第34話 ドS王女様は半裸で椅子のカバーを外します
教科書はあらかじめ何を学んでいるか決めてあったので、今回磁石の勉強になったのは偶然なんですが…まさかこんなことになろうとは…。
令和2年1月5日
言い回し等の微修正。
-王女クリステラ視点-
まず状況を整理しますわ。
1.わたくしのブルマの中に棒磁石が入り込んだ。
2.ケイトの股の上に強力な磁石がくっついている。
3.棒磁石が強力な磁石に吸いつけられた。
4.わたくしはケイトの腰の上にくっつけられている。
ですわね!
わたくしがこれから取るべき行動は…
うなれ!わたくしの『ぐんじょ色の脳細胞』!
…
…
チーン!
ひらめきましたわっ!
この状況を打開する手段が!
ブルマの中の棒磁石に触れて、それを異次元箱に収納しますわ!
人前でブルマの中に手を入れるなんて恥ずかしいですけど、ケイトは寝ていますから平気ですわ。
んっ、んんっ
これですわ!
「『収納しなさい!』」
え?
「『磁石を収納ですの!』」
は、入りませんわ。
どういうことですの?
異次元箱には容量を超える物は入りませんし、身に着けているものは入れられませんわ。
でも、こういう服の中に入っている物は触れれば入れられるはずではありませんの?
もしかして、強力な磁石でブルマにくっついているせいで仕舞えないのかしら?!
すると、磁石をブルマから外して仕舞うしかありませんわ。
しかたありませんの。
棒磁石をずらして、ブルマからどかせれば、
全然動きませんわ!
えいえいえいっ!
びくともしませんの!
-主人公ケイト視点-
ん?
いかん、気絶していたみたいだ。
まだ股間が痛い。
というか、重い?
え?俺、仰向けになってる?
俺の腰の上、というか、股の上にクリス様が座ってる?!
「んっ!んっ!んっ!」
何をされているんだろ?
手をブルマの中に入れて?
あわわわ。
こ、これは、見てはいけないものでは?
よし、気絶したままのふりをしよう。
「んっ!んっ!んっ!」
目をつぶると、声がかえっていやらしいよ。
声もかけにくいし、
早く終わらせてください!
-王女クリステラ視点-
駄目ですわ。
わたくしの『ぐんじょ色の脳細胞』はとっくに正解を導き出していますのよ。
でも、それはちょっと難しいですの。
ブルマを脱げば、ブルマと棒磁石と強力磁石を仕舞えますの。
それからブルマだけ出せばいいのですわ。
でも、その間にケイトが目を覚ましたらどうしましょう?
起きた気配がしたら、「目を開けないで!」って命令すればいいかしら?
いいえ、いきなり目を覚ましたら困るわ。
でも、悩んでいる時間はありませんわね。
するするり
するっ
脱げましたわ!
「『収納ですの!』え?入りませんわ!」
強力磁石がケイトのズボンにくっついているから、ブルマがズボンとも一体になっているのですわ!
そうすると…ケイトのズボンを脱がすしかないですわ。
ケイトは下僕ですから、何も問題ありませんわね。
椅子のカバーを外すのと同じですもの。
-主人公ケイト視点-
声がしなくなったな。
もう、やめたのかな?
ん?
こんどはなんの音だ?
薄目を開けて、
ぶっ!
声を出さなかった自分に感謝状。
クリス様、ブルマ脱いでる?
しまぱん
みずたま
くまさん
3日目はまさかの『くまさん』。
いかん、目をつぶろう。
ごめんなさい、クリス様。
悪い下僕です。
かちゃ
かちゃかちゃ
ん?
んんっ?!
ちょ、何俺のベルトを触っているんですかっ?!
-王女クリステラ視点-
どうなっていますの?
このズボンのベルト、なかなか外れませんわよ!
こうかしら?
あっ、外せましたわ。
あとは脱がして…
ぐいっ
こ、これはケイトのパンツ!
(※毛糸のパンツではありません)
濃い青というか黒ですわ。
ぶんぶんぶん
何をじっくり見ていますの!
とりあえず、ズボンを脱がして、えーいっ!
-主人公ケイト視点-
ひえええええっ!
ズボン脱がされたっ!
く、クリス様?
いったい何をするつもりですか?
まさか…
いかん、いらんことを考えると、俺の棒磁石が北を向いてしまう!
心頭滅却!
付和雷同!
焼肉定食!
クリス様って肉食女子なんですかっ?
-王女クリステラ視点-
脱がせましたわ!
「『収納』!それから『磁石と砂鉄を取り除いたケイトのズボンとわたくしのブルマ出てきなさい!』」
ブルマを履いて…いいえ、ケイトが起きる前にズボンを履かせないと、いやらしいご主人様って思われますの!
脱がすのは簡単なのに、履かせるのは難しいですわ!
やっと履かせましたわ。
ああっ?!
ベルトを忘れていましたわ!
「『ベルト出なさい!』って、これはわたくしのベルトですわ!『ケイトのベルト出なさい!』」
落ち着くのよ。
落ち着くのよクリステラ。
得意な四字熟語を唱えて落ち着くのよ!
一石二鳥
一挙両得
精神統一
ふう、落ち着いたわ。
ケイトのベルトは…確かここを通してありましたわね。
-主人公ケイト視点-
ああ、もうお婿さんに行けない…。
一生ここで椅子として使ってもらおう。
とりあえず、磁石が俺の股間に直撃して気絶して、クリス様になにかあって、うん、なんとなく想像がつくけど。
ズボンを履かせてもらったら十分なのに、ベルトまで付けてくれているんだ。
仕方ない。終わるまで待とう。
-王女クリステラ視点-
やっと終わりましたわ。
あとはわたくしがブルマを履けばいいですわ。
…
…
いくらなんでもケイトの目が覚めるのが遅すぎませんの?
それに、こんなに動かしていますのよ。
ケイトは優しいから、もしかして、気絶したままのフリをしてくれているのかもしれませんわね。
ふふふ。
ふふふふ。
つまり、色々見た上で、気絶したフリをしているのね?
「ケイト」
「…」
「『何を見ましたの?』」
「『くまぱん』『俺の着替えをさせるクリス様』。はっ?!」
ここに都合よく、わたくしのベルトがありますわね。
「お・し・お・き・ですわ。椅子に戻りなさい」
「は、はひっ!」
ビシッ!
女戦士の時に鞭を振るったせいか、ベルトもすごくうまく使えますわ。
狙った通り、ケイトの背に、尻に、ももに、命中しますの。
「あっ!うっ!ああっ!」
「おほほほほほほ!」
お仕置きはやっぱり楽しいですわ!
「おーほっほっほほ!」
ふう、満足ですわ。
それほど強くしていませんから、怪我はしていないはずですのよ。
「ケイト、もういいですわ。磁石のことはよくわかりましたの。そろそろ片づけますわよ」
すとんと、わたくしはケイトの上に座りましたわ。
-主人公ケイト視点-
痛かった。
教科書や手で叩くより、ずっと痛いや。
必殺技程じゃなかったけどな。
「ケイト、もういいですわ。磁石のことはよくわかりましたの。そろそろ片づけますわよ」
すとん。
うん。
うん?
んん?
この背中の感触は?
「クリス様」
「何かしら?もう片付けていいですわよ」
「あの、その、怒りませんか?」
「何をですの?」
「畳の隅に、教材じゃないものが…」
-王女クリステラ視点-
「あの、その、怒りませんか?」
何かあったのかしら?
「何をですの?」
「畳の隅に、教材じゃないものが…」
教材じゃないもの?
水の入っている器は教材じゃありませんわね。
それがどうかし…これは…。
わたくし、お仕置きに夢中でブルマを履くのを忘れていましたわ!
「『ケイト!目をつぶって!絶対に動いてはいけませんわ!』」
「『はいっ!』」
慌ててブルマを回収して、『共用扉』を召喚して洗面所に逃げ込みましたの
-主人公ケイト視点-
ガラッ
すとん
クリス様が戻られて、俺に腰かけた。
座った感じで分かる。
今は王女様ドレスだ。
それがわかるのって変態だろうか?
いや、椅子として当然だからいいんだ。
「ケイト、もう目を開けて、動いてもよろしいわ」
「クリス様、その」
「お仕置きは済みましたの。謝る必要はありませんのよ」
優しいな、クリス様は。
「それに、面白い発見もありましたの」
「磁石のですか?」
楽しかったのかな。
それなら良かったけど。
「ケイトにお仕置きするときは、教科書以外にこれからはベルトでも叩けるとわかりましたわ」
ええっ?!
「それと、収納してある強力な磁石。あれを呼び出すとどうなるかしら?」
…
…
チーン!
クリス様は俺の絶望的な表情を見て、黒い笑みを浮かべる。
「そう、あなたの急所にまっしぐらですわ」
そんな誘導ミサイル的な使い方をしないでくださいっ!!
お読みいただきありがとうございました。
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次回も明日、12月22日18時更新です。




