第30話 玲太のゲーム
誤字脱字、文章で変なところがあれば報告をよろしくお願いします
玲太と別れ、紗愛花と一緒に家に入る。
「ただいま」
「ただいま」
靴を脱ぎ、俺達はリビングに向かう。
「今日は前日だし、一通り勉強し終わったし何するの?」
「ああ、俺が今まで出した問題を解き直すんだよ」
そう言って鞄から今まで俺が出した問題を渡す。前日だし普通にやることないし、一応俺の作った問題は解き直すだけで勉強になると思うから。
「わからない問題があれば言ってくれ」
「わかったー。でもその前にお風呂入ってくる」
「ん、わかった。じゃあ俺は問題確認し直したりしてるわ」
紗愛花は着替えを持って風呂場へ向かう。俺は勉強卓で全問題を確認する。
10分ぐらい集中して確認してると、ポケットに入れていた携帯のバイブレーションにびっくりした。何だと思い、問題を確認しながら片手で見てみる。玲太からのメールだった。「お前勉強しろよ」と心の中で突っ込む。
『面白いゲーム考えたから、勉強途中の息抜きにやってみてくれ。』
天使と悪魔のカードの画像が送られてきていた。
『まず、天使と悪魔のカードを5枚ずつ作る。種類の違うカードなら何でもOK。それを片方のプレイヤーは天使3枚、悪魔2枚。もう片方のプレイヤーは天使2枚、悪魔3枚を手札にする。』
ほうほう。手札は5枚ずつだが、片方は天使が1枚多く、もう片方は悪魔が1枚多い状況を作るんだな。
『ルールは至って簡単。両プレイヤーが場に毎ターン1枚ずつカードを出して、両プレイヤーが出し終わるとそれを表向きにする。勝利条件、天使が1枚多い人は場に天使が2枚揃うと勝ち。悪魔が1枚多い人は場に悪魔が2枚揃うと勝ち。天使と悪魔1枚ずつになるときは引き分け。どちらかが勝つまで終わらない』
へえ、どっかで見たことある気がするゲームだが面白そうだな。
「あーお風呂気持ち良かった」
風呂から上がってきて部屋着に着替えた紗愛花がリビングに来た。
「え、零助君が問題の確認途中に携帯を触ってる!?」
「いつも通りじゃないか?」
「まあそうなんだけどね」
ボケたのか。大阪の人みたいに突っ込めなくて悪いなぁと心の中で謝る。
「でも零助君が勉強中に携帯触るってことはなんか結構大事な事があるんでしょ?何があったの?」
「大事な事なんかないよ。ただ玲太から新しいゲーム考えたからやってみてくれって言うメールが来ただけだ。紗愛花、天使と悪魔の絵、5枚ずつ書けるか?」
「書けるよ」
「勉強の前に悪いけど、書いてくれないか?」
「良いよー」
俺はA4の紙を程よいサイズで10枚切り、紗愛花に渡す。紗愛花は鞄から色鉛筆を取り出した。
「悪魔の絵を5枚、天使の絵を5枚書くんだよね?」
「そうだ。俺風呂入ってくるからその間に書き終わったら問題解いといてくれ。一応確認はし終わったから」
「りょーかいです」
俺は着替えを持ち、風呂場に行く。脱衣場で服を着替えて、浴室に入り体と髪を洗う。そして浴槽に浸かる。
「あー、良いお湯だねぇ」
お湯で顔を洗う。はあぁ、良いね。風呂っていうのは気持ちが良い。今度温泉旅行にでも行きたいな。そんな思考をしながら、玲太の作ったゲームを考える。…おかしくなることは無さそうだな。でも念のために俺たちに実験をしてもらってるのか。
実は玲太から『こんなゲーム作ったからやってみてくれ』っていうのは何回もあったのだ。最初は小学生の頃、仲良くなって3ヵ月ぐらいで遊ぶときに自作カードゲームを作って持ってきていた。俺はそれの不備を指摘して「なるほどな」って言って次会うときにはその問題点を改良して持ってきて遊んだ。小学校で2回。中学校で1回玲太の作ったゲームがその学年内でブームになったことがある。自作ゲームなので金があまりかからず楽しく遊べるからという理由で年上からも人気があった。実は今までも遊んでるやつはいる。
天才ゲームクリエイター(自称)(笑)の作品の試しができるのは良いんだけどな。問題が多い場合が沢山あるし、最近はプログラムを覚えてきていてそっちのジャンルもせめている。今回は普通のカードゲームで助かった。バグ見つけるのは暇も頭脳ももて余している俺でも骨が折れる。
「今回のは紗愛花と一緒に遊べるし、休憩程度にできるゲームで助かった」
何故かやることができると俺は夜になってもそれが終わらないと寝れないんだよな。さて、そろそろのぼせそうだからから上がるか。俺は浴槽から出て、脱衣場で体を拭き、部屋着に着替える。そして俺が向かったのは自分の部屋。多分必要になるであろうものを持ってリビングに行く。紗愛花は必死になって問題を解いていた。俺が風呂から上がったのに気付かないぐらい。
「さ、紗愛花?」
「ん?あ、零助君上がったんだ。もうちょっと待ってね。もうすぐ終わるから」
そういうと問題を解いているであろうノートに顔を向ける。見ると勉強卓にはもうすでに悪魔の絵と天使の絵がそれぞれ5枚ずつ色つきで書いてあった。絵もとても上手いものであり、文句なしの百点だと言える代物だ。だが、ペラペラの紙だから、色が透けて出すカードが何か見える。だから俺は昔やっていたカードゲームのカードが入った無地のスリーブに入れる。これで裏は全部同じ。見える所だけが違う。これでできるだろう。
「はい。終わった!」
「ほいよ。疲れただろ?」
「うん。疲れたよ」
「だったら息抜きに玲太作ったゲームやろうぜ」
「さっき言ってたやつだよね。良いよ。ルールは?」
「これ見てくれ」
俺は玲太のメールを開いた画面を見せる。紗愛花はそれをまじまじ見つめ、「わかった!」と言って天使3枚と悪魔2枚を取る。俺は残りのカードを手札にする。
「どっちから出す?俺から出そうか?」
「うーん。じゃあお願い」
ちゃんとカードを確認して、「これだな」といっても伏せて出す。
「じゃあこれだね」
紗愛花も伏せてカードを出す。そして俺と紗愛花は一緒にオープンする。紗愛花は天使、俺は悪魔。初手はそうだろうな。こうしないと勝つ確率が少ない。っていうか少なすぎる。ほんとに心読めないと初っぱなに2枚のカードを出したら勝てない。
「よし、じゃあ次のターンだね」
「うん!」
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「いやー楽しいなこれ」
「そうだねぇ。考えた玲太君天才じゃん」
かれこれ10回もやってしまった。時計を見ると30分経っている。あいつの作るゲームは面白すぎる。その代わりミスが多いけど。多分これを勉強の合間に考えたんだから凄いよな。さっ、そろそろ晩飯作って食って俺は採点して寝ますか。
プロフィール
主人公
名前 真都零助
誕生日 8月25日
年齢 15歳
職業 高校生
趣味 睡眠、玲太の作るゲーム、知らないことを知ること
部活 サッカー部
彼女 橋上紗愛花
親友 神山玲太
IQ 274(多少の眠気に襲われながら測った場合)
二重人格 零
零に切り替わる条件 零助がもて余すほどの自分の力に心から絶望した時
裏設定 零助君のいつもの眠気は、幼い頃から化け物すぎる頭脳を使用するとき、使用する制限をかけなかったため、脳の疲労が蓄積されて今になって休憩を必要とするから