ふくせん
Side実也
「うっ、うぐぅ!あ、ああ!」
一分も経たずに《スキル反転》を解除した僕に待っていたのは、猛烈な痛みだった。
多分、ステータスを強制的に上げた反動とか代償とかだと思う。
ステータス見てもHPもMPも減って無かったし時間制限は無さそうだ。
はぁ、あのシスコ…間違えた、ブラコンと戦うためにもう一度使うんだよなぁ。
マジヤバいっしょ!
一度使う度にこんな反動有ったら使いにくいわ!
はぁ、本当に奥の手だなぁ。
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五分くらいたって痛みが治ったから皆の所に行くことにした。
ついたらすぐ、
「あ、来たんだギャンブラー君。てっきり怯えて来ないかと思ってた。」
と挑発してきた。
コイツはさっきまで何をしていたのか。
特訓じゃなければ、そして一発逆転のスキルを持ってなければ、十分の八で勝てる。
そんなことを考えていたときに、初老の男性がやって来た。
`ナンカヤバイ´
そう思って顔を向けた。
けど理由がなくて行動できなかった。
そのせいで顔を見られてしまった。
多分アレ、スパイだ。魔王側の。
どうしよう。気付いたのバレたかもしれない。
ドンッ!
大きな音が考えを中断させた。
まさかスパイが動いたか?!
と思ったら新しくキラキラの男の奴が来た。
顔はいい。運動神経もいいだろう。
けど、僕達を下に見ている。
優しそうな目には、嘲りの色が有る。
コイツも油断でき無さそうだ。はぁ。
「よし。そろそろ一時間だな。対戦する選手は?」
って嘲り野郎が司会みたいなのすんのかよ!
「俺はヌァーバ=オグター。この国の王だ。因みに、あの巫女たちのトップ。チャール=オグターは俺の妹だ。」
へぇ。どうでもいい。
じゃあ、戦うとするかなぁ。はぁ。
「見ていてください王様。私がこのクソ野郎に勝って殺します。私が一番になります。」
一人、五月蝿い奴がいる。
まあ、いいや。殺されないし。殺さないし。
僕達の中学を昨年卒業した、剣打先輩なら圧勝なんだろうなあ。はあ。
剣打先輩元気かな?あの人あんまり友達いないもんなあ。本当に片手で数えられるもんなぁ。
まあ、あの人主人公だもんな。
こっちの世界に来てたりして。
なにこれふくせん?
……そろそろ現実逃避止めるか。
「さあ、戦おうか。シスコン。」
「そうだな。男色野郎。」
「誰が男色だ!」
「女性達に好かれていないこと。女の娘が友達に居ること。その二つを合わせたらこう言う答えが出た。」
前言撤回、コイツ、殺そうかな。
そう思った所に雄耀が割り込んで来た。
「わーっ!二人ともストップ!実也は男色じゃないもん!僕は男子だからシスコンじゃないんだもん!」
「……」
「……」
「…え?」
「…戦うか。王様、お願い。」
「わかった。…勝負、初め!」
は?まだ剣持っただけなんだけど!
はぁ、頑張ろう。
「…」