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第42話 監禁・夕方

誤字脱字、文章で変なところがあればご報告よろしくお願いします。

紗愛花から出て、感覚で5分は経ったと思う。長いな。すぐ戻って来ると思ってたのに。そう考えているとガチャリと扉が開いた。入ってきたのは…玲太だった。


「なんで…」

「よっ、お前の現状を見に来たぜ」

「来るなよ…」

「そう言うなって。…大丈夫そうだな」


この状況でどう見たら大丈夫そうなんだろうか。腕とか腫れてるだろうし、鞭で何度も叩かれているんだから掠り傷はあるんじゃないかな。まあ大丈夫なんだけど。


「じゃあ、帰りますわ。紗愛花さん」

「そう、じゃあね玲太君」


玲太の後ろには紗愛花が居た。紗愛花は笑顔だった。普通の、いつも通りの笑顔。学校で談笑している時の顔だ。玲太はドアから離れる。紗愛花は玲太を送るためか、玲太についていった。そしてドアは閉まる。真っ暗な空間に一人っきりだ。


「ははっ、一人は慣れっこだからな」


何故か俺は笑った。この広く暗い空間に拘束されて一人になっているせいで気が狂ったのか?それとも、この状況になると笑うように体がなっているのか?


「まあ良いか。とりあえずは心構えをしておかないと」


紗愛花の料理を吐いたこと、そして玲太がこの家を訪ねて来たことによるお仕置きに対しての心構えを。しかし正気に戻ったせいか、恐怖が残っている。そして心の準備が終わる前に紗愛花は戻ってきた。


「…フフッ」

「ゴクッ…」


紗愛花の笑顔にゾッとして唾を飲み込む。体が小刻みに震える。怖い。ただただ怖い。死すら考えた。それほど紗愛花のその笑顔は俺に恐怖を与えた。


「零助君?」

「はい…」

「何か言うことある?」


弁明させてくれるのか?でも、今の状態で俺が言うことなんてあるのか?いや、あるな。ただ一言、紗愛花に言わなくちゃいけない。


「ごめん。俺は間違えたことを言ってしまった。本当にすみませんでした」

「……で?」

「で?」

「うん。零助君が本気で言ってたのはわかるよ。でも、謝るだけ?」


待った待った。どうしよう!それから考えてないぞ!?


「えっと…」

「何も無いの?ねぇ」

「………」

「無いのって聞いてるでしょ!!何か言いなさいよ!」


バシン!と紗愛花は俺の体に鞭を打つ。どうしようどうしよう。あんな怒り方してる紗愛花初めて見るぞ?!


「ねぇ、その超人的な頭で何か言葉を考えてよ。私のこの怒りを抑えれる言葉を!!」

「いっ!」

「喋るな!」


紗愛花はバシン!バシン!と幾度となく俺の体に鞭を打つ。鞭は乱暴に振るわれてしなり、動きが予測できない。そして一度紗愛花の体にあたる。


「いっつ!」

「大丈夫か!?」

「煩い!黙れ!」

「!!!」


ふー、ふー、と紗愛花は息を荒げている。いつもの紗愛花からは想像できないほど、怒り狂っている。この状況で俺にできることは…


「ごめん紗愛花!」

「!!」


頭を下げることだ。俺は頭を出来る限り下げる。


「そんなに頭下げれられて、許すと思ってるの?」

「ぐっ。…ごめん!」


頭を下げた俺に向けて紗愛花は無慈悲に鞭を打つ。それでも俺は謝るのを止めない。


「ごめん!ごめん!」

「…良いわ。私とした事が取り乱しちゃったわね」

「!!!!!」


暗くてはっきり見えないが、紗愛花の顔から怒りが消える。良かった。俺の謝罪が紗愛花に届いたんだ。


「でも、鞭打ちは止めないよ?」

「いっ!」

「私の愛を込めて作った料理を吐いたお仕置き、たーっぷり受けてもらうからね」


何度も何度も何度も鞭で打たれる。飴を舐めさせられることもなく、一時間以上ただだだ鞭で打たれる。そして、俺の意識は一度途切れた。


――――――――――――――――――


「おいおい本当に大丈夫か?」


その声は…零か。ということは俺は気を失ったんだな。


「まあな。にしてもお前の彼女?今回はやりすぎだぜ。お前が気を失うほどなんだからな」


いや、これぐらいの仕打ちなら大丈夫さ。ましてや気を失うなんて零、お前が出てくる度に失ってるじゃないか。


「俺のとは違うだろ」


一緒さ。痛みで気を失うんだから。


「…そうなのか?俺にはよくわからねぇよ」


お前は頭が良くないからな。


「そういうお前は非力過ぎるんだよ。だから俺が生まれるんだぜ?」


そうか?非力なんじゃなく、そもそもお前が俺の力の部分を奪い、司っているんじゃないか?


「司る?なんだそれ」


簡単にいえばお前が俺のその部分を支配してるみたいなものだ。


「じゃあ違うぞ?俺は生まれたときから力の使い方を知っていただけだからな」


()()使()()()()()()()()()?零は俺から派生した者。そして暴れているうちに覚えたんだと思ったが違ったのか?


「よくわからないが、俺から言えるのはそれだけだ。頭を使うのはお前の専売特許だろ?頑張れや」


専売特許なんて言葉を知ってたのか?!


「馬鹿にするなよな!」


いや、馬鹿だろ。お前の使うその力も火事場の馬鹿力って呼ばれるものと同じだし。


「??火事場の馬鹿力????なんだそれ」


もう良いや。っと、こっちの意識が薄れてきた。ってことは…。


「ああ、意識が戻るみたいだな。危ないと思ったらちゃんと俺を呼べよ?」


今回は出る幕がないと思うがな。


――――――――――――――――――


意識が戻る。長い時間を精神世界で過ごした気がする。紗愛花は…居ないな。何処へ何をしに行ったんだろうか。


「もしかして夕飯か?」


そういった瞬間、紗愛花が入ってくる。その手には盆がある。予想通りか。


「零助君おはよう。晩御飯だよ」

華樹「紗愛花、大丈夫かしら」


桜「王子様を鞭で打つなんて頭がおかしいんじゃないかしら!」


華樹「あなたのせいでそうなってるんですけど」


桜「もう!許せないわ!」


華樹「ダメだ聞いてないわ」


桜「今から抗議しに行ってきます!」


華樹「馬鹿!返り討ちにあうだけだから!」


桜「私だって武術の心得はありますのよ?」


華樹「ダメ!あの状況であなたが行くと殺されかねない!」


桜「そう?あなたがそこまで言うならやめておくわ」


華樹(良かった)


桜「それじゃあ締めましょうか」


華樹「そうですね」


桜・華樹

「第42話『監禁・夕方』を読んでいただき、ありがとうございます!」


華樹「にしても玲太、思いっきり邪魔したわね」


玲太「呼んだ?」


華樹「よし、あんたちょっと来なさい」


玲太「えっ、ちょっ、助けて!」

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