じが違うのですわね。
髪の先の方はよくわからないけど、頭の辺りを洗っている時は、頭そのものも洗ってもらっているような感じで、とても気持ちいいですの。
これは『しゃんぷー』とか『りんす』って言ってましたわね。
ちょっと触ってみようかしら。
そっ
「ひゃあっ!」
「きゃあっ!」
うっかり、ケイトの手を触ってしまいましたわ。
「ごめんなさいごめんなさい!」
「か、かまわないわ」
そんなに謝らなくていいのに。
改めて、髪の毛を触ると、すごいきめ細かな泡を感じますの。
すごい、こんな石けん知らないですわ。
それに、すごいてきぱきと洗ってくれますわね。
もしかして、慣れているのかしら?
「もしかして、ケイトは人の髪を洗いなれているのかしら?」
「はい、その、妹たちがいたので」
上手なわけだわ。
ああ、何だか眠たくなりそう…。
「クリス様、一度すすいでから、リンスを使いますね」
二度も洗うの?
すごい、私の髪、まぶしいくらいに光るかもしれないわ。
-主人公ケイト視点-
妹たちの頭を毎日洗っていたのが役に立ったな。
とりあえず、これでいいだろ。
「クリス様、一度すすいでから、リンスを使いますね」
リンスを使ったら、
全体に馴染ませてー、
すすいでー。
…
よし、これでいい。
「終わりました。クリス様、俺は先に出てますので、ゆっくりお風呂に浸かって下さいね」
「ケイトの世界では、体を洗う前に湯船に入りますの?」
「はっ?!」
まさか、まさか、まさか
「ケイト、わたくしの体を」
「クリス様の体を洗うとか絶対にダメです!髪ならともかく!体を洗うとかありえませんから!」
全力で拒絶する。
やりたいと思うけど、やっちゃだめってわかるから。
「誰がわたくしの体を洗えと言いましたの?」
低いトーンのクリス様の声。
あ、やっちゃったかも。
-王女クリステラ視点-
ああ、触るとわかるわ。
髪の毛が、今までになくスベスベで、柔らかいわ。
これが『しゃんぷー』と『りんす』の力なのね。
そして、ケイトの洗う腕も良かったわ。
はっきり言って、気持ちよかったわ。
さてと、体を洗って湯船に入りましょうか。
「終わりました。クリス様、俺は先に出てますので、ゆっくりお風呂に浸かって下さいね」
何ですって?
このまま湯船に入らせるつもりなの?
「ケイトの世界では、体を洗う前に湯船に入りますの?」
「はっ?!」
どうやら、当然の事を忘れていただけのようですわね。
まあ、今回は髪をきれいにしてくれた事ですし、許してあげますわ。
とりあえず、何も見えないから、わたくしの体を洗う石けんを取ってもらいますの。
「ケイト、わたくしの体を」
「クリス様の体を洗うとか絶対にダメです!髪ならともかく!体を洗うとかありえませんから!」
え?
わたくしの体を洗うとかありえない?
当たり前ですわ!
髪の毛ならともかく、体なんて下僕に洗わせるはずはありませんわ!
そうね、でも背中くらいならいいかもしれませんわね。
でも、ここはちょっと怒っているフリを。
「誰がわたくしの体を洗えといいましたの?わたくしの体を洗う石けんを取ってほしいと言うつもりでしたのよ」
「ああっ!すみませんでしたっ!」
ケイトの表情が見えないのが面白くないけど、そのせいか、声だけでも慌てている様子が良くわかるわ。
目隠しも悪くないわね。
「わたくしが体を洗って湯船に入っている間に、ケイトは体を洗いなさい。それで私が出たら、すぐに湯船に入るのよ。なにしろ時間が無いですのよ」
「時間?」
「お風呂は40分までですの。ケイトはわたくしの所有物だから、ケイトも時間内に出ないといけないのですわ」
そしてわたくしは体を洗って、湯船に浸かりましたの。
極楽ですわー。
-主人公ケイト視点-
こ、これはクリス様の使った石けんだよな。
『間接キス』ならぬ『間接石けん』とかだよな。
泡が残っているし、金髪が1本巻き付いているし。
時間がないから、無心で洗うっ!
「先に失礼しますわ」
手探りで出ようとするクリス様。
「ちょっと手を失礼します」
俺はクリス様の手を取ると、その体を見ないようにしながら、ドアの方に誘導した。
「ケイト」
「は、はいっ」
「良かったわ。また頼もうかしら」
「は、はいっ!」
振り向いて微笑んでくれたクリス様。
でも、振り向くのに、上半身まで振り向かなくても。
しかし鼻血って以外と出ないんだな。
こんなに刺激強いのに。
いかん、いかん。
俺は下僕だっ!椅子だっ!
煩悩退散だっ!
お読みいただきありがとうございました!
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次回も明日、11月27日18時