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第60話 ドM王女様は探求欲を満たす

サフィ姉さま可愛いよ。

-王女サファイラ視点-


どうしてお風呂でケイトと二人きりにされるのっ!


いくら兄妹ごっこでも、お風呂で男性と二人きりなんて怖いの!


ガタガタガタガタ


「あわわわわわわ」


ガタガタガタガタ


体が震えてきましたわ。


早くお風呂から出ないと!


「サフィ、震えてるけど寒いのか?」

「え、あの」

「風邪引くから、早く湯船に入らないと」


ひょい


えっ?

どうして私を抱き上げるの?


凄く力強い…じゃなくて!

ああっ!出たいのに湯船のほうにっ!


とぷん



「どう?暖まってきた?」

「は、はい、お兄さん」


湯船は二人で丁度くらいの大きさ。


だから、私はケイトと少しくっついてて。


いつの間にか震えてない?

怖いんじゃなくて、本当に寒かっただけなの?


だって、今の状態はそんなに嫌じゃないし。


何だか少し、落ち着くかも。


「今日は色々ありがとうございました。とても楽しかったです」

「サフィに喜んでもらえて嬉しいよ」


なんて純粋そうに笑うんだろう。


こうしていても、やましい気持ちとか無いのね。


そうよね、今の私たちは、ボクたちは兄妹だもの。


「お兄さん。お礼するから、ちょっと目をつぶって」

「う、うん」


カリナ様が言ってたわ。


妹のお兄さんに対するお礼はキスだって。


キスって、ほっぺたに軽くすればいいのよね。


まさか口じゃ無いわよね。


兄妹だもの。


そういえばお母様ってケイトとキスしたのよね。


唇同士で。


どんな感じだったのかな?


ちゅ


「え?」

「え?」


あっ?

ああああっ?!



-主人公ケイト視点-


お礼って、ほっぺたにキスだよな。


ところが唇にしたりして。


なんてね。


ちゅ


「え?」

「え?」


く、唇に?!

冗談のつもりがっ!



-王女サファイラ視点-


あわわわわ。


やってしまったわ。


疑問に思ったことを無意識に確かめようとするのは、私の悪い癖なのよ。


でもこれはさすがにまずいわ!


「ケイトお兄さん、ごめんなさいっ」

「いいよ。マリナとカリナもたまに口にしてきたから」


えっ?


もしかして、兄妹のキスは口でも良かったの?

どっちでもいいってこと?


一瞬だったから、良くわからなかったな。


唇のキスって…


「ケイトお兄さん。さっきのキスはよく分からなかったので、もう一度したいです」

「えっ?!い、いや、もう十分だから!」

「ケイトお兄さんは、ボクとキスするのが嫌なの?」



-主人公ケイト視点-


これは何かの事故だよな。

サフィ姉さまの勘違いだよ、うん。


「ケイトお兄さん、さっきのキスはよく分からなかったので、もう一度したいです」


事故じゃないのっ?!


「えっ?!い、いや、もう十分だから!」

「ケイトお兄さんは、ボクとキスするのが嫌なの?」


上目遣いでじっと見つめてくるサフィ姉さま。

いや、今は俺の妹サフィ。


吸い込まれそうな瞳。


今気づいたけど、サフィの瞳ってすごく綺麗な青なんだ。


「サフィって、凄く綺麗な瞳をしてるね」

「えっ?やっ、そんなっ」


瞳を見られまいとしたのか目を閉じたサフィに、俺は無意識に口付けていた。



-王女サファイラ視点-


凄く綺麗な瞳って!


うれしいっ!

でも恥ずかしいっ!


思わず目をつぶった私の



唇が塞がれた。



ああ。

キスって、こんな感じなのね。


あっ、もうケイトお兄さんが離れていってしまう!


ぎゅっ!


ボクはケイトお兄さんの首に腕を回す。


もっと、もっと知りたい!


ボクの探求欲を満たして!





-双子の妹カリナ視点-


おにいたち、遅いですの。


クリス様が不審に思う前に見に行くです。


「クリス様、もしかすると二人とも長湯でのぼせているかも知れないので、出るのを手伝ってくるです」

「わたくしも行きますわ」

「それよりも、今夜は全員で夕食にするって話です。ディアナ様の所に先に行っておいてほしいです」

「わかりましたわ」



今のうちです!


そーっと扉を開けて…


はうっ?!






脱衣場からやり直しです。


「おにい!サフィ様!そろそろ時間切れになるです!」

「…わ、わかった!」

「す、すぐ出るから!」

「サフィ様は脱衣場で、おにいは領地内で着替えるです!クリス様は先に行きましたです!」




領地で体を拭いているおにいをじっと見つめるです。


「カリナ、今から着替えるから先に行っててくれ」

「そしたら、またサフィとキスするです?」

「え?」


ぴろん


カリナ『おにいのどすけべ』


ぴろん


「この写真はっ!」


ぴろん


カリナ『舌入ってるとか、あり得ないです』


「すまん。弁解の余地もない」

「おにい、大きな貸しが2つ目」

「わかった」

「じゃあ、カリナは先に行くです」


ところで、この事はマリナに言うべき?


うん、目の前に居るときにCHAIN(チェイン)で教えるです。


いきなりだったらきっと驚くです。



-主人公ケイト視点-


みんなで夕食を食べるのっていいよなあ。


あとは寝るだけだけど、まだ兄妹ごっこ続けるのかな?


「クリス」

「なんですの、サフィ姉さま?」

「兄妹ごっこはいつまでするのかしら?」

「明日の朝までですわ。朝に髪型をいつも通りに戻したら、普段通りの生活に戻りますのよ」

「それなら私も…ボクも同じだけ続けていいかな?」


えっ?

どういうこと?


「だから、今夜はボクの部屋で寝ない?」


ええっ?!



-王女サファイラ視点-


このまま楽しい時間が終わるのかな。


そんなの嫌。


ボクはまだ満たされていない。


『兄妹愛』の探求をしたい!


「だから、今夜はボクの部屋で寝ない?」

「確かに、脚を伸ばして寝られる方がケイトお兄様に甘えやすいですわ。でも、4人でどうやって寝ますの?」

「カリナに考えがあるです」


カリナ様、一体どのような考えを?


「おにいの右隣にサフィ様が、左隣にクリス様が寝て、カリナはおにいの上に寝るです」

「いいですわね!わたくしはケイトお兄様の上で寝るのはいつでもできますもの」

「それなら、おにいは横を向いて背中にクリス様が抱きつくといいです。おにいの背中は大きくて、すごく安心するです」

「ぜひそうしたいですわ!」

「じゃあそうするです。サフィ様もそれでいいです?」


そう言ってカリナ様はボクにウィンクしてくれた。


クリスが背中側ってことは、ボクはケイトお兄さんの正面に?


カリナ様!

なんてお優しい!



-主人公ケイト視点-


カリナとクリス様たちの会話の間、俺は何も言えなかった。


だって


カリナ『大きな貸しを1つ返してもらうです。決まるまで何も言わない。決まったことを受け入れるです』


CHAIN(チェイン)で脅迫されていました。


何だか嫌な予感しかしないんだけど。


俺の上に乗ったカリナは何をするつもりなんだろ?

俺が横を向いていられるだけちょっとはマシだけど。





…そう思っていた時期が俺にもありました。


1畳間いっぱいの広さの布団で、俺の背中にクリス様が抱きついて、心地よい寝息を立てている。


そして俺の上に、というか右を向いているから俺の左側に抱きついているカリナ。


寝息立ててるけど俺にはわかる。


タヌキ寝入りだ。



問題は目の前。


うす暗い中、じっと俺を見つめる青い瞳。


「眠れないの?」

「眠りたくないの」


こういう時、俺が鈍感系主人公なら良かったのに!



-王女サファイラ視点-


カリナ様がお膳立てしてくれたから、絶対に今を無駄にしないわ。


寝るなんてあり得ないから!


「ケイトお兄さん。ボクはクリスみたいな美少女じゃないし、胸も大きくないけど、さっきはどうして自分からキスしてくれたの?」

「それは…無意識にキスしてた」

「そう、おんなじだね。ボクも最初はほっぺたにキスするつもりだったんだよ。でも、無意識に唇にキスしてた」

「そうか」

「もしかして、似た者同士かな?」

「そうかも」


いつの間にか、ケイトお兄さんの左手とボクの右手が指を絡めて繋がれている。


「お兄さん、これも無意識?」

「うん」

「じゃあ」


ちゅ


「ふふっ、無意識だから仕方ないよね」

「サフィ、仕方ないじゃないよ」

「じゃあ何?」


ちゅっ


「どうして無意識にするか考えないと」

「さすがケイトお兄さん。わかった」


ボクはもっと近くに寄った。

これ以上無理なくらいに。


「じゃあ、探求させて。ボクはお兄さんとのキスの全てを知りたい」

「眠くなるまでなら」

「全部知るまで寝させないから」



-双子の妹カリナ視点-


はあ。


元々カリナがけしかけたから仕方ないです。


ああ、羨ましいです。


二人とも目をつぶって夢中でやってるから、こっそりおにいの頬にキスしても…それはバレるですね。


カリナの胸とかクリス様の胸とか押し付けられてても全く気にならないくらいに求め合ってて。


妬けるです。





まだ終わらないですか?


こういう時に限って寝つけないのが恨めしいです。


「カリナ()

「えっ?サフィ?」


え?何?


どうしてサフィがこっちを向いてるです?


「ボクとお兄さんとのキスの探求は終わったから、次はカリナ様がこの後どうするか探求するね」


どういうこと?


ひょい、ささっ


おにいとサフィが同時に動いて、カリナの位置をサフィと入れ換えたです!


どうして打ち合わせも無しにそんな事ができるです?!


まさかこの2人、そこまでわかり合える仲に?!


「カリナ、ごめん」

「おにい、何を謝るです?」

「待たせた」

「待ちすぎたです。11年もです」

「うん、わかってる」


あっ、サフィが誘導して、カリナの手がおにいの所に…


ぎゅ


いつの間にか、おにいと恋人繋ぎさせられてる。


「カリナ」


待って。

待って。


覚悟はとっくにできてるはずです。


どうしてこんなに落ち着かないのです?


なで


「あっ」


なでなで


「おにい」

「落ち着いた?」

「うん」


嬉しい。

サフィだけじゃなくて、カリナの気持ちもわかってくれたです。


「カリナ様、がんばって」

「言われなくてもです。サフィはあとで絶対お仕置きです」

「はいっ」








カリナは身も心も(とろ)けてしまったです。


これで、おにいに貸しが無くなったけど、すごく幸せです。


マリナ、ごめん。

先に幸せになったです。


マリナにもちゃんとアシストするから。


「カリナ様」

「サフィ、まだ起きてるの?じゃあ、場所を元通りにするです」


くるっ


え?


おにい、どうしてカリナを上に向けるの?


とすっ


どうしてサフィがカリナの上にくるです?


「ケイトお兄さん。やっぱりお互いに無意識で動けますね」

「もう無意識と言うより以心伝心?」


なにそれ!


そんなの恋人以上です!


「カリナ、他ごと考えてるみたいだけど、そんな暇ある?」

「え?」

「次にサフィが何を探求したいかわからないか?」

「何って…まさか?」


そ、それは駄目です!


マリナともしたことないです!


「や、やめておにい!どうしてカリナを押さえつけるです?!」

「カリナに借りは返したけど、カリナも俺に借りがあるんじゃないの?」

「おにいに借り?」

「兄と妹がすること。クリス様に有ること無いこと教えただろ?」


そ、それは確かに!


「俺も探求させてもらおうかな。女の子同士のキスを」



いやあああああああああっ




こうしておにいとサフィの探求欲は十分に満たされたのです。


ぐすん。

お読みいただきありがとうございます。

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次回も明日、1月17日18時更新です。

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