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第63話 ドS王女様は親愛の情を伝える

恋愛ではない愛の形

-主人公ケイト視点-


明日はテストだ!


だから今日はクリス様と1日ずっと勉強していたいな。


姉さまたちも頑張っているのかな?


そうだ!

姉さまたちがどんな勉強方法かも知りたいし、勉強会をしたらどうだろう?


またディアナ様の領地を借りることになるけど。



「それはいい考えですわ!さっそく連絡しますの!」



そしてディアナ様の領地で勉強会が始まった。


俺とマリナとカリナが座椅子状態で、それぞれの上にクリス様、エメル姉さま、サフィ姉さまが座る。


そしてお互い勉強したい教科書を出して、椅子である俺やマリナやカリナに質問したり、お互いの勉強している様子を見たりする。


うん、なかなかいい雰囲気で、勉強がはかどるなあ。


「カリナ、この四字熟語ってどういう意味?」

「サフィ様、それは…ちょっと待って」

「それなら…という意味ですわ」

「クリス、すごいのね!」

「たいしたことありませんわ」


すごい、クリス様ドヤ顔だ。



-王女クリステラ視点-


『勉強会』って勉強なのに楽しいですわ!


それに、得意なことを姉さまたちに教えられるとか、すごく嬉しいですの!


「クリス、これは何かしら?」

「エメル姉さま、ちょっと思い出しますわ…そうですわ!…ですの!」


何だか記憶力が良くなった気分ですわ。


「クリス様。人に教えることで自分の復習にもなるから、学力が上がるんですよ」

「そうですのね。これから時々こういうことをしたいですわ」

「クリス、エメル姉さま。テストの前日はどうかな?」

「そうね!」

「いいですわ!」


ケイトが来てから、姉妹がすごく仲良くなれましたの。


この感謝の気持ちをどうしたらいいかしら?


そうですわ!

今度良い点数を取って下賜される魔晶石が増えたら、ケイトにたくさんご褒美としてあげますの!


きっと喜んでくれますわ!



-主人公ケイト視点-


最近はお昼寝じゃなくて夜寝る時も座椅子状態でクリス様が俺の上で寝るのばかりで、もう寝袋は使わないみたい。


寝心地いいし、朝も自力で起きられるっていうからすごく嬉しい。


でも、今夜はちょっとクリス様の様子が変だ。


ごろごろ

ごろごろ


俺の上で寝苦しそうに動いている。


「クリス様、寝れませんか?」

「ケイト?ええ。明日のテストが気になりますの」

「いっぱい頑張ったから、大丈夫ですよ」

「でも、もしこんなに頑張っても点数が悪かったら…ケイトに悪いですの」

「クリス様。もし点数が悪かったら、またそれを見直して、次にいい点数を取ればいいんです」

「でも」


俺はぎゅっとクリス様の手を握る。


「俺は一生クリス様と一緒に居るんです。そのうちのほんの1回のテストくらい駄目でも、まだ何度でもやり直せます。俺がちゃんと教えますから!」

「一生…ねえ、ケイト。わたくしが誰かと結婚することになったら、ケイトはどうするのかしら?」


クリス様?!

その質問は駄目ですっ!



-王女クリステラ視点-


一生わたくしと居てくれるなんて、ケイトは優しいですわ。


でも、いつまでも一緒に居られるかなんて…


「一生…ねえ、ケイト。わたくしが誰かと結婚することになったら、ケイトはどうするのかしら?」


あっ!


わたくしったら、無意識にとんでもないことを聞いてしまいましたわ。


だって、当然ケイトが結婚先に付いてきてくれるわけないですもの。


翔学生の教科書が終わって結婚しても良くなったら、わたくしはそのうちに誰かと結婚して、ケイトと離れ離れになりますの。


ケイトと離れ離れに…。


「クリス様」

「答えなくていいですわ。わたくしが軽率な質問をしましたの」

「いえ、答えます。俺はどこまでもクリス様の椅子として付いていきます」

「!」


他の男性と一緒になる時でも、椅子として付いてくるとかありえませんの。


「ケイトは馬鹿ですわ。そんな椅子を持っていこうとしたら、きっと向こうに嫌われて結婚なんてできませんわ」

「そうですね。その時はクリス様が俺を捨ててください」

「馬鹿っ!」


反対を向いてぎゅっとケイトに抱き着きますわ。


「本当に馬鹿な下僕いすですの。ケイトが居る間はわたくしは誰とも結婚できなくなるから、その間はケイトが夫以上にわたくしに尽くしなさい!」

「はい!クリス様!」

「誰かと結婚する事になったらケイトを捨てますわよ。でもケイトが夫以上に尽くしてくれるのでしたら、夫なんて要りませんわね」

「クリス様…俺、誰よりもクリス様に尽くします!」

「期待していますわ」


わたくし気づきましたの。


結婚よりも強い結びつきっていうのもあるのですわ。


きっとわたくしとケイトがそう。


ずっとずっと、一緒に居られる気がしますの。


「ケイト。かえって眠れなくなりましたの」

「もう、起きていましょう」

「それはいいですわね。それなら何か面白い話をしてほしいですの」

「じゃあ、俺が小さい頃の話とか」

「聞きたいですわ!」






あら?


いつの間に寝たのかしら。


時間は…3時過ぎですの。


ケイトも寝ていますのね。


どこまでもわたくしに付いてきてくれるという言葉はすごく嬉しかったですわ。


だからわたくしも、ようやく自分の気持ちに気づきましたの。


ケイトが居ない人生なんてありえませんの。

だから、ずっとずっと一緒に居ますの。

ずっとずっと、主人と下僕いすとして暮らしますの。


恋人や夫婦ならキスの1つでもするところですけど、主人と下僕ではどうやって親愛の情を伝えればいいのかしら?


妹だったらほっぺたにキスしますのよね。


どこか良いキスする場所とかないのかしら?


額なら、主人と下僕の関係らしくていい気がしますわ。


ちゅっ


「ん?クリス様?」


目が覚めたみたいですわ。


「ケイト、これからもわたくしに尽くしてほしいですわ」


ちゅっ


改めて額にキスをしますの。


「これはご主人様からの親愛のキスですわ」

「それなら、俺の世界の親愛のキスをしていいですか?」

「何かしら?」

「こんな時間ですけど、立っていただけます?」


何をしてくれるのかしら?


「手を」


わたくしの手を取ると、それを捧げ持つようにして、


ちゅっ


手の甲にキスをしてくれましたの。


きゅうんっ


胸が締め付けられるような、でも、すごく心地よい感じがしますわっ!

伝わってきますのっ!ケイトの親愛の情がっ!


「あと、もう一つはこちらに」


わたくしの足に?


ちゅっ


足の甲にもキスを?!


どきどきどきどき

うずうずうずうず


こ、この気持ちはっ!


ケイトを無性に踏みつけたくなりましたわ!


ふみふみ

ふみふみ


平伏しているケイトの頭や背中を軽く踏みつけますの。


怒っているのではありませんのよ。

お仕置きでもありませんの。


これはわたくしの『親愛の表現』ですの!


「ケイト、良くわかりましたわ。やっぱりあなたはわたくしの最高の下僕いすですわ」

「はい。クリス様も最高のご主人様です」

「それなら、もう少し眠りましょう」

「はい」


改めてケイトの上に寝ますわ。



-主人公ケイト視点-


クリス様、俺が居る間はずっと結婚しないって。

俺に夫よりも尽くせって。

それなら夫なんていらないって。


そんなの、結婚よりすごいことじゃないか!


もう、クリス様の居ない人生なんて無いから!


こうやって踏まれているのも、なんて心地いいんだろう。


クリス様は、こうやって愛情表現をしてくれているんだ。


「ケイト、良くわかりましたわ。やっぱりあなたはわたくしの最高の下僕いすですわ」

「はい。クリス様も最高のご主人様です」

「それなら、もう少し眠りましょう」

「はい」



俺の上にクリス様が寝転んで、俺はそれをしっかりホールドする。

後ろから抱きしめるように。


あっ、クリス様も俺の手に自分の手を重ねてくれてる。


なんて心地いいんだ。


なんて…



-王女クリステラ視点-


テストが始まって、ケイトはお母様の所で待つことになりましたわ。


でも、どの問題も解けますの!

ケイトのおかげですわ!


早く済ませて、ケイトを呼び戻しますわ!



-双子の妹マリナ視点-


ぴろん


マリナ『今、ここにはディアナ様とルビィアとマリナとカリナとおにいだけ。だからわかる?』

カリナ『おにいとマリナを二人きりにできるようにする』

マリナ『作戦は?』

カリナ『任せるです』


お兄ちゃん、マリナは今日、大人の階段を一歩登るの!

お読みいただきありがとうございました。

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次回も明日、1月20日18時更新です。

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