第39話 気不味い雰囲気
誤字脱字、文章で変なところがあればご報告よろしくお願いします。
「うん。美味しい」
遊園地の食事スペースで各々頼んだものを食べる。でも雰囲気が雰囲気だから美味しいとは言ったけど美味しくない。つーか普通に紗愛花の作る方が美味しい。
「おー、みなさんおそろ…どなた?」
「あんたこそ誰よ。まだ私と王子様の時間を邪魔する人が増えるの?」
「うーん。ま、邪魔したいわけではないけど、邪魔するかな」
「って何でお前まで居んの?」
「そりゃおめぇ、親友が初デートで何かやらかさないか監視するためだぞ。まあすでにやらかしてるけど」
「……」
「紗愛花?おーい紗愛花?返事してくれない?」
紗愛花は黙々と飯を食べている。というより無心で食べているようだ。
「王子様、はいあーん」
「だから、俺は紗愛花と付き合ってるんだって」
「良いじゃないですか。ロミオとジュリエットだって禁断の恋をしていたんですから」
「状況違うくね?」
玲太が的確に突っ込む。禁断の恋なのは一緒だけど、今回は浮気という形だ。ロミオとジュリエットよりアブナイ恋だよ。
「とりあえず自己紹介をして?その、王子様のためにも」
「わかりました。私の名前は雨宮 桜、砂川高校の特進クラスの人間です」
「特進クラス、あの個性的なやつらが集まるクラスか」
あの学校には普通クラスと特進クラスがある。普通クラスは何クラスもあるが、特進クラスは一クラスのみ。特進クラスは頭の凄く良いやつや、運動がとてもできるやつが行くクラス。
何で俺がそのクラスに行かなかったかって?俺はそんな名誉なクラスに行きたく無いからな。
「2年T組です」
「「「「2年!?」」」」
思わず聞き返した。それは島坂さん、玲太、そして口を閉ざしていた紗愛花も同じだった。
「嘘だろ…絶対同い年か年下だと思ってた」
「そうですよ?タメじゃいけませんよ?あっ!王子様は良いですけどね」
「何で俺だけ…」
「そりゃあ王子様は特別ですから」
「はぁあああああ」
「零助、頑張れ」
頭を抱え、悩む俺に玲太はそう声をかける。この人ほんとに何なんだよ。俺が付き合ってるのわかってて関わってくるからな。
「……」
「紗愛花?お願い返事して」
「王子様、はいあーん」
「ちょっと黙っててくれ」
「はーい」
紗愛花に必死に声をかける。けれども紗愛花は無反応でただ昼飯を食べる。くそっ!どうすれば良いんだよ!
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昼飯が終わり、色々なところを回った。だけど紗愛花が感情を見せることはなかった。それどころか回ったやつすべてに桜さんがついてきていた。そして、楽しかったはずのデートは終わる。
「もう夕方か、帰るか」
「じゃーねー王子様」
「え…」
ここまで邪魔してたのに俺たちより先に帰っていった。何なんだよ、ほんとに。
「…帰ろうか、零助」
「ああ」
帰りの電車では結構人は乗っていたが、まるで1人で乗っているみたいだった。俺は罪悪感に苛まれ、どうするかを考えるので頭をフル回転させていた。
「零助、着いたぞ」
「もう着いたのか…」
俺は疲弊しきっていた。紗愛花に何をすれば俺は許してもらえるのかを考えて。別に悪いことはしてない。浮気なんかするか。俺が好きになったんだ、他の女子に移るなんてありえない。
「そんじゃ、俺こっちだから。じゃーな零助。また明日」
「私も」
「じゃあな、玲太、島坂さん」
俺と紗愛花は二人になり、そのまま何事もなく帰ろうとしていた。俺の感覚的には紗愛花を家まで送ってる感覚だった。そんなことは一切言ってないのに。頭が回らなくなっていたのだ。
「ねぇ零助君、私の家、寄って行かない?」
「!ああ!是非とも!」
紗愛花から話しかけてくれた事が嬉しくて俺はすぐに返事する。超人的な頭を使わず、何も考えずに。
紗愛花の家に着くと「入って」と紗愛花から言われ、ルンルン気分でそのまま入った。
「そこでちょっと待ってて」
「待つとも。紗愛花のためならいくらでも」
俺はリビングで待たされる。紗愛花はキッチンに行って水かなにかを入れている。ああ、まともに話ができる。これで弁解が…どうにか……でき…………
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目が覚めるとそこは暗い部屋だった。周りはコンクリートの壁と床。腕を動かそうとすると、ジャラン!と鎖の音がする。…拘束されてるのか。
寝て頭が冴えた。何してるんだ俺は。あの状態の紗愛花の家に行くなんて危ない!…いや、これが正解なのかも知れない。これが俺にできる償い。
そういえば足の拘束はされてるのか?そう思い足を動す。もちろんされてる。寝起きで感覚が鈍い。拘束されてることに気付かった。
さて、どうするかな。そう考えていると前方から光が差し込んでくる。目が暗がりに慣れていて少しの光でも目が痛い。よく見ると人影がある。紗愛花だ。
「ふふっ、れ・い・す・け・君。おはよう」
「おはよう紗愛花」
ニコッと笑い、俺は返す。俺は彼女に、紗愛花に監禁されている。
ここだけのトーク
零助「おいほんとにどうするよ。とうとう二話連続トークになったじゃないか」
玲太「仕方ないよ。な?」
桜「王子様~」
零助「玲太!あの人どうにかしろ!」
玲太「仕方ないよ。な?」
零助「てめえ!あっ!ちょっと!」
桜「ふふふふふふふふふ」
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零助「はっ!・・・夢か」