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第145話 ドS王女様は…にたどり着く

お持たせしました!


そしてなんとあと少しで完結します!


その後は後日談として不定期に描き足すかもしれません。

-悪魔皇帝シュバルツ・ゲルムバオダー視点-


「何っ?!セドリア王国に放った仲間が消えた?!」


俺は仲間である悪魔デーモンたちと特別な絆でつながっており、情報を共有したりできるのだが…。


「兄さま、どうなされたんです?」

「アメリア。セドリア王国にひそかに侵入させていた仲間たちが全て消えた」

「まさか?!」

「俺の感覚に間違いはない。1万体近く居る仲間を消し去るとは、まさか国ごと中に入る浄化魔法でも起動したのか?」

「そんな大掛かりなことをしたら気づかないはずがありませんわ」

「だろうな。だからありえない話なんだ。…まさか異世界チートで殲滅能力を持った奴を召喚したとでもいうのか?くっ、これではもうあの国に手は出せん!」

「ここは大丈夫なんでしょうか?」

「この国の半数以上の人間に我が仲間が憑りついており、何か異常があればすぐにわかる。だから心配はない」

「はい」


そう、何も問題ない。

異世界から来た勇者など、こちらから関わらなければいいのだ。


そして1週間後。



「な、何が起こっている?どうして我が国の仲間が次々と消えていく!まさかさっき大きな荷物を運びこんでいたやつが居たが、そのせいか!」


まさか異世界の勇者が商人のフリをしてまで我らを滅ぼしに来るとは。


「兄さま!わたくしも参ります!」

「お前は危険だ。絶対にその護符を手放すな!そしてもし命の危険があるなら『力』を使え」

「わかりましたわ!」


あの護符は我々悪魔の精神を守るもの。

それさえあればいかなる能力でも消されることは無い。


俺は件の商人の元に手勢を率いて移動する。


その移動の間にもどんどん手勢の者たちが倒れていく。


憑りついている我が仲間が消されているのだ。


「いったいどんな能力者だ!」


離れている相手を無条件で消滅させるとかチートにもほどがある。


しかし我が剣『撃鼓砕剣グラムスター』の敵ではない。

この剣は絶大な攻撃力があるだけでなく、我が精神体を守る力もあるのだからな。


「待っていたわ」

「ここから先へは通さない」

「まさか貴様たちが?」


目的地への道をふさぐように立っていたのは二人の女性。


あの時城に侵入してきた魔族の女と…こやつは魔王か!


しかし異世界の魔王であるならチート能力は無いはず…いや、魔王が足止めということは、この先に居るのはその魔王を倒して従えた勇者か!


俺の『本気』に匹敵するほどの力を感じる魔王を倒すほどの勇者に勝てるのか?


くっ、俺は負ける戦いはせん!

アメリアのためにもな!


俺は心の中でアメリアに呼び掛ける。


『逃げるぞ!遠くの国へ!』

『兄さま?!まさか負けましたの?!』

『絶対に勝てる保障のある相手ではない!ならば逃げるのみだ!』

『わかりましたわ…あ、いやあああああっ!』

『アメリア?アメリアッ!』


「貴様ら、アメリアをどうした?!」

「…離れていてもわかるみたいね。第4王妃ならもう『確保』したわよ」

「確保だと?」

「彼女は私の仲間の所に居るわ。降参する?それならその剣を捨ててもらおうかしら?」

「くっ」


この剣を捨てたら恐らく俺も捕まるか消滅させられる。


しかし、アメリアが生きているなら俺は死ぬわけにはいかない。


悪魔の精神は愛するものを失うと壊れることもあるのだからな。


「この国から、いや、この大陸から俺たちは消えよう。だからアメリアを返してくれ」

「それでもいつかはまたこの大陸に戻ってこられるのよね?」

「決して戻らない」

「信用できないわね。何しろここの国王を殺して国を奪い、私たちの居る国の人たちの体もひそかに奪っていったのだから」

「それが悪魔の流儀だ」

「そうね。だから私たちの流儀を見せてあげるわ。共存できない相手には『死』あるのみよ」

「何っ?!」


『兄さま!兄さま!あああああっ!』


アメリアの叫ぶ声が俺の心に聞こえる。


「そこかあっ!」


俺は全力でその建物に向けて攻撃を放った。


「なっ?仲間ごと?!」


所詮アメリアの肉体は借り物。

この攻撃で精神まで消えることは無いっ!


建物が吹き飛ぶと、そこには光の壁ができていた。


「結界かっ!」


しかし空間を遮断する結界ならこちらに対する攻撃はできない!

結界破壊の攻撃を!


「そう何度もやらせると思う?」

「できるさ!」


俺は付いてきた仲間の精神を『消費』して魔王たちとの間に新たな結界を張る。


そしてあの結界を砕き…何?結界が開いただと?


「『超越学用品召喚』!あいつに入っているAIをこの端末にインストールを!」


あの時の男か!

まさかこいつが俺の仲間たちを?!


ゆるさん!


俺は必殺の術を叩きこむ!

チート勇者であってもあらがえない『超空間転移』を!


「時空の彼方へ消えろ勇者!」




-主人公ケイト視点-


マリーさんが残していった『攻撃に反応して張られる結界』が作動した。


「見つかったみたいですわ。というか、あちこち荒らされないようにわざと大荷物で来たのですけど」

「クリス様、この距離ならきっとあいつを倒せます」

「ケイト!無理しては駄目よ!」

「大丈夫です!」


俺は結界に内側から触れて解除し、封印のためのタブレットと大量の魔晶石の入った袋を取り出した。


「『超越学用品召喚』!あいつに入っているAIをこの端末にインストールを!」



ん?!


魔晶石が減っているのに効いていない?!


すると目の前で怒り心頭の形相をしているシュバルツが剣を振りかざした。


「時空の彼方へ消えろ勇者!」

「ケイト!」

「クリス様!」


シュバルツの剣から出た光は俺をかばうように飛び出したクリス様に命中し…


「はあっ!」


いや、クリス様はそれを剣で弾いた。

しかし、光はそこにとどまったままだ。


「ちっ。邪魔をしやがって!」

「何これは…いやあああああっ!」


目の前の光にクリス様が吸い込まれていく。


「クリス様!」


俺はとっさにクリス様の手を掴み…一緒にその光に吸い込まれていった。



-王女エメラルディ視点-


「なんてことを…」

「はっはっは。結果的にうまくいったようだな。貴様らの頼みの綱の『勇者』はもう居ない。時空の彼方へと消え去ったのだ!」

「時空の彼方?死んだわけじゃないのね?!」


良かった。それなら何とかなるわ。


「それでもかなり遠くの異世界のさらに違う時間軸だ。貴様らが探し出してたどり着けることはあるまい」

「どんなに遠くでも、生きていれば問題ないのよ」


召喚魔法で呼び出せるもの。

だから大丈夫!


「とりあえず、あなたを捕獲させてもらうわ」

「そうはいくか。さあ、アメリアを返してもらうぞ」

「それは無理ね」

「何だと?」

「第4王妃の『体』はそこにあるけど、中にある『悪魔』は抜いてあるのよ」

「ならはそれを返してもらう」

「だから無理なのよ」

「何?」

「あなたがケイトたちと一緒にどこかに飛ばしたからね」

「な…な…」




「なんだとおおおおっ!!」








-王女クリステラ視点-


ここはいったいどこかしら?


そうだわ。ケイトと一緒に見た『アニメ』で出て来た建物に似ているわ。


確かケイトの世界にある『ビル』とかいう巨大な家ですわ。


「クリス様、大丈夫ですか」

「ケイト。だから気を付けなさいと言いましたのよ」

「すみません」

「あとでお仕置きですわ」

「はいっ!」


そんなに嬉しそうにして、ちょっとお仕置きの内容を見直した方がいいかもしれませんわ。


「もしかしてここはケイトの世界かしら?」

「似ていますね。ちょっと待ってください」


ケイトは『エイトイレブン』という店に入っていきましたわ。


「クリス様、どうぞ」


何か買って来たみたいですわね。

これはもしや『コーラ』では?!


「この世界のお金がありましたのね」

「いえ、持っていたスマホで支払いができたので」


ケイトが手に持っているのは前の世界に一度戻った時に持ってきたスマホですわ。

使い道が無いからと異次元箱に入れていたものですわね。


「ここは俺の居た世界です。それも俺が消えた3年後ですね」

「時間が戻っていますのね」

「あるいは平行世界なのかもしれません」

「ケイトは家に帰りますの?」

「両親が俺とマリナとカリナが失踪して悲しんでいるかもしれないから…」


ぴろん


ケイトのスマホが鳴りましたわ。


「この世界に来て電波がつながったのか…いや、ずっと『契約』をしていてくれたってことか」


スマホを見ているケイトの眼に涙が浮かんでいますわ。


「毎日、俺に連絡をしてくれていたらしいよ」


CHAINチェインの画面がケイトの母親からの連絡でいっぱいですわ。


「クリス様、両親に紹介してもいいですか?」

「ケイトのご両親に会えますのね!」

「はい、そこでクリス様にお仕えしていることを話して、またしばらく戻れないと伝えます」

「しばらくここに居てもいいですわ」

「いえ、みんなが心配しているし、さっきから体内のCHAINチェインでも連絡取れないし、俺の異世界転移能力でも元の世界の位置が掴めなくて戻れないですね。きっとここは元の世界からかなり離れてしまっているんだと思います」

「それだとケイトを呼び出したような召喚でも呼ばれないかもしれませんわね」

「はい。でも、万が一のために、クリス様の傍にずっと居ますから」

「それはわたくしの下僕いすとして当然ですわよ」


それにしても大きな建物ですわね。


それに目が奪われて気づかなかったけど…


「ケイト、ちょっと広くて気分が悪くなってきましたわ」

「とりあえずコスプレと思われているうちにどこかに隠れて着替えましょう」


異次元リュックを置いてきてしまったのは失敗でしたわ。


「人払いの魔法が掛けられませんね。そうなると元の世界の位置がわからないのじゃなくて、そもそも感じなくなってしまっているみたいです」

「魔法が使えなくなったということですの?」

「いえ、俺の世界では魔法に必要な『マナ』が不足しているからです。でも、魔晶石を使う魔法は使えますよ」


とりあえず物陰に隠れて素早く着替えますわ。


ケイトの世界で使える服があってよかったですわ。


「それにしてもセーラー服じゃなくてこの前地下街で買った服のほうがいいかと思いますけど」

「一度これを着て歩いてみたかったですの!」


ぎゅっとケイトの腕にしがみつく。


「ク、クリス様?」

「広くて怖いからこうやって掴まって行きますわ」



-主人公ケイト視点-


クリス様は本来の小学校高学年くらいの背丈だけど、胸が爆発的に大きいから誰も小学生どころか中学生とも思わないよな。


それが俺の腕にしがみついて歩いているとか、視線がすごい。


胸だけのせいじゃなくて、クリス様が綺麗すぎるからだろうけど。


俺の外見は18歳くらいに見てもらえると思うけど、警察に質問されると困るから早く移動するか。


ここから引っ越したうちまで結構距離あるから…ここはタクシーだな。


お金は家に着いたら払ってもらって、宝石とかで返そう。



タクシー乗り場で待っていると、まさかのテンプレ発生。


ガラの悪い男3人が声をかけて来た。


「ようよう、すごい美人じゃんかよ。高校生?まさか中学生か?」

「俺たちと遊ばない?」

「そんなひょろい男ほっとけよな」


そしてクリス様に手を伸ばす男たち。


「やめろ!」

「邪魔ですわ!」


シュパパパパッ


クリス様の手刀が一瞬で3人の意識を刈り取った。


俺は慌ててその3人を倒れる前に支えて地面にそっと寝かせる。


「放っておけばよろしいのに」

「こちらから先に手を出すと色々面倒なので」

「そういう世界ですのね」


「おお!」

「すごいぞ、あの美少女」

「あんな綺麗な金髪碧眼の美少女が実在するなんて」


いかん、目立ちすぎた。


とりあえずタクシーに乗って行き先を告げてスマホと魔晶石を取り出して小声で魔法を使う。


「『上級日用品召喚』。先ほど撮影されたクリス様の写真データをこのスマホに」

「何をしていますの?」

「クリス様の写真を勝手に撮影した人が居るので、データを抜いておきました」

「別に構いませんわ」

「駄目です!ここではそういうことは許されないけど、勝手にする人が居るんですよ」

「そうなんですの?」

「ええ。まあ拡散したら捕まるから、拡散前に回収できたと思いますけど」

「かくさん?」

「世界中に広めることですよ」

「そんなことできますの?!」

「おいおい教えていきますね」



家に到着…もう玄関に両親が居た。


「ケイト!」


抱きついてくるお母さん。


「ごめんなさい」

「いいのよ。マリナとカリナには聞いていたから」

「え?」

「お兄ちゃんは異世界の王女様の付き人になったからって。マリナとカリナもそのうち呼ばれたら行くことになるって」

「信じたの?」

「目の前でマリナとカリナが消えたら信じるわよ」

「あ…」


そんなことがあったのか。


「おい、ケイト。まさかこの人が?」


お父さんはクリス様を見て固まっている。


「クリステラ・シュガーレイクですわ」

「セーラー服着ているけど王女様ですよね?」

「今は元王女ですわ」

「ということはケイトと駆け落ちを?!」

「ぶっ!」


俺は盛大に吹いた。


「駆け落ちってなんですの?」

「クリス様、とりあえず中に入ってください」


俺は初めて見る実家の玄関にクリス様を押し込む。


「お父さん!クリス様は俺のご主人様だから、そんなことを言わないで!」

「何だ、恋人じゃないのか」

「わたくしとケイトは恋人よりももっと強いつながりですのよ!」

「クリス様、先に中に入っててください!」


そう言ってもらえるのは嬉しいけど、話が余計にややこしくなるから!

お読みいただきありがとうございます。


明日、エピローグ前の話を投稿します。

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