表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/147

第52話 ドS王女様は女王様に椅子を献上する

ここから怒涛の展開に


令和2年1月17日

女王様の寝巻きを見たときのセリフを少しだけ追加。


令和2年2月17日

誤字修正しました。

-女王視点-


「ん…」


もう8時過ぎ?


いけないわ。

気分が悪くなって寝てから、起きられなかったのですわね。


普通は寝たら治るのに、最近は何度も熱が出たり頭痛がしたりしますの。


起きないと…でも、あまり思ったように動けませんわ。


「ええっ?!離婚っ?!」


サフィ?!

どうして離婚の事を知ってるの?!


わたくしは慌てて飛び起きましたわ。



「違うのよっ!わたくしはっ!」


がばっ!


「あ」

「あ」


目の前に居たのはサフィではなく、男の人。


…いいえ、これは!


「どうしてクリスの領地にあった人形がこんな所にありますの?!」

「え?クリスの領地の人形?」

「お母様!目が覚めましたのね!」

「ちょっと待って、良くわからないわ。どういう状況?エメル姉さま、クリス、説明して」



-王女エメラルディ視点-


まずいわ!

クリスの椅子ケイトを見られたわ!


でも『クリスの領地の人形』って、どういうこと?


クリスの領地の物って知っているってことは、何らかの手段で領地を覗いたのね。


それでケイトを見て、人員が増えていないから人形と勘違いしたのだわ。


それならそれに便乗するわ!


「そう!これはクリスが召喚した、話して動くことができる、すごい人形なのよ!」

「そうなの?!すごいですわ!」


信じてくれたみたいね。

でも、あとはクリスたち次第よ。


私はサフィとクリスとケイトに目配せして、話を合わせるように…伝わったかしら?


「でも、見た目は人間と変わらないですわ」

「お母様、ここの人員を見たらわかるわよ」

「本当!4人ですわね!人形だから数に入りませんのね!」


サフィ、ナイスフォロー!


「そ、そうですの。こ、これはわたくしが召喚して、たまたまたま出てきたのですわ」


クリス、どうしてそんなにどもるの?!

バレちゃうわよ!


「オハヨウゴザイマス、ジョオウサマ」


それでケイトはどうしてそんな話し方にするのよ!


『あ』なんて言うから話せることにしたけど、人間そっくりって思われているから、普通に話せばいいじゃないの!


「すごい!本当に話ができるのね!」


お母様、あれで信じるのっ?!


「クリスの召喚した『ケイト』って人形はすごいですわ!」

「ちょっと、お母様?」

「クリス、ど、どうしたの?そんな怖い顔をして」

「どうして、わたくしの『人形』の名前が『ケイト』って知っていますの?」

「そ、そ、そ、そ、それは、さっき誰かが言ったわよね?ね?」


あーあ。

もう素直に母親の権限か何かで覗いたって言えばいいのに。


嘘が下手な似たもの親子だわ。


「そうでしたの!」


クリス、それを信じるのっ?!

信じやすいところもそっくりね!


「それで、どうしてあなたたちがここに?」

「毎朝起こしてくださるお母様を今朝は早起きして起こそうとしたのですわ。でも返事がありませんでしたのよ」

「クリスが心配して相談してきて、『内線通話インナーテル』のチェック機能を使ったら、お母様の状態が『赤』でしたから、緊急扉を使って来ましたのよ」

「そしたらすごい熱を出しているから、心配したのよ!」

「熱?熱って…下がっているわね」

「それはケイトが薬を…ひゃうっ!エメル姉さま!急に胸をつかまないでくださいまし!」


ケイトが投薬したとかおかしいでしょ!

いくら高性能な人形でも、魔法は使わないわよ!


「もしかしてこの人形が魔法を?」


ああっ!

バレた!


「すごいわ!舞闘会用駒以外にも魔法を使える人形があるのね!」


そっち?!

そっちに解釈するの?!


もしかしてわかっていて言ってる?

それとも天然なの?


「そうですの!ケイトはわたくしの自慢の、愛用している椅子ですのよ!」

「愛用している椅子…あっ、そうなのね。てっきり、ああ、そう。ふふふ。わかりましたわ」



-女王視点-


クリスもすごいものを召喚できるようになったのね!


「そうですの!ケイトはわたくしの自慢の、愛用している椅子ですのよ!」

「愛用している椅子…あっ、そうなのね。てっきり、ああ、そう。ふふふ。わかりましたわ」


あの時はサフィからの『内線通話インナーテル』で聞きづらかったけど、『愛している』ではなくて『愛用している』でしたのね。


「でも、椅子って何ですの?」

「それはこうですの!ケイト!椅子におなりなさい!」

「リョウカイシマシタ」


ああっ!

ケイトが体勢を変えて椅子みたいな格好になったわ!


「こうしますのよ」


すとん


「座り心地は最高ですわ」

「わ、わたくしも試していいかしら?」

「いいですわよ」



-主人公ケイト視点-


どうしてこうなった。


とりあえず、ロボットっぽい人形として切り抜けるしかないな。


しかし、まさか女王様の前で椅子になるなんて。


「座り心地は最高ですわ」

「わ、わたくしも試していいかしら?」

「いいですわよ」


ええっ?!


ま、まあ大丈夫だよな。


女王様が布団から出てきたけど…うわっ!なにあれ!


「あら?今、ケイトがわたくしから目線をそらしませんでした?」

「お母様が座るから、位置の確認をしたんですわ」

「高性能ですわね!」


スケスケのネグリジェじゃないですか!

しかもクリス様以上の胸の大きさ!

もう先っぽどころか色々見えてますから!


「お母様!さすがにその格好で座るのは!」

「どうしたのサフィ?何か問題あるかしら?」

「お母様、熱で汗をかいていると思うから、まず着替えてきてはどうかしら?」

「エメルの言うとおりね。着替えてきますわ」



洗面所に去っていった女王様。


思わず息をつく。


「ああ、助かった」

「ケイト、お母様の胸を見たわね?」

「フカコウリョクデス」

「わたくしにまでそんな話し方しなくていいですわ!」


ぺしっ!


「クリス様、お仕置きならあとで」

「仕方ありませんわね」

「クリスたち、そういう関係なの?」

「サフィ姉さま、下僕いすのしつけをするのは主人の義務ですわ」



-王女サファイラ視点-


クリスにお仕置きしてもらっているなんて、なんてうらやましいの!


でもいいわ。

私にもカリナ様がいるんだから。


あっ、お母様が戻ってきたわ。


いつもの女王ドレスね。


「さっそく座りますわ」


とすん


「こっ、これはっ!」


何?!

何かいけなかったかしら?!


「わたくしのお尻をしっかり受け止めつつ、それでいて適度な硬さがある、まさに『最高の椅子』ですわ!」

「そうですの!お母様、ケイトは最高の椅子ですのよ!」

「ああ、ずっと座っていたいわ」

「わたくしのものですから、差し上げるわけにはいきませんの」

「1日でいいから」

「駄目ですの」

「じゃあ、半日で」


交渉が始まったわ。


「貸せませんわ。変わりがありませんもの」

「それなら、魔晶石20個で!」

「「「そんなにっ?!」」」


娘3人でハモってしまったわ。



-王女エメラルディ視点-


クリスはケイトを呼び戻すのに魔晶石をたくさん使ったのね。

魔晶石はほしいけど、ケイトは渡したくない。

つらいところね。


「確かに今は、魔晶石が足りなくて困っていますわ。でも…」

「じゃあ30個で」

「うう」


クリスが困っていますわね。

ちょっと私が助け船を出しましょうか。


「お母様、そんなに魔晶石が出せるって、離婚した慰謝料でももらったの?」

「え、え?!あっ?!えっと、離婚って何?慰謝料って何のことかしら?」

「はい」


私は『離婚届受理通知』と『離婚調停』の紙を見せますの。


「どうしてこれを?!」

「部屋に落ちていたのよ。熱でうなされて、異次元箱がおかしくなったんじゃないかしら?」

「そんなことあるのね」


何でも信じるのね。


「わかったわ。全部話すわ」



お父様は10年も前から働きに行った先で浮気をしていた。


複数の女性を妻とすることはまれにある。


でも、妻を差し置いて他の相手とずっと一緒にいるなんて許されないこと。


それに最近気づいて、離婚を決意した。


離婚して慰謝料もこの領地ももらったけど、私たちにどう話したらいいかわからなくて、毎日苦しんでいたって。


「お母様、これからは何でも話してください。私たち、家族なのよ」

「エメル…」

「そうですわ!お父様が居なくなっても、お母様が居ればいいから!」

「サフィ…」

「お母様、寂しかったのね。わかりましたわ。ケイトを貸しますの」

「クリス…」


クリスっ!なんでケイトを貸しちゃうの?!


そこは離婚の話でうやむやにするところでしょう!

私のフォローを台無しにしないで!


「その代わり、大切に扱ってほしいですわ。本当に大切なものですから」

「わかりましたわ」



-主人公ケイト視点-


どうしてこうなった。

パート2。


みんないなくなって、ここには俺一人。

いや、王女様が俺の背中に座っている。


何もつらくないけど、下手なこと言えないしできないし。


どうしたらいいんだこれ。


トイレだって行けないぞ。


女王様がトイレとかに行っている隙に水玉風船に出すか。

まさか水玉風船の出番が再びあるなんて。


それに1日貸すとか、クリス様は寂しくないのかな?


ううん、それ以上にお母様を慰めたいんだよな。


優しいな、クリス様は。


じゃあ、俺も落ち込んでいないで、しっかり慰めてあげないと。


「ケイト」

「ハイ、ジョオウサマ」

「その話し方って変えられないの?もっと滑らかに話せないかしら?」

「シバラクオマチクダサイ」


よし、チャンスだ!


「投入サレタ魔晶石ヲ消費。『音声回路修正』!これでいかがですか?」

「魔晶石を保持して、自分でバージョンアップできますの?!普通に話しているわね!すごいわ!」


よし、うまくごまかせた。


さあ、何とか1日乗り切るぞ!

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークとか感想とかをいただけると励みになります(*^^*)

次回も明日、1月9日18時更新です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ