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第107話 ドS王女様は異世界で訓練する

クリス様の胸って居合いの邪魔にならないのだろうか?

-双子の妹マリナ視点-


お兄ちゃんが異世界から戻ってきたの。

ここの時間では4時間だけど、4人で100日近く一緒に居られたとかうらやましすぎ。


でも、お土産に全員分の『変化へんげの魔道具』と、お兄ちゃんやマリナやカリナが使える『変形の魔道具』を持ってきてくれたの。


椅子扱いだから『変化』じゃなくて『変形』らしいけど、体が痛くなるとかそういうことはないみたい。


そして一番のお土産は、マリーさんの教えてくれたお話なの。


お兄ちゃんとかマリナたちは人じゃないから老化(・・)しないけど、椅子だから老朽化(・・・)するって。


だから『家具職人ファニチャークリエイター』がメンテナンスをすればずっと生きていられるの。


マリナの職業クラスがお兄ちゃんの役に立てるの!

ずっとずっとお兄ちゃんと一緒に居られるの!

お兄ちゃんとなら1億年だって一緒に居られるの!


前にシェリーさんを捕まえた時に管理局からもらった『特別資格』で人間に戻れる可能性はあったけど、お兄ちゃんはずっとクリス様の椅子がいいし、『最高の椅子アルテミットチェア』の職業クラスじゃなくなるかもしれないから、しばらくそのままで居たいみたい。


これならかえってそのままのほうがいいの。


でも、お兄ちゃんとエッチなことをするのは少しだけ早いの。


この世界での子作りは『子宝魔晶石』で何歳でもできるけど、エッチは別問題。


まだ12歳のマリナ達にはきっとお兄ちゃんは遠慮して手を出せないと思うの。


だから、マリナたちはお兄ちゃんが行った異世界に行って、年齢を進めてきたいの!


『変形の魔道具』のあった世界ではもっと時間の進みが遅くて、ここでの1時間が向こうの1年なの。


つまり、4時間あればマリナは4歳年を取って元の世界でも結婚できる16歳になるの!


「というわけで、4年間向こうで過ごせるようマリーさんとお兄ちゃんに頼みたいの」


こういうことは必ずカリナに相談すると、いいアイディアを出してくれるの。


「そのための名目が要るです」

「別にどの世界でもいいから、とにかく時間が早く進むところがいいの」

「それなら、素直におにいに頼んだら?」

「えっ?」

「『神託の王座オラクルスローン』で都合の良い世界を調べないと無理です。だからおにいを説得して、何かクリス様たちが欲しがりそうなものを探しに行くです」


クリス様たちがそこまでして欲しがりそうな物…。


すごく難しいの。


「だから無理はやめるです」

「でも」

「どうせ異世界で冒険をしていたら、きっと欲しいものが出てくるです。その時にカリナたちがそれを取りに行けばいいです」

「うん…」

「それに、本当はおにいがずっとマリーさんやディアナ様と一緒だったからやきもち焼いているですね?」


うっ。

図星なの。


だって、すごくお兄ちゃんとみんなの距離が縮まっているのがわかったの。

だから…4歳年齢を進める以前に、もっともっと、お兄ちゃんと一緒に居たかったの!



-双子の妹カリナ視点-


マリナの気持ちはよくわかるです。

でも、慌ててもいいことは無いです。


「あと、これからはカリナとマリナは一緒に出掛けられないことが多くなるです。だから、もしマリナとカリナの年齢が違ってしまっても、無理に合わそうとしないようにするです」

「ええっ?!だって、そんなことをしたら見た目が違ってしまうの!それは絶対嫌なの!」


カリナとマリナは双子。


でも、話し方も表情も違うから区別はすぐにつけられるけど、もし黙って無表情で立っていたら誰にもわからないくらい瓜二つ。


わかるのはおにいだけ。



カリナたちがおにいの事を本気で好きになった理由でもあるです。



(幼いころの回想)


お布団で寝ているカリナとマリナ。


そこに一緒に寝る約束をしたおにいが入ってきたです。


「(小声で)お待たせ、マリナ。カリナ。おやすみ」


そう言っていつもマリナとカリナの頭を順に撫でてから寝てくれたです。


でも、ある日マリナとカリナはいつもと逆の位置で寝て居たです。


「あれ?今夜は逆なんだ。カリナ、マリナ、おやすみ」


気づいてもらえたです!


血のつながった母親でも区別がつかないのに、おにいはわかってくれたです!


翌朝、マリナと一緒に聞いてみたです。


「おにい、カリナとマリナってどこで区別してるです?」

「お兄ちゃんは区別がつくみたいだから、教えてほしいの」

「何って…なんとなくだよ。違いはうまく言えないけど、どっちがどっちってわかるから」

「そうなの?」

「あてずっぽうです?」

「そうじゃないよ。ほら、今だってマリナとカリナが服とか口調を入れ替えてるだろ?表情も真似してるけど、すぐにわかるよ」

「「!!」」


そう、その時はおにいの言う通りにしてたです。

それこそ自分たちでも気づけないくらいです。


でも、あっさりおにいは見破ったです。


「どうしてわかるです?」

「不思議なの!」

「だって、それは俺がお前たちのお兄ちゃんだからじゃないかな?」

「「!!」」


カリナの体に電気が走ったです。

きっとマリナも一緒だったです。


「お兄ちゃん、耳貸して」

「おにい、内緒の話があるです」

「何?」


顔が近づいたところで…


ちゅっ


同時に両側からほっぺにキスしたです。


「えっ?!」

「マリナをわかってくれたお礼なの」

「カリナをわかってくれたお礼です」


「「愛してるだいすき!」」



(回想終わり)


それまでにもいっぱい好きになる要因はあったです。


でも、それが決め手になって、『大好き』から『愛してる』に変わったです。

たった6歳でも、人を愛せるってわかったです。


だからこそ、マリナは同じ姿じゃなくなるのを嫌ったと思うです。


「マリナ。きっと年を取っても、カリナたちの見た目は変わらないです」

「えっ?」

「帰ってきたおにいを『内蔵品身体測定器』で調べたです。おにいは1年くらい異世界に居たのに、身長が1ミリも伸びてないです」

「それって椅子だからなの?」

「多分そうです。だから、これからはカリナたちは精神が大人になるのを目指すです」

「わかったの!」


それにもし万が一、カリナとマリナの見た目が違っても、おにいは変わらずカリナたちに接してくれるし、カリナたちの気持ちも変わらないです。


だから4年くらい待っていられるです…ああっ、でも、ううっ…困ったです。


昔の事を思い出して、こうやっておにいを愛していることを再確認したら、カリナたちだけおにいとエッチできないのは辛いって思えてきたです!


「カリナ、無理はしたらだめなの」

「別に無理はしてないです」

「じゃあマリナは今夜にもエメル様にお願いして異世界に行って16歳になってくるの」

「ずるいの!カリナも行きたかったです!」

「ほら」

「あっ」


最近鎌をかけられっぱなしです!

不覚過ぎです!


「素直に4時間だけ異世界で先に訓練してきたいってお願いするの」

「でも明後日がテストだから、きっと勉強でおにいは連れていけないです」

「それなら1時間が4年のところを探すの!」

「その手があったです!」



-主人公ケイト視点-


クリス様にとっては4時間ぶりでも、俺にとっては1年ぶりくらいなんだよな。


クリス様、相変わらず素敵ですっ!

ああ、腰かけられるだけで幸せを感じます!


ぴろん


マリナ『お兄ちゃん、お願いがあるの』

カリナ『共用室に来てほしいです』


何だろう?


「クリス様、この勉強が済んだらちょっとだけマリナとカリナと話してきていいですか?」

「いいですわよ」


クリス様を一番にしないとね。


ケイト『勉強終わってからね』

マリナ『(了解のスタンプ)』

カリナ『(うなづくスタンプ)』




勉強が終わって、共用室へ。


「何の用だった?」

「お兄ちゃん、お願いがあるです」

「聞いてもらえないと、おにいはロリコンの烙印を押されるです」


どういうこと?


「マリーさんから事情は聴いたの。だから、これからお兄ちゃんと、え、えっちなことができるようになるの」

「相手が12歳のカリナとマリナだと、おにいはロリコンになるです」

「ええっ?」

「もしかして、そういうことを気にせずにする気だったの?」

「おにい、それはまったく想定外です」

「いや、そういう意味じゃなくて…俺たちみたいな椅子に年齢ってあるの?」

「「え?」」


だって、もう普通の人間じゃなくなってるものな。


ステータスも年齢じゃなくて『製造後20年』とかって表示されそうだし。


「お兄ちゃん…やっぱり駄目です」

「おにい、心の準備にあと4年ほしいの。でも、他の人としているところを見ているだけなのも嫌なの」


動揺しているのか、マリナとカリナの口調が混じってる。


「わかったよ。じゃあ、1時間くらいで行ける異世界を探そう」

「やったの!」

「おにい!さっそく『神託の王座オラクルスローン』を使うです!」



-王女クリステラ視点-


テストが近いけど、マリナとカリナが明日1時間だけケイトを借りたいらしいですの。

前にたまには兄妹で一緒に居てもいいって言ってたから、別に構いませんわ。


異世界なら1時間でも長く一緒に居られるっていいアイディアですわね。


「ケイト。夕方の運動の時間は『刀術士カタナマスター』のスキルの練習をしたいですわ!」

「それなら、舞闘会用駒を使います?」

「いいえ、異世界の家でやりたいですわ」

「まだ刀は買ってないけど、練習用の模擬刀を召喚するので、それでいいですか?」

「いいですわ」




さっそくマリーさんに異世界に連れて来てもらいましたわ。


『変化の魔道具』で大きくなって、異世界の家の一室でケイトが出してくれた模擬刀を振りますの。


シュッ

シュバッ


スキルのおかげか、すごくスムーズに刀が振れますの!


「クリス様、すごいです!」

「ケイト、そこにリンゴを置いて」

「はい」


リンゴをじっと睨みつけて…横に構えた刀を一閃させますの。


ぱかっ!


「リンゴが横真っ二つに?!刃の無い模擬刀なのに?!」

「これが『居合』のスキルのすごさですわ」


切ったリンゴを半分ずつ食べて練習再開ですわ。


「ケイトは結構強くなったのですわね?」

「はい」

「それなら、わたくしと戦ってほしいですわ」

「えっ?!わかりました」


ケイトがどれほど強いのか、わたくしがどこまで戦えるのか。


すごく楽しみですわ!

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークとか感想とかいただけると励みになりますo(^o^)o

次回も明日、2月28日18時更新です。

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