第133話 ドS王女様は純真王女を弟子にする
Sの師弟
-主人公ケイト視点-
「おーほっほっほっほ」
高笑いをして気持ちよさそうに俺をベルトで叩くクリス様。
ちょっと痛いけど、クリス様がすごく楽しそうだからむしろ幸せな気分だな。
こんこ…
あれ?
なんか聞こえたような?
カチャ
ドアが開いてそちらに顔を向けるクリス様と俺。
「「えっ?」」
「あっ?」
目が点になっている第3王女シャル。
だって今の状態は、四つん這いの俺の背中に片足をかけたクリス様がベルトを振り下ろしたところだったんだもの。
「あ、あ、あの…」
11歳の王女にこれは刺激が強すぎるっ!
「シャル王女、これは…」
「楽しそうですね!私も入れてください!」
え?
-王女クリステラ視点-
楽しみすぎてドアのノックの音が聞こえないとか、完全にわたくしの失態ですわ。
でも、この『お仕置き』を楽しそうに感じるなんて見どころがありますわ!
わたくしと同じ第3王女なだけはありますの!
「王女として下僕の『しつけ』は大切ですわ」
「ふんふん」
「そして下僕はわたくしの要望に『全て』応える義務がありますの」
「そうなんですね!」
「それで、こうやって叩きますのよ」
ピシッ!
「まあ、お上手ですわ!」
ぱちぱちぱち
拍手をするシャル。
素直でいい子ですわね。
「シャルも、やってみていいですわよ」
「いいんですか?!」
ベルトを持って…全然構えがなっていませんわ。
「えい!」
ぺち
床を叩いていますわね。
「えい!えい!えい!」
ぺちぺち、ぺしっ
「当たりました!」
「それでは全然威力が足りないわ」
「どうやるんでしょうか?」
「技術ではありませんわ。心でムチをふるいますの」
「心?」
「ケイト、シャルをうんと褒めなさい」
「はい」
-主人公ケイト視点-
クリス様がまさか11歳の王女にこんなことをさせるなんて!
ぺちぺち、ぺしっ
うん、一発だけ当たったけど全然平気。
きっと顔面でも痛くないよ、これ。
「当たりました!」
「それでは全然だめですわ」
「どうやるんでしょうか?」
「技術ではありませんわ。心でムチをふるいますの」
「?」
「ケイト、シャルをうんと褒めなさい」
「はい」
返事はしたけど、誉めるってどういうことなんだろ?
えっと…まじまじとシャル王女を見る。
「あ、あの…」
俺にじっと見られてちょっと戸惑ってるみたいだな。
王女だけあって高貴な感じで、胸は11歳にしては大きくてエメル姉さまくらいあるよな。
Cくらいかな?
身長は標準くらいで、年齢の割に顔が大人っぽいな。
どこを褒めようか?
むしろ、どこを褒めたら喜ぶんだろ?
クリス様は自分の髪が一番気に入っているって言ったから他の人の髪の毛を褒めたくないし、胸やお尻を褒めるのはクリス様の前では無理だな。
周りの人がシャル王女を見たら、まず『大人っぽくてお綺麗ですわ』『大人びた素敵なプロポーションですわね』とか言うんだろうな。
でもこういう大人っぽい印象の子って、『綺麗』より『可愛い』って言われたいんじゃないだろうか?
-純真王女シャルロット視点-
「ケイト、シャルをうんと褒めなさい」
「はい」
いったい彼が私を褒めて、どうムチがうまくなるのかしら?
「シャル王女は、聡明そうで大人っぽい綺麗さで…」
よくある臣下や来賓の褒め方と同じね。
「今の大人っぽい衣装がとても似合っていますけど」
けど?
「無邪気なところとか、手の大きさが小さくて可愛らしいので、きっともっとひらひらした可愛らしい衣装が似合うと思います」
まあ!
「ケイト!わたくしは『褒めなさい』と言いましたのよ!衣装の助言とかしてどうしますの!」
げしっげしっ
あっ、足でケイトのお尻を蹴っていますわ。
でも、蹴っているクリスも蹴られているケイトもすごく楽しそう。
「あの…本当にそういう可愛い服が似合うって思います?」
「はい」
「ケイト、それならそういう服を出して、うんと喜ばせてあげなさい」
「はい。『日用品召喚』!シャル王女に似合うフリルの付いた可愛らしいワンピースを!」
ぽんっ!
ケイトの右手にピンク色のひらひらした可愛らしいワンピースが出てきたわ!
なんて凄い魔法なの!
「ケイト、姿見を出してから目をつぶりなさい」
「はい」
「シャル、さっそく着替えなさい」
「え?ここで?」
「この下僕はわたくしの『椅子』であり『道具』ですのよ。だから気にしなくていいですわ」
そういうものなのね。
しゅるしゅる
…
…
着替えて姿見を見ると、そこには11歳らしい可愛い私がほほ笑んでいた。
ケイト…私の望んでいた事をわかってくれたのね。
「ケイト、もういいですわよ。シャルはベルトを持ちなさい」
「やっぱりシャル王女はそういう服のほうが似合いますね!とても可愛いです!」
「そ、そう?え、えっと、もうっケイトったらっ!」
ぶんっ
ケイトにそう言われて、恥ずかしくて、思わず手に持ったベルトをケイトに振り下ろしてしまいましたわ。
ピシイッ!
「え?」
すごくいい音がしたわ!
「できましたわね」
「はい」
何これ、すごく気持ちいいの!
「シャル王女、髪型ももっと子供らしい方がお似合いです」
「シャル、ケイトに文句を言いながらベルトを叩きつけなさい」
「もうっ、私が大人っぽい髪型が似合わないとでも言うの?!」
ピシッピシッ!
本当は大人っぽくしなくていいのがすごく嬉しいの!
でも、こうやって叩くことでケイトにその気持ちが伝えられる気がして…
なんて素敵な『遊び』ですの!
ピシッ!ピシッ!ピシッ!
ああっ、褒められて、照れて、照れ隠しに叩いて…ケイトがそれでも嫌がらずにまた私を褒めてくれますの。
ゾクゾクゾク
な、何かよくわからない感覚が来ましたわ。
これはいったい?
ぴしっ、ぴしっ
ちょっと力が入らなくなってきたわ。
もしかして私ったらケイトの事を…。
「ケイト、シャルにエッチなことを言いなさい」
「え?!」
「しなさい」
「はい!シャル王女もクリス様のように水玉とか猫さんのパンティのほうが似合いますよ!」
「私の着替え見ましたの?!」
ピシイッ!!
あっ、すごくいい音がしましたわ!
「いえ、きっと大人っぽい衣装に合わせて大人っぽい下着だと推測しました」
「王女の下着を勝手に想像するとか、変態ですわよ!」
ピシイッ!ピシイッ!ピシイッ!
何かしら、すごく気分が高ぶってきましたわ!
「シャル、お上手ですわ!ところでケイト!わたくしの下着が子供っぽいって言いますの?!」
げしっ、どげしっ!
クリスは足でケイトのお尻や腿を蹴り飛ばしていますけど、私もやっていいかしら?
「あの、私も蹴っていいですか?」
「もちろんですわ!」
「えい」
ぽこん
何かを蹴るなんて経験無いからうまくいかないですわ!
「ちょっと待ってください」
また魔法を使うみたいね。
「『日用品召喚』!クリス様に似合う大人っぽいシルクの下着と、シャル王女に似合う可愛いパンダ柄の下着!」
ぽんぽんっ!
「何を勝手に出していますの!」
「まったくですわ!」
どげしっ!
げしっ!
「でも、さっそく着替えたいわ!」
「そうですわね。ケイト、また目をつぶっていなさい」
「はい」
下着は可愛らしい動物の小さな絵柄がたくさんついたブラとパンティですの。
でも『パンダ』って知らない動物ですわね。
白黒でとっても可愛いですけど。
「ケイト、目を開けてわたくしのほうだけ見なさい」
え?
だって今着替え中…。
「どうかしら?」
「クリス様!大人っぽい黒がとてもお似合いです!」
「当然ですわ!でも、そんなに見たら駄目ですわ!」
どげしっ!!
「あ、あの」
「シャル王女?!あっ、ごめんなさい!見えてませんから!」
見えてない?本当に?
「わ、私はどうですか?似合ってますか?」
「はい。そういう可愛らしい下着のほうがとてもお似合いです!」
「見えてるじゃないですか!」
げしっ!!
すごい!ケイトを蹴ることで、より気持ちを伝えられる気がしますの!
げしっ!
私は…
げしっ!
ケイトの事が!
げしっ!げしっ!
大好きですわ!
どげしっ!
『遊び相手』として!
ああ、こんな楽しい時間は初めて。
-逃亡王女フランソワーズ視点-
それぞれが支度に時間がかかったみたいで、朝ごはんが結構遅くなりましたわ。
マリーさんって元魔王なのに料理をしますのね。
それに、どうしてこんなに上手なんですか?!
ただの豆のスープのはずなのに、こんな奥深い味わいに?!
そしてケイトが召喚魔法で出した色々なパンがまたおいしいの!
こんな食事ばかりしていたら、お城に戻ってから困りますわ。
いえ、お城のお食事がまずいというわけではありませんのよ。
でも、お城の食事は『ごちそう』ばかりで飽きるというか、なんだか楽しくありませんの。
それと…
「はい、ケイト」
「ありがとうございます」
どうしてシャルがケイトになついているのかしら?
わざわざケイトの隣の席に座って、パンを取ってあげて、ケイトを見て頬を染めたり…。
まさか恋?!
11歳でも恋くらいするわよね。
でも、彼はクリスの下僕なのよ。
身分も違うし、彼を自由にすることなんてできないわよ。
「お母様、早く出てきてください」
朝食が終わって部屋に戻り、お母様の入っている卵を撫でて声をかける。
数日で出てくるらしいけど、中が見えないから全然わかりませんわ。
ぴくっ
え?今動いた?!
「フランお姉さま!お母様が動きました!」
「やっぱり?!」
動いたりもするのね!
私たちの声がきっと聞こえているんだわ!
「お母様!早く出てきてくださいね!」
「アンリ、声掛けをお願いね。ちょっと行ってくるわ」
「お姉さま、もしかしてトイレ?」
「そういうことを言うものではありませんわ」
トイレじゃないのよ。
どうやら『女の子の日』が来たみたいだわ。
そういえばアンリや侍女のローラは『スライム』でアレをしなくて良くなったらしいわね。
私もそうしたいけど、スライムをお尻に入れられるとかはずかしくてできないわ。
エメルたちなんか、産まれて一度もアレをしたことないのよね。
それであんなにあの姉妹は綺麗なのかしら?
トイレに行って専用の『あて布』を下着に付けて、部屋に戻ってから薬を飲むわ。
こくん…。
これを飲まないと発情して迷惑をかけてしまうのよね。
でも、もうあんまり薬が残ってないから、あて布で吸った『血』をサフィにお願いして薬を作ってもらわないといけないわ。
頼むだけでも恥ずかしいけど、背に腹は代えられないわね。
-元病弱王女アンリエッタ視点-
ふふふ。
フランお姉さまったら全然気づかないんだね。
今飲んだ薬は私の薬。
だから、そのうち発情してくるよね。
そうしたら『一押し』してあげればいいんだ。
お姉さまは誰に『注入』してもらいたいのかな?
そういえば、朝食の時にシャルロットとケイトが仲良さそうにしているのをじっと見ていたわ。
もしかして『嫉妬』していたのかな?
きっとそうね!
「お姉さま」
「何かしら?」
「ちょっとお願いがあるんですけど」
-主人公ケイト視点-
アンリ王女に部屋に呼ばれたけど、誰も居ないなあ。
居るのは卵だけ。
卵は床に敷かれたお布団の上に鎮座しているけど、ベッドの上だと落ちるといけないからお布団の上にしているんだよね。
『卵が少しでも早く孵るように、卵を作り出したケイトとマリナにも手伝ってほしい』
って言われたけど、誰も居ないってどういうこと?
ぴろん
マリナ『用事があるので遅れるの』
何の用事だろ?
とりあえず、一人でやるかな。
「王妃、娘さんたちが待ってるから出てきてくださいね…って第1王妃の名前知らないや」
第3王妃の卵は俺とカリナとシャル王女とステフ王女が声掛けをしているから『フェリシー王妃』って名前を聞いてるけど。
洗脳されていた第2王妃はルシールだったよな。
「お母様の名前は『ジャンヌ』ですわ」
いつの間にか部屋に戻ってきていたフラン王女がそう教えてくれた。
ジャンヌって勇ましい感じだな。
「アンリ王女に頼まれたので、卵に声をかけに来ました」
「ありがとう。私もやりますわ」
すっ
卵の上に置いてある俺の手の上に手を重ねてくるフラン王女。
え?
「こうしていると、私たち二人の子供みたいですわね」
ちょ、どうしてそんな頬を赤くして潤んだ目で言うの?!
慌てて手を引っ込めようとすると、それをさせまいと握ってくるフラン王女。
「駄目ですわ」
力強っ!
「我が王家は獅子王という獣人の王家の血が入っているそうですわ。それで『女の子の日』になると、力が強くなったり発情したりしますのよ」
そういうことか!
でも、薬を持っていたんじゃ?
「薬をすり替えられて発情させられたみたいね」
「わかってるならやめましょう!」
「駄目よ。もう止められないもの」
すごい力で押さえつけられて、フラン王女の顔が近づいてくる!
素敵な方だと思うけど、そんな見境なしにエッチとかできないから!
「ケイト、私に『スライム』を入れてほしいの」
「え?」
何それ?
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次回も明日、3月25日18時更新です。




