第7話 ドS王女様に捧げるからあげ。マヨもあるよ。
エロはあってもたやすくデレないスタンスです。
目指せ100日連続投稿!
令和2年1月4日
初期でクリステラの言い回しが現在と違っているため修正しました。
-主人公ケイト視点-
「魔晶石を渡しますから、わたくしの分も何か美味しそうなものを召喚しなさい。それで今回のことは不問にして差し上げますわ」
クリス様が座りなおしたことで、背中に下着で座ってしまったとか、俺が下着を見た件とかがバレたというのは理解できた。
ただ、クリス様は寛大にもそれをとがめず、挽回のチャンスを与えてくれた。
よし、すごくおいしい夕食を出すぞ!
マヨネーズが使える夕食がいいな。
それでいて、手で食べられるものと言ったら、アレしかないか。
夕食っぽくないけど、この世界では夕食扱いになると思う。
自分を信じて!
「『夕食召喚』!紙コップに入ったお祭りの唐揚げ!」
しまった、「でかい紙コップ」とか言えば良かった。
そう思ったが、出てきたのは野球場でビールを入れるのに使いそうな大きな紙コップにたくさん入った唐揚げだった。
食べるために長い串が刺さっている。
そしてこれは、わりと普通の唐揚げだ。
「どうぞ」
俺はうやうやしく、といっても四つん這いで片手を伸ばしているだけだけど、からあげの入った紙コップを差し出す。
「これは何かしら?」
「唐揚げにございます。熱いのでお気を付け下さい」
なるべく丁寧にかしこまってお渡しする。
はふほふっ
「こ、これはっ!」
クリス様の眼が輝く。
香ばしい衣に包まれた肉は、最高の技術で揚げられたことにより、その肉汁を最大限に閉じ込められ、一口食べると口の中にうんたらかんたら。
まるでなんたらの宝石箱やー。
おもわず脱衣!
服もはだけてしまううまさっ!
とかグルメ番組や漫画みたいにはならないよね。
そもそも祭の唐揚げって言う時点でそこまですごいのじゃないと思うし。
「おいしいっ!おいしいわっ!」
これ、マヨいらないかも?
でも、せっかくなので。
本当は七味マヨが合うと思うけどな。
『勇者よ。合うと思うならば、それを成すべきではないか』
何か幻聴が聞こえた。
少なくとも俺は勇者じゃない。
ただの椅子だ。
ともあれ、次だ。
俺は二つ目の魔晶石を使う。
「『夕食召喚』!紙コップに入ったお祭りの唐揚げ!七味マヨ付き!」
七味マヨだけ出そうと思ったけど、もったいないじゃん。
それに、量的にももっとほしかったからね。
というわけで、出てきたのは七味マヨのかかった唐揚げ入りの紙コップだ。
しかし若干数が少ない。
もしかして、同じ召喚魔法だと、複雑な物は量が減る?
「もうひとつ同じものを出しましたの?」
「いえ、こちらはソースがかかっております」
からあげにかかっている七味マヨを見つめるクリス様。
「見たことが無いソースですわね」
「これは『マヨネーズ』というソースに『七味』という辛い粉を混ぜてある『七味マヨ』というものです」
そして俺はうやうやしく差し出した。
「どうぞこちらもご賞味ください」
「(はむ)…あああっ!」
大きな胸を揺すらせて震えるクリス様。
はっきり言って目の毒、いえ、目の保養にしかならない。
「これは酸味と辛味のあるソースがからあげの油っぽさを抑えて、かつコクのある味わいになってるわっ!」
クリス様の口からどこかのグルメタレントのようにスラスラと感想が出てきた。
-王女クリステラ視点-
『しちみまよ』?
ちょっと気味の悪いソースね。
でも、わたくしはケイトを信じておりますの。
わたくしに、変な物を食べさせるようなことはありませんわ。
「(はむ)…あああっ!」
駆け抜けるうまみの衝撃。
ソースを、肉を歯が貫いて、そして肉汁と一体になって…
「これは酸味と絡みのあるソースが油っぽさを抑えて、かつコクのある味わいになってるわっ!」
え?
えっと、何かしら?
わたくし、なんだか変なことを口走っていますわね。
無意識に何を言ってしまったのかしら?
あまりのうまさに、ついほめたたえる言葉が出たと言うの?
ケイトにわたくしの新たなる天才の扉を開かれたとでもいうのかしら?
「これならどれだけでも食べられるわ」
半分以上食べ進めたところで気づきました。
ケイトの分が無い。
そうですわ。
わたくし、二つ目もいただいておりますの。
一つ目はもうほとんどありませんし。
「ケイト、残りはあなたに差し上げましてよ」
「いえ、俺はこの褒美に頂いた魔晶石で自分の分を出しますので」
そしてケイトはもったいないことに、自分の魔晶石を取り出しましたの。
「やめなさい!」
ぱしん!
わたくしは叩くのによい物を持っていなかったので、とっさに手でケイトの尻を叩きましたの。
「下僕の食事くらい都合できなくては王族の恥ですのよ」
わたくしは魔晶石を新たに取り出してケイトに渡しますわ。
本当はあまり使いたくないのですが、でも、次のテストでたくさんもらえるはずですもの。
しばらくは贅沢しなければいいだけの話ですわ。
「クリス様、ありがとうございます」
そう言うってケイトは再び呪文を唱えましたの。
「『夕食召喚』!紙コップに入ったお祭りの唐揚げ!」七味マほっ!ああっ!」
あら、噛んだわね。
そして出てきたのは赤い粉がたっぷりかかった『からあげ』でしたわ。
見ただけでわかりますの。
あれはかなり辛いはずですわ。
「はあ、はあ」
ケイトは顔から汗を垂らしながら食べていますの。
ふふ、何だかそういう表情もイイですわ。
「ケイト。そんなに汗をかいたら、背中まで濡れてしまって、わたくしの椅子として使えなくなるじゃありませんの」
「あっ。クリス様、申し訳ありません」
お仕置きでまた叩いてもいいですけど、ここはもっときつい命令を出しますわ。
「ケイト。食事が終わったら、お風呂で汗を流しなさい」
「お風呂?お風呂があるんですか!?」
嬉しそうですわね。
でも甘いわよ。
これからお仕置きが待っているのよ。
「ケイト。わたくしのこの髪を丁寧に洗ってもらいますわよ」
「え?え?えええええっ!!!」
ふふふ。
わたくしの髪を洗うのはすごく面倒ですの。
この縦ロールは伸ばすと腰までありますのよ。
だから30分くらいかけて丁寧に洗わないと、きれいになりませんの。
いつも腕がダルくなってしまうくらいですわ。
でも、下僕にさせれば、わたくしは座っているだけ!
ああ、ケイトはなんて素晴らしい椅子ですの!
-主人公ケイト視点-
お風呂?
お風呂があるって?!
そうだよな。トイレあるくらいだもんな。
湯船あるのかな?
お風呂って言うからあるんだよな。
共用だろうけど、クリス様の後かな?
クリス様の残り湯…。
「ケイト。あなたにはわたくしのこの髪を丁寧に洗ってもらいますわよ」
「え?え?えええええっ!!!」
お読みいただきありがとうございました。
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次回も明日更新、11月25日18時です。