第9話 授業
そんな感じで、今に至る。僕はちゃんと退院できて、紗愛花と一緒に勉強会をしていた。
「零助君?どうしたの?」
「何でもないよ。さっ、行こっか」
俺と紗愛花は退院してから手を繋いで登校するようになった。最初はキャーキャーと騒がれていたが、もう騒がれなくなった。
「ねぇねぇ、テスト終わったらデート行こうよ」
「そうだな、行けなかったもんな」
「どこ行くどこ行く??」
「うーん…一緒にショッピングするか、遊園地か、動物園か」
「遊園地が良い!」
「んじゃあ遊園地にするか」
「やったー!それじゃあ尚更テスト頑張らないとね!」
俺達は学校に着くと一旦別れる。クラスが違うからな。用意をして、SHRを聞き流す。
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「ったく零助のやろう、彼女と仲が深まったからって俺を無視しやがって」
まあ、親友としては嬉しい限りなんだが。けれど少しぐらい構ってくれよ。俺だって悲しいんだぞ?泣いちゃうじゃないか。
「玲太?何してんだ?独り言なんかして」
「うぇ!?零助!?なんでお前居るんだよ」
「なんでって、俺だって生徒なんだから授業受けるだろ」
「嘘だろ!?みんな!聞いてくれ!零助が今日、ちゃんと授業受けるってよ!」
クラス中がざわざわし始める。
「玲太、勘違いすんな。俺は先生の教え方を見るだけだぞ」
「それでもいいわい。わしゃあ零助の授業受けてる姿を見れるだけで満足じゃ」
「なんでおじいちゃんになってんだよ」
「そのくらい驚きってことさ。そろそろ席つけよ?今からの授業の先生時間とかに結構厳しいから」
そんなことを言うと皆座り始めた。もちろん零助の例外ではない。零助は授業の用意をして、席に座った。俺はその姿を後ろから見守ろう。
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にしても驚きすぎだろ。たかが一生徒である俺が授業受けるだけで先生が驚いちゃいけねぇだろ。なんで「お、お前なんでいるんだ?」なんて言われなきゃいけねぇんだよ。俺も戸惑ったよ。だけど、やっぱりこの先生の授業、眠くなるなぁ。教え方を学ぶ前に意識が飛ぶ。こんなんだったら紗愛花のことを考えてた方が暇を潰せるな。
紗愛花といえば、やっぱり疑問なんだよな。紗愛花は俺に昔の話をしてくれた。それで何故俺が彼女を嫌うんだろう。俺から告白したってことは彼女がどんな性格でも、どんな人でも、彼女を好きでいれるってことなんじゃないのかな。そう母に教えられて来たんだけで、もしかして俺間違ってるのかな。今度玲太に聞こう。って何回聞いても茶化すばっかで何も得られなかったんだ。
…ああ、先生の声と言う名前の子守唄が聞こえる。もうダメだ。耐えれない。俺は睡魔と必死に戦ったものの、睡魔に負けてしまい寝てしまった。
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「おい!おい零助!起きろ!」
「んにゃ?なんだ玲太か」
「あのさぁ、一時限目に寝てそのまま四時限目の終わりまで寝るやつがいるか?」
「へぇ、もう昼休憩か。昼飯食おっと」
「零助君!一緒に食べよ!」
「じゃ、屋上行くか」
「俺も行っていい?」
「いいよな?紗愛花」
「うん!」
俺たち三人は弁当を持って屋上に行く。にしても寝起きだから欠伸が出るな。階段を上がるだけで二回ぐらい出たな。案の定玲太が頬をぺちぺちしてくる。
「まだ寝てんじゃねぇか?」
「起きてるわ」
だけど本当に眠いのかな。屋上に着くまで五回欠伸してたし。なんでだろうな。ちゃんと睡眠とってるんだけど。
「それじゃあ弁当の中身見せ合いターイム」
「今日、俺の弁当紗愛花に作ってもらったんだけど」
「まあまあ良いじゃないですか。では始めま―」
「あたしも混ぜてもらって良い?」
と開けっ放しだった扉から島坂華樹が入ってきた。彼女とは紗愛花の親友として知り合った。ちなみにその時、玲太も居たので玲太も知り合いだ(その前から見知っていたらしいけど)。
「おうおう、華樹さん入って入って」
「あんたのテンション、ついていけないときの方が多いのよね」
「何故今するのかよくわからないカミングアウトだ!?」
「さっ、食べましょうか」
「無視だ!ひどい!」
さすが、こいつのあしらい方をよくわかってるな。
「さて、食べましょ―」
「いっただっきまぁーす」
「さすが玲太、ぶれないな」
「ふふ、いただきます」
「うおっ」
俺の弁当、凄く綺麗だ。並び方が良く、色鮮やか。思わず声が出た。
「どう?私の作ったお弁当」
「凄く綺麗だ。食う気失せるぐらい」
「マジ?じゃあもらって良い?」
「あげねぇからな?」
「ちぇっ、少しぐらいくれても良いのに」
「あんたは自分の食べなさいよ」
「はーいはい」
玲太がボケて、華樹さんが突っ込む。そんな会話を聞きながら、俺たちは昼飯を済ます。
「ごちそうさまでした」
「んじゃ、教室に戻りますか」
「あー、俺今日ここでサボるわ。教室で寝るよりこっちで寝る方が気持ちいいし」
「じゃあ零助、お休み」
「ああおやすみ」
そう言って玲太達は屋上の唯一の出入口の扉から出ていく。あー、太陽の光が気持ちいい。このまますぐに寝れそうだ。
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「紗愛花さん大丈夫?あいつマイペースだろ?振り回されてない?」
「大丈夫だよ」
玲太君は零助君が居なくなると零助君のことばかり聞いてくる。
「そっか、ならいいや。あいつ腐るほど頭良いくせに恋愛に関しちゃダメダメなんだからなぁ」
「なんで?」
そんな話一度も聞いたことはない。…まあ、そんな気はしてるけど。
「だってあいつ、自分が告白したなら絶対相手を嫌いにならないとか言ってんだぜ?」
「へぇ、そうなんだ」
「馬鹿でしょ。そんなやつが学年一位なのが腹が立つ」
「まあまあ、押さえて押さえて。まあ零助のお母さんがそう教えたからなんだろうけどさ」
零助君のお母さん、そんなこと教えてるんだ。
「そんなやつだから、下手すりゃ紗愛花さんより狂ってるかもな」
「そんなことはないよ」
「まあ、気休め程度に覚えておいてよ。そんじゃ」
そう言うと彼は自分の教室に入っていった。
「あいつの言うこと、たまに嘘が入ってるから気を付けなさいよ?」
「うん。でもさ、勘だけど今の話に嘘はなかったと思うんだ」
「へぇ、まあ私には関係ないから良いんだけど」
玲太君、本当によくわからない人だな。
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