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第141話 ドS王女様と椅子は気合いで枷を打ち砕く

最後に大事件が…(鬱展開はありません)

-王女クリステラ視点-


朝ですわね。

というか、結構寝坊をしてしまいましたわ。


ケイトが起こさないのを怒るところでしたけど、夕べは色々大変でしたからもういいですわ。


いえ、せっかくケイトにお仕置きをするチャンスですの。


ケイトを部屋に連れ帰ってお仕置きしますわ!


ぴろん


クリス『ケイトどこかしら?すぐに来なさい』


走る音がして、ケイトがすぐに来ましたわ。


「おはようございます!」

「ケイト!どうして起こしてくれませんでしたの?」

「夕べ気絶して、自然にクリス様の『憑依』が解けたようでしたので、念のため朝ごはんの準備が整うまでは寝させておこうと思って」


そんなことを言われたら怒りにくいですわ。


「そういえば、クリス様にお見せしたいものが」

「何かしら?」

「部屋に戻ってからで」


何かしら?


ケイトとわたくしの部屋に戻りますわ。


「これです」


ぴろん


内蔵型スマホのCHAINチェインで動画を送ってきましたわ。


こ、これはっ!


「はい、クリス様の夕べの動画です」

「なんてものを録画していますのっ!」


わたくしはベルトを取り出して、すでに四つん這いになって待っているケイトを叩きますわ!


ぴしっ!ぴしっ!


「すみません!クリス様が可愛い声を出すのでつい!」

「でも、それはわたくしの声ではありませんわ!」


ああ、なんてはしたない声を出していたのかしら…。


こんなものを撮影していたなんで、たっぷりお仕置きしないといけませんわ!


ぴしぴしぴし

げしっ、げしっ、

ふみふみふみ


ああ、朝からすごく爽快ですわ!


「わるい下僕にはもっともっとお仕置きですわ!」

「もうしわけありません!」


わかっていますのよ。


ケイトがわざとわたくしが怒る材料をくれたってことを。


何て素晴らしい下僕いすかしら!


ああ、やっぱりわたくしはケイトなしではいられませんわ!


「ケイト!」

「はい!」

「もう叩くのは堪能しましたわ。『主従の永遠の誓い』だけしてから朝食に行きますわよ」

「え?あ、はい」


わたくしは起き上がったケイトの前で目をつぶりますわ。


ちゅっ


そのくらいでは足りませんわ!


舌をケイトの口に入れてもっと二人の『永遠』を誓い合いますの。


ぎゅっ


あっ、ケイトが抱きしめてくれましたわ。

すごい幸福感ですの!


ぎゅうっ


わたくしからも抱きしめかえしますわ!


『みょぎりんこ』


あっ、駄目ですわ!

これって性的な抱擁…そんなんじゃありませんのよ!


主従が永遠を誓って抱き合っているだけですわ!

性的なものや恋愛的なものではありませんのよ!



『●が一部制限解除となります』


え?今の何かしら?


は、はううううっ!


な、何ですの?!


抱きしめられているだけなのに、すごく心地いいですのっ!



-主人公ケイト視点-


クリス様との『主従の永遠の誓い』。


そこにはエッチな気持ちも何もなくて…ただ一緒に居たいって気持ちだけ。


そしてキスをしながら無意識に抱きしめてしまう


ぎゅううっ


クリス様も抱きしめかえしてしてくれるんだ。


『みょぎりんこ』


あっ、やっぱり抱きしめるだけでもこうなるのか。


でも、これは性的なものじゃないから!

俺はクリス様の下僕としてこうやって誓いを立てているだけだから!


『●が一部制限解除となります』


え?


●って確か俺の鑑定結果であった、最後の『●☆』のひとつだよな?


ん?えええええっ?!


何これ?

すごく抱きしめているだけで心地いいんだけど。


というか、胸とか当たってるのが気持ち良すぎる…。

え?『みょぎりんこ』や『みょぎん』が無いよ。


どうなったの?


「ケイト、何だかおかしなことを心の中に言われましたの」

「クリス様も?!まさか黒丸が一部制限解除となりますって?」

「そうですわ!」


これはもうキャンティに聞くしかないな。





「ああ、ついにそうなってしまったか」


別室に居たキャンティを呼び寄せて状況を説明したらすごく渋い顔をされた。


「え?まずかった?」

「まず状況の説明をするぞ。『●』はあの世界特有の体質を管理するスキルの一種だ。だからケイトだけじゃなくて、実はクリス様たち全員が持っている」


やっぱりそうなのか。


「それにより様々な制限が掛けられているが、基本的にその制限が外れることは無い」


基本的に?


「とりあえず、魔晶石1万個な」

「はい」


あるんだな、これが。

というか、今恐ろしい量あるから。


「『追放刑』を受けた者はこのスキルが解除されて放逐される」

「え?」

「つまりあの世界特有の制限や能力が全て消されたうえで、異世界の適当なところに放逐されるんだ」

「『追放刑』ってそういうのでしたのね。もっと恐ろしいものと思っていましたわ」

「恐ろしいぞ。何しろあの世界でしか生活したことのない者が、急に異世界に放り出されるんだからな」


確かに。


「じゃあ、もう一つの☆もそういうの?」

「それはケイトがあの世界に入るためにどうしても封じなければならなかったスキルだ。それを解放したら二度と封印はできず、あの世界に戻れなくなる」


なんだって?!


「どうしてそんなスキルが俺にあるんです?!」

「知らん。もしかすると平和な世界では発現しなかったスキルかもしれないな。だが、それは2度も封印させてくれるようなものじゃないらしい」


いったい何なんだろう?


「そして今回の『●』については、『一部制限解除』でおそらく体質の制限が一部解除された」

「一部って?」

「この世界なら二人とも『ステータス鑑定』ができるから見たらどうだ?」

「よし、『鑑定』!」


クリス様の世界の鑑定でなく、普通の魔法の鑑定を使ってみる。


『ケイトのステータス』

種別:椅子(日用品)

スキル:黒魔術。基本魔術。色魔術(超色)。最高の椅子アルテミットチェア関連スキル。●。☆。


あった!


●の説明は…


◎である。体の感覚で『抱きしめる』という行為についてのみ除外とする。



「『◎である』ってなに?」

「一言で説明できないからそうなっているんだ。特定の汚いものを生み出さないとか、感覚の制限とか、召喚魔法や異次元箱やゴミ箱についてもこれに含まれる」


それはさすがに書ききれないだろうな。


それでクリス様は…やっぱり同じなんだな。


「わたくしも『抱きしめる』ことに対してだけ、口や舌と同じように心地よく感じるようになりましたのね」

「ああ。だが、元の世界に戻ったらまた元通りになるけどな」

「普通の人が行ったら体質が変わるのと同じなのか」

「ああ。上書きされると思ってくれ」

「ふふふふふ」


え?クリス様?


「おーほっほっほっほ!」

「ク、クリス様?!ど、どうされたんです?!」

「ケイト!すばらしいですわ!」

「え?何がです?」

「あの世界の『制限』をわたくしたちの『主従の絆』が打ち破りましたのよ!」

「あっ」


そう言われればそうなんだ。


だって、これはただの『想い』だけでこうなったのだから。


「確かにすごいですね!」

「でしょう?!やっぱりわたくしとケイトは最高の関係ですわ!」

「確かにそうだな。じゃあな」


キャティがパタパタと飛んで部屋を出て行った。


「ケイト、もう一度わたくしを抱きしめるのですわ!」

「はい!」


ぎゅううっ!


「ああっ!これですわっ!でも、困りましたわ」

「何がです?」

「このことを自慢したくても、おそらくお母様たちではできませんの」


確かに、恋愛関係だとこういうやり方はできなさそうだな。


「でも、一応教えておいた方がいいと思いますけど」

「そうですわね!ふふっ、わたくしとケイトの絆の力を知ったら、みんなうらやましがりますわ!」



-王女エメラルディ視点-


え?


憑依でエッチをしただけでも驚いていたのに、この体質を自力で改善したの?!


どうなってるのよ、クリスとケイトは。


「ボクならきっと体質改善できるよ」

「ケイトの恋人のサフィがどうしてできるのよ?」

「内緒」

「ずるいわよ!教えなさい!」

「じゃあ聞くけど、エメル姉さまは体質を治してどうするの?ボクはケイトとイイコトするんだよ」

「え?それはその、治せるなら治したいなって」

「その程度の覚悟・・じゃだめだよ。どうせ向こうに戻ったら体質元通りになるんだし」

「うっ」

「でも、ボクはケイトと一緒に居られるなら、もう向こうに戻らなくてもいいんだ」

「え?!」

「だってここ最近ずっと異世界に居てわかったんだ。ボクはケイトさえ居れば、どこに居ても幸せだって」


そんなこと言いきれるのね。


私だってケイトの事は好きだけど…恋人感覚じゃないのよね。


本当に兄妹というか姉弟というか…ううん、たぶん自分が一線を引いているのね。


みんながケイトと仲良くなりすぎるから、自分が『便乗』しているみたいで嫌なんだわ。


…ってそんなことに気づいたら…


「ちょっとケイトの所行ってくる」

「うん、頑張って」


もう、サフィはこういうときだけ私のの心を読むのね。




「エメル様、何の用でした?」


ケイトを連れ出して、私の部屋に連れてきたわ。

マリナはちょっとよそに居てもらってるのよ。


「ケイト、ちょっと私を抱きしめてみて」

「こう?」


ぎゅっ


「もっと」


ぎゅうううっ


駄目だわ。

『みょぎりんこ』にならない。


「やっぱり、ケイトの事を恋人とは思えないのかしら?」

「もしかして、『みょぎりんこ』になるか試してたの?」

「そうよ。でも、やっぱり私たちは兄妹(姉弟)なのね」

「それならそれで試したいことがあるんですけど、いいですか?」

「何かしら?」

「試したいというか、試してほしいんですけど」


…え?!そんなことを?!




「エメルお姉ちゃん」

「なあにケイト」

「大好きだからぎゅっとして」

「いいわよ」


ぎゅっ


「姉弟だからキスしてもいいよね?」

「そうよ」


ちゅっ、ぎゅっ


キスしながら抱きしめて…でもこれは恋愛じゃないのよ。

『姉弟愛』なのよ。


だからちっともエッチなことじゃないの。


ちゅっ、ちゅむっ

ぎゅうっ、ぎゅううっ


『みょぎりんこ』!


来たわっ!


これは性的なことじゃないの!

ケイトと姉弟の絆を確かめ合っているだけだから!


『●が一部制限解除となります』


「できた…ああああっ、ま、待って!ああああんっ!」


すごい『何か』が押し寄せて、腰が抜けてしまう私。


もしかして、これが異世界の『快感』というものなの?


「大丈夫?」

「う、うん。でも、できたわ!…もしかして違うこともできるかしら?」

「え?まだやるの?」

「言い出しっぺはケイトでしょう?ほら、もっと姉弟愛を確かめるわよ!」




「え?それはさすがに姉弟愛じゃないんじゃ…」

「いいの!これで可愛いケイトを癒すのが姉の役目だから!さあ、お姉ちゃんの胸に飛び込んで、思いっきり甘えて!」



「ひゃうんっ!」


思わずケイトの体を突飛ばして自分の体を抱きしめてしまう。

む、胸ってこんなに感じるの?!


「まさかうまくいったの?」

「う、うん。そうみたい」

「『思い込み』だけでいけるってこと?」

「そうみたいね。あと、こちらの世界だからかもしれないわ」


向こうの世界から離れているから、きっと制限解除をしやすくなっているんだわ。


「もう少しだけ、ね」

「え?でも?」

「試したいのよ!」


だめだわ。

さすがに無理やりすぎるこじつけはできないみたいね。


サフィもこの方法を考えていたのかしら?

でも、サフィより先にできてちょっと嬉しいわね。


とりあえずこの辺にしておきましょう。


しゅっ


「はうっ!」


え?え?


待って、何、今の?


少し体を動かしたら、変な感覚が…。


こすっ


「はうっ!」


え?!

まさか体質が変わって、胸の先に下着が擦れるだけで感じるようになったってこと?!


「エメル様、どうしたんです?」

「あ、来ないで…あっ!」


足を滑らして転んで…


がしっ


そのままケイトに抱き留められた。


ぎゅうっ


「はひゃんっ!」

「エメル様?!」

「ケイト!離れて!お願いっ!」


これ、どうしたらいいのよっ!

そうだわ!元の世界に戻れば、元の体質になるのよね。


「ケイト、元の世界にちょっと戻ってくれる?」

「え?わかりました」


しゅんっ


え?


「ケイト、もう往復したの?」

「いえ…それが戻れないです」

「ええっ?!」


どういうことなの?!

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークとか感想とかいただけると励みになります。

次回は5月2日土曜日18時更新です。


新連載始めました!

『前世で勇者に10億年苦しめられた女魔王は勇者の双子の妹に転生して復讐する…それは『ふくしゅう』違い?!』

下記のアドレスか上の作者名から辿ってお越しください。

https://ncode.syosetu.com/n1366gd/1/

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