第71話 おもらし王女は罰を受ける
今日は3話連続更新です。
これが3話目になります。
-女王ディアナ視点-
「ディアナ様、これを使うです」
カリナが変な魔道具を差し出してきましたわ。
「これは『ボイスチェンジャー』というもので、ここに小声で話すと、こっちから違う声が出てくるです」
「これで『違う声になる…なってますわ!』」
「これを使って、こいつに命令するです!命令では記憶を消せないから、ディアナ様が言ったとわからないようにして、命令して罰を受けさせるです!」
「それはいい考えですわ」
わたくしもさすがに頭に来ていますのよ。
『送還』すれば元の所に送り返せますし、これならどこで何をされたかわかりませんわね。
-隣国の王女ナルカミ視点-
ここはどこ?
手足を縛られて、目隠しされて、耳も塞がれて、口もきけなくされてる。
せめて口がきければ何とかできるのに。
『キサマ、よく聞け』
な?何の声?
この低くて恐ろしい声は?!
悪魔なの?!
『キサマに呪いをかける。一切何も話すな。抵抗をするな。我らの言うことを聞け』
呪い?!
やっぱり悪魔だわ!
ナルルンの目隠しがはずされると、目の前にいたのは『大きなクマのぬいぐるみ』だった。
「あ、クマだ…」
その見た目に安心しかかったナルルンは次の瞬間震えあがった。
なにしろ、同じ見た目のクマが大小6匹も居るのだから。
それがみんなこっちをにらんでいる。
これ、ナルルンがごみ箱に捨てたのと同じクマのぬいぐるみだわ!
まさか、ナルルンが盗んでゴミ箱に捨てたことを恨んで、クマの世界に連れてこられた?!
『キサマは我が同胞を殺し、さらに捨てた!その罪、許しがたい!』
「ぬいぐるみが何を言うのよ!」
『口答えは許さん!』
「あ…あ?ああっ?!」
口答えできなくなった?!
これが呪い?!
『キサマには今からここにいる全員からの罰を受けてもらう』
そんなっ!
たかだかぬいぐるみを盗んで捨てただけじゃない!
『動くぬいぐるみが生きていないとでも思ったです?』
別のクマがナルルンの心を読んだかのように言ってくる。
こいつ、心が読めるの?!
『我らは時折召喚され、その者に仕える。しかし、キサマは我らの仲間を奪い、殺し、消し去ったです』
異次元箱から出したら勝手に死んでいたのよ!
『勝手に死んだわけではない。異次元箱に入れれば時間が止まる。そこで生きていられると思うのか?』
そんなこと知らないわ!
って、さっきから本当に心が読まれてるわ!
『まずは鞭打ちですわ!』
また違うクマが出てきたわ!
クマたちがナルルンを押さえつけて
ぺろん
ああっ!お尻をっ!
まさか直接鞭打たれるの?!
バシッ!バシッ!バシッ!
いたいっ!いたいっ!いたいっ!
お尻が焼けそうなの!!
うう、死ぬ。
死んじゃう。
『お尻が真っ赤に腫れたな。しかし、貴様はもはや人ではない』
どういうこと?
『呪いによって、我らと同じ『物』になったのだ。見よ!『日用品修繕』!』
それって、壊れた『物』を修繕する魔法よ。
そんなの人間相手に…え?うそ。治っていく?!
でも、痛みがなくならないのはどうしてよ?!
『『物』は修繕できるが、痛みは別だ。さあ、これを繰り返すぞ』
ま、まさかずっとこんなことされるの?!
『『物』を大切にしないキサマにはふさわしい罰だ!』
『次は私が』
『わたくしも』
『我も』
いや、いやああああああああああああああああっ!!
気絶して、目を覚ますと鞭打たれるの。
それに、もう何度おもらししたかわからないわ。
服が汚いからって、全部脱がされて、全身鞭打たれて…。
ああ、そうか。
ナルルンが悪かったんだ。
ナルルンに優しくしてくれたクマさんを殺してしまったから。
でも、もう駄目ね。
きっと、ナルルンは、ここで永遠に鞭打たれるの。
いっそ、殺してほしい。
ああ、ああああ。
「クマさん、ごめんなさい…ナルルンが悪かったの」
『…やっとその言葉が出てきたか』
『ならば、その言葉、本人に言ってやれ』
え…死んだんじゃ?
『お前が心から望めば、ここに現れる。さあ、願え!』
魔法でもないのに、魔晶石も無いのに、願うだけで叶うの?
「ごめんなさい!クマさん!謝りたいから出てきて!」
ナルルンは本当に心からそう望んだの。
すると辺りが眩しく光って…ナルルンが捨てたはずのクマさんが居たわ。
「ごめんなさい!あなたにひどいことをして!もう二度とこんな悪いことはしない!だから、許して!」
『本当か?』
「うん!だからお願い!許して!お父さんの所に返して!」
『それなら、返してやろう。しかし、今度同じことをしたら、二度とは許されぬと思え』
ああ、なんて優しいの。
クマさんを殺したナルルンを許してくれるなんて。
思わず抱き着いて、そのまま…意識が遠くなっていったの。
-主人公ケイト視点-
反省したら呼ぶって言われたけどさ。
『全裸』とか聞いてないから!
しかも何?
抱き着かれて、気絶して、またおもらししてるし!
このままおしっこだらけで送還するのも気の毒だな。
『そのままでいいわ。服を着せるわよ』
それ、おもらしで濡れまくった服じゃないか。
綺麗にしなかったんだ。
『向こうに戻ってから、これで夢じゃない。もしくはすごい悪夢って思うわ』
そうかも。
『『送還』!彼女を元の場所へ!』
消えた。
無事戻ったかな?
下にはビニールシートを引いてあって、汚れは勝手にきれいになるし、においもすぐ消えるけど、着ぐるみごとおしっこを掛けられた俺はさすがにお風呂入りたいな。
「ケイト、お詫びにわたくしが綺麗にして差し上げますわ」
「お母様はケイトを放置していったから、罰として今回のお風呂は却下ですわ」
「エメル、そんなあ」
「ケイトは自分で洗えますわよ。それより、わたくしがいつも通り一緒に入りますわ。ケイト」
「はい、また髪を洗わせていただきます」
-王女クリステラ視点-
いつものようにお風呂に入って、髪を洗ってもらって、頭は特によく洗ってくれて気持ちいいですわ。
こんなケイトが居なくならなくてよかったですわ。
もう、本当に駄目かと思いましたの。
「ケイト、頼みがありますの」
「なんでしょうか?」
「湯船の中で、わたくしを抱きしめてほしいですの。ケイトがここにいることを感じていたいのですわ」
「はい」
ぎゅっ
ああ、ケイトのぬくもりと鼓動を感じますわ。
「ケイト、もう離れないですわ」
「もし離れても、何度だって戻ってきます。俺はクリス様の下僕ですから」
「ええ。だけど、本当に失いたくありませんの。ああ、もっと強く抱きしめてほしいですの」
-主人公ケイト視点-
後ろから抱き締めてるから、胸の下に腕を回している状態なんだよな。
これ以上強く抱きしめると、胸が持ち上がっちゃうけどいいのかな?
ぎゅっ!
「あうっ」
「クリス様?痛かったですか?」
「違いますの。何だか『みょぎりんこ』しますの」
「『みょぎりんこ』ってなんです?」
何なんだそれ?
「わかりませんの。だけど、これ以上は駄目な気がするのですわ」
「じゃあ、こうやって抱き締めますね」
俺は胸を持ち上げないように、お腹の方に力を入れて抱き締めてみる。
「これだと何も感じませんわ」
「もう一回さっきのを試してもいいですか?」
「あれはやらない方がいいって思うから駄目ですわ」
ん?何だか不自然な言い方だな。
まるで強制されているような?
まさか…これってクリス様では確かめられないよな。
仕方ない、ここはあの二人に『探求』してもらおう。
-双子の妹カリナ視点-
ぴろん
おにからのCHAINです!
お風呂に入っている時に、なんです?
ケイト『ちょっと、『みょぎりんこ』について調べられないかな?』
なんですのそれは?!
カリナ『おにい、『みょぎりんこ』って読めるけど誤字か文字化けです?』
ケイト『みかんの『み』、小さい『よ』、ギネスの『ぎ』それから…』
合ってるです!
カリナ『一体何の言葉です?』
クリス様をぎゅっとしたときに言われたですか?
羨ましいのはとりあえず置いておくです。
胸を持ち上げたときだけ『みょぎりんこ』って言うです?
おにい、これはもしかして…。
やっぱりおにいも同じ考えです?
それで、カリナたちに『探求』させるですか?
カリナ『おにい、それがどういう意味かわかってるです?』
ケイト『わかってる。でも、カリナとサフィ姉さまにしか頼めないし、きっとここでの生活のためには俺たちが知っておくべき事だ』
確かにそうなのです。
でも、これはあまりに難しい問題です。
カリナ『それでは報酬を要求するです』
ケイト『何がいい?』
カリナ『…です』
ケイト『さすがにそれは』
カリナ『ならやめるです』
ケイト『わかった。じゃあ、頼む』
カリナ『任せるです!』
ふっふっふっ。
要求を飲ませたです。
さあ、サフィ!
探求するです!
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