第46話 エメル姉さまと双子の妹マリナ
ただでさえローペースなのに、姉さまたちの描写を入れるとさらに遅くなるかも?
でも、書きたいことを書くようにしていきます。
1月3日シャンプーの描写の追加と誤字を修正しました。
時間は少し戻って、共用室から自分の領地に戻った直後です。
-王女エメラルディ視点-
とうとう私の所に素敵な椅子が来ましたわ!
「エメラルディ様」
「クリスみたいにエメル姉さまって呼んでほしいわ」
「ええっ?」
「あなたのこと、妹みたいに思えるのよ」
「わかりました、エメル姉さま」
サフィやクリス以外から姉さまって呼ばれるのってすごくいいわね!
「エメル姉さま、ちゃぶ台を座りやすいものに差し替えてもいいでしょうか?」
「差し替えるって?」
「マリナが座った上にエメル姉さまが座ると、ちゃぶ台の高さが足りないと思います」
そういえばそうね。
しっかりそういうことも確認してるって、さすがクリスが勧めてくれた椅子ね。
「では、この魔晶石を持っていなさい」
「こんなに?!」
「何か使うといいと思った時にここから使って。この内の10個は褒美の前払いですわ。自分のために使いなさい」
「わかりました。では、古いのは私の異次元箱に片付けておきます。『日用品召喚』!足の長いちゃぶ台!」
まあっ!
一発で出たわね!
そしてマリナが座椅子のようになって、私がその上に座るのね。
共用室でも試しましたけど、マリナの上はすごくいい固さだわ。
特にこのネックピローが最高。
このまま寝たいくらいだわ。
-双子の妹マリナ視点-
最初の召喚がうまくいってよかった!
魔晶石は本当はたくさん持ってきているけど、内緒なの。
だって、ここでは魔晶石は勉強や仕事で稼ぐんだから、マリナたちのを渡したら駄目だよね。
あと、私の座り心地も気に入ってもらえてよかったな。
カリナと座り合いっこしてた時、痩せていると骨ばっていて結構座り心地悪かったから、少しだけ体重増やしたんだよ。
ちょっとだけだから!
標準体重ぴったりだから!
ううん、この大きな胸の分、普通よりまだ細身のはずだよ。
「エメル姉さま、今から何をされますか?」
「お風呂前に体育をしたいところだけど、椅子に私の好きなことを知ってもらいたいの」
お兄ちゃんから聞いていたわ。
エメル姉さまは物作りが大好きって。
だから、マリナはエメル姉さま担当の予定だったから、クラフトのことを色々勉強したの!
-王女エメラルディ視点-
「私は物作りが趣味で、できたものを『通信売買』で売って魔晶石に変えたりしているのよ」
「はい、マリナも物作りは大好きです!」
本当?!
それはすごく嬉しいわ!
「マリナはどういうの作ったことあるの?私はこういうのを作ってるの」
私は異次元箱から手作りの人形を取り出して見せるわ。
「可愛い猫のぬいぐるみですね!」
「多くの大陸では動物が召喚できないのよ。だから、こういう動物代わりの物は『通信売買』で高く売れるのよ」
これは特にお気に入りで売らずに取っておいたものなの。
気に入ったものは売りたくないもの。
「あとはこういうのとか」
私は木彫りの人形を取り出して見せます。
「これ、クリス様ですか?!すごい!そっくりです!」
「ふふっ、そう?」
自信作なのよ。
「こういうのもあるのよ」
「わあっ、かわいい!」
木彫りの動物に色を塗ったものを見せると、椅子は驚きの声をあげてくれるわ。
自分の作ったものを評価してもらうのって『通信売買』しかなかったけど、こうやって直接驚いたり誉めたりしてもらえるのっていいわね。
「マリナはそんなにうまくないんですけど、木彫りの人形を持ってきました」
椅子が異次元箱から取り出したのは見たことのない服を着た人形だわ。
木彫りの人形に服を着せているのね。
でも、すごく上手ってほどではないかしら?
「なかなか上手ね。あら?」
こ、これは?!
-双子の妹マリナ視点-
凄い!
エメル姉さまって、ぬいぐるみとか木彫りの人形とか凄く上手です!
プロ級ね!
マリナはクラフトを2年くらいしかやってないけど、エメル姉さまが知らないようなことを中心にやり方を覚えてきたの。
そこで、マリナの作ったものを見せます。
マリナの異次元箱は魔法を覚えたら使えるようになっていて、向こうから色々持ってきたの。
「なかなか上手ね。あら?」
エメル姉さまの目が見開かれます。
座椅子状態のマリナからはエメル姉さまの表情があんまり見えないから、実は体内スマホの自撮りモードを利用して、正面からエメル姉さまと私の姿がいつも見えるようにしているんです。
「これ、人形に服が貼り付いているわっ!糊でくっつけて…いえ、それならもっとシワになるわね」
そうなの。
この木彫りの人形は和服を着ているのだけど、実は着せ替え人形みたいに服を着せているわけでも、糊で貼り付けているわけでもないの。
「これは『木目込み人形』といって、木彫りの人形に服の形に合わせた切れ目を入れて、布をその隙間に押し込むようにして服を着せるんです」
説明しやすいように持ってきた切れ目を入れた人形と綺麗な布を出すの。
「この金属のヘラで切った布を隙間に押し込みます」
「布のふちが隙間に押し込まれて、ぴったりと木に貼り付くのね!」
エメル姉さまは私の手からへらを受けとると、きゅっきゅっと布を隙間に押し込め始めたの。
「できたわ!凄く楽しいわ!」
-王女エメラルディ視点-
すごく面白いものを教わったわ。
色々な木目込み人形があって、まさか猫を人間っぽく座らせて服を着せた人形がこんなに可愛いなんて!
今日は運動しなかったけど、いつも通りお風呂に入らないといけないわね。
椅子はどうしようかしら?
そういえば小さい頃はサフィやクリスと一緒にお風呂に入っていたわね。
「マリナも一緒にお風呂に入りましょう」
「制限時間とかあるんですか?」
「私は一時間ゆっくり入れるけど、湯船も結構広いから二人で入れるわよ」
「じゃあ、頭とか体を洗わせていただきます!」
それは嬉しいわね。
クリスが言う下僕ってこういうものなのね。
いえ、女性だから下女よね。
…
…
服を脱いだマリナを見ると、本当に大きな胸ね。
12歳とは思えないくらい。
そういえばクリスは12歳の時、もう少し大きかったかしら。
むにゅ
「あんっ」
ああっ!
無意識に触ってしまったわ!
「エメル姉さま…」
お、怒ったかしら?軽蔑したわよね?
「や、優しく触ってくださいね」
マリナはにっこりと微笑んで、私の手を取って自分の胸に押し当ててくれます。
か、可愛いっ!
思わず揉みそうになるのを耐えて、手を離すわ。
「寒くなる前にお風呂に入りましょう」
「はい!」
ああ、髪を洗ってもらうのってきもちいいわ。
特にこの『しゃんぷー』っていうのがいいのよ。
いい匂いだし、泡がきめ細かくて。
私の髪は肩くらいだし、サフィはもっと短いけど、クリスみたいに伸ばすと腰まであるのって洗うの大変でしょうね。
私みたいに洗ってもらっているのかしら。
…
…
ちょっと待って!
ま、ま、まさかクリスとあの下僕が一緒にお風呂とか入っていないわよね?
「マリナ、あなたのお兄さんのケイトは、クリスと、その、お風呂に入っているのかしら?」
「聞いてないからわからないです」
クリスに聞くべきかしら?
でもクリスには恋愛感情が無さそうなのよね。
いえ、むしろそれだから無防備なのかも。
「マリナとカリナもお兄ちゃんと一緒に入ってました。それでマリナたちの髪の毛だけ洗ってくれていました」
「クリスの髪も洗っているかしら?」
「そうかもしれないけど、お兄ちゃんはすごく真面目ですから、目隠しとかしてるんじゃないですか?だって妹の裸もなるべく見ないように、いつも視線をそらしていたんですよ」
あら、そうなの。
少しは安心したけど、機会があったらクリスに鎌をかけてみないと。
可愛い妹を守るのは姉の義務よね。
決してクリスと一緒に入っているのが羨ましいからじゃないのよ!
「それにしても、マリナは髪を洗うのが上手ね」
「ここに来るまでにカリナと練習したんです。でも、お兄ちゃんが洗うとものすごく気持ちいいんですよ」
ちょ、ちょっと気になるわね。
ううん、男の人と風呂とか無理だから!
-双子の妹マリナ視点-
いよいよ初めての食事ね!
向こうから持ってきたものじゃなくてちゃんと召喚で出すの。
「マリナ、珍しくて美味しい夕食を頼むわね」
「はい!それで、エメル姉さまは辛いものは大丈夫ですか?」
「辛い食べ物ってあんまり出てこないのよ。だから苦手かどうかわからないわ」
「それなら、まず甘口を出しますね」
「甘口?」
いくわよっ!
と、まずちゃぶ台に皿を並べてと。
「『夕食召喚』!甘口カレー!」
お店じゃなくて、家でよく作っていたカレーの味を想像するの。
出たっ!
「いい香り!これが『かれー』なの?!」
「はい、スプーンで食べてください」
口直しの福神漬けが無いのはちょっと失敗かな。
ぱく
「辛い気もするけど、凄く美味しいわ!これはどんどん食べれるわね!」
「じゃあ、マリナのは中辛にします」
「『ちゅうから?』」
「甘口より辛いんです。もっと辛いのが辛口で、それより甘いのを中くらいの辛さで中辛って言うんです。ぜひそれも試してください。『夕食召喚』!福神漬け付きの中辛カレー!」
うまくいったの!
「もう少し辛いから、気を付けてくださいね」
「こっちのほうが香りが強いわね。うん、辛いけど大丈夫!美味しいわ!」
よかった!
「どちらが好きですか?」
「どちらかと言うと甘口かな?でも中辛も美味しいわ。それと、この『ふくしんづけ』がすごく美味しいわ」
-王女エメラルディ視点-
カレーってすごい料理ね!
クリスったら毎食こんな楽しみをしているんだわ。
「マリナ、カレーは両方食べたいから、半分こしましょう」
「はいっ!」
マリナは私の邪魔にならないように、器用にスプーンを自分の口に運んでいるのね。
「その位置で食べにくくないの?」
「マリナはエメル姉さまの椅子になるために、2年間色々学んで、色々練習したんです。こういう食べ方も全然大変じゃないんです」
きゅんっ
私のために?!
マリナってすっごく可愛いわね!
ぎゅううっ
思わず振り向いてマリナに抱きついたわ。
パジャマ姿のマリナの胸に顔を埋めたかったけど、口にカレーが付いていると汚すから、ちょっと上にいって、首に抱きついたのよ。
「え、エメル姉さま」
「マリナはずっとここに居てくださいね」
「マリナはもうエメル姉さまのものです」
ああん、何でそういう可愛いこと言うのっ!
ぎゅうううっ!
「絶対放しませんからっ!」
「はい!マリナも離れませんから!」
私の新しい、素敵な日々が始まったわ。
最高の椅子との最高の日々よ!
お読みいただきありがとうございました。
ブックマークとか感想とかいただけるととっても嬉しいです(^ー^)♪
次回も明日、1月3日18時更新です。




