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第40話 ドS王女様は春のお菓子を食べる

展開がゆっくりのはずなのに加速したがる登場人物たち。


令和2年1月5日

言い回し等の微修正。

-王女クリステラ視点-


不思議とケイトの上で眠ると頭がすっきりしますのよ。


さあ、すっきりした頭で午後の勉強ですわ!


「『教科書よ!』…『翔学生の国語4下』ですわ!」


わたくし、国語は大好きですのよ。


特に熟語って楽しいですわね。

ケイトはどうなのかしら?


「ケイト、わたくしは国語が大好きで、特に熟語が好きですのよ」

「そうですか。俺も国語は得意でしたし、熟語も結構好きですよ」

「4字熟語とかどうかしら?」

「ええ、落ち着きたいときに思わず唱えちゃいますね」

「え?」

「えっ?」



-主人公ケイト視点-


四字熟語とか面白いよな。

普段使えるものだけじゃなくて、見ただけではわからないものなんて、どういう意味だろ、どうやってできたんだろって考えたくなるよ。


「集中したいときとかに四字熟語唱えたりします。『一心不乱』『精神統一』『勤続十年』とか」

「わたくしもですの!でも、『勤続十年』って四字熟語の意味は何ですの?」

「ああ、これは『焼肉定食』と同じで、実際にある言葉だけど四字熟語ではない言葉を遊び感覚で入れてるんだ」


「そうでしたの!わたくしもこれからは『股間強打』とかを入れるようにしますわ」

「それは聞くだけで痛く感じるからやめてください。あと、王女様的にもあまりいいと思えないです」

「わかりましたわ」



-王女クリステラ視点-


ケイトも四字熟語好きなんて、すごい偶然ですわ!

それに集中したいときに四字熟語唱えるのまで一緒ですの。


「ケイト、それで『焼肉定食』って何ですの?」

「ああ、それは『定食』っていう料理の形態で、メインの料理の他にご飯やみそ汁とかが付くものを言うんです」


お味噌汁って懐かしいですわね。


「お味噌汁は領地をいただいてからは食べていませんわ」

「手だけで食べられるものを召喚しているせいですね」

「ええ、半畳ではそのほうがいいですの。それに王族として、お茶碗やお椀を足元に置いて食べるとかはやりたくありませんのよ」

「そうですか(にやっ)」


あら?今の表情はもしかして?

夕食は『定食』というものを期待しても良いってことかしら?


「それより勉強をしますわ。今日は文法ですのよ」

「少し見せてください」


わたくしはケイトに教科書を渡しますの。


パラパラパラ


「主語と述語と修飾語ですね。それなら教えられます」

「とりあえず、わたくしが自分で読んでみますわ」




主語は…なるほど、そうなのね。

述語は…そういうことですの。

修飾語は………主語と述語以外でいいのかしら?


「ケイト、修飾語って何のためにありますの?」

「修飾ってのは飾り付けるって意味なんですけど、主語や述語の説明に使います」

「説明?それなら、『この本は赤い』の場合、『本』は『赤い』ってことを説明しているから、『赤い』が修飾語ね?」

「いえ、その場合は述語です。まず、主語と述語を見つけてから、それらを説明するものを見るんです」


???


「説明って言い方では紛らわしいですね。主語や述語をわかりやすくしているもの、もしくはどんな状態か示すものって考えてください」

「すると…」

「『この本はとても赤い』にするとどうですか?」

「主語が『この本』で、述語が『赤い』ですから、『とても』が赤いの修飾語ですわね?!」

「半分正解です」


半分?


「実は『この』は『本』の修飾語です」

「えっ?どうしてですの?」

「『この本』っていうのは、『ここにある本』のことですから、本の状態を説明しているんですよ」


そうでしたのね!


「まず主語と述語をきちんと把握するために分節に分ける必要がありますが、それには二通りのやり方があって、自立語と…」



ケイトの説明はわかりやすくていいですの!

もしかして、ケイトは向こうで先生とかしていたのかしら?


「ケイトは先生とかしていましたの?」

「いえ、学生でしたから。でも、周りのわからない友達に教えることをよくしていたから、自然と教えるのが得意になったのかもしれません」

「そうでしたの」

「教えることってすごく勉強になるんですよ。自分が教えるためにはそのことをもっと良く知らないといけないですから」


わたくしが教えられる人っているかしら?

姉さまたちは勉強がどこまで進んでいるか教えてくれませんのよね。


わたくし、国語と算数は負けていないと思っていますのよ。



-主人公ケイト視点-


クリス様ってすごく熱心だな。

それに、今までこれを一人でやっていたんだよな。


ちゃんと教える人がいればいいのになあ。

どうしてこの世界には先生が居ないんだろ?




「これで主語、述語、修飾語は完璧ですの!」

「クリス様、お疲れさまでした」

「ケイト、おやつが食べたいですわ。『菓子召喚』の魔法を使いなさい」


『菓子召喚』って初めてだな。


「クリス様、今まで食べたお菓子ってどんなものがあります?」

「お饅頭、ケーキ、かりんとう、こんぺいとう、おはぎ、あとは…」

「ケーキってどんなのです?」

「ケーキはケーキですわよ。生クリームがいっぱいかかったスポンジにイチゴが載っていますの」


もしかしてショートケーキしか知らないのかな?


「モンブランとか、チョコケーキは?」

「もんぶらん?チョコレートは好きですわ。もしかして、チョコレートのケーキがありますの?」

「ケーキはすごく種類が多いんですよ。栗ってわかります?」

「甘栗ですわね!あれも好きですの!」


天津甘栗のことかな?


「それじゃあ、饅頭ってどんなのです?」

「白い生地にあんこが入っていますのよ。召喚するとたまに粒々のあんこになりますの」


薯蕷じょうよ饅頭のことかな?

これもシンプルなのしかないんだな。


「たまに白いのが透明になっていることがありますの!あれはとてもおいしいですわ!」


くずの和菓子かな?


「好きなものは鑑定して名前を覚えたりしないんですか?」

「鑑定にも魔晶石1つ使うから、もったいないですわ」


それもそうだよな。



-王女クリステラ視点-


ケイトって甘いものにも詳しいですのね。


「ケイトが好きなお菓子は何ですの?」

「『かっぱえび〇ん』かなあ?『ポテチ』も捨てがたいですね」

「不思議な名前ですのね」

「スナック菓子ってあります?」

「聞いたこと無いですわ」


ケイトったら、こんなに色々なお菓子の名前を出して、いったいわたくしに何を食べさせてくれるつもりなのかしら?


ワクワクが止まりませんわっ!


「ケイト!二人ですから、魔晶石は2つ使ってわたくしの知らないお菓子を2種類出しなさい。あと、サフィ姉さまにもお礼にお菓子を渡す約束ですから、もう1つ魔晶石を使って同じものを1つ出しなさい」

「わかりました。えっと、春なので、春らしいものにしようかな」


『春らしい』って何かしら?


「『春らしい』って暖かくなってくるってことですの?」

「桜の花とか…あっ、ここの世界だと花見とかできないんだ」

「『はなみ』?」

「桜の花が咲いている様子を見て、楽しむんです」


花を見て楽しいかしら?

綺麗とかかわいいとかは思いますけど。


そもそもお花なんて召喚してもすぐにしおれてしまいますから、めったに召喚しませんのよ。


「じゃあこれかな。『菓子召喚』!桜餅!」


ケイトの手に葉っぱに包まれたピンク色のお饅頭みたいなものが現れましたわ。


「あれ?3つも出た」

「そうですわね」

「じゃあ、これを1つサフィ姉さまに差し上げてください」

「わかりましたわ」


さっそく食べたいですわ。


「ちょっと待ってください。とりあえず、『小さな皿4枚出ろ!』」


ケイトが異次元箱からお皿を4枚を取り出して、畳の上に並べましたの。


そして、そこにひとつづつお菓子を並べていますわ。


「せっかくなので、3種類3個ずつにしてみましょう」

「ケイトに任せますわ。それで、どうしてお皿を4枚出しましたの?」

「1枚は召喚用に使うんです。素手で持ちにくいのもありますから」


その通りですわね!


「串に刺した団子って知ってます?」

「前に出てきたことがありましたわ!黒っぽくて、あまじょっぱいたれがかかっていましたの!」

「それはおそらく『みたらし』ですね」



-主人公ケイト視点-


クリス様、もしかして色々出しているけど、覚えていないだけか、名前を知らないだけなんだな。


「串に刺した団子って知ってます?」

「前に出てきたことがありましたわ!黒っぽくて、あまじょっぱいたれがかかっていましたの!」

「それはおそらく『みたらし』ですね」


ランダム召喚で色々出るんだな。


でも、今回は『春』っぽいものだから、これだ!


「『菓子召喚』!三色団子を3本!」


出た!

これって、4本でも出たかもしれなよな。

でも、数が多いと品質が下がるみたいだから、最低数で出すのがいいんだよな。


「これも綺麗ですの!ピンクと緑と白ですわ!」

「最後はスナック菓子に…いや、でもそれだと統一性が無いなあ」


イチゴ系のケーキといえば…これだ!


「『菓子召喚』!イチゴタルト3つ!」


ぽふっ!


あれ?変な音がしただけで何も出ないぞ。

まさか、失敗?


「ケイト。『いちごたると』って、すごいお菓子ですの?ケーキみたいにすごいお菓子は、上級魔法になりますわよ」


ええっ?!


「タルトはケーキの仲間です。すみません、やり直していいですか?」

「よく説明しなかったわたくしにも落ち度はありますわ。もう一度やりなさい」


がんばります!


「『上級菓子召喚』!イチゴタルト3つ!」


丸い形のイチゴタルトが右手に持った皿の上に3つ並ぶ。


うん、イチゴがたっぷり乗って、すごくおいしそうだ。


「綺麗ですわっ!すごいですの!ふふっ!さっそくサフィ姉さまに自慢しますわ!」



-王女サファイラ視点-


「そろそろおやつの時間ですわね。クリス、お菓子をくれるって言うのは、今日かしら?明日かしら?」


トゥルル


「はいっ!」


思わず『内線通話インナーテル』に出るなり叫んでしまったわ。


「サフィ姉さま、そんなに大声でどうしましたの?」

「クリス、もしかしてお菓子をいただけるのかしら?」

「そうですの。お皿ごと送りますから、あとでお皿だけ返していただけます?」

「わかったわ」


ことん


内線通話インナーテル』の箱に何かが入った音がしましたわ。


そーっと開けると、そこには見たこともないお菓子が、それも3種類も!


「これ、葉っぱも食べられるの?はがすのかしら?」

「…塩漬けなので、どちらでもいいそう…いいのですわ。甘いものとしょっぱいものの相性がいいので、好みで食べるといいですの。でも、葉っぱの太い葉脈だけは取ったほうがいいですわよ。…これはおいしいですの!」


向こうも今食べているところなのね。


ど、ど、どんな味かしら。


はむっ


は?

はあっ?!

ふわああああっ!!!


「クリス!なにこれ!すごいわ!何かすごくいい香りが口の中に広がったの!中はこしあんね!すごくおいしいわ!」

「こしあん?」

「粒あんじゃないものよ」

「これはこしあんって言うんですのね。粒々のあんこの名前は粒あんですのね」


こしあんを知らなくて、どうしてこんなすごいものを呼び出せるのかしら?


絶対にこの秘密は聞き出すべきね!


「ねえクリス、このお菓子の名前、知っているのかしら?それともランダム召喚?」

「葉っぱの付いているものは…ふふっ、どうしましょうかしら?…ああこのイチゴもぐもぐが最高ですわ!」


えっ?教えないつもりなの?!

『イチゴもぐもぐ』ってなに?!


「それぞれ、桜餅、三色団子、イチゴタルトですわ」

「どれがどれですの?あっ、串にささっている三つの色がついているものが『三色だんご』だとすると、イチゴの載っているこれが『いちごたると』で、残りの葉っぱが巻いてあるのが『さくらもち』ですわね!」

「そうですのよ。もしその名前で召喚するなら、イチゴタルトはケーキですから、上級魔法で召喚でするといいですわ」


やっぱりクリス、上級菓子召喚の魔法を自在に使えるようになったのね。

それどころか、こんな珍しくて、


ぱくぱく


「こんなおいしいものばかり呼び出せるなんて、ずるいっ!教えて!やっぱり今すぐに教えて!クリス!いったいどうして急に色々召喚できるようになったの?!」

「おーっほっほっほ。それはわたくしの『才能』のなせる業ですの」


嘘ね。


「というわけで、失礼しますわ」

「あっ!」


通話が切られたわ。


もぐもぐ


本当においしいわ…。

これ、食べ差しだけどちょっと残して、これをあげる代わりにクリスの秘密を聞き出すのを手伝ってもらいますわ!


エメル姉さまに!

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークとか感想とかいただけると大変嬉しいです(^ー^)♪

次回も明日、12月28日18時更新です。

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