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第24話 先輩からのお誘い

「なあなあ、高校生極問クイズに出てみないか?」

「…へ?」


昼の休憩時間、玲太と紗愛花と島坂さんと食堂で昼食をとっている時、席の後ろから淀樫(よどがし)先輩に話しかけられた。淀樫先輩はサッカー部の先輩だが、クイズ研究会の部長でもある。ちなみに部活の掛け持ちで部長をやったのは淀樫先輩が初めてらしい。


「高校生極問クイズ、知ってるだろ?」

「知ってますけど、なんで俺?多分そこにいる玲太の方が良いでしょう?最近テレビに出たってことで話題ですし」

「ああ、今から誘う。どうだ?神山、出てみないか?」

もひろん(もちろん)でまふよ(でますよ)

「よし、次はお前だ」

「良いですけど、いつですか?」

「来週の土曜日に収録だと。予定入ってるか?」

「入って…ないっすね」

もごもごもご(俺もです)

「お前は口の中を片付けてから喋れ」

「詳しい事は部活で説明するから。すまんな、彼女とのランチタイムを邪魔して」


そう言って先輩は手を振り、食堂から出ていった。昼飯を食べようとする人でごった返しているところを悠々と通り抜けて。


「すごいね。零助君。あの有名な極問クイズに出れるなんて」

「ああ、だけど俺が誘われた理由がよくわからん。クイズ研究会の部員を使えば良いんじゃないか?」

「そういえばクイズ研究会、部員が少なくなってきていて廃部の危機なんだって」

「華樹ちゃんよく知ってるね」

「なんかクラスの女子が話してるの聞いたから。ほら、この高校って毎年その番組出てるじゃん。だから前まで部員が増え続けていたらしいんだけど、最近他の部活も全国進出とか頑張ってるからそっちに流れていっちゃってさ」

「部員が少なくなったのか」

「うん。それで今回も出場が決まって、連絡したらしいんだけど、出場の選手とか他の部員が次々と怪我とかして出れなくなってね」

「だから俺たちが呼ばれたのか。でも大丈夫なのか?」

「大丈夫らしいぜ。前々回ぐらいにピンチヒッターで三人ぐらい呼んでた学校があったし、先輩がそのことで番組ディレクターに連絡したら『問題ないですよ』って言われたらしいから。ごちそうさまでした」


気がつくと玲太の弁当の中身はもうなくなっていた。重箱見たいにでかいのに。食うの早いなやっぱり。玲太はさっさと弁当を片付け「先行ってるわ」と言って教室に帰っていった。


「行けば?紗愛花も応援しに行くだろうし」

「私、頑張って応援するね」

「ありがたいけど、まずは定期テストだ」

「うう、わかりました」

「ごちそうさまでした。それじゃあ片付けてくるな」


俺は食べた容器等を片付けに行く。極問クイズって高校の最高難易度の問題の応用から最近の世界情勢とかまでなんでも出てくるんだよな。頭をフル回転させないと無理かも。


「お、零助じゃないか。珍しいな。お前がここに来るなんて」

久崎(くざき)先輩こそ。いっつも学食でしたっけ?」

「ちょっと弁当作る暇なくてな。お前も誘われたか?極問クイズ」

「はい。俺と玲太が出ることになりました」

「さすがサッカー部一年の天才コンビの零助と玲太だな」

「天才ではないですよ。秀才です」

「そっか。俺も誘われたけどテストが近くて勉強しなきゃいけないし、部活に専念したいからクイズの勉強なんかできねぇや」

「俺も彼女を教えるので精一杯ですから勉強なんてできませんよ。元々持ってる知識で戦うつもりです」

「へえ。極問クイズは家族で見てるから楽しみにしてるぜ」

「ありがとうございます。それでは」

「じゃあな。また部活で」


俺は返却口に容器をのせた盆を置き、紗愛花の方に急ぐ。やっと人ごみが落ち着いてきたところだ。今を逃すと返却口に来る人でごった返すからな。


「すまん待たせたな。ちょっと先輩と話し込んじまってな」

「ううん。大丈夫だよ。あと質問があるんだけど良い?」

「ん?どうした?」

「原子番号92と94が共通して利用できるものはなんだっけ」

「核爆弾だ。92番のウランがリトルボーイ、94番のプルトニウムがファットマンに使用されたことがある」

「それそれ。ありがとう」

「どういたしまして。他にもわからないことがあったら聞いてくれ」

「わかった。じゃあ私こっちだから」


そう言って紗愛花は自分の教室に入っていった。俺も自分の教室の中に入る。俺が教室に入ると同時に数人の男子生徒が俺にも突っかかってきた。


「なあなあ真都、お前玲太と一緒に極問クイズ出るんだって?」

「まだ確定した訳じゃないけど、そうだぞ」

「マジかよ。これは一大事だぜ」

「俺らのことに気をとられてないでテスト勉強しろよな」

「わかってるわかってる」


キーンコーンカーンコーン


「昼休憩の終わりだ。席につけよ」


次の授業の先生が入ってくる。この先生は世界史の先生で話は面白いけど結構厳しいからな。スパルタ教育を紗愛花にしたくないからそこを学習しないようにしよう。


「先生、質問があるんですが」

「おっ、どうした?」


そして女子に甘い。男子が質問しに行っても「自分で考えないといけないだろう?」と言って答えないのに、女子だと普通に答えるから陰ではえこひいき先生だと言われている。先生曰く、「男子には力があるんだから自分で調べて自分で学べ。女子には力がないとは言わないが、男子よりは力が劣る。だから私がサポートする」だとさ。女子には男子より力があると反論した生徒がいたらしいが、なんやかんやで論破されたらしい。そんなことする暇あったら勉強しろよと言うのが俺の本音である。


キーンコーンカーンコーン


「それでは授業を始める」


午前よりも憂鬱な午後の授業の始まりだ。

誤字脱字、文章で変なところがあればご報告よろしくお願いします。

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