表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

135/147

第135話 悪魔の王子は今どこに?

ついにスマホが普及します!

-魔族シェリー視点-


「ケイト、この前言ってた『王子』の件だけど」


王女たちを助けに行ったとき、第4王妃の部屋に『王子』が居なかった。


生まれてまだ数か月と聞いているから、母親と一緒に居ないとかありえないのに。


王女たちに聞くと、母乳が出なくて乳母を付けることは有っても、基本同じ部屋に居るはずとのこと。


「考えられるのは、あそこに王子用の部屋が別にあったか、王子はそもそも居ないか」

「ケイト、さすがに居ないってことは無いわよ」

「王子が優先的に跡継ぎになるのなら、第4王妃の兄を若くして赤ん坊に見せかけていたとか」

「『若さ召喚』みたいに年齢を操る魔術も確かにあるけど、普通は年齢を一度替えたらすぐには戻せないのよ。変化の魔法や魔道具なら自在だけど、そもそも出産には大勢の人が立ち会っているはずだからごまかせないわ」

「じゃあ、実はあの『実験室のカプセル』のどれかに入っていたとか」


ケイトって色々考えるのね。


「結論が出ないなら『神託の王座オラクルスローン』に頼るけど」

「なるべく私たちで考えたいわ」

「じゃあ、『実は王女だった』ってのは?」

「それって何の意味があるの?」

「王子が優先的に跡継ぎになるんでしょ?産まれたのが王女なら、王子の振りをさせるとかしてそうだけど」


それはありえる話だわ。


「でも、それなら王女が居たはずでしょう?」

「ですよね」


「「うーん」」


「二人ともどうしたのかしら?」


悩んでいたらマリー様が来たわ。


「王子が今どこにいるかって考えているのよ」

「居ないのは不気味よね。何か事情があるとしか思えないわ」

「ところで、悪魔ってどういう生物なの?」

「難しいわね。悪魔にも色々居て、それこそ人間に似ている悪魔も居れば、実体が無い悪魔も居るのよ」

「人間との間に子供ってできるの?」

「そもそも種族が遠いと子供ってできないのよ。人間と亜人くらいならできるけど、亜人の中でも魔族と人間はちょっと関係が遠いからできにくくなるわ。悪魔は亜人ですらないの」

「じゃあできないんだ」

「それができるのよ。悪魔は『精神』が体を形作っているせいで、相手と『交わる』という行為だけで妊娠できるのよ。それこそ、強い想いがあればキスだけでも妊娠できるそうよ」


そこまでは知らなかったわ。

私も悪魔を使徒にして悪魔になればケイトとの子供を…ううん、やっぱりどうせならエッチなことをして子供を作りたいわよね。


わ、私ったらこんな時に何を考えているのかしら?!

もう!ケイトがこんな私にしたのが悪いんだからね!


ばしっ


「え?」

「あっ」


思わずケイトを叩いちゃったわ!


ぴろん


ケイト『顔が赤いけど、さっきの話で変なこと考えて照れた?』


見抜かれてるっ!


ケイト『あとでちょっとだけしてあげるね』


「ああん、もう!ケイト大好きっ!」


ぎゅっと抱き着く。


「シェリー…」

「シェリー、あなた、せっかくケイトがメールでこっそり話してくれたんでしょう?何盛ってるのかしら?」


あ、あ、


あああああっ!


「仕方ないわね。ケイト、ちょっと休憩・・よ。当然私もね」

「ですね」


ああ、ケイトと二人っきりでするはずが…。



-元魔王ブラッディマリー視点-


ケイトが私たちの角を舐めるのがすごく上達しすぎて怖いくらいだわ。

10分で撃沈したもの。


目を覚ましたらシェリーはまだ気絶していたから、ケイトとキスして、いっぱいキスして…。


魔王やめて良かったというより、むしろ魔王で良かったわ。


ケイトに助けてもらえたし、ケイトの役に立てるし。

もちろん今度も役に立って見せるわよ!


「ねえ、ケイト。『実は女の子だった』っていうのは『実は魂が女の子だった』って可能性は無い?」

「魂って男女あるの?」

「『女性っぽい意識の魂』とか言った方がいいかもしれないわね。前世が男性で女性に転生すると、その一生のうちに『女性っぽい魂』に変わったりもするのよ」

「そうなんだ。じゃあ、転生とか無くて初めて生まれる時は?」

「それはどちらでもないと思うけど、そういうのまでは知らないわ」

「でもマリーって博学だね」

「魔王だもの」


魔王の知識は代々受け継がれていくし、次の魔王になっても私の知識が無くなるわけじゃないのよ。


ケイトに喜んでもらえるって本当に幸せだわ!

早く元の体に戻ってケイトと愛し合いたいわね!


「ケイト、あなたの『あそこ』触っていい?」

「え?」

「不快な思いをさせると思うけど、でも、ちょっとだけ」

「あ、でも」

「そういう気分なの」

「『あそこ』ってどこかしら?」

「それはもちろんケイトのおち…シェリー?」


いつの間に起きたのかしら?


「マリー様。『おち』って何でしょうか?」


シェリーがニヤニヤしてこちらを見てるわ!

さっきの仕返しのつもりね!


魔王を舐めたらどういう目に遭うか教えてあげるわ!


ぴろん


マリー『それはもちろんケイトのおち○○○よ。それを…して…してから…するのよ!』

シェリー『マリー様!私が悪かったですからそれ以上言わないでっ!』


ふふふ。勝ったわ。


「マリーってすごくエッチなんだな」

「え?だって今のはメールだからケイトには聞こえてないわよね?」

「メールって個人対象にするメールとあらかじめ参加者を指定していておいたグループで会話できるのがあるんだけど」


ま、まさかうっかりグループで会話できるメールで?!


ぴろん


カリナ『す、すごいです』

マリナ『さすが魔王なの』


いやああああっ!


これって私とシェリーとケイトとマリナとカリナのグループだわ!


王女たちに流れなかったのが幸いだわ。


「ケイト、これって文字だけだから不便よ。タブレットみたいな内蔵品は無いのかしら?」

「あ、うん」

「あるのね?」

「あるんだけど…内緒にしてくれる?」

「どうしてかしら?」

「少なくともクリス様には絶対に知られたくないから。それでエメル姉さまやサフィ姉さまにも内緒にしてほしいけど」

「いいわよ」



渡されたのは『内蔵品スマホ』。


これってカメラ機能があるのね!

なぜか視点を向こう側からにして自分を写せるし、動画も取れるじゃないの!


しかも目をつぶっていても見えるとかすごくない?!


「つまり隠し撮りしていたのがクリスに知られたくないのね」

「はい」

「私の写真は?」

「え?」

「私やシェリーの写真は無いの?」

「ケイト、私のエッチな写真隠し撮りしてたの?!」

「…送るね」


ぴろん


こ、この写真はっ!


「私の寝顔じゃないの!」

「マリー様、私のはころんだ写真です」

「つい、可愛らしいところがあると写真撮ってしまって。その…マリーとシェリーのエッチなのは無いから」

「どうして?!」

「私たちに魅力が無いって言うの?!」

「だって、マリーとシェリーならいつでも会えるし、さっきみたいにすぐにエッチなことできるし、どうせなら本物のほうがいいから」

「うっ」

「ずるいわよ。そんなこと言ったら怒れないわ」

「じゃあ、今からエッチな写真撮ろうか?角を舐められて痙攣している動画でもいいけど」

「「それはいや!(うん、いいわよ!)」」


え?シェリー?


「あ、だって、その、それをケイトの中に保存して時々見てくれるのよね。それは嬉しいかなって」


シェリーもすごい乙女ね。

変態入ってるけど。


でも、それはありだわ。


「もういっそクリスも含めて教えるべきよ。だって、今は目隠しをしないでお風呂に入っているのよね?」

「そうだけど…ご主人様をだましていたわけだから」

「何言ってるのよ。そんなくらいでどうにかなる関係じゃないでしょ?それにお仕置きできるからクリスも喜ぶわ」

「そうかな?」

「もし嫌われても私たちがずっと一緒に居てあげるから」

「でも、俺にとってはクリス様が」

「わかってるわよ!だから今なのよ!これから色々大変なことに巻き込まれるかもしれないでしょ?この『CHAINチェイン』っていうメールの発展した機能とか使えたり、見えないところでもカメラ機能で見通せるとか、写真や動画で情報共有できるとか、これはすごい強みよ」

「確かに。ところで、急に思いついたことがあるんだけど」


何かしら?


「女性の魂の話をしていたよね?あれで思ったんだけど…」



-主人公ケイト視点-


『王子』はやっぱり居たんだ。


俺は思いついたことを話してみる。


「まず、第4王妃とその兄は恋仲かもしれないし、もしかするとすでに子供も居る」

「え?」

「そう仮定するね。あるいは、第4王妃には元々誰かとの子供が居たとするよ」

「それで?」


第4王妃の子供を国王にするには、王子として生まれさせればいい。

つまり、生まれてくる王子に自分の子供を『乗り移らせる』ことができればいい。


「悪魔でなくてもそれは可能よ。黒魔術の『憑依』もそうね。定着させるには儀式とかいるけど」

「むしろ儀式はしていないんだ」


精神の交わりで妊娠できる悪魔は、きっと王子や王女を産み分けられる。

そこで王子を身ごもり、元々の自分の子供をそこに乗り移らせた。


そうすれば、産まれた子は悪魔の宿った王子になる。


「どうしてそんな面倒なことをするの?普通に自分の子供でいいじゃないの」

「好きでもない相手との子供より、愛し合って作った子供を王にしたいものじゃないか?」

「それでも、王子が居ない理由にはならないわ」

「第4王妃の子供が女の子だったら?」


第4王妃の元々の子供は女の子だったが、王子として生まれさせないと王の跡を継げない。


跡継ぎと決められてからなら、もう王子である必要も無いから女性に戻して、あとは男装してごまかせばいい。


バレそうなら早々に王を殺し、王国を乗っ取ってもいい。


「すごい考えね。ありえるかもしれないけど、ちょっと誇大妄想かも」

「マリー様、ありえない話ではないですわ。でも、それなら女性に戻した『子供』はどこにいるのかしら?」

「女性に戻すってのは簡単にできるの?」

「男性の体を女性化させるのは色々難しいのよ。だから女性の体を利用して…あっ!」


マリーは俺と同じことに気づいたみたいだな。


「まさか、第4王女、ヴィヴィの体に乗り移る気なの!」

「そう。あれはモンスターとのキメラにするためじゃなくて、元々あった『悪魔の子の抜け殻』とヴィヴィを合成してから、そこに乗り移るつもりだったんだ」

「あるいは、もうすでに精神だけはヴィヴィの中に居るのね」

「それならどうしてヴィヴィを逃がしたの?」

「シェリー、それは相手が追跡できる自信があったからだよ。まさか異世界経由で逃げると思ってないし、ここにはマリーの特殊な結界が張ってあるから、外から知ることはできないよ」

「外から?…ねえ、ケイト。ヴィヴィって今どうしてる?」

「夕べ中和剤ができたから漬け込むところだよ。今、サフィ姉さまとカリナが作業してるんじゃないかな?」

「薬品が中和されたら仮死状態を解除して元に戻るのよね。もしかすると、中身がその『悪魔の子』だったら…」


一連の推理は妄想に近いくらい根拠は薄い。


でも、それこそ調べるしかない。


神託の王座オラクルスローン』を使って確かめるなら今だな。



-双子の妹カリナ視点-


ぴろん


ケイト『もしかするとヴィヴィの中に第4王妃の子である王子が憑依しているかもしれないから、気を付けて』


どういうことです?!


え?え?…そういう推理をしたのです?!


「サフィ、聞いたです?」

「私の所にも連絡来てるわ。だから万が一のためにマリーさんかシェリーさんに来てもらいたいわね。もう呼んだけど」


コンコンコン


「来たわ」

「マリーさん!」

「シェリーとケイトは『神託の王座オラクルスローン』で調べてるわ。取り越し苦労ならいいけど、一応私が見ているわね」

「お願いします」



ぴろん


ケイト『やっぱりヴィヴィの中に居る!すぐ行く!』


おにい、すごいです!


コンコンコン


「そういう時はノックしなくていいわよ!」

「女性ばかりだからついくせで。それでどうです?」


今のところ異常は無いのよね。


「サフィ、中和にはどのくらいかかるの?」

「丸3日近く漬け込まれていたから、同じだけかかるはずだったけど、色んな薬の調合を試して、1日でできるようにしてあるわ」

「試してって、そんな時間あったの?」

「『内蔵品超電子頭脳』よ。これなら様々な調合を一瞬でテストしてくれるわ」


すごく便利なのよね。

それに計算力が足りなくてもカリナ様と『つながる』ことで2倍の計算力になるのよ。


「最初に『神託の王座オラクルスローン』でヴィヴィのことを聞いたときは『薬品を中和して、仮死状態から回復させること』って言ってたけど、もしかすると、自力で回復して出てくる可能性があるわ。結界の内側から外に向けて通信をされると、相手に気づかれる恐れがあるわ!」

「それならこのカプセルを別の異世界に持っていくです」


その手があったわね!

さすがカリナ様!


「わかったわ。じゃあ、念のためここにはシェリーが残って、私とケイトとサフィとカリナで別の世界に行くわ。変化の魔道具を手に入れた世界よ。あそこにはまだ拠点が残してあるから」


あそこなら時間の進み方が違うから、すぐに戻ってこれるわね。



-主人公ケイト視点-


それにしても異世界転移もかなりなチートだよな。

もしマリーが魔王のままだったら、勇者に負けそうでも逃げられたんじゃ?


目の前のカプセルには4歳児のヴィヴィが薬品に漬け込まれて浮いており、そろそろ1日経つ。


「ケイト!すごいね、この『内蔵品スマホ』!ほら、こんな写真撮ったよ!」


ぴろん


「おいっ!」

「ケイト、ボクのエッチな写真に興奮した?」

「サフィ、そういうのはおにいが困るから、こういう時には禁止です」

「はーい、カリナ様」


いつヴィヴィの中の『悪魔の子』が目覚めるかわからないからな。


マリーが居るとはいえ、油断できないよ。



-悪魔の子テトラ視点-


テトラはずっとヴィヴィという王女の中に居る。


連れ去られる時に、父から『目を覚ましたらすぐに俺を呼べ』と言われた。


悪魔の家族はどんなに離れていても能力で心を通じ合わせることができる。

だけど、今は休眠中だから声を受け取れても、自分から伝えることができない。


体の自由が少しずつ戻ってきた。

もうすぐ目を覚ませるみたいだ。


テトラの『元の体』は父と母の所にあるけど、ここでは王女の体だから捕まっても殺されることは無いだろう。


そして父を呼んで、テトラを連れ帰ってもらうんだ。


…まだかな。


それにしても赤ん坊とはいえ、男の体って最悪だったわ。


早く女の子に戻りたいな…。


もう大丈夫ね。


薄目を開けると、周りに何人かの人間がいる。


すごい『圧』を放っている人は…角がある?魔族?!


よし、こっそりと父に連絡しよう。


『目が覚めたから、助けに来て。何かすごく強そうな魔族が居るから気を付けて』


これでいいわね。



どうして返事が来ないの?

どうして迎えに来ないの?


ねえ、どうなってるの?!

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークとか感想とかいただけると励みになります(*^^*)

次回も明日、3月27日18時更新です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ