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第79話 下僕の耳掃除 その1

かりかりこりこり


令和2年2月12日

言い回し修正しました。

-主人公ケイト視点-


洗面所から戻ってきたクリス様はツインテールだった。


今日は妹モードなんだ。


「ねえ、ケイトお兄様」


領地の隅で寄り添って座る。


妹って設定だけどドキドキするなあ。


「あのね、夕べ、今朝もだけど、わたくしのこといっぱい褒めてくれたのがすっごく嬉しかったですの!だから、えいっ!」


ちゅっ


いきなりほっぺへのキス。


「お礼のキスですの!」

「あ、うん。ありがとう。嬉しいよ」


平静を装っているけど、内心は心臓バクバク。


クリス様、夕べのことでお礼がしたくて、わざわざ妹になってお礼のキスをしてくれたんだ。


ああ、駄目だよクリス様。

ますます好きになってしまいますって。


兄妹愛ならいいのかな?

でも、最近みんなの兄妹愛がかなりねじ曲がってきているような?


クリス様とだけは『健全な兄妹』でいたいなあ。



-女王ディアナ視点-


今日は大陸アパート管理者交流会ですわ。


この大陸アパートを初めとしたいくつもの大陸アパートを所有する『大陸主アパートマスター』の元に大陸アパート管理者たちが集まりますの。


みんなわたくしくらいの年齢の女性ばかりで話しやすくて、色々情報交換をしますのよ。



「…報告は以上ですわ」

「では、あとは自由に話をして交流を深めてくださいな。わたくしはこれで失礼しますわ」


大陸主アパートマスター』が退出されて、みんなの緊張が解けて和やかムードになりますの。


「最近娘が」

「旦那が」


他愛ない井戸端会議ですのよ。

いつも楽しいですけど、今回はちょっと違いますの。


「ディアナって、何だか雰囲気変わりません?」

「そうかしら?」

「何だかいいことでもありましたの?」

「お孫さん生まれたとか」

「娘は三人ともまだ翔学生の教科書終わってませんのよ」

「ディアナは12歳で終わりましたのにね」

「ディアナってまだ子供作ってもおかしくないくらいに見えますわ」

「そうですの?お世辞でも嬉しいですわ」


言いたいですわっ!


ケイトと結ばれて、ルビィアって可愛い娘が生まれたって。


ケイトと一緒で、毎日とても幸せって。


すごく言いたいですの!


「ディアナの旦那様はまた出張ですの?」

「良く働かれるわね」

「新しい奥様とか連れ帰ったりしないかしら?」

「ディアナはそうなったら認めますの?」


忘れたい元夫の話が出てしまいましたわ。


「さあ、どうかしら?」

「あら、急に不機嫌になったわね。もしかして、浮気?」

「離婚?」

「でも幸せそうなのは再婚?」


3人ともほとんど当たっていますわ!

それでも本当の事は言えないですの!


「そういえばうちの大陸アパートの王国の女王が、男を囲い始めましたのよ」

「囲うって何ですの?」

「結婚しないで、自分の領地に住ませていますの」


何だかわたくしと似た話ですわね。


「その方は結婚していますの?」

「それが浮気されて離婚したそうですわ。それで、新たに恋に落ちた男性を領地内に住ませ始めましたの」


ますますそっくりな話ですわ。


「離婚したなら、再婚しませんの?」

「それが、ひとり娘がまだ翔学生の教科書を済ませてないから、終わるのを待っているそうですの」

「どういうことですの?」


どうして待つ必要があるのかしら?


「再婚でも夫婦になったら、翔学生の教科書を修了していない娘と親子として顔を合わせられるようになりますの」


普通は翔学生の教科書を修了していない子は他人と顔を合わせたら駄目ですけど、そういうことになってしまいますのね。


「それで、うっかり子供を作ってしまうといけないから、娘が巣立つまで待っているそうですのよ」

「うっかり?」


何ですの?うっかりって?


「実は他の大陸アパートで、義理の娘、それも翔学生の教科書を修了していない娘に手を出した男がいて、子供を作ったそうですの」

「まあ!」

「義理の娘であっても、翔学生の教科書を修了していれば結婚や子作りは許されますわ。もちろん、母であり妻である女王が承諾すればですけど。でも、その場合は完全に浮気でしたの。そもそも子宝魔晶石も女王のものでしたもの」

「それでどうなりましたの?」

「そのことに気づいた女王が法王に訴えて、離婚の上、男性と娘は『追放刑』、子供は卵のうちに『送還』されましたの」


娘まで『追放刑』ですの?!

どこへ送られるかわからない『追放刑』は最高の刑罰ですのよ!


「それを聞いていたから、まだ結婚に踏み切れないらしいですの」


いいことを聞きましたわ。

娘たちが翔学生の教科書を修了するまではケイトと子供を作らせないようにしないと…そもそも子宝魔晶石が無いから無理ですわよね?


「それで、その女王は幸せですの?」

「ええ、毎日が楽しいそうですわ」

「それは良かったですわ」


わたくしもそうですのよ。

でも、ケイトと結婚する方法がわかれば、もっと楽しくなりますのに。


何か情報を聞き出せないかしら?


「ところで、テストを受けられないとか結婚できないとか、そういう人の事を聞いたことありませんかしら?」

「ディアナ、そんな人をご存じですの?」

「いえ、実は高齢で子供を作ると、どこか問題のある子どもが生まれるって聞いたことがありますの」


適当な嘘でごまかしますわ。


「すると、うちの大陸アパートに住む王国のお子さんはそれだったかもしれませんわね」

「そんな人が居ますの?」

「ええ。何でも、テストが受けられず舞闘会にも登録できないお子さんが居るらしくて、法王の『罰』が怖くて黙っていたらしいですけど、翔学生の教科書が終わるだけの学力が付いたので、法王に相談することにしたそうですの」

「それでどうなりましたの?」

「『たまにそういう子が生まれることがある。『資格』の無い者は『特別資格取得試験』を受けて合格すれば、『特別資格』を与えられて、テストを受けたり、舞闘会に登録したり、結婚をしたりできるようになる』って言われたそうですわ」


まあ!


それこそわたくしが探し求めていたものですわ!


「それってどんな試験かしら?きっと難しいのですわね?」

「おそらくそうだったのですわ」

「おそらくって、まさか?」

「ええ。試験に落ちて、その子は『追放刑』になりましたの」

「試験に落ちて『追放刑』になりますの?!」


なんて恐ろしいの!


「受けさせなければよかったと後悔しているそうですわ」



-主人公ケイト視点-


トントントン!

ガラッ!


返事をする前に扉が開いてディアナ様が飛び込んできた。


「ケイトっ!ケイトっ!」


今日はクリス様が妹モードなので、横に並んで勉強中だ。


その俺の胸に抱き着いてくるディアナ様。


「ケイト!絶対に試験を受けないで!」

「急にどうしたんですか?」

「実は…」



え?

『資格』をもらえる試験がある?

でも失敗すると『追放刑』でどこかわからないところに追放される?


「このままでいいから、ケイトがいなくなったら、わたくし、わたくしいいいっ!」


泣いているディアナ様の頭を撫でてあげる。


「大丈夫ですよ。別に『資格』なんて要りませんから。俺はクリス様やディアナ様たちとこうしていられるだけで幸せなんですから」

「でも、もしかするとケイトの事が知られたら、『罰』が下されるかもしれませんの!」

「お母様は馬鹿ですわ」

「クリス?」

「『追放刑』になったらそれでかまいませんのよ」

「なんてこと言うの?!」


クリス様…。


「だって、ケイトお兄様にわたくしもついていきますのもの!」


ええっ?!

あっ、これって妹モードのせいなのか?


「クリス。あなた、ケイトの主人としてはどうですの?」

「当然ケイトがそんな目に遭ったら、召喚して連れ戻しますわ」

「召喚できなければどうしますの?」

「ケイトの居ない人生なんてありえませんの。だから、ケイトにわたくしを召喚してほしいですわ。いえ、それこそ何か罪を犯してケイトと一緒に『追放刑』になってもいいですの」


クリス様!

そこまで俺の事を!


「そうですわね。さすがクリスはケイトの主人だわ」

「今は妹ですの」

「わたくしも妹ごっこ参加していいかしら?」

「今日はごっこではありませんのよ。妹ですけど、勉強とか普通にしますから遊びませんわ」

「かまいませんの。前は姉になってしまったから、今日は妹として接したいだけですわ」


ディアナ様はそういうと、領地に戻っていかれた。

準備してくるのかな?


「クリス様」

「今は妹ですのよ」

「クリス、さっきの言葉。最高に嬉しいよ。ありがとう」


なでなでなで


「お兄様…」


体を預けてきてくれているクリス様。


「そうだ!ご褒美にいいことをしてあげよう!」

「なんですの?」



-王女クリステラ視点-


わたくしとケイトの、ケイトお兄様を引き裂くことなんてできませんの!


「そうだ!ご褒美にいいことをしてあげよう!」

「なんですの?」


どんなご褒美がいただけるのかしら?


「クリス、耳掃除ってします?」

「耳はお風呂で洗いますのよ」

「耳垢って無い世界ですものね」

「『みみあか』って何ですの?」

「俺の世界では耳の中に汚れが溜まるんです。それをたまに掃除するんですけど、この世界は汚れなくても洗うのが文化みたいですから、耳掃除をしてもいいと思うんですよ」

「それならお願いしますわ」

「準備するので…」


言わなくてもわかりますの!


「その間ルビィアを見てきますわ!」



お母様がいつの間にか私と同い年くらいになってますわ。

ちょっとだけわたくしより胸が大きいですの。


でも、ケイトはわたくしの胸が世界最高って言ってくれましたもの。

嫉妬なんてしませんわよ。


「クリス、今度は何をしますの?」

「耳掃除ですの」

「耳掃除?耳を綺麗に拭いたりしてくれるのかしら?」

「わかりませんけど、楽しみですの」


コンコンコン


「いいですわよ」


ガラッ


「お待たせ、クリス。それじゃあ俺の膝の上に頭を乗せて」


ケイトお兄様が正座をして、膝の上にわたくしの頭を乗せますの。


何をしてもらえるのかしら?

ドキドキしますわ。


「少しくすぐったいかもしれないけど、動いたら危ないから我慢してね」

「わかりましたわ」


すっ


あら?


耳の中に何かが?


こすこすこす


あ、ちょっとくすぐったいですの。


でも、何だか心地いいですわ!


こすこすこすこす


「んっ」


ちょっとくすぐったくて動きそうになりましたわ。


「『クリス、絶対に動かないで』」

「え?お母様?」


女王の命令でわたくしが動けなくなりましたわ!


こすこすこすこす

こすこすこすこす

こすこすこすこす

かりっ


「はうん」

「クリス?」

「今のところ、すごく心地いいですの!」


これは気持ち良くても『みょぎりんこ』や『みょぎん』にはなりませんのね。

きっとエッチなことではないからですわ。


「あう、はうん、はああ、はあ、はあ、お兄様、もっとお」



-主人公ケイト視点-


耳掃除は『みょぎりんこ』や『みょぎん』ならないみたいだけど、クリス様の声がエロすぎるんだけど。


「はい、クリス。反対向いて」

「お兄様、もっとお。もっとクリスの中をその棒でこすってほしいのぉ」


その言い方は危なすぎますから!


「『クリス、反対向いて、じっとしなさい』」


くるん。


「ああん。…あ、はあ、はふう!あうん、はうんっ!あああああっ!いいのおっ!」


クリス様、これは絶対に駄目な奴です。

選択失敗したなあ。


でも…いっそ全員に試したくなってきた。


「はう、はうう…」

「もうやめる?」

「ううん、もうちょっとお。お兄様、クリスの穴をもっともっといじめてほしいの」


いじめてるわけじゃないんだけどな。


あれ?クリス様に気を取られてる間に、ディアナ様が居なくなってる。



「はふう。もうダメ…」



クリス様は動けなくなったみたいだ…ってディアナ様が動いていいよって言わないと動けないんじゃ?


あっ、ディアナ様が戻ってきた。


「終わったかしら?クリス、『動いていいですわ』」

「ふあい」


クリス様、ヘロヘロになってる。


「お母様、お布団借りますわ」


ルビィアの横で寝てしまうクリス様。


「クリスがあんなふうになっちゃうの?お兄ちゃん、私もお願いしていい?」

「ボク、大丈夫かな?」


ディアナ様が呼んだらしくて、妹モードになっているエメル姉さまとサフィ姉さま。


どうやら二人の耳掃除を先にやることになるみたいだ。

お読みいただきありがとうございます。

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次回も明日、2月1日18時更新です。

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