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座りたい唄

作者: 鈴村蓮

仕事帰りの駅のホーム 入ってきたのは満員電車

無理矢理乗り込み奥まで入って なんとか吊革に手を伸ばす

ああ座りたい 座りたい

仕事で凝り固まった肩 腰

背後のリュックが背中を潰す

重だるい腕に痺れる膝裏 疲れが全身にのしかかる

ああ座りたい 座りたい

今すぐにでも座りたい

ふかふかの背もたれに全てを委ねて 夢の世界へ旅立ちたい


通勤時間もあらかた過ぎて 人も半分近くに減った

近くの席も何度か空いたが 目の前の人は動かない

ああ座りたい 座りたい

若い彼はスマホを取り出すと 気だるげに画面をスクロール

そんなものいじってるくらいなら 俺をそこで寝させてくれよ!

ああ座りたい 座りたい

今すぐにでも座りたい

こんな苦痛に耐えているのだから 神様、どうか俺に休息を


天に祈ったその瞬間 若者がふと顔を上げた

電車が止まる 彼は立つ

ああ、ついに ああ、ついに

歓喜に震え 空いた隙間に滑り込む

ああ、ついに ああ、ついに

涙を流し 腰を下ろし

目の前の小さいおばあちゃんと目が合う


「……あの、よければどうぞ」


ああ座りたい 座りたい

座りたいけど仕方ない

今回ばかりは仕方ない


おばあちゃん、最寄りの一駅前で降りました

お目汚し失礼しました。

久しぶりなのにこんなものですみません。でも降ってきてしまったんだもの。

次はまともなやつを書きます。


電車通勤の同志の方々、これからも頑張っていきましょう。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 気持ちがすごくわかるっ…… もうほんとそれなんですよね。 自分の意思で譲ったはずなのに、(運悪かったなぁ)って思ってしまう自分がいてなんとも情けなくなります。
[良い点] リズミカルな文体で楽しく読むことが出来ました。 最後はクスッと笑ってしまいました(^^)
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