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第142話 ドS王女様は半畳領地へ帰れない

大きな岐路です。

-王女クリステラ視点-


どういうことですの?!

元の世界に帰られなくなりましたの!


「ごめんなさい。たぶん私のせいだわ」


エメル姉さまは自分が『元の世界に相応しくない体』になったから戻れなくなったって言ってますけど、それでしたら異世界の人やお母様たちは行けるはずですの!


「俺とマリーが弾かれている可能性もあるんだけどな」

「弾かれるというか、そもそも私たちを選んで遮断されている感じだわ」

「え?どういうこと、マリー?」

「意図的に入れなくされてるみたいなのよ」

「そうだ」


そこにふよふよとキャンティが飛んできてそう言う。


「お前たちがあの『●』のスキルをどんどん解放してしまったから、さすがに管理局も困ったみたいで、『あちらの世界に戻るには条件が必要』となったそうだ」


条件?


「『二度とあちらの世界から出ない』という条件だ。もちろん、体質は向こうにいった時点で元に戻るぞ」


何ですって!


「どちらにするかは向こうの時間であと1時間だけ待つそうだ」

「つまりここでの1日ですわね」

「クリス様!俺はクリス様に従います!」

「え、ええ…」

「クリス様?」


いつもみたいな元気が出ませんわ。


だって、わたくしが育った世界の事は大好きですけど、この世界でいろいろできるのもすごく楽しいのですもの!


元の世界でなければ試験を受けられないから、子宝魔晶石とかは手に入りませんの。

それでも、こちらの世界で体質を変えられれば普通に子供も産めますわ…ってそ、それはさすがに主従の関係では済まされませんわ!


できればケイトとは『主従として子宝魔晶石での子作り』をしたいのですわ。

つまりケイトにわたくしが子作りをするための奉仕をさせるということですのよ。


そういうこともできなくなりますのね。


…ああっ、もう!どうしたらいいんですの?!


「ボクはこっちに残りたい」

「私もサフィと同じよ」


姉さまたちはこちらに残りたいの?!


「だって、ここには探求できることがいっぱいあるもの!」

「そうね。私もこちらの生活のほうが色々なものが作れて楽しいわ」

「お姉さまたちはケイトと別れてもいいんですの?ケイトはわたくしについてきますのよ?」

「どうしてもっていうならボクはケイトと一緒がいいよ。だからクリスを説得しないとね」

「ねえ、クリス。どうして向こうがいいの?」

「べ、別に向こうがいいなんて言っていませんわ」

「さっき『ケイトと別れてもいいんですの?』って言ったじゃないの」


うっ。


「クリスは向こうの世界の『システム』じゃないと困ることがあるんだね」

「なるほど、それは…」

「その先は言わないでほしいですわ!」


ケイト自身はどう考えているのかしら?


わたくしに従うと言ってくれましたけど、ケイトの本音を知りたいですわ。



-主人公ケイト視点-


困ったことになったな。


せっかく体質改善の糸口が見つかったのに。


「ケイト、わたくしは決めかねていますの。ケイトとしてはどちらがいいと思いますの?」


決めかねているって…元の世界に傾いているっぽいんだよな。


元の世界がいい理由は…やっぱり生まれ故郷だからかな?


元の世界で俺にとって良いことって…


「ケイト、向こうの世界が良い理由を無理やり考えなくてもいいですわ」

「そもそもクリス様が居れば俺にはどこでも天国です」

「それなら、どこならわたくしが幸せになれるか考えてほしいですわ」


そういうことか。



「ねえ、キャンティ。あの世界の全ては管理局が支配しているの?」

「お前たちが戻るか戻らないか決めて、もし戻らないのであれば教えてもいいことになっている。というか、俺には現時点では知らされていない」

「じゃあ、こちらの世界に残ったら体質や能力はどうなるの?」

「今のままだ。召喚魔法やゴミ箱も使えるし、体質は制限を解除しなければそのままだ」

「そもそもゴミ箱ってどこに捨てられるの?」

「それもこちらに残るのであれば教えられる。向こうの世界に行くなら教えられないことだからな」


なるほど…。


「ケイト、私たちはケイトについていきたいわ。でも、あそこにあと二人入ったら窮屈よね?」

「マリー様、キャンティみたいに小さくなったらどうでしょう?」

「シェリー!それはいいアイディアね!」


俺と一緒に居たいって言ってくれるのは嬉しいんだけど…。


「ディアナ様は?」

「わたくしはケイトとルビィアが居ればいいですわ」


聖母のようにディアナ様は微笑んでそう答えてくれる。


「マリナもカリナもお兄ちゃんと一緒だよ」

「当然です」


やっぱり俺が決めないといけないのか?

いや、俺はクリス様の下僕だ!

だから…


「すみません、クリス様と少し二人っきりにしてください」


部屋に戻ってクリス様と二人っきりになる。


「クリス様。俺はあの世界のおかげでクリス様に出会えました」

「そうね」



-王女クリステラ視点-


あの世界のシステムがあったからこそ、わたくしとケイトは出会えたのですわ。


「俺はあの世界でできることを色々工夫してきて、すごく楽しかったです」


そうね、ケイトは本当に良くやってくれましたわ。


「それで、クリス様にこれからもっと幸せになってもらうにはどうしたらいいかって思ったら…」



「クリス様とこの世界で新しい王国を作りたいです」

「えっ?!」

「他の異世界でもいいです。どこかで新しい王国を作るんです!」

「それは元の世界のような四畳半の王国ですの?それともフランたちのような大きな王国ですの?」

「どちらがいいかは、フランたちの王国を取り戻してからその様子を見て決めてもいいんじゃないですか?あと、4畳半の王国ならどこにでも作れます」

「でも、今までのような『システム』は使えませんわ」

「いえ、使える気がするんです。それを今から試したいんです」


試す?

一体どうやって?


「きっかけは感情の爆発だから…クリス様!俺をうんと鞭打って、命じてください!」

「な、何をですの?!」

「『ケイトに封じられている『☆のスキル』を解放しなさい』って!」


それがありましたのね!


あの世界に入るためにどうしても封じなければならなかったスキルだそうですから、きっとあの世界に影響を及ぼせるほどの力があるはずですの。


「でも、それを解放したらケイトは向こうの世界に戻れなくなるって話ですわ」

「あっ…そうでした!」


忘れてましたの?!


「馬鹿っ!」


ぴしっ!


「すみませんすみません!」

「ここまで感心して聞いていたのに、何を肝心なことを忘れていますの?!」

「ああっ、すみませんっ!」

「許しませんわっ!」


ぴしぴしぴしっ!


ああ、なんという幸福感かしら。

ケイトにお仕置きすることで、心が満たされる気がしますの。


そうですわ!

ケイトとこういうことができるなら、わたくしはどこに居てもかまいませんのよ!


「ケイト、早く『☆』のスキルを解放なさい!」

「え?」

「返事は『はい』か『イエス』ですわ!」

「はい!」


ぴしぴしぴし

ぴしぴしぴし


もう…元の世界には戻れなくなりますのね。


あの世界は制限が多かったですけど…まるで走馬灯のように色々な出来事が思い出されますわ。


でも、ほとんどがケイトとの記憶ですわね。


ぴしぴしぴし

ぴしぴしぴし


「まだですの?早くなさい!」

「はいっ!!」



-主人公ケイト視点-


クリス様…もう戻れないとわかってスキルを解放しろだなんて。


『☆』のスキルがクリス様のためになるスキルでありますように!


俺のスキルよっ!

解放されろっ!


ガキイイン!!


「あうっ!」

「ケ、ケイト!」


悶絶する俺と慌てて駆け寄ってくるクリス様。


しかしだんだん意識が遠く…。



-王女クリステラ視点-


つい手が滑って、ケイトの股間にベルトの金具部分を当てて、ケイトが気絶してしまいましたわ!


「ケイト!ケイト!しっかりするのですわ!」


そういえばわたくしの異次元箱にこの世界の薬があったはずですわ!


確かこっちが『飲むポーション』で、これが『塗り薬』でしたわ。


ど、どちらを使うべきかしら?


いまさら口移しくらい恥ずかしくありませんわ。

でも、気絶していてきちんと飲めるのかしら?


やっぱりここは『塗り薬』しかありませんわ。


…下僕の裸なんて全然平気ですわよ!


ぬがしっ


こ、こんなにじっくりケイトの裸を見たことなんてありませんわ!

でも怪我した部分を探して薬を塗らないといけませんわ!


太もも…では悶絶しませんわよね。


し、仕方ありませんの。

最後の1枚を脱がして…。


あっ!ここが赤くなってますわ!


これに塗ればいいですわね。


ぬりぬりぬり


ここもですわ!


ぬりぬりぬり

ぬりぬりぬり


何だか塗るのが楽しくなってきましたの。


たくさん薬はありますから、いっそ全部を塗りますわ。


ぬりぬりねとねと

ぬりぬりこねこね


…な、何ですの?!

塗っているところがだんだん固くなってきましたわっ!


ど、どうしてですの?!


もうわたくしの手には手に負えませんの!



-双子の妹カリナ視点-


ぴろん


クリス様から内蔵型スマホの通知?

全員宛のCHAINチェインって?!


クリス『ケイトの股間を強打して気絶させたから服を脱がして薬を塗ったら、どんどん固くなってしまいましたの!』



「「「「「ぶぶーっ!」」」」」


…ちょっと待つです。


マリナとカリナとマリーさんとシェリーさんに知識・・があるからこの内容で吹き出すのはわかるです。


どうしてエメル様・・・・まで噴き出したです?

どこでそんな知識をもらったですか?


そんなことより、おにいの貞操がピンチです!


おにいのあれ(・・)が反応しないはずなのに、『制限解除』で反応するようになったとしたら、クリス様と…


どたどたどたっ!


って、みんな行ってしまったです!

急いで行くです!



-双子の妹マリナ視点-


お兄ちゃんの…が固くなっているなんてどういう薬の塗り方をしたの?


マリナがきちんと治してあげるの!


『お兄ちゃんの怪我、治れっ!えいっ、回復魔法!』


しゅりんくっ!


『うそっ!治らない?!むしろ大きくなったの!』

『それはマリナが魅力的すぎるからだよ』

『お兄ちゃん…』

『マリナが責任をもって鎮めてくれるかな?』

『うんっ』


なんて、えへへへ。



-王女エメラルディ視点-


クリスったら主従なのに何をしているの?!


男性で固くなるところって1つしかないわよ!


ちょ、ちょっとケイトの世界のエッチに興味があって、『はじめてのろしゅつ』以外にもエッチな本を召喚しちゃって読んだからわかっちゃうのよ。


そんなことはどうだっていいのよ!


クリスはこんな大事な時に何をしているの?!


これはクリスとケイトの姉としてどうなっているか確認するべきね!



-元魔王ブラッディマリー視点-


クリスったら先走りすぎだわ!


それに一番(・・)は私のつもりだったのよ!

知識があって一番大人っぽいんだから。


マリナとカリナには胸の大きさだけ負けているけど、それ以外なら勝っているもの!


…う、うん。心の準備はたぶん大丈夫だから。



-魔族シェリー視点-


慌てて出てきたけど、これどうするのよ?


もしケイトの危険物(・・・)がどうにかなっていたら、このまましちゃう気なの?!

ケイトなら一気に全員相手にするとかありえるわ。


私はまだ心の準備ができてないし…最初は二人っきりがいいな。


とにかくクリスを落ち着かせるところからね!



-女王ディアナ視点-


いったいどうしてみんな慌てて出て行ったのかしら?


とりあえず、みんなに任せて、ゆっくりあとから行きますわ。



-王女サファイラ視点-


何だか面白そうなことになってるみたいだけど、出遅れちゃったからゆっくりでいいや。


もし面白いことだったり気持ち良くなることとか恥ずかしいこととかなら、あとでじっくりとケイトに教えてほしいな。



-王女クリステラ視点-


「クリス!」

「ケイト!」


みんないっぺんにわたくしの部屋に来ましたわ!


「おにいのあそこが…なんともなってないです?」

「違いますの!そこを触ってみてほしいですわ!」

「そこって…お尻・・?」


カンカン


「お尻が固いです!」

「どういうことなの?」

「みんな、これを見て!」


マリーさんが薬瓶をみんなに見せていますの。


「これは『ディフェンスアップクリーム』っていう防御力を上げる塗り薬だから、塗ったところが固くなりますのよ!」

「エメル姉さま、そうでしたの?」

「知らないで持ってたの?いくら異世界の言語でももう少し読めるようになっておきなさいよ」


それでケイトのお尻が固くなりましたのね。


「気絶するくらいだからお尻以外にも当たっているのは間違いないと思うから、治癒しておきましょう」

「マリーさん!マリナができます!」

「ここは妹に任せるのが無難かしら?」

「そうね」



-主人公ケイト視点-


う…うーん。


股間に鈍痛があって気絶したんだよな…ってここはベッドか。


え?みんな居る?!


「ケイト、良かったですわ!」

「クリス様、心配おかけしました」

「それより、スキルはどうなりましたの?」

「それなら…うん。解放されたみたい」

「それなら、もう戻らないということでいんだな」

「ええ、キャンティ。それでいいですわ」

「わかった。それなら向こうに戻れない代わりに、できる限りの事を教えてやる。それと、あたしも向こうに戻れないからな」


ええっ?!

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークとか感想とかいただけると励みになります。

次回は5月9日土曜日18時更新です。


新連載始めました!


『前世で勇者に10億年苦しめられた女魔王は勇者の双子の妹に転生して復讐する…それは『ふくしゅう』違い?!』


前世で勇者に恨みを持つ女魔王が、勇者であるお兄ちゃんのことが大好きな双子の妹に転生してしまい、復讐するつもりが色々裏目に出てしまう…というお話。


下記のアドレスか上の作者名から辿ってお越しください。

https://ncode.syosetu.com/n1366gd/1/

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