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第14話 ドS王女様と二人の姉さま

スライム娘とか出したいけど、なかなか進まない話。


令和元年12月9日。ニュートンのゆりかごの説明をつけました。前書きの伏せ字を減らしました。


令和2年1月4日

初期でクリステラの言い回しが現在と違っているため修正しました。



-主人公ケイト視点-


「ケイト!今から魔法の勉強をしますわよ!」


トイレから戻って来るなり、クリス様はそう言われた。


急に何か思いついたのかな?

それとも、俺に魔法をもっと覚えてほしいとか?


「クリス様。俺の世界に魔法は無いので、魔法の本を最初から読ませてください」

「無いですわ」

「え?」

「使った教科書は『通信売買メルカル』で売ると最低でも魔晶石3つになりますの。わたくしの異次元箱はそんなに大きくないですし、いらないものは売ってしまいますのよ」


空中から出しているアイテムボックス的なものは『異次元箱』って言うのか。


「売ったのを買い戻すとかできるんです?」

「わかりませんけど、売るより高いはずですわ」

「じゃあ、召喚魔法で新しく出すのは?」

「『教科書召喚』の魔法は上級魔法ですけど、失敗したら使い物にならない物が出ますの。ですから自分ではしたことがありませんわ。テストが終わって次の教科書に進めるとわかったら、お母様から渡されますのよ」


困ったなあ。

いきなり5上からでもいいのかな?


「そうだわ。サフィ姉さまに借りますわ」

「サフィ姉さまは持っておられるんですか?」

「勉強好きで本が大好きだから、絶対に捨てないわよ。わたくしより異次元箱も大きいらしいですし」


ちょっとくやしそうに言うクリス様。

異次元箱、俺もほしいな。

それなら自分の物を仕舞ったり、クリス様の物をあずかるとかできるのに。


「それで、どうやって借りるんですか?」

「手土産があれば貸してくれるわ。エメル姉さまは細工に使う道具や材料、サフィ姉さまは珍しいものを渡せばいいわね」

「珍しい物?どんなものがいいんでしょうか?」

「馬鹿な下僕いすね。ケイトが考えて出すに決まっていますわ?」


あっ、そうか。

俺の世界のものなら珍しい物と言えるかもしれない。


「ということで、これを使いなさい」


クリス様は3つもの魔晶石を渡してくれました。


「これでしっかり魔法を覚えて、月末の『舞闘会』で勝つのよ」


え?

なにそれ?

バトルがあるの?


「勝つためなら、魔晶石の3つくらい惜しくは無いわ。さあ、サフィ姉さまと交渉したいから、何か興味を持たれそうなものを考えて出しなさい」



-王女クリステラ視点-


丁度いいわ。


『実験』もしたいところですもの。


それがうまくいけば、『舞闘会』で勝つ確率も上がるわ!


わたくしは魔晶石を取り出してケイトに渡しますわ。


「勝つためなら、魔晶石の3つくらい惜しくは無いわ。さあ、サフィ姉さまと交渉したいから、何か興味を持たれそうなものを考えて出しなさい」


さて、ケイトが悩んでいる間に、わたくしは実験よ!

カップを取り出して。


「『飲物召喚』!サフィお姉さまが出すミルクを!」

「えっ?!」


ケイトが怪訝そうな顔をしてますわね。


あっ、出てきましたわ。

カップにいっぱいですの。


こくん。


うん、この味はまちがいなくアレ(・・)ね。

わたくしのより、お母様の味に近いかしら?


でも姉さまのを飲むのって、ちょっと嫌ですわ。

そうですわ、ケイトに飲ませましょう。


「ケイト、これを飲んでおきなさい」

「え?いや、はい!」


ふふっ、ちゃんと「はい」と言えるわね。


さて、今頃サフィ姉さまは胸を押さえてうめいているかしら?


-主人公ケイト視点-


「クリス様、思いつきました!『日用品召喚』!リフレクションペン3色セット!」


俺は書いてからこすると消えるペンを出した。

色は黒、赤、青だ。


「あとは、」

「ちょっと待って!何それ?ペンよね?色つきのもあるのかしら?」


クリス様が先に興味持ってるな。


「待ってください。先に紙を出します」


俺はもう1つ魔晶石を握る。


「『日用品召喚』!大きめのふせん3ブロック!」


あれ?10cm四方くらいのふせんが2個しか出ない。

俺の手の平に3つは多かったんだな。


でもひとかたまりで100枚以上あるからいいか。

しかもカラフルだし。


「それってノート?綺麗ですけど小さいですわね」

「その上に、このペンで文字を書いてください」


かきかきかき


「書いたわよ」

「そのペンのキャップの先が消しゴムになってますから、こすってください」

「え?これペンなのでしょう?鉛筆じゃあるまいし…消えますわっ!」


よし、これならいける!


ふせんは貼る場所がないから…えっと。


「ところでクリス様。その紙を1枚めくってください」

「いいわよ。あら、取れましたわ」

「それを、このカップに貼ってください」


俺はミルクを飲み終えたカップを差し出す。


「紙のふちが『のり』になっているのね。貼り付けましたわよ。それからどうしますの?」

「はがしてください。めくるだけですから」

「そんな簡単に…はがせましたわっ!」


クリス様の反応が楽しすぎる。


3つめは、ちょっと長時間研究できそうなものがいいよな。


「『日用品…待てよ?文具は日用品でもいいみたいだけど、アレ・・は日用品じゃないよな。えっと…クリス様。召喚魔法のリストってあります?」

「それなら教科書の一番後ろにあるわよ」


俺は教科書の一番後ろのページを見せてもらうと、色々召喚魔法の種類が書いてあった。


「おそらくこれだな。『室内装飾インテリア召喚』!かっちんかっちん!」

「え?」


え?と言われても、確かそんな名前だったはず。


4つか5つの銀色の玉が、宙に並ぶように糸で吊るされていて、ふちの玉を持ち上げて残りの玉にぶつけると、反対側の玉がはね上がって、真ん中の玉は動かず、両端の玉だけが行ったり来たりするというおもちゃというか、飾り物だ。


ほら出た!手のひらサイズだけど…あれ?箱入り?

だいたい中身だけ出るんじゃないの?


あ、組み立て式だ。


『ニュートンのゆりかご』


これの名前はそんなのだったのか。

『かっちんかっちん』はきっとうちの方言なんだな。


「何ですのそれは?」

「これは秘密兵器です。これを組み立てると、面白い物が出来るんです」

「面白い物?わたくしにも見せてもらえるかしら?」

「今組み立てたら、秘密兵器にならないので、またそのうちに」


クリス様すごく残念そうだけど、仕方ないよな。


「わかりました。また、クリス様が喜びそうなものを出しますから」

「約束ですわよ!」



-王女クリステラ視点-


箱入りの物は珍しいですわね。


それにしても興味ありますわ。

わたくしも作ってほしいですの。


「わかりました。また、クリス様が喜びそうなものを出しますから」

「約束ですわよ!」


思わず喜んでしまいましたわ。

そんなもの、下僕の務めですのよ。


ふふふ。おほほほ。

むふふふ。


何がもらえるのかしら?楽しみですわ。



「では、サフィ姉さまとお話をするから、静かにしていなさいな」

「はい」


ばしっ!


「静かにと言われたら、うなづくだけでいいですのよ!」

「(こくり)」


さて、通話用の魔道具を出しますわよ。

一見ただの箱に見えますけど、これを使えば、王国内の誰とでも会話可能ですの。


「『内線通話インナーテル』!サフィ姉さまと話したいですわ!」



「はーい?クリスぅ?いったいどうしたのお?」


久しぶりに聞くサフィ姉さまの声ですわね。


あの間延びした話し方からすると、研究対象物が無くて、退屈しているところですわ。


これはチャンスですわね。


「実はサフィ姉さまにお願いが有りますの」

「なあにぃ?」

「わたくし、魔法の復習をしたいので、古い教科書を貸していただきたいのですわ」

「んー?いいけどー。何くれる?」


まったく遠慮のない要求っぷりですわ。


「面白い物を手に入れましたの」

「クリスの面白いものねえー。今までそんなに面白い物あったかしら?」

「色々欲しがったじゃありませんの!押すと中身が出るなまこのぬいぐるみとか!」


わたくしが召喚に失敗したものですけど。


「あっ!あれは良かったわね!」

あんなのでいいとか、本当によくわかりませんわ。


「とりあえず、2つ送りますわよ」


わたくしは『内線通話インナーテル』のふたを開けて、中にペンと紙を入れましたの。


ペンは黒と赤の2本だけ。

紙は2つの塊のうち1つだけですわ。


わたくしもほしいですもの。


「んーーー。これ?なあにこれ?」

「それは、書いてからキャップでこすると字が消えるペンと、はがして貼り付けてから、またはがせる紙ですわ」

「…」

「姉さま?」

「…」

「姉さま!」

「うるさいわね!今忙しいの!」


どうやら気に入ったみたいですわ。


「教科書借りられるかしら?」

「売らないでね!」

「あと、今日体調はどう?胸とか痛みません?」

「何のこと?」


あら、どうしてかしら?

じゃあさっきのミルクはどこから?


「じゃあね!また面白い物あったら頂戴ね!」


通信が切れましたわ。

でも、うまくいって良かったわ。



-主人公ケイト視点-


「あと、今日体調はどう?胸とか痛みません?」

「何のこと?」


何?この会話?

サフィ様って、胸とか痛む病気なのかな?


「じゃあね!また面白い物あったら頂戴ね!」


でも元気そうだよな。

気に入ってもらえたみたいだし、秘密兵器の出番なかったな。


「おかしいわね。今度はエメル姉さまで試しましょう」

「何をですか?」

「とりあえず、借りた教科書を渡すわね」


内線通話インナーテル』の箱を開けると中からたくさんの教科書が出てくる。


あの箱も一種の異次元箱なのかな。

とりあえず部屋の隅に『翔学生の魔法』の1上から4下までが積んでおく。


『翔学生の魔法1上』を俺が開いたところで、クリス様はまた魔法を唱えていた。


「『飲物召喚』!エメル姉さまの出すミルク!」


どれだけミルク出すの?

それに、姉さまたちの飲んでいるミルクがそんなに気になるのかな?


俺がクリス様の呼び出していたものと同じミルクを召喚したのを見て、そういうやり方があるって気づいたってことかな?

役に立ったのなら嬉しいな。


「うん…わかりましたわ。残りはケイトが飲みなさい」

「はい」


また?

おいしくなかったのかな?

変わった味ではあるけど、飲めないことは無いぞ。


うん?こっちはまた変わった風味が。

タンパク質多そうな、そんな感じ?


「ケイト、さっきの秘密兵器もらうわよ。エメル姉さまにあげるから」

「はい」


とりあえず、返事は「はい」だ。



-王女クリステラ視点-


「『内線通話インナーテル』!エメル姉さまと話したいですわ!」

「はい。クリス、どうしたの?」


はやっ。

もう出ましたわ。


「実は面白い物を手に入れましたの?」

「どんなものかしら?」

「うまく説明できないから、送りますわね」


ぽい。


「…何これ!すごいわ!…これがこうで、こうなってて!すごい!さっそく組み立てるわ!ありがとう!」

「それでね、何か代わりにもらえないかしら?」

「それなら、朝ごはんの残りの果物をあげるわ」


内線通話インナーテル』の箱がゴトンと揺れます。

何か大きな果物が入ったみたいですわ。


「ところで、エメルお姉さま?今日の体調はいかがですの?胸とか苦しくありません?」

「なんともないわよ。肩は相変わらず凝ってるわ」

「そうですか。では、これで」


通話終了ですわ。


箱を開けると、


ゴトンッ!


大きな塊が落ちてきましたの。


「あ、危なかった」

ケイトの足に当たるところでしたわ。


見たことが無い大きな…果物のはずですわよね?


「これは何かしら?」

「うわっ!それはドリアンです」

「これがそうなの?!」


そう、それは『地獄の果物』と言われるドリアンだったのですわ。

お読みいただきありがとうございました!

次回も明日、12月2日18時更新です。

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