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第26話 美味しい夕食の時間

はっ!居眠りしちまった!今何時だ!?俺は近くにある時計を見る。針は8時14分を指している。8時か、これ以上寝過ごしていたら勉強どころじゃ無かった。ばっと机から立ち上がると、パサッと布団が落ちる。紗愛花がかけてくれたのか。そういえば紗愛花はどこだ?俺は周りを見渡す。けれど紗愛花の姿はない。すると


「あっ、零助君起きた?」


とエプロン姿の紗愛花が俺の方に来る。


「ああ、布団ありがとな」

「うん。今日の晩御飯はカレーです」

「料理までしてくれてたのか。ありがとな」


そう言い、俺は自分の部屋に向かう。制服から部屋着に着替えるためだ。


「紗愛花、着替えるから入ってこないでくれよ?」

「わかった」


俺はせっせと制服を着替え、部屋着になる。そして部屋を出る。


「あっ」

「どうした?」

「作り過ぎちゃったかも」

「あー、大丈夫だろ。食べきれなかったら玲太にあげれば良いし、最悪明日食べれば良いんじゃないか?」

「そっか。それじゃあ食べよ?」


食卓にはもうカレーライスとポテトサラダとスプーンが用意されている。


「そうだな」


椅子に座り、手を合わせる。


「いただきま―」

「俺の名前が聞こえた気がしたから飛んで来てやったぜ!」


ガラガラと窓を開け、玲太は入ってくる。ちゃんと靴は脱いで。


「玲太君!?」

「玲太か。お前晩飯食ったか?」

「食ってないけど」

「そうか、一緒に食べるか?」

「マジで!?良いの?!」

「紗愛花、一緒に食っても良いよな?」

「うん。もちろんだよ」

「よし、じゃあ親に連絡するから待っててくれ」


そう言い、靴を置いてくるのも兼ねて玄関に向かった。


「驚いたよ。玲太君窓から入ってくるんだから」


エプロンを脱ぎながら、紗愛花はそう言う。そういえばそのエプロン俺のじゃねぇな。手作りか。


「あいつはいつもああだよ。家に来るときはいつも奇想天外な場所から来る」

「でも『俺の名前が聞こえた気がしたから』って理由も変だけどね」

「そんなことよりこのうまそうなカレーを早く食べようぜ」

「うん。そうだね」


俺は紗愛花が座るのを確認して、手を合わせる。紗愛花が手を合わせたのを見て、


「いただきます」


と言う。紗愛花も「いただきます」と言って食事を開始する。


「おいしい」

「ありがとう」


笑みを浮かべながら紗愛花はそう言う。これならいくらでもいけそうだ。辛すぎず甘すぎずちょうど良い塩梅で、人参、ジャガイモは食べやすいサイズに切られている。思わず笑みがこぼれるようなうまさであるこのカレーを味わっていると玲太が玄関から戻ってきた。


「よっしゃ!俺も食えることになった!」

「そうか。それじゃあよそってやるから席に座って待ってろ」


そう言い俺は立ち上がる。そしてキッチンに行こうとしたとき、紗愛花が立ちあがった。


「お茶入れるの忘れてた」

「あー、そうだな。全員分入れてくるから食べといてくれ」

「ありがとう零助君」


俺は皿を取り出し、その皿に炊飯器に入っているご飯をよそい、鍋に入っているカレーをかける。そして食器入れからスプーンを取り出し、カレーと一緒に玲太の席へ持っていく。


「待ってました!」

「お茶とポテトサラダはもうちょっと待っててくれ」

「わーった。いっただっきまーす」


大好物を食べる子供のように玲太はカレーを食べる。俺はもう一度キッチンへ行き、冷蔵庫を開けてお茶の入ったポットとポテトサラダを取り出す。コップを3つ取り出して、それにポットのお茶を注ぐ。そしてポテトサラダを皿に入れる。そしてそれを食卓に運び、配膳する。


「ありがとな零助」

「玲太、お前どうやって晩飯をここで食えるように説得したんだ?お前のお母さん厳しかったろ?」

「いやぁ、零助が一人で寂しそうだからって言ったらOK出たよ」

「嘘つくなよ、一人じゃねえし、そもそも一人でも寂しくはねぇよ」

「じゃあ紗愛花さんいなくなって一人なったら寂しくないのか?」

「そ、それは寂しいけど」

「じゃあ一人だと寂しいんじゃねぇか」


ぐうの音も出ない。紗愛花が居なくなると寂しい。それは嘘じゃないからな。


「おい、零助?スプーンが進んでないぞ?食欲無いのか?俺が貰うぞ?」

「絶対やらねぇ。こんなうまいカレー誰がやるかよ」

「奇遇だな。俺もだ」

「うまいって言ってくれてありがとう」

「どういたしまして紗愛花さん」

「ああ、今日中川さんに会ったぞ」

「事情聴取だろ?俺も会ったぜ。にしても久々に会ったけど中川さん全然変わんねぇよな」

「そうなの?」

「ああ。紗愛花、これが最初に会った時の中川さんだ」


そう言って紗愛花に写真を見せる。最初にお世話になったとき、何故か撮った俺と中川さんのツーショット写真だ。


「少し太った…かな?」

「俺には痩せたように見えるぜ」

「年齢も今は36歳だけど、全然見えないだろ?」

「うん。20代後半にしか見えない」

「謎が多い人だよなあの人」

「ああ。俺たちの才能は評価してくれているけど、はっきり言って不気味だ」

「そこまで!?」

「話変わるけど、紗愛花さん、こいつ寝てなかった?」


そうやって隣に座っている俺を指差す。三人しかいないんだからこいつって言ったらわかるんじゃないか?と言いたかったがやめておく。


「寝てたよ。えーっと、二時間ぐらいかな?」

「やっぱり寝たか」

「まあ、私のために先生の教え方を勉強してくれたらしいから起こさなかったんだけどね」

「やっぱり優しいな。布団までかけてやったんだろ?」

「なんでわかるの?」

「多分あれ見たからじゃないか?」


俺はテレビの前にある勉強道具を置いている机の方を指差す。そこには俺が立ち上がった時に落ちた布団が置きっぱなしだった。


「そゆこと」

「へぇ、よく見てるね」

「こいつ、想像力と観察眼が特に優れているからな」

「ありがとう。ありがとう。そういや零助、極問クイズ出れるか?」

「出れるはずだ」

「確定はしてないんだな?」

「まだ予定表見てないからな」

「見ろよ!」

「見る暇無かったんだから仕方ないだろ?」

「ふふふ」


そんな感じで会話は弾み、俺たちは食事をしながら時間を忘れて話をしていた。

誤字脱字、文章で変なところがあればご報告よろしくお願いします。

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