第38話 ドS王女様は寝返りをうつ
メリークリスマス!
時間を早く進めるのは今のところはしない代わりに毎日更新して日記感覚でスローライフ(エローライフ)を書いていこうかと思っています。
半畳から飛び出してこの世界か別の世界、もしくはこちらの世界を旅する展開も考えているのですが、ifとして別小説扱いで書こうかなと思っています。
令和2年1月5日
言い回し等の微修正。
-主人公ケイト視点-
ぎゅううう
むにゅうう
クリス様が手を離すとずれ落ちそうだから、一応軽く手で支えているけど…この状態はどう見ても抱き合っているよね。
ふう、慣れてきたかな。
うん、このくらいで恥ずかしがっていたら駄目だよな。
ぎゅううう
むにゅうう
クリス様、ずっと一人で寝ていたんだよな。
寂しかったのかな。
ぎゅううう
むにゅうう
よしよし。
思わず頭をなでたりして。
ぎゅううう
むにゅうう
はは、ははははは。
だめ、これは駄目だ。
どんなに強がっても、この胸の破壊力にはあらがえないっ!
どうしよう?
そうだ、眠くなる何かを出して眠れば!
「『日用品召喚』!何か眠くなるグッズ!」
ぽん!
手のひらに載っているのは糸の付いた五円玉。
なにこれ?
「(起こさないように小声で)『鑑定』なにこれ?」
『簡易振り子』
催眠術用グッズで、様々な催眠をかけることができる。
これだけっ?!
そうだ、ここは上級鑑定で!
「(起こさないように小声で)『上級鑑定』詳しい使い方教えてください」
『簡易振り子』
催眠術用グッズで、様々な催眠をかけることができる。
素人が使っても大したことはできないから、意味なかったな。
まあ、よっぽどな催眠体質の人にならかかるだろうけどな。
「あっ、『鑑定さん』こんにちは」
(鑑定の続き)
俺には心で話しかければ聞こえるから、声に出さなくてもいいからな。
クリス様が起きるとまずいだろ?
あっ、そうなんだ。
それで、これの使い方ってどうするの?
(鑑定の続き)
相手の目の前で左右に揺らして、催眠術にかけるだけだな。
でも、お前は素人だから催眠はかけられないぞ。
クリス様やお前が催眠にかかりやすい体質かどうかはわからんけどな。
ふうん、スキルがいるんだ。
(鑑定の続き)
そうだな。
…はっ!?
待て、おい待て、今の聞こえたか?
うん、ばっちり。
(鑑定の続き)
くっ!
その、何だ。気のせいだ。
忘れてくれ。
追加で魔晶石を100個くらい使ったらスキルについて教えてくれるのかな?
あっ、答えなくていいからね。
きっと返事だけでもさっき使った魔晶石の効果切れそうだし。
(鑑定の続き)
はあ。
どうしようかな。
絶対に教えていけないわけじゃないから最後に一つだけ言うぞ。
うん。
(鑑定の続き)
クリス様に教えて過度な期待はさせるな。以上だ。
え?
どういうこと?
…
返事がない。
でも、すごいことがわかったぞ。
この世界って『スキル』があるんだ。
俺自身を鑑定した時に『スキル』って出なかったけど、もしかして俺自身の『魔法の成功率を上げる効果がある』がそうかな?
いや、あれは『効果』って書いてあるから違うな。
あっ!
『●☆』ってあったぞ。
あれ、もしかしてスキルが伏せられているんじゃ?
(鑑定の続き)
そんな簡単に気づくなっ!
あれ?まだいたの?
(鑑定の続き)
あ、しまった!
ねえ、これスキル2つ?
片方パッシブで、もう一つは普通のスキルとか。
(鑑定の続き)
…
あ、答えなくていいよ。
でも、どうすれば使えるようになるのかな?
もしかして、俺自身に上級鑑定を…
(鑑定の続き)
それ以上言うな。
ああ、どうしようなあ。
スキル開放してる人なんていないのに。
…(聞こえるかな?)
(鑑定の続き)
ん?なんだ?
どうして黙っているんだ?
隠した心の声まで聞こえるかなって。
(鑑定の続き)
器用な奴だな。
聞こえてないぞ。
…(よしよし。しかし鑑定も自分でボロを出した分には魔晶石消費しないんだな。スキル解放ってあるんだ)。
(鑑定の続き)
何考えているんだ?
答えなくていいけど、俺がどんなスキル持ってるかなって。
(鑑定の続き)
まあ、想像して楽しみな。
どうせこの世界では使えないからさ。
…(簡単には解放させられないってことか。でも、探してみせるぞ)
じゃあ、ありがとね。
今のところは、クリス様には黙っておくよ。
(鑑定の続き)
ああ、そうしてくれ。
-王女クリステラ視点-
「クリス様、そろそろ時間です」
「ん?ふああ。お母さま、あと20分~」
「クリス様、朝のお母様の声と間違えているのかな?」
クリス様もスキルかもしれないって言ったら、きっとびっくりするかな?
『すきる』ってなんですの?
って言うかな。
ちょっと試してみようかな。
『能力解放』とかじゃないかなと。
でも、禁呪リストになかったよな。
いや、本当の禁呪は文字すら見せたくないだろうしな。
唱えて何か起きたら困るな。
例えば俺がここから消えるとか。
そうしたら、クリス様悲しむよな。
仕方ない。確信できるまでスキルのことはあきらめよう、
そうか、だから『クリス様に教えて過度な期待はさせるな』って言ったのかな。
スキルの存在にとらわれて、他のことをおろそかにしたら駄目だもんな。
「ともかく起こそう。クリス様、クリス様」
「んんー」
-王女クリステラ視点-
ふああ。
もう少し寝ていたいですわ。
でも、またお母さまに寝袋のチャックを開けられて落とされてしまいますわね。
「ともかく起こそう。クリス様、クリス様」
「んんー」
んん?
え?
そうですわ。
お昼寝中でしたのね。
でも、何だか体勢が変ですわ。
下を向いていますわよね。
それに、ケイトにしっかりと抱きついていますわ。
きっとわたくしが無意識にしたのですわね。
このまま目覚めると、目の前にケイトの顔があるのかしら…。
ケイトは下僕ですから別にいいのですけど、それでも、それでもちょっとは恥ずかしいですの。
ここは、寝たふりをしながら寝返りを打ちますわ。
「んんー、むにゃむにゃー」
くるんと体を回しますの、回し、あ、ああっ
普通に寝返りをすると、寝袋の中みたいにその場で回らずに落ちてしまいますわ!
「危ない!」
がしっ。
ほっ、ケイトが抱き留めてくれましたわ。
…もっとまずい体勢ですわよ。
落ちかけたわたくしを助けようとして、ケイトの腕がわたくしの胸の間にはさまりましたの。
故意じゃなくて事故ですわね。
それでもわたくしが起きていたらお仕置きするところですけど。
あっ、そっと腕を抜いてますわね。
くるん
あっ、しかもわたくしの体勢をひっくり返して、仰向けにしてくれましたわ。
助かりましたわ。
…ケイト、わたくしの考えに気づいたのかしら?
わたくしが恥ずかしいから寝返りうとうとしてひっくり返ろうとしたのを失敗したのに気づいて。
でも、それを黙ってできるのは良い下僕ですわね。
…
…
どうしてかしら、ケイトがこんなに優しいのに、ちょっとイラっとしますわ。
ケイトがわたくしを理解してくれていることが、わたくしより上手に感じてしまうからですわ。
ふふふふ。
ふふふふふ。
ふっふっふ。
おほほほほ。
少しだけケイトを困らせてあげましょうかしら?
-主人公ケイト視点-
「んんー、むにゃむにゃー」
クリス様が体を動かして、俺の体から転げ落ちそうになる。
「危ない!」
思わず手を伸ばして抱き留めたけど、腕がクリス様の胸の間に挟まった。
胸って91じゃないよな、もっと大きいって。
ドレスなのに、どうして服の上から腕が挟まるんだよ。
とにかく腕を抜こう。
ついでにクリス様を反転させてと。
だって、さっきの寝返りって、わざとだよね。
きっとうつぶせの体勢が恥ずかしくて起きられなかったんだ。
だいたい『むにゃむにゃ』なんて寝言、普通言わないって。
「んー、むにゃむにゃ」
くるっ
え?また?
落ちかけたクリス様を抱き留める。
クリス様、起きてるよね?
どうして落ちようとしたの?
「んー、むにゃんむにゃん」
もう寝言でも何でもないじゃないか!
反対に転がったクリス様をしっかり抱きしめる。
ぐるん、ぱしっ
ごろん、だきっ
右に左に。
これ、何がしたいの?
さすがにわからなくなってきた。
「むー、むにゃー」
ぐるっ!
クリス様がすごい速さで俺の上で半回転して、またうつぶせになった。
えっ?なんで元に戻るの?
「むにゃああん」
ずりずりずり
ああっ、どうして上に這い上がってくるの?!
クリス様の頭の位置は俺の胸の上なのに、それをされると、クリス様の顔が近くなって、わあ、や、やめて!
-王女クリステラ視点-
ふふふ。
ケイトったら、慌てていますわ。
これで、半回転してから、顔の近くまで言ってから目を覚ましてあげますの。
そしてこう言うのよ。
『あら、ケイト。何照れた顔をしているのかしら?わたくしの魅力に参ったのかしら?ふふっ、ケイトはお子さまねえ。おーほっほっほっほ』
ふふっ、完璧ね!
主人としての貫禄ばっちりですの!
さあ、やりますわよ!
ぐるん!
そして上りますの!
ずりずりずり
この辺りね。
さあ、目を開けますわ!
パチッ!
「あら、ケイト。何照れた顔を…ひゃあああああっ!」
近いっ!近すぎますの!
こ、こ、こ、この距離は危険ですわっ!
くるん
あらっ?
赤くなったケイトがわたくしを仰向けに戻してくれましたわ。
「クリス様、すみません。あの、その、とりあえず、時間ですから、起きましょう」
「そ、そうね。良く寝たわ」
ここは無かったことにしておくべきね!
わたくしは起き上がるとすぐに共用扉を呼び出して洗面所に移動しましたの。
お読みいただきありがとうございました。
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次回も明日、12月26日18時更新です。




