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第131話 椅子は王妃たちをよみがえらせる

クリス様の世界の召喚魔法って、地味だけど何気に凄いチートだな。

-主人公ケイト視点-


「よし、ここでいいな」


城の結界の外に出てから転移をしたが、転移場所は国境を越えた所。


家に直接戻ってもし場所を敵に知られたら色々面倒だからな。


そしてさらに別の異世界へ!…ってこの人数では俺には無理だな。


「ケイト、お待たせ」


マリーが来てくれたから異世界転移経由での帰宅をお願いする。


異世界に転移できる者はめったに居ないらしいから、これで追跡される心配はないだろう。


しかしやること多いな。


・正気を失っている第2王妃の治療。

・薬に漬け込まれた第5王女ヴィクトリーヌの治療。

・キメラにされた第1王妃と第3王妃を何とかする。

・マリーが捕まえたガノン・イフリートの処理。


王女と王妃が『聖女の椅子ホーリーエンブレイス』で治ればいいけど。





「「お母様!」」

「シャル!ステフ!」


抱き合う3人。


どうやら第2王妃の洗脳の治療は『聖女の椅子ホーリーエンブレイス』でうまくいったみたいだ。


薬品に漬け込まれていたヴィクトリーヌは状態異常や病気とはまた違うので、サフィに薬品の中和剤を作ってもらっている。


中和剤が出来たら体に染み込んだ薬品を中和して、『聖女の椅子ホーリーエンブレイス』で仮死状態から回復させれば大丈夫らしい。


こういうことは『神託の王座オラクルスローン』がしっかり教えてくれるので助かる。


あとはキメラになった王妃たちだけど、薬品により体を変質させられて融合されているので、元に戻すのはかなり難しいとのこと。



『元に戻すことはできないが救う方法はある』


という神託だけで具体的な方法は教えてくれなかった。

まるで俺たちの体質を治す方法を聞いたときみたいだ。


つまり、何通りかやり方があるから自分で考えろってことだな。


それで考え付いた方法があるけど、先にこいつ(・・・)で試すか。


「おにい、この石像に意識が閉じ込められているのです?」

「ガノン・イフリートっていうらしいけど、剣に宿っていたくらいだから、いわゆるインテリジェンスソードの知性部分みたいなものかな」

「それってAIみたいなものです?」

「平たく言うとAIだよな」

「たしかにAIです」

「というわけで、『特級学用品召喚』!このタブレットの中にこの石像のAIを抽出してインストールして!」


ひゅううううん


ピピッ


『AI『ガノン・イフリート』をインストールしました』


よし、タブレットに表示されたぞ。


あっ、マリーが横で呆れた顔をしてる。


「ねえ、ケイト。さっきのカリナとの『お芝居』って要るの?」

「うん。例えば俺が『最高の椅子』って言われてクリス様に椅子として召喚されたみたいに、誰かが『これは○○だ』って心の底から認識すれば、そういう扱いとして召喚できるんだ」

「それってすごいわね。とりあえず憑依されていた侍女は石化を解いておくわね」

「ありがとう。さて、アプリを起動して会話してみるか」


ちなみにタブレットは新品だよ。

他のデータやアプリを一緒にしたくないし、通信もさせる気は無いからね。

独立端末スタンドアローン』ってやつだ。


『どうなってるんだ?!一体我はどこに居るんだ?なにも見えないぞ?!』

「魔道具の中だよ。AIとして意識だけインストールしたから…ってわからないか。つまり意識だけ魔道具の中に入れたから、もう会話以外何もできないよ」

『なんだと?!』

「あきらめて、洗いざらい話すんだな。いや、話さなくても無理やり記憶を取り出してもいいけど。そうしたら不要になるから『削除』しようかな?」

『うっ…わ、わかった』

「ケイト、あとは私に任せて」

「頼むよ」


尋問はマリーに任せて、キメラになった王妃たちを俺が何とかしないとな。



-第1王女フランソワーズ視点-


お母様たちがキメラという魔物にされてしまった。

もう元には戻れないかもしれないって。


お母様が会ってくれなくなった時点で、無理にでも会うべきだったのかしら?

でも、それだと今度は私やアンリも危険だったのよね。


「ケイト、お願い!何でもするからお母様を助けて!」

「王女様が『何でも』って軽々しく言うものじゃないよ」

「わかっています。でも、本当に私にできることならどんなお礼でもします!」


例えこの体を求められても…。


「ケイト、何とかしてあげなさい」

「はい、クリス様」


あんな美しくてプロポーションのいい人たちが身の回りに居るのだから、私なんかが『この体を自由にして』なんて言ってもきっと笑われてしまうわね。


それにみんな王女なのにすごく強くって…うらやましいわ。


「元に戻すのは難しいけど、『助ける』のであればできると思います」


どういう意味?


「キメラの中にある『意識』だけを取り出して、新しい体に入れればいいと思うけど、それでいいかな?」


つまりお母様の新しい体を作って、そこにお母様の魂を入れるのね!


「お母様が助かるならそれでいいわ!」

「じゃあ、新しいタブレットを出してと」


え?あんな魔道具で何ができるのかしら?


「マリナ、キメラの中に人間としての意識があるんだね」

「うん。だけど本能に負けて暴れるみたいなの」

「じゃあ、その意識はAIみたいなものだけど、キメラの中で休眠状態なんだね」

「そうなの。その意識はほとんどAIだけど休眠しているだけなの」

「よし、『特級学用品召喚』!キメラの中のAIをこのタブレットにインストールして!」



ひゅううううん


ピピッ


『AI『王妃アンジェリーヌ』をインストールしました』


これを起動してと。


『私はいったい?ここは?あっ!フラン!アンリ!』


さっきのと違ってこっちのタブレットはカメラ機能付けてあるから見えるんだよね。


「お母様なの?!」

『そうよ!ごめんなさいね!あなたたちにはつらい思いばかりさせて』


とりあえず事情を話す。




『つまり、新しい体に私の魂を入れてくれますのね』


魂か精神かわからないけど…たぶん同じものだよな。


「それで、王妃の生前がどういう姿かわからないので、タブレットに3Dアバター作成アプリが入っているので、自分の姿を作ってみてください。操作はできそうですか?」

『…不思議ね。扱った事もないものなのにやり方がわかるわ。待っててね…ねえ、ケイトさん。恥ずかしいから』

「あっ、できるまで見ないほうがいいですね?」

『そうじゃなくて、娘たちに見てほしくないの』

「え?」

「どうして?」

『お願い』

「わかりました。お母様を頼みます」

「お願いします」


俺はマリナとカリナを伴って自室にタブレットを持ち帰る。





『できました』


え?ちょっと待って。


「ねえ、これでいいの?」

『ええ、問題ありませんわ』


それじゃあ娘たちに見ないでって言うはずだよ。


「じゃあやるかな。『超越召喚魔法』!この映像通りの女性の体を精神や魂の無い状態で!」


…出ない。


「おにい。これは子供を作った時と同じ魔法です?」

「うん。魔晶石は念のため100個使ってるけど、駄目だな。魔晶石が減りもしないのはそもそもやり方が違うのかな?」

「カリナが思うに、二人で唱えないと駄目です」


あっ!そういうことか!


「だからカリナが一緒にやるです」

「だめっ!マリナが一緒にするの!」


ああ、やっぱりこうなるのか。


「王妃様は2人居るから交代で」

「じゃあ最初はマリナに譲るです」

「いいの?」

「一応マリナがお姉ちゃんです」

「じゃあ、初体験の時は譲るの」

「わかったです」


何だかとんでもない会話を堂々と俺の前でしないでほしいんだが。


俺はマリナと恋人つなぎをして、その手の平を魔晶石の山の上に置く。


「「『超越召喚魔法』!この映像の通りの女性の体を精神や魂の無い状態で!」


ぼんっ!!!



出た!

って卵じゃないか。しかもすごく大きい!


大人でも入れそうだ。


宙に浮いてゆっくり降りてくるのを3人で捕まえて、そっとベッドに置く。


「この中に精神を移すといいの?」

「そうだね。このタブレットの中にあるAIは実はこの卵に入るべき精神であり、魂なんだよ」

「そうなんだー」


お芝居に付き合ってくれるマリナ。


「『超越召喚魔法』!この卵の中にタブレットの中の魂を移して!」


タブレットの画面に表示されていた王妃のアイコンが消えて、卵が淡く光る。


たぶん成功したんだろうな。


「おにい、次はカリナの番です!」


カリナの目がすごくギラギラしてる。


「じゃあやろうか。順番にやるから慌てないで」

「おにいと子作り…おにいと子作り…」


駄目だ、それどころじゃないみたい。


だいたい俺たちの子作りじゃなくて王女たちの母親を再生するんだけどな。



-第2王女アンリエッタ視点-


「この卵がお母様?!」

「触って優しく声を掛ければ数日で出てくると思うよ」

「わかりました!お母様!フランです!早く生まれてきて!」

「お母様!アンリです!早く出てきて!」


こっちは二人に任せておいて、第3王妃は娘のヴィクトリーヌがまだ元に戻っていないから、侍女たちに頼んで声をかけてもらう。


ヴィクトリーヌが回復するのを待つ方法もあったけど、それをするとお母さんが怪物になったって4歳児に思わせちゃうからな。


目が覚めたらお母さんが目の前に居たほうがいいだろうし。



「ケイト」

「あれ?!ディアナ様?!ルビィアも?!」


まさかディアナ様がこっちに来るなんて!


「今日は帰れないと聞いたから、わたくしのほうから来ましたわ」

「王国って、誰か居ないといけないんじゃなかったんですか?」

「『管理局』に長期間でないなら留守にしても構わないと言われましたわ。だから、ルビィアも連れてきましたの!」

「そうなんだ。よしよし」

「ばあー」


ルビィアがご機嫌で可愛いな。


「ところでケイト」


ん?

何か急にディアナ様の雰囲気が…。


「あちらに大きな卵がありましたけど、あれは誰と誰の子供かしら?」


え゛


「それは子供じゃなくて、王女たちのお母さんですよ」

「…わかってますわ。でも、その、あなたの本当の子供はルビィアだけですのよ」

「もちろんだって。それに俺の妻もディアナだけだろ?」

「もう、ケイトったらそんなふうにすぐごまかそうとするっ。でも、嬉しいわ。ねえ、今夜は一緒に寝られるのかしら?」


その流れで言われると寝ないわけにはいかないけど、シェリーとマリーにも言われているんだよな。


「先約がありますの?それなら、お風呂を一緒に入りたいですわ」

「それならいいですよ」

「いっぱい綺麗にしてあげますわね」

「ルビィアも入れるんですよね?」

「それはエメルに任せることになってますわ」


え?もう話がついてる?

まさか最初から二人っきりで入るつもりで?


「ふふっ、楽しい体の洗い方を教わりましたの。さっそく試しますわ」


あ、なんかこれ駄目な奴だ。


夜、シェリーとマリーと一緒に寝るまで持つかな?




あわあわぬるぬる

あわあわにゅるにゅる


ぷにょん、ぼよん

むにょん、ぼいん


…あっ、やっぱり。


「誰にこんなやり方聞いたんです?」

「ふふっ、内緒ですわ。さあ、どんどんやるりますわ」


あ、うわあああああっ


『みょぎりんこ(すごく不快)』の嵐がっ!

でも時々『みょぎん(少しの快感)』がっ!


ディアナ様も同じはずなのにどうして嬉しそうなんだ?


「愛していれば不快感も受け入れられますわ。だってケイトとの睦事ですもの」


凄いなディアナ様。

俺もそう思ってはいるんだけど、ここまで激しいと…。


はううううううう。

あううううう、ひくっ!

はううつうううう。


膨大な鞭とわずかな飴。


俺はもう駄目…。

お読みいただきありがとうございます。

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次回も明日、3月23日18時更新です。

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