表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/147

第66話 姉役3人は弟役相手に暴走しそうになる

ケイトたん

-王女エメラルディ視点-


「どうしましたか?」

「先生、その、あの」


風邪って言ったら胸をめくって聴診器あてられるのね。

それはちょっと恥ずかしいわ。


ここは膝が痛いってことにしましょう。


「膝が痛いの」

「わかりました。じゃあ、ひざを見せてください」


少しだけスカートをたくしあげて、膝を見せるわ。


ぺたぺた。


ああ、小さな手が可愛い!


「んーと、これは『かんせつ』をいためてるの」

「そうなの?」

「かんごしさん、塗り薬を出してください」

「薬みたいなのは出せないからそれらしいものでいいかな?『日用品召喚』!マッサージクリーム!」


ぽん


看護士役のマリナからクリームを受けとるケイトちゃん。


「じゃあ、塗りますね」

「お願いします」


ぬりぬりぬり


膝の周りにクリームを塗ってくれているけど、小さな手で一生懸命してくれてすごく可愛いの。


せっせっせっせ

ぬりぬりぬりぬり


「あの先生。ちょっと太ももも痛いかも」

「じゃあ、そこもぬります」


ぬりぬりぬりぬり


「その奥も痛いです」

「はい」


ぬりぬりぬりぬり


どんどん上の方に。


ぬりぬりぬりぬり


あ、だめ。

何だか変な気分になってきた。

もうちょっとだけ奥に…


「はい、これでいいですよ」


え?もう終わり?


「ありがとうございました」


どうしよう。

もっとしてほしいって思っちゃった。



-女王ディアナ視点-


エメルったら、子供になんてことをさせるのかしら。


「わたくしはちょっと風邪みたいで」

「おねつは…」


ぺと


おでこ同士くっつけて熱を測ってくれるのね。


お遊びなのに真剣な表情をしてくれてますわ。


「じゃあ、ちょうしんきあてますね」


ああ、脱がないといけないのね。

そういうお遊びだから仕方ないわ。


すすっ


どうしてかしら?

ケイトなら見られても平気と思っていたけど、いざとなると胸の下の部分までしかめくれませんの。


「はい、うん、うん」


それでも、胸の下のほうとかおなかに聴診器を当ててくれてますわ。


全部めくってとか言われたらするけど…。

言ってくれないのね。


ああっ、わたくしったら小さい子相手になに考えてますの?!



-双子の妹マリナ視点-


さっきの仕返しとかされるのかな?


「風邪みたいなの」

「じゃあ、めくってね」


ディアナ様みたいに、マリナも胸を全部見せるのためらって、少ししかめくれないの。


見せる勇気あったのに、いざとなると無理なの。


「すごく熱が高いので、そこにうつぶせになって」


あっ、お尻に注射されるんだ。


そしたらパンツ見られちゃう。

ううん、下着も少しめくるのよね。


ちょっとくらいなら、いいかな。


「かんごふさん、それを取って」

「先生、このアメのお薬ですか?」

「うん、それが細長くてちょうどいいから」


細長い?

何のこと?


「すごく「おねつ」がたかいので、『ざやく』を入れますね」


ええええええええっ!!


「待って、それはだめなのっ!」

「『ざやく』って何ですの?それをどうしますの?」

「マリナ、じっとしてなさい」


ああっ!みんなで押さえつけないで!


あ、あ、あああああっ!



うううう。

本当に入れられるかと思ったの。


ままごとだから、スカートの上から入れるふりだけで、少しお尻の間に押し付けられたけど、それだけだったの。


もし本当にされていたら、マリナって抵抗できたかな?


ううん、もう考えないことにするの。


「そんなお薬がありますのね。わたくしがこの前熱を出したときにケイトが使ってくだされば…」


ディアナ様、とんでもないこと口走らないでほしいの。


「ケイトちゃんがお熱を出したら、エメルおねえちゃんが優しく入れてあげるね」


エメル様は子供相手にもっと危ないことを口走らないでほしいの!


何だか、マリナが一番まともに思えてきたの。



-王女エメラルディ視点-


今度は30分ずつケイトちゃんを独占しますわ。


「エメルおねえちゃん、のどかわいたよー」

「待っててね」


何をあげようかしら?


異次元箱に色々あるから出してみましょう。


「『しまってある飲み物出て!』」


最近、ケイトやクリスのおかげで果物のうまい絞り方がわかったから、いろんな果物を絞って保管してあるのよ。


この黄色っぽい飲み物は果物じゃなくてアレ(・・)ね。


「これ、飲んだことあるの。おいしいよね」


え?

そんなはずないわよ。


「飲んでもいい?」

「いいわよ」


ごくごくごく


「うん、やっぱりおいしいの!」

「本当にこれを飲んだことあるの?」

「うん。前にクリスおねえちゃんにもらったの!同じ味!」


どういうこと?


まさか…。


クリスが私の『母乳』を召喚して、ケイトに飲ませたっていうの?!

なんてことするのよ!


こくこくこく


それで、どうしてそんなにおいしそうに飲むのよ!


「やっぱりこのミルクっておいしいね」


それをミルクとは認識してるのね。

クリスったらいったい何をしていたのかしら?


「おかわり」


えっ?

ど、どうしよう…。


「もう無いの?エメルおねえちゃんのミルク、もっとほしいの」


うるうるした瞳で見上げてそんなこと言わないで!


うずっ


「ねえ、私のミルクを直接(・・)飲んでみない…なっ!なしっ!今のなしっ!」

「ん?」


可愛く小首をかしげるケイトちゃん。


だめっ!

そんな可愛くしてもだめっ!

そんなことしたら、私もう完全に駄目になるからっ!


「『飲物召喚』!(小声で)私のミルク!」


きゅううううううっ!


ああああああっ!


あんまり無い状態で絞るのはつらいわ。


はあはあ。

でもコップ半分くらいにはなったわね。


「おねえちゃん、ありがとう!」


ああ、飲まれてる。

私のしぼりたてを…。



-女王ディアナ視点-


「ディアナ、交代して」

「エメルおねえちゃん、まだ30分経っていませんわ」

「うん、ちょっと休みたい気分だから」

「わかりましたわ。おいで、ケイト」

「はーい」


エメルったら何か疲れたような顔をしているわ。

何があったのかしら?


「ケイトちゃん、何して遊ぶ?」

「うーんと、えっと、おえかき?」

「それなら、描くものを出しますわ」

「ケイトがだすよ」


ケイトってこんなに小さくても召喚とかできますのね。


このクレヨンって小さな子でも描きやすくできていて、いろんな色がありますの。


私も描いてみますわ。


「できたの!」

「あら、これは?」

「えっと、エメルおねえちゃんと、ディアナおねえちゃんと、マリナおねえちゃんなの」

「ふふっ上手ですわ」


子供らしく、かろうじて人間ってわかるレベルですけど、そこがまた可愛いわね。


「どう、お姉ちゃんの絵は?」

「んーっと…スイカ?」


ええーっ!


この絵はルビィアなのよ!

縞模様は服ですの!

そもそも人間に見えないってどういうこと?!


「うふふふふ」


え?その表情は?


「ケイトくん!わざとおかしなものを言ったわね!」

「わーい!」


領地の中を逃げようとするケイトくん。

でも、すぐに捕まえますわ。


するん


あら?


ささっ


ど、どうして捕まりませんの?


すてん!


ああっ!転んでしまったわ!

体が縮んだせいで、うまく動けませんの。


すとん


えっ?どうしてうつ伏せになったわたくしの腰の上に乗ってきますの?


「ふっふっふっふ」


ケイトくん、その笑いは何かしら?


「えーい!」


こしょこしょこしょこしょ!


わ、脇腹をっ!


「きゃはははははは、だめ、やめて、だめええ」

「えい、えい、えええい!」


こしょこしょこしょこしょ!

こしょこしょこしょこしょ!

こしょこしょこしょこしょ!



も、もう動けないわ。



-双子の妹マリナ視点-


エメル様の部屋で待っていたら、『内線通話インナーテル』で呼び出されましたわ。


「ディアナ様、どうしたの?あっ!」


そこには畳の上で力なく横たわっているディアナ様。


その衣服は乱れて、下着が見えるほど。


ま、まさか?


「マリナ、もう駄目ですの。交代…」


ああっ!気を失いましたの!


ケイトたん!まさかまさかまさか!


ぐいっ


すてんっ。


ふいに足を掬われて転ばされましたの!


慌てて上を向くと、腰の上にケイトたんが乗ってきて、


「うふふふ」


そ、その笑い、いったい何を?

まさかディアナ様にしたのと同じことを?


こしょこしょこしょこしょ!


「きゃはっははっ!」


そっちなのっ!


エッチなことじゃなくて良かった、じゃなくて、良くないっ!


ええいっ!


すてん。


何とか、ケイトたんを振り落としたの。


「よくもやってくれたの」


マリナはうつぶせになったケイトたんの足に自分の足を絡めて、しっかりホールドするの。


「おにいは、足の裏をくすぐられるのが苦手だったの」

「や、いやあ」

「問答無用なの!」


こちょこちょこちょこちょ!


「やあっ、わあっ、あはははっ」


じたばたしても、抜け出せないの!


こちょこちょこちょこちょ!

こちょこちょこちょこちょ!

こちょこちょこちょこちょ!


「はう、あううう…」


ケイトたんがぐったりしてるの。


ふふ、勝ちましたの。


…やりすぎたかも。


「ケイトたん、ケイトたん?」

「う、うん」

「大丈夫?ごめんなの。やりすぎたの」

「ううん。たのしかったから、またやりたいの」


ううっ!

なんてけなげなの!


…あれ?おにいよね?


まさか本当に幼児退行してない?



-王女エメラルディ視点-


「えっ?ケイトが幼児退行しているかもって?」

「うん。ちょっと不安になったの」

「でも、姉弟ごっこだから、弟を演じているだけじゃないの?」

「そうなのかな?」

「それで、ケイトは?」

「この話を聞かれないほうがいいかなって、ディアナ様に預けてきたの」

「じゃあ、クリスに事情を話して、『鑑定さん』に聞いてもらう?」

「うん」



-王女クリステラ視点-


ルビィアはこんなに小さいのに、いっぱいミルクを飲みますのね。


コンコンコン


「クリス、入るわよ」

「エメル姉さま?どうぞ」


何かしら?


「『鑑定さん』に聞いてほしいことがあるわ」

「何かしら?」

「実は今…」


ケイトが6歳くらいになって、それで『姉弟ごっこ』してるの?!


面白そうですわね。


それで、ケイトの言動が『ごっこ』の演技というより、本当に幼く感じるって、どういうことですの?


「『鑑定さん』に聞いてみて」

「わかりましたわ」

「それと、ねえクリス。ケイトが、私の取っておいた母乳をおいしいって飲むのよ。飲んだことある味だって」

「!」


ま、まさか


「どうして、ケイトはこの味を知っていたのかしら?私の母乳の味なんて知るはず無いわよね?」

「な、な、な、なんでかしらね?おほほほほ」

「クリスって隠し事ができないタイプね」

「ほんの出来心でしたの!そもそもケイトがわたくしの飲んでいるミルクと同じものを出そうとして『クリス様の出すミルク』なんてやって出てしまったからですの!でも、そのおかげでこうやってルビィアにミルクをあげる方法がわかったから、許してほしいですわ!」

「どうしようかしら?」

「それなら、エメル姉さまこそ、どうしてケイトにそれを飲ませましたの?」

「色々保管してある飲み物を出したら、ケイトがそれを飲んだことあるって言ったからよ。それだけよ!」


あら?

何か隠そうとしていますわね。


わたくしの『ぐんじょ色の脳細胞』は見抜きましたわ!


「エメル姉さま!その後でケイトに直接飲ませましたのね!」

「違うわよっ!おかわりっていうから、その場で絞っただけだから!」


「え?」

「あ」


「エメル姉さま、この話はさておいて、ケイトの状態を確認したほうがいいですの」

「奇遇ね。私もそう思ったところよ」


ケイトの所に行って魔法を使いますわ。




ああっ!

小さいケイトって可愛いですわっ!


「『上級鑑定』!ケイトの今の状態を教えて!」


『ケイトの今の状態』

若年化(12歳分)、期間不明。

幼児退行(12歳分)、期間不明


「幼児退行してますのっ!」

「やっぱりっ?!」

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークとか感想とかいただけると励みになります。

次回も明日、1月23日18時更新です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ