表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

115/147

第115話 双子の妹はサプライズをしたい

短くても毎日更新できればと思うけど、ついたくさん書いてしまう…。

-王女サファイラ視点-


ケイトたちと異世界に来て20日。


「あっ」


ぼんっ!


混ぜ合わせた薬品が黒い煙をあげた。

この実験の場合、黒い煙は大失敗なのよ。


「『空間凍結』!」


すばやくケイトが実験器具ごと空間を固めてしまい、それ以上の化学反応を止める。


錬金術師アルケミストにも実験が失敗したときのための『反応停止』や『隔離』などの魔法があるが、慣れていない今ではうまく機能させられない。


だからケイトがこうやって助けてくれるのはとてもありがたいの。


「じゃあ空間凍結を緩めるから『反応停止』をかけてから『強制分離』で元に戻して」

「うん」


ケイトは色魔法や黒魔術だけじゃなくて、空間魔法も自在に操っている。

本当にすごいわ。


空間凍結を緩めるというのも、ゆっくり時間を進ませるだけじゃなくて、さっき発生した有毒な黒煙だけは凍結したままなのよね。


マリーさんに言わせると『相当な熟練者じゃないとできない芸当』だって。


さすがボクの恋人!



ここへ来たときにケイトの恋人になってから、自分の事をなるべく『ボク』って呼ぶことにした。


そのほうがケイトが、ケイト兄さんが喜ぶから。

だから話し方もちょっとだけ男の子っぽくするのよ、ううん、するんだよ。


こうやって言い換えなくてもいいくらい、自然に言えるようになりたいな。


「できたよ」

「じゃあ、煙は廃棄するね」


ボクたちの世界の『ゴミ箱』はすごく便利。


『非生物』で固定されていないものならなんだって捨てられるから。

まさか煙まで捨てられるなんて想像もしなかったけど。


シェリーさんが『ゴミ箱』がすごく役に立つって言ってた。


モンスターが死んでも消えない所で、退治したモンスターを解体して要らないものを残していくと、他のモンスターを引き寄せたり腐って環境を悪くするってこともあるんだって。


でも『ゴミ箱』ならそういうものも楽々捨てられる。

あまり大きすぎるものは捨てられないみたいだけど、細かくすればいいみたい。


でもケイトは別格。


異次元箱はこの家が入るくらいの容量みたいだし、『ゴミ箱』もドラゴンの死体を捨てられるくらいって言ってた。


『ケイトが本気を出したら、軍隊より怖いわよ』

だって。


軍隊って何だろ?


なんて考え事しながらやってたらまた失敗。


「そろそろ休憩する?」


ケイト兄さんがこう聞いてくるときは『良かったら『神託の王座オラクルスローン』使う?』って意味。


でも、ボクはできるだけ自力で探求したいから。


失敗でも得られるものはあるからね!


「うん」


ケイト兄さんの横に椅子を寄せる。


「『大福二つ出て!』」


何も言わなくてもボクの今欲しいものを出してくれるケイト兄さん。


その間にボクは急須でお茶を入れる。


この『お茶を入れる』っていうのもここで覚えたんだよね。


「はい」

「ありがとう。うん、絶妙な温度」


おいしそうに飲んでくれて嬉しいな。



「サフィ、口の周りにあんこが付いてるよ」

「うん」


眼を閉じて口を突き出す。


ぺろ


ぺろ、ちゅ


ケイト兄さんとは本当に心が通じ合っていて嬉しいな。


だからほら、あんこを取るついでにキスだってしてくれる。


「おにい、サフィ。見せつけるとかひどいです」


あっ、カリナ様のことを忘れてた。


なんてね。

わざと見せつけていたんだ。


でも、今ではカリナ様の気持ちもわかるよ。


「カリナも口出して」

「別に汚れてないです」

「汚させて」

「おにいは馬鹿です?」


そういいつつ目を閉じるカリナ様ってかわいい!


ちゅっ


ちらっ


ケイト兄さんがこっちを見てる。

うん、わかった。


ちゅっ


口を離した隙に代わりにボクがカリナ様にキスする。


がしっ


あっ、カリナ様に頭を掴まれた。


ちゅうううっ…ちゅぽん


「おにいやサフィの考えなんてお見通しです」

「ボクもカリナ様の考えはわかってたよ。へへっ」

「心が通じすぎるとサプライズとかできなくて困るです!」

「じゃあ」


ずざざざざっ


ケイト兄さんの言葉を遮るようにすごい勢いでドアまで逃げるカリナ様。


「だ、駄目です!こんな時間から、そんなことするなんて駄目です!」

「それなら」


ささささっ!


今度は素早く戻ってケイト兄さんの膝に飛び乗るカリナ様。


「カリナだけのけ者にするとかひどいです!それなら参加するです!」

「な」

「ね」


ケイト兄さんとボクは頷き合う。


「カリナを言葉だけで操って遊んだですね?!ひどいです!」

「まだまだカリナは俺たちと心が通じ切っていないな」

「でも、そのほうがいいと思うよ。カリナ様がうらやましいな」

「うらやましくなんかないです!」



-双子の妹カリナ視点-


せっかくおにいと心が通じたと思ったのに、逆手に取られて二人に弄ばれたです!


でもサフィの言う通り、完全に通じ合ったらこんなやり取りもできないからこのくらいがちょうどいいかもしれないです。


するするする


そう、このくらいの関係が…


しゅるしゅる


「人が考え込んでいるときに、どうしてカリナの服を脱がすですかっ?!」

「参加するって言ったよね?」

「ね」



「冗談だったですよね?」

「うん。だけど」

「わかるよね?」


『やっぱり本当にしよう』って気持ちがわかってしまうです!


「おにいの馬鹿!大嫌いです!」

「うん」

「そうだね」


信じてないです!

だって本当は大好きだからです、

心が通じすぎるのは本当にだめです!


もう、こうなったらヤケです!


おにいといっぱいキスして、おにいの媚薬でメロメロにされるです!

これなら心を読まれないです!





…はっ?


いつの間にか床の寝袋で寝ていたです。


おにいとサフィは実験をしてるですね。


…記憶のある所まででもかなり恥ずかしいことをしていたです。

『内蔵品スマホ』の録画を確認して…



はわっ

はわわっ!


なんてことをしてるですかっ?!


「お、おにい」

「ん?起きたか」

「ふふっ」


あのサフィの笑顔は『気づいたみたいね』って顔です!


そういえば、録画ではサフィはおにいといっぱいキスしていたのに全然平気にしていたです。


黒魔術を使えないカリナやサフィはおにいに唾液を摂取しすぎると媚薬的効果でメロメロになるです。


どうしてならないです?


「ボクは時々『聖女の椅子ホーリーエンブレイス』のケイト兄さんの膝に座ってキスしていたからね」

「それはずるいです!」

「だって、実験途中だったから。それにカリナ様は、ね」


『それにカリナは媚薬で心が通じない状態になって乱れたかったんでしょう?』

って目で言われたです!


「おにい、あとで一緒に夕食の材料を買いに行くです!」

「もう実験は終わったから今からでいいよ。行ってらっしゃい」


サフィが二人きりで行きたいのを察して、快く送り出してくれるです。


うう、そんなことだからサフィも大好きになってしまうです。




-主人公ケイト視点-


「夕ご飯は何にするかわかるです?」

「さすがにそこまではわからないな」


これは超能力じゃなくてフィーリングだからな。


「でもカリナの事だから、今回は俺とサフィに仕返し代わりに二人の好みのものを作ろうとして、トンカツだったりして」

「おにい、どうして当てるです?!超能力に目覚めたですか?!」

「これは洞察力とか推理力だろ」

「わかってるです。でも、サプライズが台なしです!」

「サプライズじゃないけど、俺はカリナの作るトンカツが食べたいな」

「おにい、ずるいです…もうわかったです!でも、きっとサプライズさせるです!」

「サプライズなんかしなくていいから」

「だって、サプライズが無いと楽しくないです!」

「それなら、こういうのは?」


カリナの手を引っ張って、建物の影のの人目の届かない所に連れ込む。



-双子の妹カリナ視点-


お、おにい。

どうしてこんなところに来るですか?


どんっ


壁に追い詰められたです!

もしやこれが壁ドンです?!


ドンなら、今夜はトンカツをかつ丼にしてやるです!


って、現実逃避をしている場合じゃないです!


「おにい、外は駄目です!」

「大丈夫、誰も見てないから」


ちゅっ


はわわっ!


見られてないですか?!


「なあ、カリナ。こうやって無理にサプライズしなくてもいいと思わない?」


え?


「おにい。もしかして、それを言うだけのためにこんな恥ずかしいことをしたです?」

「うん」

「ひどいです!」

「ごめん。でも、俺にとってはカリナがずっと一緒に居てくれればそれだけで嬉しいし、心が通じ合っているのがどんなサプライズより嬉しいからさ」

「うまく話をまとめようとしても、そうはいかないです!」


ぎゅっ、ちゅうっ


こっちから抱き着いてキスをしてやるです!


さあ、誰か見るです!

そして一緒に恥ずかしい思いをするです!


「まあ」

「あらあら」


他人に見られたです。

でも、おにいと一緒だからいいです!


ざっざっざ


え?こっちに来るです?


「二人ともこんなところで隠形の魔法も使わずに大胆ね」

「ああ、マリー、シェリー。すまんな。カリナが可愛いんで、つい」


他人じゃなくて知り合いだったです!

むしろもっと恥ずかしくなったです!


「今夜のおかずを買いに行くところだけど、そっちは冒険の帰り?」

「ええ」

「トーフョー豚の肉を依頼主から分けてもらってきたわ」

「丁度良かった。今夜はトン…」

「かつ丼にするです!」

「本当?!それは嬉しいな!」


喜ぶのはまだ早いです。

こっそりカツにチーズも入れるですよ。


おにいはああいったけど、やっぱりカリナはサプライズを目指すです!

だって、おにいの驚く顔がいっぱい見たいですから!

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークとか感想とかいただけると励みになります(*^^*)

次回も明日、3月7日18時更新です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ