第25話 ドS王女様の必殺技はそれにふさわしく
やっと必殺技が出せます。
令和2年1月5日
言い回し等の微修正。
-主人公ケイト視点-
いよいよだ。
いよいよ、疾風の女戦士スピカの必殺技が拝める。
まず、試しにレオパルドタンクマンの必殺技を使ってみよう。
「『必殺技』!やりなさい!」
『やる』が『殺る』じゃないあたりがクリス様の優しさだよな。
「ブオオオ!『地獄の砲撃』!」
背負った砲塔の先端から飛び出した真っ赤に焼けた弾が分裂し、ガンガンザーの体に降り注ぎ、弾き飛ばした。
「すごいですわ!」
はじきとばした必殺技もすごいけど、それで傷一つないガンガンザーもすごいな。
「次はスピカの出番ですわ!」
クリス様は駒箱から疾風の女戦士スピカをガンガンザー(起こし済み)の前に出現させて、指輪を小指にはめる。
「え?それって特級の指令環じゃないですか?」
「そうよ!だって、わたくしが自ら体験したいですもの!」
-王女クリステラ視点-
丈夫な「的」であることがわかったから、心置きなくスピカの必殺技を試せますわ。
わたくしはスピカを配置して、特級の指令環を取り出して小指にはめますの。
「え?それって特級の指令環じゃないですか?」
「そうよ!だって、わたくしが自ら体験したいですもの!」
舞闘会じゃなくても駒に乗り移ることは可能ですのよ。
「『起動』!」
わたくしの視界が切り替わり、目の前にガンガンザーが立ちはだかっていますわ。
ふふふ。
わたくしの必殺技で沈めてあげましてよ!
「『必殺技』!出なさい!」
しーん
あら?出ませんわ?
「『必殺技』!行きますわよ!」
しーん
ど、どうして出ませんの?!
「クリス様」
大きなケイトがわたくしをじっと見つめています。
「もしかして、指令環を使わない場合は、技名が要るんじゃないですか?」
はっ?!
そうですわ!
さっきのレオパルドタンクマンも自分で技名を叫んでいましたわ。
でも、技名なんてわかりませんの。
「クリス様、とりあえず、元に戻って」
「駄目なのよ」
「え?」
舞闘会はやられるか、勝利すれば元に戻れますわ。
時間切れでも戻りますけど、たいてい勝負がつきますの。
「わたくしがやられるか、舞闘会でない場合は30分待たないといけませんの」
「それなら、待ちましょう」
そうですわ。
やられるのは結構痛いですもの。
待つしかありませんわ。
でも、時間が惜しいですの。
そろそろ夕食時ですわ。
「クリス様、必殺技を俺が調べましょうか?」
わたくしがそわそわしているのに気付いたのか、ケイトがわたくしの顔をのぞきこんできましたわ。
「わかりますの?」
「おそらく、『鑑定』でできるかと」
それは名案ですわ!
-主人公ケイト視点-
クリス様、うろうろしているな。
きっと30分待つのがつらいんだろうな。
うーーーーーーーん
うーーーーーーーん
ん?思いついた!
「クリス様、必殺技を俺が調べましょうか?」
「わかりますの?」
「おそらく、『鑑定』でできるかと」
普通の物じゃないから上級魔法が必要かもしれないけど、それでも必殺技名だけでもわかればいい。
いつもみたいに、問いかけてみれば大丈夫だろう。
「では、クリス様。俺の手の上に乗ってください」
「の、乗りにくいですわ」
俺の手の平に胸がこぼれそうな女戦士姿のクリス様がっ!
フィギュア好きな人の気持ちが少しわかった気がする。
「魔晶石はあとで渡しますわ」
「はい。では、『上級鑑定』!必殺技の名前とか色々教えて!」
『クリステラin疾風の女戦士スピカ』
パワーがあり、特にスピードに優れた女戦士。
必殺技は『十字斬撃』で、一閃で十字の斬撃を放つことが出来る。攻撃範囲は前方の至近~近距離。敵をある程度倒すと、『百花繚乱斬』という必殺技を発動することもできる。これは一閃で周囲に百の斬撃を放つ技である。攻撃範囲は周囲の至近~中距離。
色々って何知りたいの?そうだな、女戦士の胸は83だけどクリス様はもっと大きいから、実は胸の先までは隠れていないぞ。駒だから乳首は無いけどな。
そのかわりほくろが2つ並んでいるのは見えるだろ?それはクリス様のほくろだからな。
「うん、確かに」
胸の先の辺りにほくろが2つ並んでいるな。
って、待てー!
ほくろも本人と同じ位置に現れるってこと?
(鑑定の続き)
そうだよ。他にもお尻
「やめてー!どうして会話が成立してるんだよっ!」
「ケイト、どうしましたの?」
あっ、まずい。
クリス様に何て説明しよう?
-王女クリステラ視点-
「うん、確かに」
え?何を感心しているのかしら?
それにわたくしをじっと見ていますわ。
きっと鑑定で何かわかったのね。
「やめてー!どうして会話が成立してるんだよっ!」
ケイトが急に叫びました。
目をつぶって、首をぶんぶんと振っています。
いったい何があったのかしら?
「ケイト、どうしましたの?」
「クリス様。その、あの、」
すごく言いにくそうにしていますわね。
「鑑定で何が分かったのかしら?」
「はい。実は」
まあ、必殺技が二つも?!
きっとSRだからですわね。
それにとても強そうな技ですわ!
「それと…」
あら、まだ何かあるのかしら?
「すみませんっ!鑑定が変なことを教えてきました!え?黙っていたらわからないだろって?そんなこと言っても!」
ちょっと、何と話していますのよ?
「実は、鑑定がまだ、続いていて」
「え?」
上級の鑑定ってそんなふうなのかしら?
「『鑑定』と会話をしている感じなんです」
まあ、それはすごいですわ!
「それなら答えてもらったことにまた質問ができますわね!」
「そうなんですけど、変なことも勝手に教えてきて…ああっだから、もうそういう情報はいらないからっ!」
何だか嫌な予感がしますわ。
「『ケイト、何を聞いたか全て話しなさい』」
「はい!」
-主人公ケイト視点-
ああっ、やっぱり怒られるよな!
「『ケイト、何を聞いたか全て話しなさい』」
「はい!」
ああ、『命令』されて勝手に口が!でも、元々話すつもりだったけど!
俺の報告を聞いて、クリス様の表情が曇っていくのがわかる。
こんな小さいのに、すごい怒りを感じる。
「必殺技の的はケイトに決定ですわね」
「ええっ?!」
舞闘会じゃないのに剣で切られたら、大けがするかもしれないよ!
「鑑定の魔法って、まだ効いてるかしら?『わたくしが武器を持ち換えることは可能かしら?って聞きなさい』」
(鑑定の続き)
問題ないぜ!そうだな、このボウヤのお尻にビシビシと技を繰り出せるように、鞭とかいいんじゃないか?駒用の武器は『舞闘会用駒召喚』の魔法で武器の種類を言うと出せるから試してみな!
「クリス様の言葉を伝えなくても聞こえているらしくて、俺が言わなくても返事がきました。……だそうです」
「ケイト、『鞭を召喚しなさい』」
ですよねー!
-王女クリステラ視点-
『上級鑑定』でまさか『鑑定』の魔法と会話ができるとは思いませんでしたわ。
でも、わたくしのほくろの位置とかを教えるのは感心しませんわね。
これからケイトが鑑定するときには、そういうことを教えないように、鑑定するときに言ってもらいますわ。
「『舞闘会用駒召喚』!女戦士の仕える武器で鞭とか色々出て!」
あら?鞭以外も出すつもりですわね。
確かに、駒ひとつ出すのに比べれば、魔晶石ひとつで武器ひとつはつりあいませんわね。
お仕置きされるってわかっているときでも、そうやって考えて行動するのがケイトの良いところですわ。
それでもエッチなのは良くないところですわ。
鑑定が勝手に言ったかもしれませんけど、その魔法を使ったのはケイトですから、お仕置きは決定ですのよ。
素直に言わなければ…いいえ、隠し事をしないなんて、素晴らしい下僕ですのよ。
「クリス様、どうぞ」
わたくしの目の前にケイトの手が拡げられて、そこには鞭の他に、色々な武器が載っていますの。
「これが槍で、これがフレイル、これはショートソードと楯です」
「鑑定が教えてくれましたの?」
「いえ、これは俺自身の知識です。あと、『鑑定』が「ではさらば」って言ってました」
あら『鑑定さん』は帰ってしまったのね。
さて、鞭を持って、ケイトのお尻の前に行きますわよ。
「ケイト、もっとお尻を下げないと当たりませんわ」
「お、お手柔らかにお願いします」
ぴしっ!
「うっ!」
「椅子にそれを決める権利はありませんのよ!」
さあ、いよいよですわ。
まずは『十字斬撃』ですわね。
「『必殺技』!『十字斬撃』よ!」
わたくしの体が勝手に動いて、ケイトのお尻めがけて鞭を振り下ろしましたの。
ビシイッ!!
「あうっ!」
すごいいい音がしましたわ!
ズボンに十字型のへこみが出来て、この技がちゃんと一閃で十字の技が出るってわかりましたわ。
「クリス様。必殺技って言わなくていいのでは?」
そう言えば、レオパルドタンクマンも言ってませんわね。
「『十字斬撃』よ!」
ビシイッ!!
「くうっ!」
出ますわね。
「『十字斬撃』!そして『十字斬撃』よ!」
ビシイッ!!
「あうっ!」
あら?連続では出ませんのね。
どのくらい時間があけばいいのかしら?
-主人公ケイト視点-
クリス様は時間を計りながら俺のお尻をひたすら鞭打ち始めた。
いわゆるクールタイムってやつだよな。
うん、たぶん20秒くらいだ。
結構連続使用できるんだな。
「あら?」
ん?どうしたのかな?」
「ケイト、『もう一つの必殺技が使える予感』がしたわ」
「え?」
クリス様を見るけど、からだが光ったりとか、特に違いは見つからない。
「いきますわ!『百花繚乱斬』!」
シュババババババッ!
シュババババババッ!
シュババババババッ!
「いだだだだだだっ!」
あかん、これは痛い!
服の上からなのに、お尻の皮がむけそうだ。
「結構効いたかしら?きゃっ?!」
あれ?どうしたのかな?
-王女クリステラ視点-
シュババババババッ!
シュババババババッ!
シュババババババッ!
すごいですわ!
わたくしの周囲で、鞭が舞い踊っているようですの!
ケイトのお尻にも何十発もの鞭が当たっていますわ。
「結構効いたかしら?きゃっ?!」
ケイトのズボンが破れて、おそらくその下の下着も破れて、すこしですけど、お尻がみえていますの!
ほんの少しですけど、ケイトのお尻ですわ。
思わず目を覆いますの。
でも、ちょっとだけ指の間から見ますわ。
見事に破れてますわね。
怪我とかはしていないようですけど、赤くなっていますわ。
「ケイト、ズボンとか下着をやぶってしまったみたいですわ」
「えっ?ああ、ちょっとなら大丈夫です。針と糸を出して直します」
針と糸で直すって、『翔学生の家庭』で見ましたけど、難しそうでしたわ。
「良くやってましたから、楽勝ですよ」
ケイトは有能ですわね。
お仕置きはもうこの辺でいいですわ。
「ケイト、そろそろ片づけて夕食にしますわ」
ぽん!
わたくしは突然元に戻って、領地の隅に立っていましたわ。
ちょうど元に戻る時間でしたのね。
ケイトはそれに気づいて椅子の状態になっていますから、わたくしは腰を下ろしますの。
いい運動でしたわ。
「ケイト。ズボンは少しの破れですから、直すのはあとにして、夕食からしますわよ」
「はい」
さあ、今日の夕食はケイトに何を出してもらおうかしら?
お読みいただきありがとうございました。
ブックマークとか感想とかいただけると嬉しいです(^ー^)♪
次回も明日、12月13日18時更新です。




