プロローグ
○ヨハンの部屋・幼少期(夜)
幼いヨハンの目の前に、眠ったままの妹、ミーシャを抱きかかえた女性の精霊が宙に浮いている
ヨハン「ミーシャをどうするの?」
精霊「この子は闇に魅入られています。このままあなたの世界にいれば、きっと災いをもたらすでしょ う」
ヨハン「何で? 何でミーシャが」
精霊「あなたにも、それが分かる時が来るはず。その時まで、この子は私のもとで預かり、見守ります」
精霊の雰囲気に気圧され、動けず喋れもしないヨハン。
精霊「気を付けなさい、そして覚えておくのです。あなたにも闇に魅入られる危険があることを」
ヨハン、まだ動けずにいる。
精霊「ですが、あなたは闇を退け、光となすこともできる……いずれこの子、あなたの妹を正しい道へ導く こともできるかもしれません。その時のために、私の娘をあなたの元へ残します」
光の中から一人の幼い女子が現れる。
精霊「私の娘……名はティターニア……その子の力で、あなたは闇の存在からは見えなくなります。常に共に いなさい、これからはその娘があなたの兄妹です」
ティターニアが傍に来る。彼女がまとっている光に触れると、ヨハンが落ち着き動けるようになる。
ヨハン「でも、そんなことになったら」
精霊「周りの人間達は、その子の力で入れ替わった事には気付きません。よほど強い魔力をもった者でな い限りは」
ヨハン、ティターニアを見る。
精霊「これから幾つもの困難があるでしょう。でも、決して屈してはいけません。あなたが大事にしてい たこの子を、再びその傍に迎えるまで」
精霊はミーシャと共に光の中へ消える。光が消えた後、ヨハンとティターニア、しばし二人が見つめ 合う。