第23話 退院した日
んで、俺はいつ退院なんだろう。そこら辺はなんか玲太が対応してたけど、俺聞かされてないんだよな。
「失礼します。零助さん、準備してます?」
「はい?何のです?」
「退院の準備ですよ。聞いてませんでした?」
「は、はぁ。聞いてなかったけど、わかりました。すぐに準備します」
看護師さんは扉から出ていった。どういうことだ?あいつ、なんも言わずにテレビなんか出やがって。教えとけよな。ま、荷物つっても携帯と財布ぐらいだし。俺はさっさと用意をした。
「さて、今何時だっけ?」
時計を見る。6:40だ。20分後ぐらいに家に帰って、用意しても普通に登校できるな。
「失礼するよ」
「先生、俺の退院の時間て何時なんです?」
「もうだよ。6時45分」
「何の連絡もされてなかったんですけど」
「玲太君が退院はほぼ治った状態で良いです。どうせすぐに治りますから、と言ってたんでね。昨日の状況を見て、今日の朝に退院が可能だと判断したんだ。君、また回復力が上がってるよ?」
「へぇ、まあ早く退院できることに越したことはないのでありがとうございます」
「さっさと帰って彼女に連絡するんだぞ」
「余計なお世話です」
「ごめんごめん。もう出れるか?」
「バッチリですよ」
「そうか、今ちょうど45分になった。無茶はほどほどにな」
「わかっています」
俺は病室から出ていった。急いで帰りたいところだが、病院内では走ってはいけないので、俺は普通に歩いて病院を出た。
「んっ、ああー。この朝日、良いねぇ」
伸びをしながらそう呟く。さて、さっさと帰って用意しないと。走れるかな。試しに走ってみる。普通だね、足の痛みもない。それじゃあ走って家に帰るか。部活の時よりはスピードを落として走った。ランニングしてるみたいに。数分で家まで着く。鍵鍵、有った。ガチャ、と鍵を開け、俺は中に入る。
「久々な感じしかしねぇなぁ。っと用意用意」
俺は自分の部屋に行き、鞄にテキスト等を詰め込む。それが終わると、すぐさま制服に着替える。
「今は…20分か」
朝飯食べても良いぐらい時間あるな。俺はキッチンに行き、パンをとって、封を開けて食べる。やっぱり美味しいねパンって。一人でもぐもぐ食べ続けた。今まで紗愛花がいたから、一人が寂しく感じる。さっさと食べ終わって学校に行こう。俺は食べ終わると歯を磨いて顔を洗って鞄を持ち、学校に向かう。戸締まりはしっかりしてと。
「あれ?零助君?」
「そうだけど」
「…何でいるの?」
「退院したから」
「た、退院って、予定だと一日あったじゃん」
「先生が昨日の状態を見て、今日の朝に退院できると判断したんだ。だから俺は家に帰ってきて用意して、今に至る」
「…う、うん。じゃあ一緒に学校行こ?」
「そうだな。それじゃあ行くか」
何か気まずい。まあ、あれがあったからな。
「そうだ。勉強、できたのか?」
「うん。ちょっと質は落ちたかもだけどね」
「そうか、俺も少しは勉強しないとな」
「勉強するの!?」
「そこまで驚くか?」
「いや、だって授業ほぼほぼ休んでるし、勉強する気ないのかと」
「まあ、できることならやりたくはないんだけどね。紗愛花に教えるし、ちょっとは先生の教え方を勉強しないとだから、今日は授業全部受けるよ」
「は、はえぇ。勉強熱心ことに関しては何も言えないけど、勉強ってそっちの勉強ね」
「そうだよ。全く、もう憂鬱なんだけど」
「ふふふ、みんなそんな感じなんだよ」
「そうか、これが学校がだるいというものか」
「まあ、授業を受けることは悪いことじゃないから良いんだけどね」
気まずさが無くなり、楽しいトーク時間になった。こういうときは時間の流れが早く感じる。いつの間にか学校の前に来てるんだから。
「時間の流れが早く感じるんで着くが早い気がしてならない」
「ふふ、私もそうだよ」
下駄箱で靴を履き替え、上に上がる。
「じゃあまた後で」
「ああ、じゃあな」
俺は教室に入り、用意をする。教室は玲太の話題で持ち切りだった。
「玲太、テレビに出てたってさ」
「マジで?!すげぇ」
「私も出てみたいなぁ」
「コメントも上手かったらしいぞ」
など、至るところで玲太玲太って聞こえる。そんなとき、扉が開いて、玲太が入ってきた。
「ういー、みんなおはよう…って近い近い」
「どうだった?スタジオって」
「桝川アナかっこよかった?」
「お前が林崎倒したってほんとか?」
「わかったわかった。とりあえず用意させてくれ」
玲太は自分の席に行き、用意をする。俺は玲太に近づいた。
「れーいーたーくーん。何で退院の話を教えてくれなかったのかなぁ?」
「え、お前もう退院したのか?早すぎだろ」
「俺もそう思う」
「うん。それでどうだ?体の調子は」
「もうバッチリだぜ」
「そーかそーかそれじゃあ俺はあいつらの対応で忙しいから」
そう言い、わいわい玲太の話題をしている人を指さす。
「ああ、大変だろうけど頑張れよ」
「…なんだその笑いを含んだ目は」
「え?笑ってないよ」
「こいつ、煽ってやがる」
「ま、ほんとに大変だろうから先にお疲れと言っておく」
「今は対応しなくて良さそうだ。もうすぐチャイムが鳴る」
キーンコーンカーンコーンと、玲太の言った直後にチャイムが鳴る。みんなは一目散に自分の席に向かう。俺もその一人だ。今日一日、憂鬱だが頑張らないとな。
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