第36話 初々しくなる二人
誤字脱字、文章で変なところがあればご報告よろしくお願いします
湯船に浸かりながら眠っていた俺は起きてそのまま風呂から上がる。そして体を拭き、部屋着に着替え、キッチンとリビングを確認する。そして紗愛花がいないことを確認すると自分の部屋に行き、ベッドにダイブする。
「ああ、明日が楽しみだ」
口からそんな言葉を漏らし、俺は眠った。
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唐突に目が覚める。俺は携帯で時間を確認する。6時46分か…早いな。かんっぺきに目が覚めてしまったため、二度寝もできない。10分ぐらい試した。観念してベッドから起き上がり、リビングに行った。するとキッチンには紗愛花がいた。
「あっ、零助君。おはよう」
「おはよう紗愛花。何時に起きたんだ?」
「えっとね、6時ちょうどぐらいかな」
「早いな」
「だって初デートだよ?楽しみだったんだもん」
「そうか、俺もだよ」
ニコッと笑顔になる。すると紗愛花も「だよねー」って笑ってくれた。朝食はもうできてる。紗愛花は何をしてるのかというと洗い物だ。料理したときにできた洗い物を片付けているんだろう。
「それ、どれぐらいで終わりそうだ?」
「えっと、後10分ぐらいで終わるかな」
「ありがとう」
まだ時間あるな。やることやっとくか。俺はリビングの机で、やり残していたことをやる。その合間にちらっと窓から外を見る。晴れだな。良かった。たくさん作ったてるてる坊主が効いたんだな。そう思いながら俺はやることを終わらせる。
「終わったぁ。紗愛花、洗い物終わったか?」
「もうすぐ終わるよ…終わった」
「ほんとにもうすぐだったんだな」
「うん。それじゃ、朝ごはん食べよっか」
「ああ」
俺は食卓に向かい、席に座る。紗愛花は俺の前の席に座った。
「「いただきます」」
朝食のベーコンエッグを口に運びつつ、あることに気付く。これ、どちらかというと恋人よりも夫婦じゃね?と。だが、まあいいじゃん、紗愛花は俺んちに泊まってるだけなんだから。と誰に言うわけでもないのに頭の中で言い訳をする。
「「ごちそうさまでした」」
「それじゃ、着替えて行こっか」
「そうだな」
俺は食器を洗い桶に浸けて、自室に戻る。そして部屋着から普段着に着替える。ファッションには全く興味がないのだが、母さんが「これ似合うから」と言って色々買ってくる。玲太曰く、「お前の母さんのセンスヤバイ」らしい。着替え終わると俺はリビングに行く。紗愛花はまだ着替えているらしく、いない。特にやることもないのでテレビを付ける。
「えー、本日は全国的に晴れでしょう」
天気予報でも晴れになっている。やった。初デートはちゃんといきそうだ。
「お待たせ零助君」
「待ってないよ。ついさっ…」
紗愛花の服装の可愛さに絶句する。あれ?紗愛花ってこんなに可愛かったっけ?いつも制服とかでザ、女の子みたいな格好を見たことがなかったからか?直視できないほど可愛いんだけど。
「これ、どうかな」
「か、可愛いよ」
俺は頬を赤らめ、窓の方を向く。待ってくれ。この紗愛花と並んで俺は歩くんだよな?やべっ、大丈夫かな。不釣り合いじゃないかな。
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零助君かっこよすぎぃ。はええ。真面目に尊い。その照れてる姿も良いね。服装も何もかもすごい。私服を選んでるのお母さんって聞いてたけど、凄く似合ってる!だ、大丈夫かな?こんなかっこいい人と並んで歩くんだよね?もうちょっと良い服…いや、これは私の持ってる服で一番似合ってるやつ!だから、いやでも、ううっ、大丈夫かなぁ。
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「そ、それじゃあ行こっか」
「う、うん」
なんかもう、付き合いたてのカップルみたいになってる。初々しいというかなんというか。俺たちは家から出て、歩き始めた。
「えっと、今から駅に行くぞ?」
「うん。了解」
俺たちは駅に向かって歩く。うーん。どう、どう接したら良いんだろうか。そんなことを考えていると、駅に着いた。くそっ、もうちょっと駅まで距離あれば答えが…出ないか。ICカードを使って改札を通る。あれ?いつもは通勤ラッシュの時間帯だから人多いんだけど、今日は少ないな。休日なのに。
「土曜日でこの時間なのに少ないね」
「ああ、何でだろうな」
俺たちは何もないまま、電車に乗る。
「…ねぇ、零助君」
「どうした?」
「かっこいいね」
「…ありがと。そういう紗愛花も可愛いよ」
「ありがとう」
ほんっとに何なんだ?俺もガツガツというかグイグイというか、そんな感じで会話がしたい。いつも通りの会話がしたい。でも、緊張して口が動かねぇ。
「あのっ、」「あのさ」
「「あ」」
「ふふっ」「あははは」
俺たちは笑う。全く、こうやって笑えれば良かったんだ。
「次は~有栖駅~有栖駅~」
「この駅だ。降りよう」
「うん」
俺たちは駅について開いた扉から出ようとする。すると大量に人がいた。俺は勇気を振り絞り、紗愛花と手を繋いだ。
「!!零助君?」
「この人だかりだ…はぐれないようにだ」
「ふふっ、ありがとう」
そう言った紗愛花は、満面の笑顔だった。
profile
名前 林崎秀平
誕生日 4月3日
職業 高校生
部活 柔道部
趣味 自分の力を高めるための鍛練
彼女 いない
親友 柔道部の部長
IQ 124
ここだけの裏設定
あの事件を起こさなければ、林崎は柔道の日本代表に選ばれていた。林崎の鍛練の成果であるシンプルな強さが認められていたのだ。それを彼は一度の恋情で誤った方向に使ってしまったのだ。




