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第128話 ドS王女様たちは王城の偵察に向かう

侍女には有能だけでなく、見た目の良い少女たちが集められています。

村1番の美少女でも、ここにいるメンバーの足元にも及びませんが。

-主人公ケイト視点-


アルハーダ王国の王女はここにいるフランソワーズとアンリエッタを除いてあと3人。


第3王女シャルロット11歳。

第4王女ステファニー8歳。

第5王女ヴィクトリーヌ4歳。


フランソワーズとアンリエッタは第1王妃の娘。

シャルロットとステファニーは第2王妃の娘。

ヴィクトリーヌは第3王妃の娘だ。


「助けると言っても、第4王妃の脅威を他の王妃が感じ取っているかどうかなんだけど」

「たぶん感じていると思うのですが、直接的な危害を加えられていないと思うので…」


本人は殺されそうになったからすぐにでも妹たちを助け出したいのだろうけど、他の王妃や王女たちはそのことを知らなければ危機感など持たないかもしれない。


「ケイト、『神託の王座オラクルスローン』で状況を調べられませんの?」

「たぶんできますけど…」


クリス様に言われたら『はい』しか言わないところだけど、最近この『神託の王座オラクルスローン』が便利すぎて、何か『反動』が無いか不安になっているんだよな。


「クリス様。『神託の王座オラクルスローン』が便利すぎるので、もしかすると何か『反動』があるかもしれません。それを調べるところからしたいです」

「わかりましたわ。じゃあ、わたくしが座りますわ」


俺が椅子に座ることで『神託の王座オラクルスローン』の体勢になり、そこにクリス様が腰かけてくれる。


もちろん背中をこっちに向けてだ。


サフィならともかく、クリス様がこっち向きに座られたら集中できなくて質問どころじゃないよ。



-王女クリステラ視点-


ケイトの心配はもっともですわ。


神託の王座オラクルスローン』が全てを知っていて、何でも教えてくれるならそれこそ予言書と変わりませんの。


『『神託の王座オラクルスローン』の万能性や弊害や反動については、質問を絞ること』


いきなり全部は聞けませんのね。


聞いたことをそのままケイトに告げていきますわ。


『『神託の王座オラクルスローン』の万能性については、ある程度の人数が知っている事項であれば神託を受けられる』


つまり、サフィ姉さまが錬金術のレシピを知ろうとした場合、まったく知られていないことは神託を受けられない可能性があるのですわ。


『人の心などについては近距離でないとわからない』


すると、王妃や他の王女たちの考えはここからは読めませんのね。


『未来については神託があっても、正しいとは限らない』


やっぱり予言には不向きですわ。


『神が人に告げたくないと思うことは神託を受けられない』


神って本当に居るのですわね。


『頻繁に使うとしばらく使用できなくなることがある』


これですわっ!


やっぱりあまり頼ってはいけませんのね!


『クリス様の…』


え?わたくし?


ひょい


ああっ、ケイトに膝から降ろされましたわ!


「すみません、雑念が入ったので」

「もっと集中なさい。まあ、いいですわ」


本当はわたくしの何を聞きたかったか気になりますわ。


ケイトのことだからエッチなことかもしれませんの。

でも、他国の王女の前でそのことは追及しませんわ。


でも、あとで追求してお仕置きですわよ。


「クリス様、とりあえず偵察に行ってきます」

「偵察?」

「マリーと俺は転移魔術や姿を消す魔術が使えますから、城内の様子を見てこられます。その代わり城内に詳しい人についてきてもらわないと転移できませんけど」

「それでは私が行きます」

「フランソワーズ王女は駄目です。侍女の中で小柄で機敏な人を一人貸してください」

「わたくしも行きたいですわ」

「クリス様、その長い髪はちょっと潜入には向いていないです」

「そうでもありませんわよ」


わたくしは最近覚えた黒魔術の『感覚付与』で、髪の毛を自在に動かして見せますの。


「髪を体に巻き付ければ邪魔になりませんのよ。こうやって物を持ったりもできますの。そして髪の毛を防御魔法で強靭にしておけば、鎧を着なくても身を守れますわ」

「クリス様すごいです!」

「これならむしろついてきてもらった方がいいわね」


マリーさんにお墨付きをもらえたわ!

練習していたかいがありましたの!



-元魔王ブラッディマリー視点-


本当にディアナ王女の娘たちは有能なのね。


黒魔術だって覚えたてのはずなのに、あれほど自在にあんな長い髪を操るなんて。


髪の毛を防具の代わりにするなんて発想も素晴らしいわ。


今度、クリスと黒魔術について話をしてみたいところね。




打ち合わせを終えて、侍女たちの部屋へ行き、王城の偵察に行くと告げる。


『…?!』


あら?今の気配は…。

ふうん、もしかして…。


「私が参ります」


ローラという14歳の少女が偵察に随行してくれることになったわ。


「ケイト、やっぱりシェリーと代わるわ。万が一のためにこちらにも転移できる人が居たほうがいいわ」

「えっ?」


ぴろん


マリー『ケイト、実は…が…みたいなのよ』

ケイト『わかりました』


「じゃあ、シェリーと行きます」

「頼んだわよ」



-主人公ケイト視点-


ここの問題・・・・・はマリーに任せて、クリス様とシェリーと侍女のローラと一緒に王城へ潜入することになった。


「王城は転移封じの結界があるらしいから、王城の近くに転移して姿を消してから侵入するわよ」

「姿消すのはシェリーに頼むね」

「もうケイトもできるのでしょう?」

「お願いしていいかな?」

「もう、あとで『お駄賃』をもらうわよ」

「ああ」

「あの…」


ふいに侍女のローラが話に入ってくる。


「ケイト様はここのご主人様なのですか?」

「違うよ。こちらのクリス様の下僕だよ」

「とてもそんな感じに見えませんわ」

「まあ、色々と複雑な関係なのよ」


とフォローになってないフォローを入れるシェリー。


「そんなことより、さっさと行くわよ!」

「じゃあ、ローラ。君の記憶を利用して転移するから、王城の近くで人目の無さそうなところを思い浮かべて」

「はい…あ、殿方の手…」


男性に触れたことが無いのか、手を握るだけで赤面するローラ。


ぴろん


シェリー『むやみに惚れさせないでよ』


いや、ただ男性に免疫無いだけだと思うけど。


眼を閉じて集中するローラ。


俺はそのローラの思考に同調して、まず意識だけを現場に飛ばす。


『…ここからは王城が見えるけど、路地裏で街路からは死角になっている部分だな』


今なら誰も周りに居ないようだ。


こうやって確認してから転移しないと、飛んだ先でとんでもないことになりかねないんだよな。


『石の中』は無いにしても、人が居た場合とか弾き飛ばしたりするから危ないんだ。


マリーさんの転移は自動的に安全確認ができるらしい。

俺もそれくらいに熟達したいな。


「よし、転移する!」


俺はシェリーとローラの手を握って、転移する。

これもマリーなら『部屋の中に居る人全員を転移』とかできるけどね。


なお、外に転移するからクリス様は俺が背負っている異次元リュックの中だ。


あと、鑑定妖精のキャンティも連れていきたかったけど、内蔵品メールが使えないので隠密活動には向かないからお留守番になってしまった。


ひゅんっ


よし、無事に転移できたな。


「じゃあ、姿を消すわよ。もちろん気配とか色々消すからね」


俺でも姿を消すくらいはできるけど、においとか気配とか魔力とか色々消すことはまだうまくできない。


それもあって最初からシェリーがするってわかってることだったんだけど、ああやって直接頼むとシェリーが喜んでくれるからな。


あとであげる『お駄賃』は俺にとっても楽しいことだし。


ぴろん


シェリー『会話はメールだけよ』

ケイト『わかった』

クリス『わかりましたわ』

ローラ『これ、すごいですね』


さあ、城内に進入だ!



-???視点-


まさかいきなり城内の偵察に行くとは…。


結界で直接城内には入り込めないだろうが、このことを早く『あのお方』に伝えねば。


我はこっそり敵のアジトを抜け出すと『転移』を使う。


異世界を渡るようなことはできないけど、隣国くらいまでなら行ける。



ひゅんっ


…ってここはいったいどこだ?


我なら直接城内に転移できるはずなのに、どうして見たこともない『荒野』に居るの?!


「私が貴様の転移に介入して連れてきた」


そこに居たのはマリーとか言う魔族。

そうか、元魔王とか言ってたな。

それでこんな芸当ができるのだな。


「貴様は侍女の中に潜む者…デーモンか」


我々デーモンは悪魔であり、人間の近縁である魔族とは全く別の存在だ。


「王女の宝剣に宿る『ガノン・イフリート』とは精霊ではなく悪魔だったのね」

「最初からお見通しだったのか」

「王女の宝剣の中に潜んでいる貴様が敵だとは気づかなかったわ。でも先ほど侍女の部屋で『王城に偵察に行く』という言葉に反応して、置いてあった宝剣から気配が漏れたから気づいたのよ」

「たったそれだけで?」

「元々、王女たちが簡単に国境を超えられた時点で、侍女の誰かが裏切っている可能性は考えていた。しかし、調べても全員シロだった。当然ね。だって、あなたがその都度宝剣から出て侍女を操っていたのだもの」

「くっ」

「さて、もう話は終わりよ。降参してもらおうかしら?」


我を生かしたまま捕らえる気か?


それでは『あのお方』のことを知られてしまう。


「ところで、あの時王女が自分の命を宝剣にささげて我を顕現しようとしていたのは知っているな?」

「聞いているわ」

「もしそうなったとしても、我はあの王女の魂程度では本来の悪魔として権限はできないのだ」

「でしょうね。その『貧弱な体』でどうやって抵抗する気なの?」

「ふふふ。元魔王と言えども所詮魔族。真の悪魔の恐ろしさを見せてくれるわ」



-元魔王ブラッディマリー視点-


いつから宝剣のイフリートと入れ替わっていたか知らないけど、力のほとんどを捨てないとあの宝剣には入れなかったのよね。


私との力の差は圧倒的なのはわかっているはず。

それなのにこの余裕…面白いわ。


私に何を見せてくれるのかしら?


「いくぞっ!」


ガノン・イフリートが憑依した侍女はこちらに飛びかかって…宙で一回転して


ずざざっ!


土下座したわ。

フライング土下座ってやつかしら?


「降参だ!命だけは助けてくれ!」

「駄目ね」

「なっ、なぜっ?!」

「だって、土下座なんて想定内だもの。そのくらいでは私は満足しないわよ」

「ううっ」

「あなたは侍女からひっこ抜いて使い魔にでもしようかしら?」

「うう…う、うひひっ!かかったな!」


ずざざざざざざっ!


私の足元から無数の槍が突き出してきた!


土下座しながら地面に触手のような物を打ち込んで、こっそり私の足元まで伸ばしていたみたいだけど…無意味ね。


「全てかわしただとっ!」

「だから『想定内』と言ったのよ。そもそもこの程度の発想、ケイトの足元にも及ばないわね」


ケイトならここからさらにいくつもの戦法を絡めてくるのよ。


私は槍状になった触手を掴む。


「はなせっ!それ以上何かするなら、この侍女の命が…あ…あう?」

「命がどうしたのかしら?」

「か…らだが…まさ…か、石化…いつの…まに…」


侍女を人質に取ろうとするのも想定内。


転移前に『遅延魔術』で『石化』を唱えてあったのを、今起動させたのよ。


さて、綺麗に石像になったわね。


あとはこれを持って帰って、ケイトに処理(・・)してもらえばいいわね。


それと潜んでいた敵に気づいてあげたのだから、ケイトから『お駄賃』をもらわないといけないわね。


ふふっ、ケイトに何をしてもらえるか楽しみだわ。

お読みいただきありがとうございます。

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次回も明日、3月20日18時更新です。


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