第1話 告白
ふぁぁあ、と欠伸をしながらベッドから起きる。俺は真都零助15歳、高校生だ。今日から3日間定期テストだ。
「おはよう零助君、朝御飯出来てるよー」
彼女は橋上紗愛花。俺の彼女だ。今日のテストの勉強を泊まりでしていたので、家にいる(そんなことがなくても家に居るが)。生憎俺の母親は仕事上家に帰らないことが多いので、紗愛花が家にいても怒られることがない。
「ピロリン」
俺の携帯が鳴った。メールの音だ。すると俺の携帯を紗愛花が獲物を見つけた獣みたいに取り、中を見る。そして形相を変えて
「ねぇ零助君、高実って誰なの?新しい女?私を捨てるの?だったら殺しに行かないと」
と言いながら、手に包丁を持とうとしている。
「おいおい待てって、それクラスメートだから。新しい女とかじゃないって」
「そう?なら良いんだけど」
そう言って俺の携帯と包丁を元あった場所に戻す。…俺の彼女、紗愛花はヤンデレなのだ。デレはそこまで多くないけど。病み80%デレ20%。付き合い始めた頃はそんな素振りは一切なかったのに。どうしてこうなってるんだっけ?
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時は数ヶ月前に遡る。俺は県立砂川高校に入学した。毎年志願者の多い進学校だ。俺は全授業の最初のみ受けて、後は面白そうな先生の授業だけ受けていた。受けていたのは数学と国語と保健体育と音楽だったかな。
この学校はテストの点さえ良ければ入学、進学、卒業が出来る素晴らしい制度を取り入れていた。その代わりテストは滅茶苦茶難題が多い。つーか難題100%。授業で言ったようなよくわからない難しいことも何もかも出す。俺は腐るほど頭が良かったので(確か体調悪いときに計測したけどIQ180ぐらい)、授業を聞いても子守唄にしか聞こえなくて寝てしまうので、良い場所で寝ようとサボってた。
俺は2つの校舎の間にある中庭にある木の上で寝ていた。その日もいつも通り寝ようとしていた。そんなとき校舎の一階である女子を見つけた。慎重は172ぐらい。華奢で可憐で儚く、そして気品があった。そんな彼女に俺は一目惚れしてしまった。以来、俺はその彼女を見るために毎日そこに行った。
そうして1ヶ月経った。俺は定期テストが近づき彼女が見れなくなってしまったために暇になった。この学校には定期テストが一学期三回ある。三週間も見れなくなるのか、それは嫌だな。そう思いながら俺はまた、サボって木の上で寝た。
そうして俺は何も勉強しないまま、テストに望んだ。そしてテストの終わった2日後、点数と同時に順位が発表された。俺は堂々の一位だった。全問ノーミス。俺の授業のサボり具合と名前は他クラスにも知れ渡っていたらしく、大半の生徒が驚愕していた。驚愕しなかったのは俺と同じ中学校のやつだけ。
「凄いねぇ、やっぱりお前一位かよ」
彼は俺の友達、神山玲太。小学校で名前に「れい」とつくと言うことで玲太の方から話しかけてきた。以来俺の唯一の心を許せる友達だ。俺と玲太はコミュ力が高い。ゆえに色んな人と友達だ。ちなみに玲太は13位だ。一日目の後半から腹痛に耐えながらテストに望んだそうなので、本当の順位はもう少し上。
「まぐれだよまぐれ」
「ほーう?じゃあそのまぐれは一体いつから続いてるのかな?」
「小学校からかな」
「どんだけ続いてんだよ。このこのー、一桁台なんて羨ましいぞぉー」
「お前、ちゃんと受けてたら一桁行けただろ」
「てへ、つい受けちゃいました」
体調不良、病気、怪我などでテストが受けれない場合、後で受けることになる。しかし、体調不良など軽度のことならば、テスト終わりの次の日に受ける。その人のテストが終わるまで発表は延期だ。こいつはそれを知ってて、腹痛に耐えながらテストを受けていた。こいつは自分より先に周りの人のことを考える。多少の犠牲なら払ってでも助ける。こいつのこれはみんな見習うべきだと思う。
「にしても多いな。何人いるんだ?」
「一クラス約50人の計22クラス、大体1050人ぐらいだね」
「よく知ってるな」
「いやいや、入学の時もらったでしょ?」
「ん?あー、あの紙か、捨てた」
「捨てた?!」
「いらないから捨てた」
「はぁ、そういうとこがお前の悪いとこだぞ?」
そんな会話をしながら俺は周りを見渡していた。すると俺がいつもみていたあの子がいた。
「紗愛花、惜しかったね。もう少しで一位だったのに」
「うん。でも一位の人凄いね。ノーミスなんて。しかも噂じゃ授業ほとんど受けてないらしいよ」
「ええ?!そんなんで滅茶苦茶努力した紗愛花を越えてるの?A組に行ってちょっとガツンと言ってこないと」
ええ、俺一応努力はしたんだけど(中学校ぐらいで)。
「いいよ、華樹ちゃん。それでも一位の人見てみたいなぁ、また噂だけどイケメンらしいしね」
こっから先は聞きとれなかった。しかし、俺の一目惚れの女性の名前が「さなか」と言う名前と言うことがわかっただけでも十分だった。
「おい玲太、ちょっとあの、えーっと、俺が捨てたって言った紙今持ってるか?」
「持ってるぞ」
「貸してくれ!」
「おいおい、やけに必死だな。はいよ」
そう言って制服の内ポケットから薄い冊子みたいなのを出す。そして俺はその中から「さなか」と言う名前の生徒を探した。
「あった!」
そのページにはB組 橋上紗愛花と書いてあった。そしてテストの上位10人のところをみる。そこの二位のところにB組 橋上紗愛花 495点と書いてある。これで確信した俺は紙を玲太に返し、昼休憩までいつも通り寝ていた。そして昼休憩にB組に行って、
「橋上紗愛花さんっていますか?」
と聞いた。すると
「紗愛花~、呼んでるよー」
「ん?なんだろう」
そうして廊下に俺と彼女との二人きりになった。
「それで、何のご用でしょうか?」
「あの…えっと…放課後、南校舎裏に来てもらえませんか?」
くそ、緊張する。心臓の鼓動が五月蠅い。
「はぁ、良いですよ」
「ありがとうございます」
そう言って俺はダッシュで教室に戻った。
昼休憩が終わり、授業になる。嬉しいことに昼休憩の後の授業は面白い先生の授業ばっかりだ。
そんなこんなで放課後になった。俺は颯爽と鞄を持ち、教室を出て、南校舎裏で座って待つ。ど、どうやって告白しようか?呼び出したは良いものの、俺はノープランだった。
「それで、何ですか?」
ビクッ!とビックリして俺は立ち上がる。
「すみません、驚かせてしまいましたね」
「いやいや、俺が考えごとをしていただけですから大丈夫です」
俺は数回深呼吸し、
「あの…僕はあなたに一目惚れしてしまいました。この気持ちはどうにもできません。僕と付き合ってくれませんか?」