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第3話 ドS王女様は91

何話で一日終わるのでしょうか?

10話くらいかな?


令和元年12月9日。抜けていた台詞を補完しました。


令和2年1月4日

初期でクリステラの言い回しが現在と違っているため修正しました。

誤字や改行を修正しました。

―主人公ケイト視点―


「午後の勉強の時間ですわ。『教科書よ!』」


クリス様は異次元箱から教科書を取り出した。


って、この世界って教科書あるんだ。


横から見ると、日本語だった。

あるいは、異世界だから俺には日本語に見えるようになってる?


『翔学生の算数3上』


えっと、何か違う。


小さくないんだ。

羽ばたく年頃なのかな?


クリス様は胸に載せるようにして教科書を読んでいる。

いくら机が無いからって、胸に載せるか?

俺は思わず胸を凝視してしまう。


クリス様って身長は低いけど、もしかしてハタチだったり?


「失礼ですがクリス様は、おいくつなのですか?」

「え?わたくし?」




-王女クリステラ視点-


わたくしは異次元箱から教科書を取り出します。

召喚時に科目名を指定しないときはランダムな教科書が出てくるのよ。


『翔学生の算数3上』


算数は最近やっとここまで来ましたの。

お姉さまたちには


「あなたの栄養は全部胸に行ってるわね」

「頭使う仕事より、ミルク絞って売った方がいいですわね」

何てことを言われてますの。


『翔学生の算数()』ですわよ!

こんなに難しいのに、お姉さまたちは何を言っているのでしょうか?

14歳で九九ができるなんて、すごいことですわ。

きっとわたくしは王国一の天才美少女なのですから。



「失礼ですがクリス様は、おいくつなのですか?」

「え?わたくし?」


ふいにケイトが聞いてきました。


『おいくつ』って何のことを…。


その視線の先にあるのはわたくしの胸。


あっ。


えっ。


えええええっ?!


げ、下僕ってそんなことまで知ろうとするんですの?


フケツですわ。

スケベですわ。

これはお仕置き決定ですわ。


いえ、きっと下僕としては、わたくしの全てを知ったうえで奉仕をしようというつもりなのかもしれませんの。


仕方ありませんわ。

ここは王女の度量を見せますの。


「わたくしは91ですわ」



―主人公ケイト視点―


やっぱり年齢を聞くなんて失礼だったか。

女の子だし、王女様だし。


でも、知りたいよな。

年上かどうかだけでも知らないと、接し方が変わってくると言うか。



「わたくしは91ですわ」


クリス様の口から飛び出したのは想定外の爆弾発言。


「えっ?!えっと、それ、本当に?」

「ええ、もちろんよ」


クリス様の表情を見る限り、嘘をついているように見えない。


信じられない。

10代か20代と思っていたのに。


そうか、きっとエルフなんだ。

91でも若いんだな。

金髪縦ロールで良く見えないけど、耳の先がとがっていたりするんだ。



「そうなんですか。すると、やっぱり先がとがっていたりするんですか?見せてもらってもいいですか?」


それを聞いたクリス様の顔は真っ赤になった。


「ば、馬鹿ものっ!えい、えいっ!」


突然バシバシと教科書で俺のお尻を叩き始めた。


痛い。痛いけど、嫌な痛みじゃない。

豚王の気まぐれで叩かれるのは腹が立ったが、これはそんなんじゃない。


でも、急にどうしたんだ?

そうか、やっぱり自分の耳を見せるはの恥ずかしいのかな?



-王女クリステラ視点-


しまったわ。

言ってしまったわ。


いくら下僕でも、そんなこと教えてどうするんですの?

うかつでしたわ!



「そうなんですか。すると、やっぱり先がとがっていたりするんです?見せてもらってもいいですか?」


ボンッ!


自分の顔が熱くなるのが分かりますわ。


サイズばかりか形状まで知ろうとするとか、これはもう下僕ではなく変態ですわ。

しかも見てみたいとか大変態ですわ!


「ば、馬鹿ものっ!えい、えいっ!」


恥ずかしさのあまり、無意識に持っていた教科書で、ケイトのお尻をバンバンと叩いていましたの。


「クリス様ごめんなさい。エルフでしたら耳の先が尖っているかと思ったけど、そんな簡単に見せるものじゃないですよね」


ケイトが良くわからないことを言っています。


エルフって伝説の種族ですわね。

確かに耳が尖って、長寿で、長寿?


91…尖った耳…


『おいくつ』なのですか?



あああああああああああああああああああっ!


分かったわ。

わたくしの天才的な『ぐんじょ色の脳細胞』が答えを導き出しましたの。


ケイトはわたくしの年齢を聞いたのですわね。


それでわたくしはうっかり『91』と答えてしまいましたの。


どうしましょう。


間違いを訂正するにも、王女の威厳というものが。


威厳?


そうだわ。わたくしは王女なのよ。


下僕に何を遠慮することがあるの?


「ケイト。『いくつ?』なんてわたくに聞かれても、ちゃんと『年齢は?』と言ってもらわないとわからないわ」

「え?はい、すみません」

「おかげで、わたくしは胸のサイズを教えてしまいましたの」

「!!」


その驚いた顔!なんてすばらしいの!

驚きながらも真っ赤になって、すごく胸がきゅっとするような表情ですわ。


「す、すみません!でもその」

彼の目線がわたくしの胸に来て、すぐ逸れた。


「いけない下僕ですわね」


わたくしは教科書でバシバシとケイトのお尻を叩く。


ケイトを叩くたびにビクっとするのが、彼の背中越しに伝わってくる。


「『わたくしの胸のサイズは忘れなさい』」


そうわたくしは命じてみた。


「…もうしわけありません。記憶から消えないです」

「仕方ないわね」


どうやら、動きに対する命令は聞かせられても記憶までは消せないようですわね。


さて、意地悪はここまでにして、質問に答えてあげますわ。


「わたくしは14歳ですの。ですから、こんな高度な勉強をしていますのよ」


そう言って、わたくしは教科書をケイトに手渡しますわ。


それを見たケイトは目を見開いていますの。


ふふっ。

わたくしの頭脳に恐れ入ったのかしら?




―主人公ケイト視点―


何だろうこの内容は?

本当に小学校3年生程度の問題じゃないか。


もしかして、この世界ではこのくらいが普通?


「学校とか行かなくて、ご自分だけで勉強しているんですか?」

「がっこう?」


首をかしげるクリス様。


「もしかして、学校ってないのですか?」


もしかして、学校どころか『外』が無いのでは?


あるいは、学校はこの王国の外のさらに外のはるか向こうで、なかなか行けない所なのでは?


「そういえば、勉強をするための場所が世界の果てにあると聞きますわ。それが『がっこう』なのかしら?」


世界の果てレベルだった!


どうなってるんだよ、この世界。


教科書で驚くより、もっと驚くことがあった。


14歳で91?


身長は140センチも無いみたいだけど、それでその大きさ?


この狭い世界でその大きさは困らないのかな?

身長の低さは世界に合わせているだろうに、なんで胸だけ?

俺はクリス様に教科書を返す振りをしながら、胸をチラ見する。


バシッ!


クリス様は受け取った教科書で俺のお尻を叩いてきた。


「あ、あの。叩いてもらうために返したんじゃないですけど」

「また見たわよね?わたくしの胸?」

「あ」


バシッ!バシッ!


「いけない下僕ですわ」


怒っているというより、嬉しそうに聞こえるのは気のせいだろうか?


バシッ!バシッ!


なかなか勉強は始まりそうになかった。

お読みいただきありがとうございました。

次は11月21日18時に更新します。

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