表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/147

第12話 ドS王女様と焼きたてのコッペパン

ららら、コッペパン♪


令和2年1月4日

初期でクリステラの言い回しが現在と違っているため修正しました。

人名の間違いがたくさん(^o^;)

ごめんなさいm(__)m

-主人公ケイト視点-


「髪を整えてきますわ。『共用扉コモンゲート召喚』!洗面所へ行きたいですの!」


なんでこの呪文はルビがあるんだろ?

大陸アパート管理しているお母様の趣味かな?


「クリス様、待っている間に、教科書を全部見せてもらってもよろしいでしょうか?」

「朝ごはんを食べる前から勉強する気なの?」

「いえ、どんな勉強があるか知っておきたいので」

「わかったわ。『使っている教科書全部』!」


どさどさどさ


たくさん出てきて下に落ちる。


そしてクリス様がドアの向こうに行ってから俺は座って、教科書を確認する。


『翔学生の算数3上』

『翔学生の魔法5上』

『翔学生の理科2下』

『翔学生の社会1上』

『翔学生の国語4下』

『翔学生の図工』

『翔学生の家庭』

『翔学生の音楽』

『翔学生の保健』

『翔学生の体育』

『翔学生の道徳』


なるほど、主要五科目は学年ごとに上下があると。

それで、英語が無くて、魔法がある。


あとの科目は翔学生で一冊ずつか。

この世界ではその程度で足りるのかな?


中を確認してみよう。


あっ、英語は国語に交じっているな。

基本が日本語で、英語は外来語の勉強みたいになってる。

やっぱりこの世界は日本語を使うんだな。


魔法は気になるけど、楽しみは一番最後に。


それより気になるのが…ほ、保健。


いやらしい目的じゃないぞ!

クリスの身長がすごく小さいから(胸は大きいけど)、成長期とかどうなっているのかなって。



『成長及び性徴について』

第二次性徴で背が男性は140センチ、女性は130センチほどに伸びます。

女子は胸が大きくなり、子どもを作る為の…


すとーっぷ!

もうわかりました。

十分です。


今、クリス様戻ってきたら、俺死にます。


魔法魔法。

魔法の本を見よう。


待てよ。

魔法は最初から見たいから『翔学生の魔法1上』から全部出してもらおう。



-王女クリステラ視点-


昨日は刺激的な1日でしたわ。


わたくしの初めての下僕、最高の椅子が手に入りましたの。


鼻歌を歌いながらわたくしは魔道具の『櫛』を取り出しますわ。


「『髪型調整』!美しい縦ロールにしなさい!」


櫛から出た光がわたくしの髪の毛を包み、くるくると綺麗に巻き上げていきますの。


さて、朝の支度も済みましたし、そろそろ戻りますわ。



部屋に戻ると、ケイトが椅子の状態で待っていましたわ。

殊勝な心がけですわね。


「ケイト、あなたも顔を洗って着替えてらっしゃい」

「はい、わかりました」



-主人公ケイト視点-


椅子の状態で待っていたら、クリス様が戻られた。


起きた時はまっすぐだった金髪が、きれいな縦ロールになってる。


というか、金髪長いままで良く寝られるなあ。

寝袋の中で絡まないのだろうか?


そして頭にティアラを付けて、ワンピースドレスに。

いかん、スカートの中が見えないように顔をそむけて目をつぶろう。


「ケイト、あなたも顔を洗って着替えてらっしゃい」

あ、そうだ。俺はまだパジャマだった。


「はい、わかりました」


俺は目を閉じたまま方向転換し、そろそろと扉がある方へ前進する。


洗面所に入ったところで後ろ手にドアを閉め、立ち上がる。


って、洗面所って脱衣所と同じだ。

でも、なぜかお風呂の入り口が無い。

必要な部分しかつながらないのかな?


あれ?そう言えば昨日着た服って脱衣所に置いたままだよな?


昨日入れておいた脱衣カゴの中を見ると、きれいに畳まれた服と下着が入っている。


くんくん


変な趣味じゃないぞ。

綺麗に見えたから匂いで確認しているんだ。


石けんのにおいがする。

洗濯済み?

もしかして、この脱衣カゴも魔道具?


服を着て顔を洗って、部屋に戻る。


「クリス様、トイレに行きたいのですが」

「わたくしのあとにしなさい」


そう言ってクリス様はトイレの共用扉を召喚して、トイレに行きました。

これ、二人同時とか我慢できなかったら死ぬな。


まて、もしかして他の住人と重なったらどうなるんだ?


考えている間にクリス様が戻られました。


パタン


「あっ、クリス様。開けておいてくれればよかったのに」

「どうしてですの?まさか?!」


あれ?クリス様の表情が変わった?


「やっぱりこの椅子は変態ですのね!えい!えい!えーーーい!」


四つん這いの俺の背中を足で踏んでぐりぐりする、新しいお仕置きのパターン。


はっきり言って、痛くないです。ご褒美です。

あと、たぶん顔を上げると下着見えるよね。

やらないけど、やらないけど。


で、なんで怒られるわけ?



-王女クリステラ視点-


「あっ、クリス様。開けておいてくれればよかったのに」


トイレから戻ってきたわたくしにそう言うケイト。


「どうしてですの?まさか?!」


『リセット』前のトイレに入りたいですって?

わたくしのにおいとか残っていますのよ。


それを嗅ぎたいというのでしょうか?

変態ですわ!


「やっぱりこの椅子は変態ですのね!えい!えい!えーーーい!」


わたくしは目の前のケイトの背中を踏みつけ、ぐりぐりとしてやります。


「クリス様!また共用扉を召喚するときに、他の住人と争いになったりしません?朝はみんなトイレに行きますよね?だから続けて入った方がいいのかと思って」


あら、そんな理由?


どうやらケイトはこの『共用扉召喚』で使う設備のことを良く知らないのね。


「とりあえず、トイレに行ってらっしゃい。そのあとで説明しますわ」

「はい!」


鍵を渡されて、自分で扉を呼び出してケイトはトイレに行きましたわ。


ふふ。

何だか、こういうドタバタしているのって、初めてで楽しいですわね。




あ、戻ってきましたわ。


「よろしいこと?共用になっている設備は、『共用扉召喚』でわたくし専用の設備として召喚されますのよ」

「その間、他の人は?」

「お母様や姉さまたちはもちろん使えますわよ。その代り、使用時間に制限が有りますの。お風呂でしたら1日40分以内、トイレは1日30分以内ですの。あと、鍵は1つですから、わたくしとケイトが2つの施設を同時に使うことはできませんのよ」


きょとんとしているケイト。

ふふっ。きっとケイトの世界にはない仕組みなのね。

驚いているわ。


「びっくりしました。俺の世界では、共用トイレって、そこに並んで使うようになってましたから」


それだから順番待ちがあると思うわけですのね。


「使用料の魔晶石を支払う時に使用時間が決められますの。もし、時間を延長したい場合は、わたくしが魔晶石を使いますわ」


そう、何をするにも魔晶石おかねが要りますのよ。


だからわたくしを早く天才に、いえ、元々天才の私を大天才にしてもらって、たくさんの魔晶石をもらえるようになりたいですわ!


「クリス様、すると脱衣所に置いてあった服がきれいになっていたのは?」

「ええ、あれは脱いでおいた服をきれいにしてくれますのよ。あと、出てから扉を閉めれば清掃もしてくれますの。清掃前にトイレに行きたいなんて言うから、本当に変態かと思いましたわ」

「すみません」


さて、そろそろ朝食の時間ですわね。



-主人公ケイト視点-


「ええ、あれは脱いでおいた服をきれいにしてくれますのよ。あと、出てから扉を閉めれば清掃もしてくれますの。清掃前にトイレに行きたいなんて言うから、本当に変態かと思いましたわ」


ということは、俺の発言はクリス様のトイレ後のにおいを嗅ぎたいって言ったのと同じなのか。

うわあ、最悪だ。


「すみません」


謝るしかないよな。


「かまいませんわ。それより、朝ごはんにしましょう。ケイト、頼んでもよろしいわよね?」


そう言ってクリス様は魔晶石を2つ渡してくれました。


「クリス様は、普段の朝ごはんは何にしています?」

「そうね。バターを塗ったパンかしら」


わりと普通だ。


ピザトーストとか出すと重いかな。


でも驚くようなものがいいな。


「クリス様、ジャムはご存知ですか?」

「知っておりますわよ。イチゴジャムもいいですけど、一番好きなのはピーナッツジャムですの」


ピーナッツだとジャムというよりペーストじゃないかな?_

いや、きっと「ピーナッツジャム召喚!」とかやると、ピーナッツのジャムが出るんだろうな。

そもそもジャムの定義ってなに?


あっ!

もしかして、これは無いかもしれないぞ。


「クリス様。せっかくなので、クリス様はいつも食べられているものを出して俺に下さい。俺がそれを見てから決めますので」

「いい考えですわ。でも一度渡した魔晶石を返さなくても良いわよ」


きっとそれは王女のプライドみたいなものなんだろうな。

クリス様は新しい魔晶石を取り出すと魔法を唱える。


「『朝食召喚』!ピーナッツジャムのたっぷり塗ってあるパンよ!」


クリス様の手の中に現れたのはトーストっぽい。

けど、塗ってある物までは良く見えない。


「ケイト、これよ」


トーストを俺に差し出してくれるので良く見ると、ちゃんと焼いてあるトーストにピーナッツジャム(?)がたっぷり塗ってある。


「なるほど。では、それはあとでいただきますので」


俺は魔晶石を握り、魔法を唱える。


「『朝食召喚』!パン屋で焼きたてのコッペパンにピーナッツバターを挟んで!」


そう、「パン屋で焼きたてのコッペパン」。

それは早朝にパン屋でバイトしていた俺にとって至高の朝ごはん。


そういえばバイト先に迷惑かけているかもしれないな。

何とか連絡取りたいよな。


「なんですの?!この香りはっ?!」


おお、クリス様が興奮されている。


「熱いので気を付けてくださいよ」


俺はアツアツのコッペパンをクリス様に手渡し、代わりにトーストを受け取った。


さて、クリス様が食べるまで、下僕は待たないとね。


「これはっ!熱くてふんわりとしたコッペパンにピーナッツジャム、じゃなくてピーナッツバターっていうのが溶けて染み込んで、あああああぁっ、なんておいしさなの!」


よかった、満足していただけたようだ。


「では、俺もいただきます」


もぐ、うん。おいしい。

なんだか、四つん這いで食べるのにも慣れてきたな。

お読みいただきありがとうございましたm(__)m

次回も明日、11月30日18時更新です(^-^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ