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第41話 ドS王女様の姉さまたちは妹の秘密を狙う。

年末年始が忙しいけどなんとか毎日更新したいです!


令和2年1月5日

言い回し等の微修正。

令和2年1月17日

誤字修正。

-王女エメラルディ視点-


トゥルル、トゥルル、トゥルル、


あら?サフィからね。

何かしら?


「エメル姉さま!」

「何?どうしたの、興奮して?」

「とにかくこれ、食べて!」


ことん


送られてきたのは皿に載った食べ差しのお菓子。


「これがどうかしたの?」

「珍しいでしょ?」

「ええ、食べ差しを送るなんて珍しいわね」

「そうじゃなくて!見たことないものばかりなのよ!」

「桜餅と三色団子とイチゴタルトね」

「知ってたの?!」


むしろ知らなかったの?!って言いたいわ。


「それで、面白いものが召喚できて驚いたの?私に見せたいほどに?」

「違うわよ!これはクリスからもらったの」

「えっ?クリスがこれを召喚したの?」

「それも、名前を言って出しているみたいだわ」

「前に召喚して、名前を鑑定して覚えないと無理な話ね」

「どうもクリス、最近召喚の『コツ』を覚えたらしくて、色々面白いものを召喚しているみたいなのよ」


ええっ?!


「もしかして、あの『ニュートンのゆりかご』っていうのも、偶然じゃなくて、わざと召喚したものって言うの?」

「何?『にゅーとんのゆりかご』って?」

「これよ」


わたくしは『内線通話インナーテル』でサフィにそれを送る。


「これ、何ですの?」

「平らなところにおいて、右端の玉を横に引っ張って離してごらんなさい」


かっちんかっちんかっちん


向こうでの音がこっちにも聞こえますわね。


「…はうっ!こ、こ、これ、なに、これ?!」

「次に、2個で試してごらんなさい」


かっちんかっちんかっちん

かっちんかっちんかっちん


「どどどど、どうなってますの?!」

「面白いでしょう?」

「まさか、これ?」

「そう、クリスからもらったのよ。組み立てたのは私だけどね」

「じゃあ、これ見て」


今度は私の所にペンと紙の束が届きましたわ。


え?

この紙に書くの?

普通のペンよね?


え?

これでこするの?

…字が消えたっ?!


それでこの紙を?

はがして

貼って

ああっ!はがせますわっ!


「サフィ、これもクリスからなの?」

「そうなのよ!」


それはあり得ない話だわ。

偶然でもこんなに良いものがでるなんて…。


あとこれ、食べ差しですけど、せっかくだからいただこうかしら。


もぐもぐ、ぱくぱく、


はうっ!


な、何?


私がいつも食べているものと違う!


「サフィ!おかしいわ!このケーキ、おいしすぎるの!」

「でしょう!すごくおいしいのよ!こんなの初めてだわ!」

「そうじゃなくて、私がたまに食べるイチゴタルトよりずっとおいしいの!」

「どういうこと?」

「おいしいものを出すには、少量の召喚にするか、そのものを良く知っているか、上級や特級の魔法を使う必要があるのよ」

「そうね」

「これがこんなにおいしいのって、もしかして『クリスがそのお菓子を良く知っているから』じゃないかしら」

「ええっ?!どうして急に?」


こっちが聞きたいわよ!

だけど、クリスが急にすごい召喚ができるようになったのは事実だわ。


「サフィ、召喚のコツというか秘密、聞いてみた?」

「教えてくれませんでしたわ」

「そうよねえ」

「取引も難しそうなのよ。この秘密に釣り合う情報や物が出せる自信がないわ」

「私は取引材料があるから、聞いてみようかしら?」

「エメル姉さまずるいっ!私も知りたいわ!」

「サフィは次の舞闘会で賭けたらどうなの?」

「それはもうそのつもりよ!でも、次の舞闘会まで日にちがありすぎますわ!」


そうなのよねえ。

でも、私にはとっておきの情報があるわ。


「まあ、うまくわかったら、サフィの『あれ』と交換で教えてあげてもいいわよ」

「あ、『あれ』は絶対駄目です!あげませんから!」

「無理にとは言わないわ」


私は通話を切ると、今度はクリスに『内線通話インナーテル』をかける。



-王女クリステラ視点-


ああ、至福の時でしたわ。


わたくし、ケイトが居なければ生きていけなくなりそうですの。


トゥルル、トゥルル


あら?エメル姉さまからの『内線通話インナーテル』ですわね。


「ケイト、タブレットの準備をしておきなさい」

「はい」


筆談用のタブレットをケイトに持たせるてから通話に出ますわ。


「エメル姉さま、どうしましたの?」

「クリス、あなた、隠しているわね?」


えっ?!

いきなりなんですの?!


まさかケイトのことがバレましたの?!


『クリス様、鎌をかけているだけです』


そうなのね!

急にバレるはずありませんものね!


「なんでしたかしら?エメル姉さまの黒いレースの下着とか隠していませんわ」

「違います!って、どうして知ってますの?!」


あら、あてずっぽうで言ったら当たりましたわ。

下着はお母様と同じ趣味ですのね。


ふふっ、逆に鎌をかけてやりましたわ。


「クリス、この前もらった『ニュートンのゆりかご』ってどうやって召喚したのかしら?」

「秘密ですわ」

「ランダム召喚で出したとか言わないのね」

「最近、色々な召喚ができるコツをつかみましたのよ」

「そのコツ、教えてもらえるかしら?」

「簡単には教えられませんわ」


ケイトの指示があるから会話が楽ですわね。


「そう。それなら、クリスが一度も勝てていない舞闘会のコツを教えるわ」

「どんなコツですの?」

指令環コマンドリングの使い方よ。指全部使っているかしら?」

「まさか親指も?!あっ!」


しまったわ。つい、親指だけわかっていないって教えてしまいましたわ。


『気にしないで。とりあえず、どのくらい役に立ちそうか考えましょう。それで舞闘会に勝てるようになるか聞いてください』


「全部の指を使えるからって、必ずしも勝利できるとはかぎりませんわね?」

「私相手ならそうでも、親指の件を知らないサフィ相手には勝てるわよ」

「親指が何か知るだけで勝てますの?!」

「そうよ。知りたくないかしら?」


『クリス様、通話をかけなおすことにして、相談しましょう』


「ちょっと考えさせてほしいですわ」

「いい返事を待っているわよ」


通話を切りますわ。


「ケイトはどう思うかしら?」

「絶対勝てるって言われると聞きたくなりますけど」

「それで勝てるなら勝ちたいわ」

「でも、エメル姉さまには勝てないんですよ」

「そうですわ!次回の舞闘会には姉さまたちに勝利して、わたくしの素晴らしい椅子ケイトを紹介するつもりですもの!それなら断りますわ!」

「せっかくですからただ断るだけじゃなくて、親指のヒントをもらいましょう」

「何かと引き換えにしますの?」

「サフィ姉さまに勝てる方法を簡単に教えてくれるはずはないです。だから…」


ケイトは色々とタブレットに書き始めましたわ。


「これを聞いてみてください」

「わかりましたわ」



-王女エメラルディ視点-


指令環コマンドリングを親指にはめて使う『アレ』はいつかはサフィとクリスにも教えるつもりでしたわよ。


でも、こんなチャンスありませんもの!


何があっても聞き出すわよ!


トゥルル、トゥルル、トゥルル


かかってきたわ!


「クリス!どう?!教えてくれる気になった?!」

「姉さま、もし親指の件を教えてもらっても、サフィ姉さま相手に使ったら、どんなものかバレたりしませんの?それですと、次の回からまた勝てなくなるかもしれませんの」

「大丈夫よ。これは使ったってわからないから」

「どこで使ってもですの?自陣だから見られないって言うなら、サフィ姉さまは自陣も時々覗いてきますのよ」


心配性な子ね。


「大丈夫よ。どこでやっても同じですわ」

「それで一気にとどめをさすわけね!」

「一気にとは…」


待って。

どうしてこんなことを聞くのかしら?


すごく具体的に例を挙げているけど…まさか!


「ちょっと待って。クリス、あなたもしかしてうまいこと情報を聞き出そうとしてますわね?」

「そ、その、エメル姉さま。わたくしはそれがどれほど役立つ情報かを確かめているだけですわ」

「クリスは嘘をつくと、いつもどもった後に私の名前を言ってから言い訳するのね」

「ええっ?!」

「嘘よ。でも、マヌケな妹の魂胆はわかったわ」

「不覚ですわっ!」


やっぱりそうだったのね。

そもそもあまり嘘を言ったり鎌をかけたりしないクリスうまく質問してくるから、変に思ったのよ。


まるで誰かに教えてもらっているみたいに…誰か?


「残念だったわね。クリスはもっとその人にうまい話し方を教わるといいわ」

「そう…ひゃああっ!」

「ど、どうしたの?!」



-王女クリステラ視点-


不覚ですわ!

せっかく聞き出しかけたのに、バレてしまいましたの!


「残念だったわね。クリスももっとその人にうまい話し方を教わるといいわ」

「そう…ひゃああっ!」

「ど、どうしたの?!」


ケ、ケイトが急にわたくしの足の小指を摘まみましたの!

慣れてきているとはいえ、くすぐったいですわ!


『鎌かけられてますよ!』


ああっ!

うっかり『そうね』って言いかけたわ!


とりあえず、通話を切りますわ!


「エメル姉さま、食べていたもので服を汚してしまいましたの。着替えてきますわ」

「あなた、おやつを食べながら話をしてましたの?!わかったわ。連絡待っているわよ」


ふう、危なかったわ。


「クリス様、危なかったですね」

「エメル姉さまがあんなに鋭いなんて知りませんでしたわ」

「とりあえず、聞いたことである程度『親指』の件の想像はつきます。見られてもわからない。一気にとどめを刺す技ではない。そうなると、純粋なパワーアップ。考えられるのは『増幅ブースト』『加速ヘイスト』『硬化ハード』いえ、それだと戦士と魔法使いでそれぞれ良い効果が出せない。すると、『強化パワーアップ』あたりかもしれないですね」

「すごいわケイト!きっとそうですわ!」

「でも、鎌かけで当たったってバレたら、それなりの対価を要求されますよね」

「そうですわね…ケイトの代わりになる何かを教えられればいいのですけど」

「俺を1日だけ貸し出すとか?」

「嫌ですわ!もうケイトとは1日も離れたくありませんの!」

「えっ?!」


ああっ!

何か恥ずかしいことを言ってしまいましたわ!


「こんないい下僕いすの無い生活なんて嫌ですもの!」

「クリス様、ありがとうございます!」



-主人公ケイト視点-


俺の代わりになるって、やっぱり妹たちだよな。


できれば1か月後くらいに呼んでほしいって言ってたけど…。

もしいやだったら送還してもらえばいいか。


「クリス様、やっぱり妹たちを呼んでもらっていいですか?」

「舞闘会のあとにするはずでしたわよね?」

「はい。でも、やっぱりこれからも聞かれるでしょうし、ずっとごまかせるかどうかわかりませんし、クリス様のお母様あたりが気づくかもしれないので」

「そうね。お母様が気づいたらかなり驚くし、駄目って言われたら困るわ。それならむしろ、姉さまたちを味方にしてしまいましょう」


なるほど、三人で秘密を共有すれば、いざというときに助け合えるかも!


「その代わりに、ケイト、次の舞闘会は必ず勝つのよ」

「はい!絶対に!」

「ふふっ。期待しているわよ」



そして俺の秘密がついにクリス様の姉さまたちに明かされる時が来た。

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークとか感想とかいただけるとすっごく嬉しいです(^ー^)♪


次回も明日、12月29日18時に更新します。

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