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第69話 隣国の『ネジが緩い王女』の来訪

緩いのは頭じゃなくて…


今日は3話連続更新です。

これが1話目になります。

-王女エメラルディ視点-


お母様の『内蔵品身体測定器』が壊れたわ。


『内蔵品身体測定器』はだいたい10年くらいで壊れるけど、普段は測定なんかしないから、身体測定の当日に壊れていることに気づくのよね。


まあ、壊れても新品を飲めばいいだけですけど。


「んくっ…あっ、駄目みたいですわ」


お母様が飲んだ『内蔵品身体測定器』が卵になって出てきたわ。


こんなものすら体内に入れられないってどういうこと?


「子供を産むと、女性の場合はしばらくは『内蔵品』を受け付けなかったりするのですわ」


見せられた卵に書かれた条件は『出産可能日』とあるわね。


つまり、次に子作りできる体になるまでは無理ってことみたい。


「子作りできるようになるには、卵がかえってからと保健の教科書には書いてありましたけど、1日でかえった場合は違うみたいですわね」


もしかすると、普通に卵がかえる10ヶ月くらいは駄目かもしれないわね。


とりあえず、お母様の測定だけして、私は誰かに頼みましょう。


「エメル、ケイトに頼んだらどうかしら?クリスが測定している間、わたくしの領地で待っているはずですわ」


ケイトかあ。


測ること自体恥ずかしくはない…こともないわね。

体重とかスリーサイズとか知られるのにちょっと抵抗があるわ。


仕方ないわね。

マリナが戻ってきたら頼みましょう。



-女王ディアナ視点-


トゥルル、トゥルル

トゥルル、トゥルル


あら?珍しく『外線通話(アウターテル)』ですわ。

お隣のベルトリーグラム王国の王からですわね。


「ディアナですわ」

「ヨゼインだ。久しぶりですな、女王。壮健であったか?」

「ええ元気にしておりましたわ。ヨゼイン国王こそお元気でしたかしら?」

「我も調子は良いのだがな、実は娘が身体測定を嫌がっておるのだ」


嫌がるとか、どういうことかしら?


「我は妻に先立たれ、父一人娘一人だからな。異性である我輩に体重とかスリーサイズを知られたくないそうなのだ」


反抗期ですのね。

娘さんってクリスと同じ14歳だったわね。


「すまないが、『国家間共用室』をこちらで借りるから、測ってやってはくれまいか?謝礼も十分にする」


お安いご用ですわと言いたいところですけど、今のわたくしでは測定できませんわ。


娘たちは翔学生の教科書が済んでいませんから他の国の人には会えませんの。


断ると、わたくしが『内蔵品身体測定器』を使えなくなっていることがばれて、子供を産んだことを知られて、もしかすると、ケイトの事が知られてしまいますわ。


一応、わたくしが離婚したことは誰にも知られていないはずですけど、元夫と付き合いのあった人には伝わっている可能性後ありますの。


困ったわね…そうですわ!

こういうときこそ、ケイトの出番ですの!



-主人公ケイト視点-


「お呼びですか、ディアナ様」

「ケイト」


神妙そうな顔をしているな。

何か問題事でも起こったのかな?


「ねえ、あなた。今はわたくしたちしか居ませんのよ」


あ、そういうことか。


「ディアナ、何の用?」

「それでいいですわ」


ディアナ様は軽くキスをしてくれて、それから改めて本題を切り出してきた。


「実は隣国の身体測定を手伝うことになりましたの」


どうやら、ルビィアや俺の事を知られないためには断れないらしい。


でも、ディアナ様は『内蔵品身体測定器』が無くなっているから測定ができない。


「それで、ケイトに手伝ってほしいのですわ」

「それだと、俺の事がバレてしまいますよ」

「ケイトはわたくしと初めて会ったときのことを覚えてますの?」


ついこの間だもんな。


「あのときみたいに、人形のふりをして手伝ってもらいますの」

「いや、普通気付かれますって」


ディアナ様は天然だったからなあ。


「大丈夫ですわ。お隣の王女は『ネジが緩くて困っている』と国王が良く言ってましたもの」


自分の娘をそんな風に言うとか、ひどい父親だなあ。

そんな風だったら、反抗期以前から嫌われてるんじゃないのかな?


まあ、ディアナ様のためにも引き受けるけどね。


「でも、万が一と言うこともあるので、対策しておきませんか?」


俺はすでにいいアイディアを思い付いていた。


これならきっとうまくいくはずだ。



-隣国の王女ナルカミ視点-


お隣の国のディアナ女王なら女性同士だし測ってもらっても問題ないから『国家間共用室』に来たけど、どうしてディアナ女王様の他に『大きなクマのぬいぐるみ』が居ますの?


そっか、他の国の人とあまり顔を会わさないナルルン(←自分の事)が不安にならないように用意してくれたのね!


それにしても大きいわね。

180センチくらいあるかしら?


持ち帰ったら駄目かな?

この子が居たら、きっと夜も寂しくないもん。


「じゃあ、測りますわ」

「はーい!」

「まず身長ですわ。はい、真っ直ぐ立って」


真っ直ぐ立つと、頭の上に手が置かれるのだけど、なぜかディアナ女王様とクマさんが同時にするの。


このクマさんって自分で動くの?!

すごい!すごいの!



測定が終わったけど、結果はお父さんには見てほしくないから、ディアナ女王様から直接『管理局』に提出してもらうわ。


それにしても、クマさんともうお別れかあ。


「ねえ、ディアナ女王様」

「何かしら?」

「クマさん、もふもふしてもいい?」

「いじめないならいいですわよ」


こんな可愛いクマさん、いじめないから。


んふふ、クマさーん。


もふもふもふもふもふもふ

もふもふもふもふもふもふ



-主人公ケイト視点-


無事終わったと思ったら、モフられまくり。


まあ、この着ぐるみはクリス様との昼寝用よりずっと厚手だから、抱きつかれても中身はわからないだろうけどね。


しかしいつまでするんだろ?


もふもふもふもふもふもふ

もふもふもふもふ


「すーすーすー」


いつの間にか寝てるし。


ネジが緩いって、こういうところか。


ん?

ディアナ様が何か手で合図してる。


わたくしが

おっぱい

むこうへ

こっちへ

そのまま

お願い


えっと、つまり。


『ルビィアにミルクをあげる間だけ、ここでそのまま待ってて』

ってことか。


よし、うなずいて手を振ろう。


20分くらいなら何とかなるさ。





それにしても、クリス様って本当に特別なんだな。

というか、クリス様たち姉妹3人ともだけど。


みんなすっごい美人だもんなあ。


こっちの世界がみんなそうかと思ったら、このナルカミって子はちょっとは可愛いけど、まあ普通だもんなあ。


そもそもクリス様基準だと、可愛いくらいでは普通になるかも。


それにほら、胸の大きさだって、クリス様と比較にならないくらいに小さいし。


「ふあぁ」


あっ、起きたかな?


「ん、んんー」


目はつぶったままだな。

寝言かな?


「う、ううう」


ん?

なんの声?


悪い夢でも見てるのかな?


「ううっ!」


ぎゅっ!


うおっ!

すごい力で抱きついてきた!


ん?

どうしてそんなに足を絡めるの?

しかも、腰をすり付けて。


これって、もしや良くないことでは?


「すーすーすー」


寝てるから違うのかな?


じわ


え?


押し付けられているところが濡れてきたような?


これは本当にアレ(・・)なのでは?!


いかん!

早く帰って来て!ディアナ様!


「んんーーーー」


何?あっ『ネジが緩い』ってそういうことかーーーー!



-隣国の王女ナルカミ視点-


あーすごく良く寝れたわ!

って、どうしてクマさんと寝てるの?


それにこの感触…まさか!


ああっ!

また漏らしてしまったわっ!


ぬいぐるみがビショビショになっちゃった!


どうしよう?


そうだ!


新しいクマのぬいぐるみを召喚してすり替えればいいわ!


それでこれはゴミ箱に捨てて、証拠隠滅ね!


「『上級玩具召喚』!そっくりなクマのぬいぐるみ!…出たわっ!」



-主人公ケイト視点-


何をしてるんだ?

俺とそっくりなクマのぬいぐるみを出して?


「あとはこの濡れたクマを捨てればいいわね」


なんだって?!


俺は物扱いだから、ゴミ箱に入るかもしれないし、下手すると戻ってこれなかったり、最悪死ぬかも?!


いかん、逃げよう!


「どうしてこっちのぬいぐるみは動かないのに、あっちは動くのかな?よし、やっぱり持ち帰ろう!」


え?!



-隣国の王女ナルカミ視点-


「『それを異次元箱に収納!』。よし、入ったわ!」


さあ、早く帰って来て着替えましょう。



-女王ディアナ視点-


お待たせしましたわ。


あら?

ケイトだけ?

ナルカミ王女はもう帰ったのかしら?


「ケイト、帰りますわよ…寝てますの?」


揺すっても起きませんわ…ちょっと何かおかしくありません?


こ、これはただのぬいぐるみですわ!


ケイトがすり替えられましたの!

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークとか感想とかいただけると励みになります。

今日と明日は、1日3話連続更新をしてみます。

まずは本日昼12時更新です。

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