第15話 ドS王女様はドロワーズを履かない
ドロワーズ萌えとか需要あるのかな?
令和2年1月4日
初期でクリステラの言い回しが現在と違っているため修正しました。
その他分かりやすいように微修正。
-主人公ケイト視点-
見たらわかる。
くさいやつやん。
と思わず宮○大輔っぽく言いたくなる。
これはドリアン。
機内に持ち込んだらいけないとされる危険物。
そもそも鈍器になりかねない大きさと重さとトゲトゲ。
それよりもひどいのがこの匂い。
それでいて味は極上。
『果物の王様』と言われるが、その取りつかいは要注意なのだ。
「こ、これが『地獄の果物ドリアン』ですの?!」
こっちの世界の呼び名はひどかった。
「地獄?」
「最高の味なのに、食べている場所に居られなくなるのよ。お風呂場かトイレで食べるようにって言われているわ」
そりゃあこの半畳で食べるのは自殺行為だよな。
風呂場とかならあとで消臭されるし。
「でも、服とかに臭いが付くのよ。体や髪にも臭いが付くから、お風呂の中で食べるくらいしかないわね」
「やめます?」
「もったいないわよ!これ、上級魔法でもなかなか成功しないのよ」
レアなんだ。
「エメル姉さまは果物ばっかり食べているから、割と成功率高いらしいのよね」
なるほど。
今度何かを渡す機会が有ったら、は何か珍しい果物でも出そうかな。
うーん。
何か食べるのにいい方法無いのかな?
とか考えつつ、魔法の本をどんどん読み進んでいく。
これでも勉強はできる方だし、速読だってお手の物。
魔法の知識だって、ラノベ読むレベルですいすい入っていくよ。
『召喚魔法は、その場に実物がある場合は、そこから抽出されることがあるので注意』
本当はこれ、翔学生向けにひらがなで書いてあるけどね!
あれ?これって…。
「クリス様。ここ見て下さい」
「…そう言えばそんな話もあったわね。1下で書いてあったのにすっかり忘れていたわ」
「このドリアンから、美味しいジュースだけ絞ってみましょうか?」
「でも、ジュースも臭いのよ」
「大丈夫です!」
「それなら、うまくやりなさい。失敗したらお仕置きですわよ」
魔晶石を渡してくれるクリス様。
信用してくれているのはありがたいけど、万が一ってこともあるよな。
「やっぱり洗面所でやってから、こっちへもってきます」
「その方が無難ですわね」
俺は共用扉をくぐって洗面所に行き、扉を閉めて魔法を唱える。
「『飲物召喚』!ドリアンのジュースのクサイ臭いだけなしで!」
置いてあったドリアンの見た目に変化はないけど、手に持っていたカップになみなみとジュースが出てきた。
うん、臭くない!
「クリス様!成功です!」
ドアを開けてクリス様にジュースの入ったカップを渡します。
「どうやったのかしら?」
俺は唱えた呪文を詳しく教えます。
「そんなことができるの?いえ、きっとケイトだから出来たのかもしれないわ。普通はそんなことをしても、思った通りの結果が出なかったりしますのよ。ピーマンを苦くないようにするとかできませんもの」
失敗1とか2だったら、臭くなる可能性もあるだろうな。
「本当においしいわね。おかわりもらえるかしら?」
「クリス様、なるべく大きな入れ物ありません?魔晶石がもったいないです」
「そうね。これはどうかしら?」
クリス様は異次元箱から大きなふた付きガラス瓶を取り出しました。
「使い道がないかと思って取っておいた瓶ですけど、丁度良くないかしら?」
「やってみます!」
俺は再び魔晶石を受け取って洗面所に移動すると、再び魔法を唱える。
「『飲物召喚』!ドリアンのジュースのクサイ臭いだけなしで!」
右手に持っているガラス瓶が半分以上満たされた。
臭いも…無い!
「できました!」
「あら?一杯にならないのね」
「たぶん、中身が無くなったからじゃないでしょうか?ほら、ドリアン軽くなってます」
「中身が無くなったから少なくなったのね…あ…ああっ!」
急にクリス様の目が見開かれて、大きな声を上げました。
いったい何があったんだろう?
-王女クリステラ視点-
ガラス瓶に一杯のジュースが出来たら、異次元箱に保管して、またあとで飲むことにしましょう。
異次元箱は時間停止するから、食べ物の保管にも使えますのよ。
でも、あまり入れられないから何でも入れるわけにはいきませんけど。
「できました!」
ケイトの差し出した瓶を見ると、入っているのは半分ちょっとくらいですわ。
「あら?一杯にならないのね」
「たぶん、中身が無くなったからじゃないでしょうか?ほら、ドリアンが軽くなってます」
「中身が無くなったから少なくなったのね…あ…ああっ!」
中身が無いと出ない。
中身が少ないと、少なくしか出ない。
それって、わたくしのミルクを2回目に絞った時と同じですわ!
2回目だから、少ししか出なかったんですわ!
それで姉さまたちのミルクは、
『召喚魔法は、その場に実物がある場合は、そこから抽出されることがあるので注意』
ってことから考えると、出てきたのは姉さまのミルクとそっくりなミルク。
つまり、実際に絞った物ではない、模造品ですわ。
だから、姉さまたちは胸が痛いとかそういうのが無かったのね。
つまり、あの作戦は、姉さまたちが居るところなら、うまくいくはずですわ。
そのためには、やっぱりケイトに事情を話して…
いえ、駄目ですわ!
下僕がわたくしのミルクを飲んだなんて知られたら一大事ですの!
幸い月末までにはまだ時間がありますから、作戦はゆっくり立てていきますわ。
それより、まずはわたくしのテスト勉強。
そして、ケイトがもっと魔法を使えるようになることですわね。
-主人公ケイト視点-
「ケイト、あなたは飲みませんの?」
ドリアンジュースの入った瓶をちゃぷんと振るクリス様。
「ミルクを飲み過ぎて、飲み物はもういいです」
「そ、そうね」
何か少し、クリス様の顔が赤いような?
ドリアンって血行が良くなるとかあるのかな?
さすが果物の王様。
「ところで、このドリアンどうします?」
「捨てるわ。『ごみ箱』がありますの」
クリス様は俺からドリアンを受け取ると、
「『ごみ箱』へ行きなさい!」
と言って、ドリアンを持っている手を放すと、その下に黒い穴が開いて、ドリアンがすっとそこに吸い込まれて消える。
朝にクリス様のお母様の手が出てきた黒い穴に似ているな。
「クリス様。俺にも異次元箱やごみ箱が使えませんか?」
「え?ケイトは使えませんの?」
「俺の居た世界には無いんです」
使えるのが常識なのか。
「わたくしが異次元箱を使えるようになったのは2歳になる前で、普通は3歳か4歳くらいからですわ。ごみ箱も同じくらいですの」
「もしかして、召喚魔法みたいにいきなり使えたりしませんかね?」
「やってみたらどうかしら?」
しまった、さっきのドリアンで実験すれば良かった。
失敗したら、何が起こるか分からないよな。
「クリス様。失敗するとどうなるんです?」
「どうって…失敗ってあるのかしら?あれは、できるかできないかだけですわよ」
そうか。それならやってもいいよな。
でも、何を?
そうだ!この積みあがった教科書を片づけよう。
まず1冊だけ。
「『この教科書を異次元箱にしまいます!』」
すっ
あっ!消えた!
「『教科書よ、出ろ!』」
ぽん!
出た!
「できるみたいですわね」
「はい!これでクリス様の荷物を預かれます!」
「えっ?」
あれ?何かまずいこと言ったかな?
-王女クリステラ視点-
「『教科書よ出ろ!』」
ぽん!
きちんと出せたわね。
これでケイトも自分の持ち物を入れておくことができますわ。
「できるみたいですわね」
「はい!これでクリス様の荷物を預かれます!」
「えっ?」
何?わたくしのものを入れる気なの?
まさかわたくしの下着とかを入れたいとか。
やっぱり変態なのかしら?
「クリス様の異次元箱が狭いって話でしたから。クリス様が捨てたくないものを俺が預かることができますよね」
まあ!
なんて主人想いの下僕なのかしら。
ご褒美を、いえいえ、甘やかしてはいけませんの。
そもそもケイトのが大きな異次元箱かどうかもわかりませんのよ。
だいたい、そんなにものがないのに、どうやって調べるつもりかしら。
「お風呂を出るときに残ったお湯を入れてみますね」
何ですって!
わたくしの入ったお風呂の残り湯を!
大変態ですわ!
「お湯が入った量を見れば、どのくらい大きい異次元箱かわかりますものね」
あっ。
駄目ですわ。
どうしてこうも、わたくしはケイトを変態と決めつけようとするのでしょうか?
ケイトはこんなにまっすぐに、わたくしのことを考えてくれていますのに。
そもそもこんなに近くにいてくれる人なんて、家族以外では初めてですの。
だから、つい警戒してしまいますのよ。
悪気はありませんのよ。
そう、紛らわしいことを言うケイトが悪いんですわ。
「ケイト!そう言って、わたくしの入った残り湯をあとで飲んだりするのかしら?」
わざと意地悪くそう言ってあげますわ。
そんなことしませんって言っても、うそおっしゃいって、ちょっと叩いてあげますの。
これがわたくしたちのコミュニケーションですのよ。
「あっ…」
ちょ、ちょっと、ケイト!
何、その表情は!
図星みたいな表情して!
「このド変態っ!」
わたくしは立ち上がって、ケイトの背中を踏みつけてグリグリとしますの。
「ほんとうにっ!」
ぐりっ!
「大変態ですわっ!」
そのまま背中に思いっきり座ってやりますの!
どっすん。
あっ、またスカートがめくれて直接下着がケイトの上に…。
「ケイト、今、わたくしのお尻の感触を楽しみましたわね?」
「はい」
「そこは否定しなさいっ!」
なんでも『はい』は駄目ですのっ!
-主人公ケイト視点-
「大変態ですわっ!」
しまった。
別に残り湯を飲む気なんて無かったけど、つい、それもいいなって思って、それが顔に出てしまった。
だってさ、こんな美少女だよ。
残り湯だって聖水だよ。
どっすん。
あれ?このパターンは?
勢いをつけて俺の上に座ったクリス様。
そして、この感触は…しまぱん?
いや、今日は違うものかもしれない。
でも、この感触、そして体温。
間違いなく、下着が直接背中に当たってます!
「ケイト、今、わたくしのお尻の感触を楽しみましたわね?」
「はい」
しまった!つい『はい』って返事する癖が!
「そこは否定しなさいっ!」
クリス様は再び立ち上がって、今度は後頭部に足で一撃。
げし!
ばし!
げしげし!
ばしばしばし!
ふみふみふみっ!
終わらないな。
ちょっと慣れてきたけど。
…
あれ?
終わったかな?
そっと顔を上げると、そこには思いっきり足を振りかぶったクリス様が。
当然丸見えなわけで。
あっ、顔が真っ赤になった。
そしてその足の裏は俺の顔にめり込み、
薄れゆく意識の中、今日は『みずたま』であることを知った。
お読みいただきありがとうございました。
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次回も明日、12月3日18時更新です。




