第39話 ドS王女様は下僕に褒美をあげたい
半畳王女外伝の『半畳領地のお姫様は広所恐怖症なので俺のリュックに入って冒険します(仮)』を書いてみました。年始くらいに上げようか思案中です。
令和2年1月5日
言い回し等の微修正。
外伝はちょっとずつ作成中。
-王女クリステラ視点-
はあ。
思わずため息をつきますの。
いつもケイトの顔は足元ですわ。
でも、あんなに近いと驚きますのよ。
ケイトが来てまだ3日経ってないけど、こんなに近くに居て、すごく心地いいのは事実ですわ。
でも、ケイトにどんな褒美で報いればいいかわかりませんの。
誰かに相談できれば…。
洗面所って『内線通話』使えるかしら?
試したことなかったわね。
「『内線通話』!エメル姉さまと話したいですの!」
「はい、クリス?どうしたの?」
「エメル姉さま。誰かにお礼をしたいとき、どうしたらいいかしら?」
「あら?それってお母様に?サフィ?私になら本人に聞きませんものね」
「エメル姉さまにもお世話になっているお礼はしたいですわ。でも、これはその、うーんと、そうですわ!つまり、将来家族でない人と会うことができて、その時に助けてもらったりした時にどんなお礼をするものなのかなって、そんなこと考えていましたの」
「そう。それなら、そうね…」
-王女エメラルディ視点-
何かよくわからない質問ね。
「エメル姉さまにもお世話になっているお礼はしたいですわ。でも、これはその、うーんと、そうですわ!つまり、将来家族でない人と会うことができて、その時に助けてもらったりした時にどんなお礼をするものなのかなって、そんなこと考えていましたの」
何だか、すごく遠回しに隠そうというか、そんないい方ね。
「そう。それなら、そうね…」
これ、家族以外の誰かの件だわ。
でも、うちには他に誰もいないはず。
翔学生の教科書を終わらせないと、外の人と会うこともできないから…。
まさか、妄想上の人と恋愛でも始めた?
クリス、寂しいのね!
「その人は、男性?女性?」
「えっ?!そ、そうね。一応男性のほうだとして聞きたいですわ」
男性なのね。
クリスはまだ14歳だけど、もう恋する年頃なのかしら。
『クリス、愛しているよ』
『わたくしも愛していますわ』
こんな感じの妄想でもしたのかしら?
「キスね」
「はいっ?!」
「男性にお礼したいなら、キスが一番喜ぶわね」
「…」
あっ、通話が切れたわ。
お子様には早かったかしら?
-王女クリステラ視点-
きききききき、キスとかふざけないでほしいですわ!
下僕にわたくしからキスしてどうしますの!
エメル姉さまではだめですわ!
年下のサフィ姉さまも期待できないですわ。
それならお母様ですわね!
「『内線通話』!お母様と話したいですの!」
-女王視点-
トゥルル、トゥルル、トゥルル
あら?クリスからの『内線通話』ですわ。
何かしら?
「クリス、どうしたのかしら?」
「お母様。想像の話ですけど、わたくしが将来誰かに助けてもらって、その感謝の気持ちを表すのに、その相手に何をしたら喜んでもらえるかしら?」
えっ?
急にどういう話?
…
…
…!
そうだわ!
あのケイトって人形のことね!
あの人形と会話して、お礼をしたくなったけど、どうしたらいいかわからないのですわ!
「その人とはどういう関係なのかしら?」
「主人と下僕ですの」
「はい?」
な、何かしらその設定。
人形相手の妄想なら何でもいいですわよ。
でも、ちょっと普通じゃない気がしますの。
『ケイト、わたくしに尽くしなさい』
『ハイ、クリスサマ(←クリスの声)』
『ケイトはいい下僕ですわね。褒美を差し上げますわ』
こういうことなのかしら?
「お母様でもわからないかしら?」
「いえ、いいえ。私にも下僕が居た時がありましたわ」
そんなの嘘ですわよ!
でも、母親として悩める娘のために想像力を働かせますわ!
「下僕が尽くしてくれたお礼としては…」
「お礼としては?」
「褒美を下賜するのよ」
「なるほど、褒美は物で与えますのね!何がいいのかしら?」
え?
そこまで答えないといけないのかしら?
えっと、えっと、下僕っぽい人が喜びそうなことは…
「下着かしら?」
「…」
ああっ!
通話が切られましたわ!
うっかりおかしなことを言ってしまったせいだわ!
母親としての威厳が丸つぶれですのっ!
-王女クリステラ視点-
どどどど、どうなっているのよ!
エメル姉さまはキスしろって言いますし、お母様は下着を下賜しろって言いますし。
下僕相手に何をさせる気ですの!
もうサフィ姉さましか頼れませんわ。
-王女サファイラ視点-
トゥ
「はいっ!」
「サフィ姉さま!いくら何でも、出るのが早すぎますわっ!」
だって、待っていたんですから。
「実は聞きたいことがありますの」
「何かしら?」
「下僕にお礼をしたいのですわ。あっ、話の順番が!」
クリスったら、何を混乱しているのかしら?
「実は将来外の人と顔を合わせるようになって、その人にいろいろ助けてもらった時に、どんなお礼をしたらいいのかなと思いましたの」
「それと下僕って何の関係があるのかしら?」
「その人が下僕ですの」
「ええっ?!」
え?何?
ここで翔学生の勉強を修めてから外の人と会って、友達になったり恋人になったりするのに、クリスったら下僕を作る気ですの?!
「そ、そうね。下僕ってことは身分も違うわけね」
「そうですわ」
この世界って、みんな王か皇帝、その血族なのよ。
どこにも下僕になるような身分の人なんていませんわよ!
それとも、どこかの可愛らしい王子や王女を下僕として扱う気なのかしら?
『ほーっほっほっほ。わたくしの足をお舐めなさい!』
『はい、クリス様』
『だめね、それではお仕置きですのよ』
『あーっ!クリス様、お許しくださいーっ』
『おーほっほっほ。ぴしぴしっ!』
『あーれー』
きっとこんな妄想をしているのね。
「サフィ姉さま?」
「あ、あ、そうね。そういう時は」
「そういう時は?」
「『なでなで』するといいですわよ!」
はっ?!
しまったわ。
なんて馬鹿な回答を?
つい、想像の中の王子や王女が幼い感じだったから、『なでなで』なんて言ってしまいましたわ。
「それですわっ!さすがサフィ姉さまですの!お礼に後で珍しいお菓子を送りますわ!」
「あ、そう、うれしいわ」
うまくいったみたいで良かったわ。
でも、もしかして本当に幼い王子や王女を下僕にしている妄想をしているのだとしたら…エメル姉さまかお母様に相談すべきかしら?
-王女クリステラ視点-
さすがサフィ姉さまですの!
『なでなで』なら何の問題もありませんわ!
さっそく部屋に戻りますわ。
-主人公ケイト視点-
クリス様遅いなあ。
大丈夫かな?でも、のぞくのは怖いし。
あっ、ドアがゆっくり開いてく。
よし、正面向いて、下着は見えない目線で。
すとん
クリス様が座ってくれた。
「ケイト」
「はい」
すっ
なでなで
「え?」
「ケイト、いつもありがとう。これはご褒美ですのよ」
あ?え?い?う?お?
え?ご褒美?
「あ、あ、あ、あ、あありがとうございます」
「ふふっ、これからもわたくしに尽くしなさい」
「はい!」
-王女クリステラ視点-
ケイトったら、とってもいい笑顔ですわね。
たまにはこういうことも必要ですのね。
さあ、目も覚めたことですし、夕食前に午後の勉強ですわ。
お読みいただきありがとうございました。
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次回も明日、12月27日18時更新です。




