第41話 監禁・昼
誤字脱字、文章で変なところがあればご報告よろしくお願いします。
俺は鞭で打たれる。そしてある程度の回数を打たれると飴を舐めさせられる。これも変な味がするがしっかりと舐めきる。これが本当の飴と鞭。なんて言ってる場合じゃないな。
「どう?零助君、痛い?」
「ああ、物凄く痛いよ」
「そう。それじゃあ私はもっともっと痛く、辛い思いをしたんだよ?それぐらいの罰は受けてもらわないとね」
「ッ!」
何回も何回も鞭で打たれ、痛みに悶える。だが、あまり痛みを感じなくなってくる。
「ふふふ、そろそろ効いてくる頃かな?」
「何…が…?」
「ちょっとしたお薬。そのうち頭が回らなくなってくるわ」
「どういう…」
「おしゃべりはここまで」
「いッ!」
鞭で打たれる。回数を数えているが今で112回目。痛みを感じなくなってきても痛いものは痛い。
「ねぇ、零助君。零助君は私が好き?」
「その問いには…何回も…答えた…」
「ふふふふ」
「あ゛!」
鞭で頬を打たれた。紗愛花が鞭を使うのが回数を重ねるごとに上手くなっている気がする。
「私は聞いてるの。ちゃんと答えて?」
「…好きだ…大好きだよ…」
「じゃあ何であの女子と知り合ったの?」
「それは…人助けを…しただけで…」
「それだけであんなに馴れ馴れしくされるのはおかしくない?」
「おかしいとは…思う…」
この問いも、この回答も何度目だろう。かれこれ十回はしているはず。舌がいつものように回らない。
「じゃあどこかで密会してたんじゃないの?」
「そんなこと…しない…。神に…誓って…」
「へぇ、その零助君の言う神は誰のことかな?」
「…紗愛花だよ」
この回答を言うと何してるんだと後で後悔するんだが、現状をどうにかするにはこの回答が一番の回答だと判断してしまうんだよな。
「ふふっ、ありがとう。…けどね」
「痛いっ」
鞭で打たれた。この状況になるのも何回目だ。
「それって意味なくない?だってさ、私に誓ったところで何も変わらないじゃない。誓うならギリシャ神話の最高神にでも誓わないと」
「…俺にとっては…紗愛花が…一番の…神なんだ」
こう言うと、今まで「そう、じゃあいいわ」と言ってこの話を終わらせていた。今回もそうかと思っていたが、俺の予想は外れる。
「はぁ、その言葉も聞き飽きたわ」
「!!!」
「もうちょっとましな言葉は浮かばなかったの?ああ、そうか、今はその素晴らしい頭は上手く回転してくれないわよね」
「いっ―」
鞭で何回も打たれる。なんでだ…もしかして最初からこうなることを予測して動いていた?俺が同じことを何度も言うことを予想して?
「あはっ、そろそろわかった頃かな?」
「ッ!はぁ、はぁ、痛い」
「鞭って音速を越えるらしいからね」
「知って―」
「誰が喋って良いって言った?」
腕を打たれる。そう言えば服は鞭で打たれたせいでボロボロになっている。まあ、服ぐらいどうだって良いか。
「すいま…せん」
「良いわねやっぱり。いつも元気な零助君が衰弱している姿っていうのは」
「そう…なのか…?」
「ええ。そして私の物のようになっているこの姿も!」
「ピピピピピピピピピピピピ」
「!?」
俺はいきなり鳴り響くタイマーらしき音に驚く。紗愛花は「ああ、もうそんな時間か」と呟き、携帯を取り出して操作する。すると音は鳴り止む。
「ちょっと待っててね。お昼ご飯の時間だから」
「あ、ああ…」
紗愛花はこの部屋ただ一つの扉から出ていく。休息の…時間だ…。疲れ…たな……。
――――――――――――――――――
「ッ―!?」
「ねぇ、零助君。なんで寝てるの?私、お昼ご飯って言ったよね?」
「ごめん…眠たくて……」
「…仕方ないわね。零助君が睡眠をよくとるのはいつものことだし」
紗愛花は鞭を手から離す。そして片手で持った皿に盛り付けられた物をスプーンで掬う。多分炒飯だ。
「はい。あーん」
「あーん」
俺は差し出されたスプーンをかじりつくようにして食べる。今回も飴や朝食のように薬が入っていて変な味がするんだろうと腹を括っていた。
「んぐっ!?」
確かに変な味はした。しかし、それは朝食や飴とは違い、食べて気持ち悪くなるものだった。俺はすぐにそれを口から吐き出した。
「ブハッ!」
「あらあら」
「オエッ!オエッ!!ウップ」
胃の中にある物が喉から出てきそうだった。想像以上の吐き気をも催し、一気に正気に戻る。
「なんだ、これ」
「酷いよ零助君。私の愛を込めた料理を吐くなんて」
「ご、ごめん!でも…」
「そんな悪い子にはお仕置きです」
紗愛花は手から離した鞭を取り、構えた。来るッ!
「ピンポーン」
「あら、誰かしら?この時間に来訪者なんて居たかしら」
「ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン」
「煩いわね。お仕置きは一旦止め。大人しくしててね?零助君」
紗愛花は扉から出ていった。お仕置きからはまぬがれた…のか?いや、後で必ずお仕置きは受けるんだ。にしてもこの炒飯、何が入ってたんだ?
―――――――紗愛花――――――――
誰だろう。こんなに執拗にインターホンを鳴らしてくるなんて。
「はーい」
私は玄関の扉を開ける。そこにはインターホンのボタンを押している玲太君がいた。
「玲太君じゃない。どうしたの?」
「単刀直入に聞きます。紗愛花さん、あなたの家に零助は居ますか?」
「…居ないけど、どうしたの?」
「嘘は無しでお願いしますね?」
監禁中の零助の精神世界
零助「痛い。頭がぐわんぐわんする」
零「情けねぇな。大体なんで拘束されっぱなしなんだよ。俺が出ればあんな鎖ぐらい引きちぎってやるのに」
零助「それはダメなんだ。だってこうなることも考えて紗愛花と付き合ってたんだから」
零「よくわかんねぇよ。恋情とかは特に。まあ、肉体かボロボロになっても死んでなければ俺は出てこれるからどうだって良いか」
零助「手出しするなよ?俺の意識が無くなろうと出てくるな。出てきて良いのは俺が許可したときのみだ」
零「へいへいわかりましたよ」
零助「絶対だぞ?」