第30話 ドS王女様に負けたくない妹たち
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令和2年1月5日
言い回し等の微修正。
-主人公ケイトの妹カリナ視点-
おにいが帰ってきた。
異世界で王女様の椅子をやっていたらしい。
そんな非科学的なことは信じられませんでしたが、おにいの顔は真剣でした。
そして、カリナ自身も魔法を使えました。
そこから導き出した結論は…おにいはまた異世界に行ってしまうということ。
こちらの1ヶ月が向こうの1日。
まるで浦島太郎。
つまり、向こうで1年過ごすとこちらで30年過ぎる。
向こうで3年過ごすと、こちらではもう誰も知っている人が居なくなる。
カリナも、マリナも、先に死んでしまう。
いや。
絶対いや。
カリナはずっとおにいと一緒に居たい。
おにいは、カリナたちが血の繋がっていない妹って知っているはず。
再婚した父さんと母さんのそれぞれの連れ子で、おにいが9歳、カリナたちが1歳の時に出会った。
カリナは1歳の時の記憶がある。
だから、本当の兄じゃないって知っている。
だけど、誰よりも好き。
愛してる。
10歳だから、まだ口にできないけど、
絶対に、絶対に、
王女様にだって負けない。
-主人公ケイトの妹マリナ視点-
わーい!
お兄ちゃんが帰ってきました!
本当に心配していたんだよ!
これからは毎日会えるね!
夜だって、今までみたいに一緒に寝ようね!
あの魔法で、毎晩マリナを呼び出してくれればいいから。
それに、
実の兄妹だけど、マリナはお兄ちゃんが大好き。
愛してる。
だから、将来は政治家になるつもりだった。
成績は常に1番。
運動だって誰にも負けない。
小学校では3年生からずっと生徒会長。
そして、将来は政治家になって、初の女性総理大臣になって、
兄妹でも結婚できるように、法律を変えるの!
でも、総理大臣になるまでに、お兄ちゃんが結婚する可能性もあったの。
それだけが心配だったの。
そうしたら、お兄ちゃんが異世界に行ったって!帰ってきたって!
異世界なら、きっと兄妹でも結婚できる!
だからお兄ちゃん!
異世界にマリナを連れて行って!
-主人公ケイトの妹カリナ視点-
おにいが帰ってきてから3日経った。
カリナはおにいの所で魔法の本を読ませてもらって、たくさんの魔法を覚えた。
勉強は嫌いだけど、興味のあることはすぐに覚えられるから。
でも、暗記しただけで、実際に魔法は使っていない。
魔晶石がもったいないから。
召喚した高価なものを『通信売買』で売ればいいのに、それは泥棒と同じだから嫌だというおにい。
確かに召喚したものは誰かのものかもしれない。
でも、『慰謝料』ならもらってもいいはず。
おにいは豚に復讐を考えていないと言った。
でも、カリナは許さない。
「『上級装飾品召喚』!豚の一番大切なもの!」
出てきたのは大きな真珠。
まさに豚に真珠。
これは、豚の家に伝わる家宝の1つ。
豚の親がテレビで自慢していたから知っている。
豚の物として出てきたってことは、親が豚にあげた物かもしれない。
これを無くしたことで、豚がどれほどのお仕置きをされるかわからないが、屠殺されるよりはマシと思いなさい。
「『通信売買』豚の真珠を売ります!」
あ。
これは想定外。
こんなに魔晶石が出るの?
相当に価値のあった物らしい。
なら、慰謝料の一部にはなった。
おにいのことだから、きっと受け取らないでしょう。
だから、これは、
おにいがカリナたちを呼び出すまでの準備に使う。
-主人公ケイトの妹マリナ視点-
お兄ちゃんが戻ってきてから5日。
毎晩、お兄ちゃんのところに行きたかったけど、魔晶石がもったいないから駄目って。
そうだよね。
クリス様の所に帰る為に、いろいろやりたいことあるよね。
でも、マリナは、もっとお兄ちゃんと一緒に居たいよ。
マリナは勉強はできるけど、アイディアを出すのは苦手。
だから、カリナに相談することにした。
「カリナ、相談事があるの」
「おにいと一緒に行くこと?」
「さすが双子だね、わかるんだ」
「双子じゃなくてもわかるよ。でも、駄目」
え?駄目?
「お兄ちゃんと一緒に行ったらだめなの?」
「いくつか理由がある。まず、今行っても勝てない」
「勝つって何に?」
「王女様に」
「だって、王女様はお兄ちゃんのご主人様だよ」
「それはまだ、王女様がお子様だから好きなことに気づいていないだけ。あの指輪を見たらわかる」
「左手の薬指だったね」
「結婚指輪の位置。あれを無意識にしてしまうのは、きっと心の底で好きだから」
そうなんだ。
「王女様はすごくきれいでプロポーションもいいらしい。でもカリナたちはぺったんこ」
確かに。
「マリナはお兄ちゃんを独り占めする気はないから、その、一緒に居られればいいし」
「結婚したいんでしょ?」
「う、うん」
「兄妹なのに?」
「だから、異世界に行けば許されるかなって」
「それならなおさら、今はだめ」
今は?
「まず、行き先がたった半畳しかない。4人も居られない」
「マリナはお兄ちゃんの下でもいい!」
「だからカリナたちは『別の所』に行く」
「別の所?」
お兄ちゃんと違う所に行くなんていや!
「カリナたちは、クリス様の姉さまたちのところに行く」
「えっ?」
「きっとおにいが舞闘会っていうので活躍するはず。そうしたら、おにいのような『役に立つ椅子』が欲しいって思うはず。だから、」
だから?
「カリナとマリナが、舞闘会で活躍できるような『椅子』になっていればいい」
「でも、おにいとは違う所だよ?」
「お隣だから、いつでも会いに行けるはず。たぶん共用部分で会うことも可能」
すごい!さすがカリナ!
「それに、今すぐでなければ、カリナたちも成長する」
「成長?」
「カリナたちのお母さんの胸を思い出せばわかる」
「すごく大きいの」
「20日後に舞闘会。こちらの時間でだいたい2年ないくらい。次の舞闘会までに呼び出されたら、4年くらい。丁度、その王女様と同じ年になる」
「それなら、きっと勝負になる!」
「お母さんが、もう中学校で巨乳だったって言ってた。だから、きっと大丈夫」
それなら!
マリナは素敵な女性になって、お兄ちゃんの前に現れるの!
それに年齢もお兄ちゃんと近くなるのね!
「すぐ準備を始める。魔法の本は全ページ撮影済みだからデータを渡すけど、万が一にも無くさないで。あと、魔晶石もここでしか使わないこと」
「うん」
「あと、覚悟はある?」
何?とは聞き返さないから。
だって、そのくらい、マリナにもわかっているもの。
「お父さんとお母さんと、友達とも別れる覚悟ならあるの」
「それならいいわ。大丈夫。それにお父さんとお母さんは仲が良すぎるから、きっとさびしくなくなるわ」
じゃあ、マリカたちが召喚してもらえるように、準備しないと!
-主人公ケイト視点-
帰ってきてから10日が経った。
時間の進み方が30倍違うなら、向こうの8時間はここの240時間で、10日になるはず。
そろそろクリス様が目を覚まして、召喚してくれる頃だろうか?
今、俺の側に妹たちはいない。
今呼ばれたら、お別れ言えないな。
でも、もうお別れしたからな。
俺は決めたんだ。
ずっとクリス様のところに居るって。
クリス様にプレゼントする、クッションとセーターを編んだついでに毛糸のパンツも編んだけど、これ、嫌がられるかな?
保留しておこう。
異次元箱の中に入れておいたお椀は、こちらの世界で取り出せた。
だから、異次元箱の中に入れたものは空間を越えて運べるってわかった。
それとクリス様の残り湯、もとい、お風呂の残り湯を使って異次元箱の容量調べるのを忘れていた。
だから、ここで風呂に入るたびに残り湯を異次元箱に入れてみたら、3日分が全部入った。
捨てようとして出した水で、お風呂場で水死しかかったのは妹たちには内緒だ。
お土産は妹たちに頼んで、色々手に入れた。
妹たちは快くいろんなものを集めてくれた。
もっとも、10歳で集められる物なんて知れているけど。
文具とか食べ物とか100均のものとかだよ。
魔法の本も読みこんだ。
クリス様から預かった50個もの魔晶石。
魔法の練習でその半分を使ってしまった。
でも、向こうに戻ったら、俺は今まで以上にクリス様の役に立てる自信がある。
25個の魔晶石は持ち帰って使おう。
お土産はもっとほしいけど、下手な物を召喚したら泥棒だからな。
泥棒…
待てよ。
無くなってもいいものってあるんじゃないのか?
例えば…
「『上級装飾品召喚』!確実に失われる状況にあるアクセサリー!」
あちいっ!!
手の中に出てきたのは、すごい熱さの指輪だった。
これ、うっかり焼却炉に入っていたのかな?
まて、これが火事場で、誰かが身に着けていたとしたら…
そんなもの、クリス様にあげられないよ。
いかん、捨てよう。
ゴミ箱…はだめだ。
本来の持ち主が居る所に戻るように
「『送還』!」
よし、消えた。
うーーーん、何にしよう?
そうだ!
「『上級装飾品召喚!』誰も見つけていない鉱脈にある宝石!」
ごとん。
これ、原石?
何かわからないけど、どんどんゲットしよう。
うまく行けば、これを売って魔晶石がもらえるからな!
このくらいでいいかな。
魔晶石は10個残した。
お?!
俺の足元に、魔法陣が現れる。
「来た!クリス様!すぐに行きます!」
俺はその魔法に身を委ねた。
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次回も明日、12月18日18時更新です。




