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第5話 入院中

目が覚めると、明るくなってきた頃だった。4時~5時頃かな?…体が動かないって不便だな。歩くことが出来ない。右手を動かすと痛いので、手遊びも出来ない。寝るしかできない。夢が見れなかったから寝起きが悪く、ちゃんと寝れるか微妙だった。


――――――――――――――――――


チュンチュンと鳥の声が聞こえる。そこまで面白くない夢で、大体一時間ぐらいしか寝れなかった。ちぇ、また暇だ。俺、何故か三度寝はできないんだよなぁ。仕方ない、朝食まで待つか。あっ、朝食の時間聞くの忘れてた。うわぁ…時間がわからないままずっと待つなんて、どんな拷問だよ。はぁ…まあわかっても少なくとも一時間は待たないといけないから、どっちも拷問なんだけどね。


暇なので俺は周りを見渡してみる。するとベッドの右側にある机に紙が裏向きで置いてあった。なんだろう、気になる。気になるけど右腕を骨折してるから取れない。だけど取りたい。俺は取ろうと必死に頑張る。時間を忘れて奮闘していた。すると、


「真都さん、朝御飯です」


そう言って看護師さんが入ってきて、朝食の用意をする。俺は結構な時間奮闘していたのか。


「利き手、どっちですか?」

「両利きです。左手でも食べれます。あとそこの紙、とって貰えませんかね」

「これですか?」


と、朝食の用意を終えた看護師さんが取りに行ってくれる。


「それです」

「何かの書類みたいですけど」


看護師さんは「はいどうぞ」と言って渡してくれる。それは母の仕事の書類だった。ったく、なんでこんな紛らわしいところに置くんだよ。中身を読むと、結構大事そうな書類だった。


「これで良かったですか?」

「はい、ありがとうございます。それで、昼食と夕食の時間って何時ですか?」

「12時と19時です」

「そうですか、ありがとうございます」


そうして俺は朝食を食べ始めた。味が薄い。まあ、暇が潰せればそれで良いんだけどな。


「ブー!ブー!」


…びっくりした。俺の携帯のバイブレーションだ。俺の携帯、窓際にあったとは。そんなとこに置いてあるなんてわからなかった。


「取りましょうか?」

「お願いします」


俺は看護師さんに携帯をとってもらう。バイブレーションの理由は紗愛花からのメールだ。


『おはよう。今日もお見舞い行くね』


嬉しい。喋る相手が欲しいし、何より紗愛花が来てくれるとなると気分が上がる。俺はさっさと朝食を食べ終わらせ、返信を送る。


『ありがとう。楽しみにしてる』


いつぐらいに来るのだろう。学校が終わってからだろうから、17時頃かな。いや、部活があるから18時半頃かな。どちらにせよ紗愛花に会えるなら時間なんて忘れれる(と思う)。


「では片付けてきます」


朝食の用意を片付けた看護師さんは部屋から出ようとしている。俺は「ありがとうございます」とお礼をする。看護師さんが出ていってしまうとまた一人だ。次は昼食の時間まで気長に待たないとな。


――――――――――――――――――


私は一人で学校に向かう。途中で華樹ちゃんと会ったのでお話しながら学校に行く。学校に着いて、席に座って落ち着くと零助君のことを考えてしまう。授業が始まってもずっと考えてしまって、授業が頭に入らない。ダメ、授業に集中しないと。そう心がけていても零助君のことを考えてしまう。


そんなとき、ふと考えてしまった。零助君は私を待っていたからあの事故にあったのでは?と。そうなると私のせいだ。私のせいで事故にあったんだ。私があんなことしなければ、事故にあわなかったんだ。私は不安で不安でたまらなくなる。もしも零助君がこの事に気付いていたら、私のことを嫌いになるかもしれない。


「橋上、大丈夫か?具合が悪いのか?」


私の状態が変なのを察した先生が声をかけてくれる。


「は、はい。結構具合が悪いです」

「保健室行くか?」

「いえ、家に帰って寝ときます」

「そうか、それじゃあ担任には早退したと連絡しておく」


そうして私は帰る用意をする。教室から出る前ちらっと華樹ちゃんの方を見る。私の顔を見た華樹ちゃんは青ざめてしまった。私はそのまま教室を出て、帰路に就く。


――――――――――――――――――


私は授業が終わるとすぐにA組に向かった。そしてA組の扉を開け、


「このクラスで真都零助のメールアドレスを知ってる人いるか?」


と結構大きい声で聞いた。


「は、はい。俺親友だから知ってるけど」


となんかチャラそうな男子が、おどろおどろ私の元へ近付いて来る。


「早速で悪いけど、真都君のメールアドレス教えてくれない?」

「い、良いけど。なんで?」

「説明してる暇ないの。早くして」

「えっと…はい、これ」


男子は「真都零助」とあるアドレスを見せる。私は素早くそれを打ち込み、そして文字を打ち、メールを送信する。間に合ってくれれば良いけど…。私はそう願う。


「んで、なんて送ったの?」

「ん?簡単に言えばあなたの身が危ないかもねって」

「は、はぁ?」


男子は何か言いたそうだったが、私は有無を言わさず教室へ帰った。


――――――――――――――――――


「ん?何だ?このメール」


見知らぬ人からメールが送られてきた。題名は…「あなたの彼女、ヤバいかも」?どういうことだ?最近よくある迷惑メールか?俺は中身を見てみる。


『もしも紗愛花があなたのところに来たら、狂ってないか確認してね。もしかしたら結構ヤバい状態かもしれないから。

紗愛花の親友、島崎華樹より』


???なんだこのメール。華樹って確かテスト順位発表の時、紗愛花と一緒にいた人だよな。ヤバいって何だ?具体的にどこがヤバいんだろう。俺は一応返信してみる。『ヤバいって具体的にどういう風に?』と。するとすぐに返信が来た。しかし、それを見ようとしたとき、勢いよく扉が開いた。びっくりして扉の方を向くと、


「零助君!」


と息を切らしている紗愛花がいた。


「紗愛花!?何でここにいるんだ?学校は?」

「零助君!」


俺が喋ろうとした瞬間、俺に抱きついてきた。そして、痛いと言う暇もなく


「零助君、ごめん」


と言い、彼女は俺にキスをしてきた。

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